インターネット 早期広域攻撃警戒システム WCLSCAN WCLSCANプロジェクトリーダー 鈴 木 裕 信 [email protected] ひとことであらわすと… WCLSCAN 危険を自動推定するシステム JPCERT/CC, IPA, @Police 人間が見るためのデータをまとめるシステム 概要 • インターネット上で発生している広域な攻撃を24 時間365日自動的に検知し状況を解析し危険度 を予測する – “広域情報収集/データベース化/自動化分析”の3 つの機能からなり独立しているので拡張が簡単 – 状況を診断するような専任オペレータは不要 – ベイズ推定(推測統計学)を使い危険度を計算させる ので確信度が高い • いつでもどこでも知ることができる – パソコンからだけではなく携帯電話からのチェックも 可能なのでいつでもどこでもチェックができる – デスクトップ上から常時モニタリングができる ここまでの道のり • 1999年: clscanを作成・運用・公開 – ルータのセキュリティログPretty Printツール • 2001年: セキュリティログを分析した結果を発表 – パケット到着とインシデントとの関係、CERT/CCアラートやベン ダー脆弱性情報とインシデントアクティビティの関係、Zero-Day アタックの発見等など – ソフトウェアシンポジューム 2001やLinux カンファレンス2001で 発表→広域ネットワーク上でのシステムの提案 • 2002年: WCLSCANの開発開始 – clscanの広域ネットワーク版 • 2003年: ベイズ推定を使った推論部の導入 – Internet Weather Report aka WCLSCANとなる ゼロから考えたオリジナルなシステム 最近の状況 • 成果を論文として発表 – 16th Annual FIRST Conference on Computer Security Incident Handling – ソフトウェアシンポジューム 2004 – ほか2件 • ボランティアベースの研究活動として活発に進め られている – 2004年10月末現在 参加組織数8 • 研究所1・大学4・企業3 Sensor Box TCP/IP via Internet Web Site Service www.clscan.org b Feb Feb Feb Fe Feb Feb b 9 10 11 Feb Feb Fe Feb 8 7 6 5 4 3 04 04 04 04 04 20 04 20 20 04 20 04 20 20 20 04 20 04 20 20 20 04 Graph & Pretty Print 12 20 04 Port 1080 Thu W ed Tue on M Feb 1 2 Port 3127 Su n Sa tF eb Fri Thu W ed Tue Attacker Node on Su n Sensor Box Modem Encrypted data M Sensor Box W ed M W ed ay 16 M 12 W ed ay 30 :00: J 12 00 W ed un 13 :00: 2001 Jun 12 00 20 W ed 27 :00: 01 00 Ju 12 W ed l11 :00: 2001 12 00 W ed Jul25 :00 2001 :00 W ed Aug 12:00 2001 A 8 12 :00 W ed ug 22 :00 2001 12 :00 W ed Sep :00 2001 Sep 5 12 :00 20 W ed 19 :00 01 12 :00 W ed O ct :00: 2001 O 3 12 00 W ed ct17 :00 2001 O 12 :00 W ed ct31 :00: 2001 00 W ed Nov 12:00: 2001 N 14 00 W ed ov 2812:00 2001 D ec 12 :00 W ed 12 :00: 2001 D 12 00 W ed ec 26 :00: 2001 12 00 W ed Jan :00 2001 Jan 9 12 :00 20 W ed 23 :00: 01 12 00 W ed Feb :00 2002 Fe 6 12 :00 W ed b 20 :00 2002 :00 W ed M ar 12:00: 20 02 M ar 6 12 00 W ed 20 :00: 2002 12 00 W ed Apr :00: 2002 Apr 3 12 00 20 W ed 17 :00: 02 M 12 00 W ed ay :00 2002 M ay 1 12 :00 20 15 :00:0 02 12 0 20 :00: 02 00 20 02 システム構成(1/2) I-mode EZweb Alert List Level: 1 Port:135 …. Modem Emergency line Statistics Calculation Attacker Node Encrypted