PowerPoint プレゼンテーション

知床の海域管理:
世界遺産への新たな課題
G
シ
カ
W
G
、
海
域
W
205/6/27
知
床
世
界
遺
産
科
学
委
員
(
横
浜
国
大
・
環
境
情
報
)
松
田
裕
之
1
知床世界遺産候補地の特徴
• 北半球最南端の季節海氷域がもたらす生
産力と多様性豊かな海洋生態系(浮遊植
物のbloom、サケマス類、スケトウダラ)
• 原生的な森林(ハルニレ、ヒグマ、猛禽)
• 北方・南方系の生物相の共存
• それらを結ぶ多くの急峻な44河川
• 東西で気候の異なる複雑な地形
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2
海と森との相互作用によって維持
されている特異な自然環境
205/6/27
3
陸域植物相の特徴
1. 海岸から1,250~1,660mの標高範囲に、山地
帯・冷温帯性~高山帯・寒帯性の様々な植
生が垂直的に分布する
2. 海岸に高山帯・寒帯性~亜高山帯・亜寒帯
性の植物群落が成立する
3. 森林限界以下にも硫気孔原など多様な植生
がみられる
4. 標高約1,100mで森林限界となり、それ以上
の標高域では高山帯が成立し、ハイマツ低
木林と多様な高山植物群落がみられる
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4
http://www.sizenken.biodic.go.jp/park/higashihokkaido/topics/8/
科学委員会の構成
2004.1.16管理計画策定後の2004.7.16に召集
•
•
•
•
•
•
•
•
•
植物:石川幸男、工藤岳、
森林生態:石城謙吉、五十嵐恒夫、
哺乳類:大泰司紀之、梶光一
鳥類:中川元
魚類:小宮山英重
砂防・河川生態:中村太士
海洋生態:桜井泰憲、佐野満廣、小林万里
沿岸海洋学:服部寛
その他:松田裕之、金子正美、高橋英樹
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5
科学委員会を巡る組織構成
合同事務局
環境省・林野庁・水産庁・
北海道(林務・水産・環境)
知床財団
羅臼漁協
科学委員会(石城委員長)*
シカWG(梶座長)*
斜里第一漁協
斜里漁協
海域WG(桜井座長)*
釧路水試など
河川工作物WG(未招集)
IUCN/SSC鮭
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北水研
6
横浜国大21世紀COE生態リスク拠点
生態リスクマネジメント手続きの基本形(案)
社会的合意形成
科学的手続き
社会的要請・科学的問題提起
守るべき対象の科学的整理
利害関係者と管理範囲の列挙
定量的評価指標の列挙
協議会・科学委員会などの設置
影響因子の分析・モデル構築
放置した場合のリスク評価
マネジメントの必要性と目的の合意
リスクマネジメント計画の合意
数値目標の決定
ば合
再意
設で
定き
ね
数値目標の仮設定
モニタリング項目の決定
制御可能項目・手法の選定
マネジメントの実施とモニタリング
計画の見直し
205/6/27
い実
と現
再性
設が
定低
目標達成の実現性の評価
目的・目標の達成度の評価
7
環境影響評価法,自然再生推進法,枠組み条約方式と対応
世界遺産登録までの迷走
• 04年1月 知床遺産管理計画公表
– 漁業者に新たな規制は求めないと公約
•
•
•
•
•
•
•
04年8月 IUCN dam、海域など秘?書簡
11月 科学委助言を無視して政府回答
05年2月 IUCNが再書簡「海域拡大を」
3月 科学委助言 規制なき保護強化
3月 羅臼漁協 スケトウダラ自主規制強化
5月 IUCN世界遺産登録申請
6月 読売がIUCN関係者への非公式取材を報道
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8
愛知万博の迷走
•
•
•
•
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•
•
1997年頃、通産が分散開催検討と朝日報道
1999年5月 オオタカ、海上の森に営巣
8月 跡地利用計画、無修正で評価書提出
2000年1月13日 環境影響評価書を非却下
1月14日 中日新聞 BIEの万博批判厳秘録報道
2月11日 万博協会、BIE説得にパリで失敗
3月30日 跡地利用計画取下げ合意
7月 検討会議青少年公園主会場で合意
12月 愛知万博登録
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9
205/6/27
10
IUCNの書簡
8.20(9.19報道)
• 推薦海域内の保護レベルを高めること
• 推薦地と周辺の海洋保護区設定の調査
• サケへのdamによる影響調査を急ぐこ
と(撤去を含む)全damに魚道設置
• エコツーリズムに関する戦略を早急に開発
