Ph+ALL12プロトコール

2013年9月30日
河崎裕英、加藤啓輔
加藤格、児玉祐一
佐藤篤、嶋田博之
松本公一、真部淳
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
Ph+ALL診断確定した段階でALL-B12の中止届を提出しPh13登録を行う
T-ALL・ダウン症例は適格外症例
TKI変更・移植適応はIg/TCR MRDで決定する
初診時の検体でIg/TCR MRDのプライマーを設定できない場合には
イマチニブ群とする
Major BCR-ABL陽性の症例は、day15 (好中球が消失する前)までに
末梢血好中球BCR-ABL(FISH法)を提出する
基本骨格はBFM2000 HRアームである。同骨格をベースとしているB12 HR
アームAと似ているが、Ph13は
L-ASPは強化しない
THP-ADRではなくDOXを使用
HRブロックでGCSFの使用を推奨する
ⅢのDEX(10歳以上)は中抜きにしない
移植前には正当な理由があればHyper CVADを1回だけ挟んでも良い
移植後には規定に従いダサチニブを投与する
頭蓋照射は2歳以上のCNS3の症例にのみ行う
①
②
③
先行する欧米のPh+ALL研究(Amended EsPhALL、COGEsPhALL joint プロトコールCA180372)・将来の国際共同研
究と比較可能にする
基本骨格はBFM2000 HRアームを採用する
B12 HRアームAと同様に、Ⅲ 3回のアームを採用することで
臨床での混乱を最小限にする
【BFM2000 HRアーム】


ALL-B12症例登後、real-time PCRにてPh+ALLの診
断が確定した症例において、本試験の適格性を満たした
場合に行う。
Ph+ALL診断が確定した段階で、ALL-B12の事後不適
格例となるため、速やかにALL-B12の中止届を提出する。
変わるのはここのみ
T-ALLは対象外
 ダウン症例は対象外 (B12では適格症例)
(Ph04 登録ではいずれも 0症例)
 EsPhALLとCOGの共同研究であるCA180372
でもダウン症は対象外



B12ではBMA4でのIB後に完全寛解の定義を満たさ
ない寛解導入不能例は試験中止となる
Ph13では国際共同研究と比較可能にするためHR1
終了後のBMA7(TP5)までに寛解に至らなかった場
合(Resistant)を試験中止とする
【B12 HR】
寛解導入不能例
試験中止
【 Ph13 】
IA
MRD陽性
ダサチニブ
移植あり群 hyper CVADへ
寛解消失/再発
IB
H
R
3
H
R
2
H
R
1
CRT 18Gy( CNS3のみ)
III
IM
III
TKI
Day 15~
寛解導入不能例
(Resisitance)
試験中止
IM
III
maintenance


B12では治療中再発例は試験中止となる
Ph13ではイマチニブ群の寛解消失/再発例は
試験中止ではなく、ダサチニブ群へ
再発例
試験中止
【B12 HR】
【 Ph13 】
IA
MRD陽性
ダサチニブ
移植あり群 hyper CVADへ
寛解消失/再発
IB
H
R
3
H
R
2
H
R
1
TP5以降のイマチニブ群の
寛解消失/再発例は
試験中止ではなく、
ダサチニブ移植群へ
CRT 18Gy( CNS3のみ)
III
IM
III
TKI
Day 15~
5
IM
III
maintenance

MRDは、Ig/TCR PCRに加え同時に、キメラ遺伝子、FCMを用いて、
TP1~TP6(移植あり群はTP7)に測定するが、TKIの変更およびallo-SCTの
適応はIg/TCR PCR MRDを基準に決定する。
(参考) ALL T-11 0.4.1(P. 3)
MRD 測定不能例は、MRD < 10-3 として扱う。


Major BCR-ABL陽性の症例は、好中球が消失しない間に速やかに、
day15までに末梢血好中球BCR-ABL(FISH法)を提出する。
末梢血好中球BCR-ABLが陽性の場合はCMLの急性転化発症の可能性を否定
できないが、本試験ではPh+ALLと診断して適格症例として、解析対象とする。