data Encrypted data mn128,may,13,05:40:11,111/tcp mn128,may,13,10:12:55,111/tcp mn128,may,13,10:13:04,111/tcp mn128,may,13,12:35:05,111/tcp mn128,may,13,12:35:05,111/tcp, mn128,may,13,20:25:27,111/tcp, mn128,may,13,20:25:27,111/tcp, mn128,may,13,20:25:30,111/tcp, Attacker Node MySQL 0.9 0.8 1 Port 3128 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 1.2 攻撃確信度推移(port:21) 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 400 350 300 250 200 150 100 50 0 攻撃確信度 頻度系列 システム構成(2/2) • センサーボックスシステム – インターネット上に存在し到着したパケットを記録した後、集積 サーバへその記録を暗号化した後に転送する • 集積システム – センサーボックスから送られてくる記録を受け取り復号化した 後MySQLへ格納する • 計算システム – MySQLから必要なデータを取り出し危険度を計算する • 表示作成システム – 計算サーバから結果を受け取り、グラフや見やすい表に加工 し、メールで通知したりWebサイトへ掲載する 0 石黒氏作成のSCSI2004発表スライドより T ue M ay 20 12:00:00 2003 W ed M ay 14 12:00:00 2003 T hu M ay 8 12:00:00 2003 FriM ay 2 12:00:00 2003 推定時刻 S un Jun 1 12:00:00 2003 M on M ay 26 12:00:00 2003 30 S at A pr 26 12:00:00 2003 S un A pr 20 12:00:00 2003 M on A pr 14 12:00:00 2003 T ue A pr 8 12:00:00 2003 W ed A pr 2 12:00:00 2003 T hu M ar 27 12:00:00 2003 FriM ar 21 12:00:00 2003 S at M ar 15 12:00:00 2003 S un M ar 9 12:00:00 2003 M on M ar 3 12:00:00 2003 T ue Feb 25 12:00:00 2003 W ed Feb 19 12:00:00 2003 T hu Feb 13 12:00:00 2003 FriFeb 7 12:00:00 2003 S at Feb 1 12:00:00 2003 S un Jan 26 12:00:00 2003 M on Jan 20 12:00:00 2003 T ue Jan 14 12:00:00 2003 W ed Jan 8 12:00:00 2003 T hu Jan 2 12:00:00 2003 ベイズ推定による攻撃検知手法 事前確率 尤度関数 60 頻度 50 確信度更新区間(T ) 10 局所標準偏差(σr) 事後確率 証拠 40 トレンドから の差(r) 20 トレンド r: ポートスキャン頻度の トレンドからの差(観測) ゆうど 尤度関数 石黒氏によるROC曲線評価実験結果より 評価実験 • 期間 2003/1/1 ~ 2003/12/1 グラフID ベイズ更 新偏差係 T 301B 5k0.5 T 100B 5k0.5 T 100B 3k0.5 0.5 0.5 0.5 ベイズ更 新区間 ト レンド区 間 5 5 3 301 100 100 A z値 0.95 0.79 0.8 • ポート25 (smtp) ※変化がダイナミックだっ たため対象にしてみた • サイト数 1 ※先行してセンサー単独で動 かしていた • ベイズ推定の結果に対し正しい(真陽 性率)と誤り(偽陽性率)のROC (receiver operating characteristic)曲線を作成 • 同じデータで「ベイズ更新区間」「トレン ド区間」のパラメータを変化をさせてみた • y=xよりもROC曲線は上方であるので、 有効に危険状態を判別できている 真 陽 • トレンド区間が大きいほうが精度が出る 性 率 • 同じトレンド区間なら更新区間が小さい ほうが精度が出る • 良いパラメータの選び方は職人芸の世 界だった!? 