• 管理のためのbenchmarkの開発
– IUCNは2005年2月までに報告書を提出予定
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11
http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2004/041014Shiretoko.html
科学委員会座長助言
2004年10月14日
• ダムの問題:魚道設置以外の選択肢の抜本的
な検討が不可欠
• 漁業規制<持続的漁業の為の海洋保護区の検
討、水産庁の関与、海域WG設置
– IUCN意見が報道まで伝えられなかった
– 助言案が政府見解に反映されなかった
– メールでの活発な議論
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http://www.env.go.jp/nature/isan/shiretoko/iucn_letter/letter_rej.pdf
政府回答2004.11.5
•
•
置D
A
M
は
必
要
、
魚
道
設
205/6/27
ス
ケ
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ウ
規
制
不
要
13
IUCN再書簡
2005.2.2
• 海域管理計画の作成を促進させ、海洋性
の種の保護を確実にするため、この計画
の中の規定を強化すること。
• 推薦地の海域部分を十分に拡張すること
– 松田「かなりあからさまな要求」
– 環境省「予想外」(新聞報道)
– 海域WG開催。漁協交えて2.26釧路、3.7夜札
幌で開催
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14
http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2005/050314Shiretoko.html
科学委員会・海域WGの課題と解
•
政府は漁協に新たな規制なしと
公約(後日、高橋道知事が公文書
にて確認)
• IUCNは保護レベル強化を求める
→漁協の自主規制強化しかない
• 3年後に海域管理計画(1年後に
素案)
• 登録海域を1kmから大陸棚がほ
ぼ含まれる範囲まで拡大
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15
読売新聞より
世界遺産総研古田陽久氏の意見
http://www.dango.ne.jp/sri/yell_to_shiretoko2.htm
• 2005・2・24付 2004年12月13日~17日に開催さ
れたIUCNの評価委員会での検討の結果、 (登
録推薦、非推薦でもない)照会することが必要な
物件になると推測
• 海洋保護区の法的担保が回答に必要
• 「紹介」なら小笠原・琉球諸島にも影響
• 日本漁業に世界の海洋保護世論は無視できぬ
• 海洋保護の法=豪州、NZ、カナダ、米国にある
205/6/27
16
け漁 と い 遠 あ
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205/6/27
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漁
業
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北
海の
道理
新
聞解
17
IUCN「登録の可否について」
環境省5.31記者発表
勧 告
内容
○
登録可否に関する勧告の種類
「登録」(inscribe)
「登録不可」(not to inscribe)
「再照会」(referral)または
「延期」(deferral) ※
※「再照会」または「延期」とされた推薦案件は、今次委員会では世界
遺産としては登録されず、次回以降の委員会で再審査もしくは再評価
が必要となる。
205/6/27
18
問題山積
の遺産登
録
• ダム問題、観光客問題
• 3年後の海域管理計画策定を急ぐこと
• その中で海域保全の強化方策と海域部
分の拡張の可能性を明らかにすること。
• 2年後に調査団を迎えること
• 石城座長「重く、具体的な課題」
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あるIUCN事情通の意見
• IUCNは、登録後の措置として、海域管理
計画の早期策定や評価調査団の招致を
求めている
• 再評価調査団の招致を求めるのは異例
• 少なくとも登録後3年ほどはIUCNの監視
の下に置かれるということでしょう。
205/6/27
20
http://hokkaido.yomiuri.co.jp/shiretoko/shiretoko_article/20050604_article.htm
北方領土含む保護区も IUCN評価書
国境問題解決後に
【ジュネーブ=山口香子】 世界自然遺産登録が確
