全天モニターの ソフトウェア開発と データ活用の研究 和歌山大学 教育学部 自然環境教育課程 天文学専攻 07563030 山田恭平 担当教員 富田晃彦 はじめに 人には長時間休むことなく 眼視観測・記録を続けることは不可能 365日24時間休むことなく観測・記録を 続けることを可能にしたものが 全天モニター 全天候対応・昼夜兼用 全天モニターとは? 魚眼レンズを備えたデジタルカラーカメラ 自動露出時間調節シャッター搭載 自動絞り・自動増幅率調節機能搭載 365日24時間、5秒(変更可能)に1回自動的に撮影 撮影写真はすべて保存しているので、任意の過去の 写真も取り出すことが可能 →予期せぬ気象・天文現象が起こり、 観測し損ねたとしても、データを取り出せる。 全天モニターの撮影画像 昼の画像 夜の画像 昨年度(山本2007) 今年度の卒論 ・ 設置 ・ 保守強化 ・ ホームページ開発 ・ 強化 ・ 教材開発 ・ 継続 ホームページ開発 昨年度の先行研究を基に作成 Webページの機能強化(Javascriptによる) 教材開発・観天望気の より使いやすく改善 データ収集等を スライドショーボタン より効果的・効率的 に行うことが可能に 動画コーナーの充実 ホームページ 教材開発 全天モニターの長所 365日24時間空を観測し続ける 動画:長時間の天体の動きを見やすくする目的 →天体の年周運動に関する動画を作成 例.星座を背景とした火星の動き→ 星座を背景とした火星の動き 考察 長時間の天体の動きを見やすく・理解の助けとなる という目的をある程度達成 本物のデータで示していることで印象に残りやすい 天文シミュレーションソフトでも代替可能 気象条件など、いつでも理想的なデータが揃うわけ ではない 観天望気(空を観て天気を予想する) すじ雲が出ると雨等、様々な方法が存在 その場所の天気の変化をより的確に知ることが可能 全天モニターの画像を利用しての観天望気 365日24時間連続観測 2つの大きな特徴を 活かした活用法 いつでも任意の過去を取り出せる シミュレーションソフトで代替することもできない 手順 全天モニターのアーカイブを観察 過去の各日付の9h・12h・15hにおける 天気・雲量・雲の形を記録 その記録から雲の形・雲量と翌朝の 天気を比較しグラフを作成した 雲の形と翌朝の天気の相関図 15hの雲と翌朝の天気(9~1月) 天気が悪くなる傾向 0% 20% 15hの雲と翌朝の天気(9~11月) 0% 高層雲・おぼろ雲3 20% 40% 60% 高層雲・おぼろ雲0 巻雲・筋雲6 乱層雲・雨雲9 巻層雲・うす雲・暈3 高積雲・羊雲10 全体83 雲なし23 巻積雲・うろこ雲15 層積雲10 積雲・わた雲7 80% 40% 巻層雲・うす雲・暈5 高積雲・羊雲18 全体142 雲なし35 80%15hの雲と翌朝の天気(11~1月) 100% 100% 0% 巻雲・筋雲8 乱層雲・雨雲23 60% 20% 40% 60% 80% 100% 高層雲・おぼろ雲3 巻雲・筋雲3 ○快晴 ①晴れ ⑪うす曇 ◎曇り ●雨 乱層雲・雨雲16 ○快晴 ①晴れ ⑪うす曇 ◎曇り ●雨 巻層雲・うす雲・暈2 高積雲・羊雲12 全体87 雲なし22 巻積雲・うろこ雲6 層積雲13 積雲・わた雲10 巻積雲・うろこ雲18 層積雲17 秋 積雲・わた雲15 天気が良くなる傾向 冬 ○快晴 ①晴れ ⑪うす曇 ◎曇り ●雨 9hの雲と翌朝の天気(9~1月) 朝 0% 20% 40% 60% 80% 100% 高層雲・おぼろ雲3 巻雲・筋雲10 乱層雲・雨雲25 ○快晴 ①晴れ ⑪うす曇 ◎曇り ●雨 巻層雲・うす雲・暈2 高積雲・羊雲13 12hの雲と翌朝の天気(9~1月) 全体137 雲なし27 0% 20% 40% 60% 80% 100% 巻積雲・うろこ雲13 高層雲・おぼろ雲4 層積雲11 巻雲・筋雲8 積雲・わた雲33 乱層雲・雨雲18 巻層雲・うす雲・暈7 高積雲・羊雲9 全体138 雲なし27 巻積雲・うろこ雲20 ○快晴 ①晴れ ⑪うす曇 ◎曇り ●雨 15hの雲と翌朝の天気(9~1月) 層積雲10 0% 積雲・わた雲35 昼 朝より夕方の方が 相関が強い 夕 20% 40% 60% 80% 100% 高層雲・おぼろ雲3 巻雲・筋雲8 乱層雲・雨雲23 巻層雲・うす雲・暈5 高積雲・羊雲18 全体142 雲なし35 巻積雲・うろこ雲18 層積雲17 積雲・わた雲15 ○快晴 ①晴れ ⑪うす曇 ◎曇り ●雨 10 雲量変化と翌朝天気の相関 雲量変化と翌朝の天気 晴 10 8 6 6 4 4 2 2 0 -8 -6 -4 -2 15 時 の 雲 あらゆる領域で出現 量 10 8 -10 雲量変化と翌朝の天気 曇 0 0 2 4 6 8 10 -10 -8 -6 雲量変化と翌朝の天気 快晴 -2 8 6 6 4 4 2 2 0 -6 -4 -2 4 6 8 10 6 8 10 8 9時から15時の雲量変化量 -8 2 10 0 +10 0 -10 0 雲量変化と翌朝の天気 雨 10 -10 -4 0 0 2 4 6 8 10 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 考察 翌朝天気と相関するのは 雲量やその変化より雲の形 雲の形と翌朝天気の相関 ・ 大きな月変化はなく、朝より夕方の方がよく相関する ・ すじ雲→50%で雨 わた雲→90%で晴 今後 ・ 数年分など、データ量を増やす ・ 他地域での同様データとの比較・検討 今後の課題 昨年度(山本2007) 今年度の卒論 ・ 設置 ・ 保守強化 ・ ホームページ開発 ・ 強化 公開 ・ 教材開発 ・ 継続 継続 今後の課題 教材開発 さらなる教材の開発 教材の有用性の確認 観天望気 より確かな観天望気の確立 他地域の全天モニターとの比較・検討 流星群解析 ホームページ公開 全天モニターの活用可能性 天文・気象の突発現象への対応 →ex.流星群の観測・解析(山本2007) 理科教育天文分野の 教材開発としての活用への可能性 →ex.天文現象のmovie製作 観天望気の資料 惑星を背景とした火星の動き 地球からみると、動き方は違うが火星は星と同 じく天球上を西から東へ向けて移動→順行 地球と火星が太陽から見て同一方向にあると き、内側の地球が外側の火星を追い抜くため、 火星は逆に東から西へ向けて動く→逆行 約1恒星日ごとに同じ星座が 背景となるように写真をつなぎ合わせて作成
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