偽陽性率 ケーススタディ(1/2):Doomjuice まったく新しい攻撃が発生した場合 Graph of Bayesian Estimation Curve 0.9 0.8 0.7 Level 2 0.6 0.5 Level 3 0.4 appeared 0.3 0.2 0.1 Time Zone is JST 12 20 04 Fe b Th u 11 Fe b W ed Fe b 10 20 04 20 04 20 04 9 Tu e Fe b on M Fe b Su n eb Sa tF 8 7 20 04 20 04 20 04 6 Fr iF eb 5 Fe b Th u Fe b 4 20 04 20 04 20 04 W ed Fe b Tu e Fe b 2 3 20 04 20 04 0 on • Port 3128 Level 1 1 • Port 1080 1 M • Port 3127 Fe b • 2004/2/7 (昼ごろ)レベル 3に見たことのないポー トへのアクセス増加を認 知 2004/2/7 (午後4時) IWR 研究者間メーリングリス トへMydoomバックドア 狙いのポートスキャンが 増えていることを報告 2004/2/9(日本時間)ウィル スベンダによるアナウン ス 2004/2/10 (日本時間)メディ アによるアナウンス 2004/2/11 @policeによ る注意喚起掲示 Su n • Detected activity of “Doomjuice” ケーススタディ(2/2):SSL BOMB たぶん来るだろうと待ち構えていた場合 40 パ ケ ッ ト カ ウ ン ト 数 1.0 Level 3 warning 35 Count 30 Bayes 25 0.75 Netcraft 20 0.5 MS04-011 15 10 0.25 • SSL BOMB --- MS-IISへのDoSアタック – 2004/4/13 MS04-011でTCP/SSLの脆弱性を公表 – 2004/4/19 Netcraftがexploitコードが公表されていると警告 – 2004/4/24 IWRでlevel 3にリストアップされる • 予想通りの攻撃をセンサーが捕らえた 5/7 5/6 5/5 5/4 5/3 5/2 5/1 4/30 4/29 4/28 4/27 4/26 4/25 4/24 4/23 4/22 4/21 4/20 4/19 4/18 4/17 4/16 4/15 4/14 4/13 4/12 4/11 4/10 4/9 0 4/8 5 0 ベ イ ズ 値 状況通知(1/2) 詳しくはhttp://www.clscan.orgにアクセス • Web Brower from PC/PDA – www.clscan.org • I-mode (NTT DoCoMo) – www.clscan.org/iwr/i.html • Ezweb (KDDI) – www.clscan.org/iwr/ez.hdml 携帯電話の 画面イメージ 2004/2/19 19:31 IWR: L P B C 1 80 0.88 117 1 135 0.84 287 2 901 0.69 9 2 443 0.50 2 3 1080 0.50 128 3 3128 0.49 130 3 12345 0.45 4 3 3127 0.42 209 • ほとんど場合、携帯電話からのチェックで十分 • レベル1発生時に携帯へメール通知する機能は“ウザイ”ので中止 状況通知(2/2) GNOME2.6ベース なので注意! • Facial indicator – GNOME アプレットを開発 • デスクトップ上から常時モニタ ● – Webサイト上のアイコン • パソコン上から • 携帯電話から Smiley 画像ベース 文字ベース Uneasy Distress Panic 研究プラットフォームとして • データベースに格納されている大量のログから 色々な分析をしてみる – ネットワーク上でのウイルス感染パターンの視覚化 時間があれば デモするよ! – www.sco.comへのDoSアタックの痕跡をみつけること もできた @police の 元ネタ オンゴーイングな研究及び開発 • • • • • • • 大学を 中心にした 取組み 新しいデータマイニング手法 分散推論エンジン 専用ハードウェアを必要としないセンサーボックス 計測網の拡大と安定運用に向けての地道な取り組み 分析方法の高度化と表現法方法の高度化 IDMEFサポートとデータ交換 新しいアプローチによる新型センサ、 データ収集、分析 法 • 突発的な異変を感知するSPIKE FINDER • ディスクトップ・フェイス・インディケータ 色の違いは実施グループの違い まとめ • インターネット早期広域攻撃警戒システムWCLSCANの 開発と運用を行っている • 精度の良いベイズ推定による危険度を計算し、その結 果を一般に公開しており、その情報はパソコンからだけ ではなく携帯電話からも確認できる • 評価実験により有効であることが確認され、ケーススタ ディ紹介のように現実に役に立っており、また得られた 知見も外部へ提供している • 現システムの拡大・拡張だけではなく、先端的研究プ ラットフォームとしても位置づけられ、さらに進んだ研究 開発に着手 • さらに安定し充実したシステムにするために奮闘中!!
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