Ph+ALLのkey drugはTKIであり欧米プロトコールとの比較を主眼
とするため、B12同様の改変は行わず、可能な限りBFMオリジナル
構造に合わせる。
Amended
EsPhALL
Poor risk
Good risk
On study pts.
63
39
EsPhALL
Good risk
Poor risk
90
70
62
32
Chemotherapy only
42
20
6 (9.7%)
Deaths CCR(%)
4 (9.5%)
11
21
3 (9.4%)
2 (10.0%)
40
SCT in CR1
2 (18.2%)
1 (5.8%)
128
21
19
9 (22.5%)
59
69
11 (8.6%)
Deaths CCR(%)
3(14.3%)
6(31.6%)
5 (7.2%)
6 (10.2%)
Stopping rules were not met (with
alarm level=7%, stop at 10 deaths
Good risk
chemo
SCT CR1
Poor risk
chemo
SCT CR1
Overall
chemo
SCT CR1
Amended
EsPhALL
102 Pts.
Pts. in CR1
42
21
17
19
59
40
99 ( 97.1%)
Relapse (deaths)
2(0)
1(1)
2(0)
5(2)
4(0)
6(3)
10 (9.8%)
BM
1
0
1
2
2
2
4
1
0
0
2
1
2
3
CNS
0
1
1
1
1
2
3
Deaths in CCR
4
3
2
6
6
9
15( 14.7%)
sepsis
3
0
1
0
4
0
4
pneumonia
0
0
1
0
1
0
1
other
1
0
0
0
1
0
1
SCT-related
-
3
-
6
-
9
9
36
17
13
8
49
25
74(72.5%)
BM+CNS.
Alive in CCR
・HRブロックを規定通り行うために、G-CSFの使用を推奨する。
G-CSFはHR1開始後7~11日目のいずれかで開始し、WBCが
3,000/μLを超えるまで継続する。
・強い骨髄抑制が予想される時期には入院管理を推奨する
G-CSF
G-CSF
G-CSF
TP2までに報告の予定。
芽球%がプライマー作成に必要のため、初診時レポートを
期日内( Ph13登録後2週間以内)に提出すること。
FCM-MRD検査施設(成育または三重大)に連絡する。
一度提出したFCM-MRD依頼は取り下げない。
細胞数が足りる場合には、再発時用の「細胞表面マーカー
検査依頼書」をファックスする。足りない場合には、骨髄を取り
直し、検体に再発時依頼書を添付して送付する。
FCM-MRD提出前に、末血芽球などで再発と診断された場
合には、再発時の細胞表面マーカー検査のみとする。
再発が疑われる場合、FCM-MRD検査と再発時マーカー検
査を一緒に送付するかどうかは担当医判断に委ねる。




イマチニブ群におけるTP5でのMRD陽性・寛解消失・再発の症例は、
直ちにイマチニブをダサチニブに変更し、再寛解導入療法(III)が開始さ
れていればday14で終了し、開始基準を満たした後に全症例ダサチニブ
併用hyperCVADを施行する。
イマチニブ群で化学療法を継続した群も、再寛解導入療法(III)以降で再
発・寛解消失した例はダサチニブ移植あり群へ移行するが、その際にも
ダサチニブ併用hyperCVADを施行した後にallo-SCTを行う。
ダサチニブ群でもドナー準備で時間がかかるなど正当な理由がある場合
には、ダサチニブ併用hyper CVADを施行した後にallo-SCTを行っても
よい。MRD陽性判明までに、ダサチニブ併用再寛解導入療法(III)を開始
していた場合にはday14で終了し、開始基準を満たした後にダサチニブ
併用hyper CVADを施行する。
ダサチニブ併用hyper CVADを開始後、hyper CVAD中にallo-SCTの
準備が整ったとしても第2相までhyper CVADを完遂する。ダサチニブ併
用hyper CVAD終了後、allo-SCTまで一定の間隔が空く場合もhyper
CVADをもう1回繰り返さず、移植前処置開始前々日までダサチニブの
投与のみ継続する。
第1相のDEXは静注のみ。静注量は20mg/m2であり、
0.825をかけて19.1mg/m2としない。
第2相のMTX 1g/m2(24時間)は、MTX5g/m2 と
同様に、10%を0.5時間で投与する。オリジナルは20%
を2時間投与。
第2相のMTX 1g/m2(24時間)のLVレスキューは、
MTX5g/m2 と同様に、42、48、54hrに行い、安全域
まで低下した場合には3回でレスキューを終了する。オリジ
ナルは36時間から8回レスキュー。
寛解消失/再発
ダサチニブ
移植あり群 hyper CVADへ
寛解消失/再発
MRD陽性
イマチニブ群
H
R
3
H
R
2
H
R
1
CRT 18Gy( CNS3のみ)
MRD
陰性
III
IM
III
IM
III
イマチニブ
寛解消失/再発
イマチニブ不耐容症例
ダサチニブ
ダサチニブ
移植なし群
H
R
3
H
R
2
H
R
1
MRD
陰性
III
MRD陽性
ダサチニブ
移植あり群
寛解到達不能例
(Resistant)
試験中止
(hyperCVAD移植前)
hyper
CVAD
5’
allo
SCT
maintenance

移植後day30にMRDを提出後(TP6)、血球回復(白血球
>1500/μL, 好中球>500/μL, 血小板>5万/μL)が15日以
上継続すればダサチニブの内服を再開し、 移植後day365ま
で継続する。

ダサチニブは48mg/㎡から開始し、問題なく内服可能であれ
ば内服再開後1か月以内に60mg/㎡にdose upさせる。

・60mg/㎡に増量約1~2週間後(TP6’)のダサチニブ血中濃
度解析(中央検査)を忘れないように。60mg/㎡に増量できな
い場合には、投与量を定めてから提出する



移植なし群のCNS1またはCNS2の症例においてはCRTを撤廃し、髄注を維持療
法期間に6回加え、さらにCNS2においては寛解導入療法で2回を追加することか
ら、それぞれ計20回、22回にすることで中枢神経再発は予防可能と判断した。
2歳未満のCNS3に関しては、先行する欧米のPh+ALL研究(Amended
EsPhALL、COG-EsPhALL joint プロトコールCA180372)で放射線晩期合併
症の高リスク群である低年齢でのCRTを撤廃していることから、髄注の回数を
Amended EsPhALLの2歳未満のCNS3症例(CRTなし)で採用している計25回
まで増量することでCRT撤廃が可能であると判断した。
2歳以上のCNS3においてCRTを廃止することは時期尚早と判断し移植なし群で
は18GyのCRTを加えることとした。