実となった北海道・知床について、審査機関の
「国際自然保護連合(IUCN)」が評価書で「知床
と北方領土は、将来的に“国境”をまたいだ保護
区になる可能性がある」との見解を示していたこ
とが、4日明らかになった。評価書の作成にあ
たったIUCNのデビッド・シェパード保護地域事
業部長が、読売新聞のインタビューに答えた。
• 評価書では、ロシアと日本の研究者の間で生
態系の調査を行う「ビザなし専門家交流」が行わ
れてきたことも紹介した。
205/6/27
シェパード部長
21
http://hokkaido.yomiuri.co.jp/shiretoko/rensai/sekai_20050602.htm
海域保全強まる要求 漁業者
「これ以上何を…」
•
•
「こうなることを心配していたんだ……」
北海道・知床の世界自然遺産登録が、
確実となった31日午後。たまたま読売新
聞北海道支社を訪れた羅臼町の脇紀美
夫町長は、出来上がったばかりの夕刊を
手に取り、読み進むうちに絶句した。
• 「知床が遺産に登録されると、漁業規制
がどんどん膨れあがるのではないかという
羅臼の漁民の心配が、現実となった」。登
録確実を伝える新聞を手にしたときの喜び
の表情は、脇町長から消えていた。
205/6/27
22
再び読売新聞の知床での迷惑な記事
(2005.6.15)
■ IUCN評価書研究員知床視察 ダムが産卵環境
破壊 河川保護へ「モデル地区指定を」
北海道・知床の世界自然遺産を審査した「国際自然
保護連合(IUCN)」の評価書で、ダム問題を担当
したブライアン・カウエット研究員(28)が14日、
知床の河川やダムを視察。「知床が日本の河川
環境の保全の手本となってほしい」と訴えた。
IUCNの評価書は、20人の各分野の専門家や団
体からのリポートを基に作成した。カウエット氏は、
民間研究機関「ワイルド・サーモン・センター」(米
国・ポートランド)に勤務。日本留学の経験があり、斜里町岩尾別川支流のダム
の魚道を調べるカウエット研
日本の河川事情にも詳しい。
究員
205/6/27
公式見解でないとすれば、無視してよい(松田の
公開書簡http://d.hatena.ne.jp/hymatsuda/20050616)
23
順応的管理の計画と評価
:実物オプション分析の適用
牧野光琢(中央水研・)
http://risk.kan.ynu.ac.jp/makino/
205/6/27
24
牧野光琢
日本の漁業制度の特徴
・日本の制度には「資源利用者による資源の保護・培養」という
理念があり、資源管理の主体は資源利用者(地元の漁業者)で
ある
・明治維新の際、欧米型制度を導入したが失敗し、日本型の理
念に回帰した
・現行制度においてもこの理念は受継がれ、特に漁民による自
主協定を通じた資源管理は、今後その活用が期待される
・一方で欧米型制度は、公共信託法理に基づく「政府による資
源管理と市民一般による資源利用」という、管理と利用の二元
的制度であり、日本とは著しく異なる
205/6/27
25
牧野光琢
3.2.京都府の事例のモデル化
• カニ資源を回復させるため、2種類の施策
を実施する
205/6/27
26
牧野光琢
モデルの説明①:2種類の資源管理策
1)保護区の設置(X):不可逆・公共事業
交尾や産卵など、資源の増加に重要な海
域を禁漁とする。コンクリートブロックを投
入。公費により建設
2)操業の自粛協定(R):可逆・自主協定
混獲を防ぐため、操業区域や漁期を自主
的に規制する。
205/6/27
27
牧野光琢より
海洋保護区(MPA) の設置
Marine Protected Area
(Sited from Kyoto Institute of Oceanic and Fishery Science HP)
205/6/27
28
牧野光琢
混獲の様子
(Sited from Kyoto Institute of Oceanic and Fishery Science HP)
205/6/27
29
10000 yen
推定漁業利潤の経年変化
牧野光琢
資源管理の開始
205/6/27
Fiscal year
30
牧野光琢
各意思決定時点での選択肢
2つの選択肢
3つの選択肢
2つの選択肢
2つの選択肢
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31
牧野光琢
京都府で顕示された順応的資源管理過程
フェーズ1でXを小規模試行、
5years
5years
フェーズ2でRを試行、それら
Phase1
Phase2
の効果を確認した上で、フェー
ズ3で本格実施、フェーズ4で
その効果を享受。
120
100
80
5years
5years
Phase3
Phase4
60
R: Voluntary Restraint(%)
40
20
99
97
95
93
91
89
87
85
83
81
79
77
75
73
71
67
0
69
X: MPA
Construction (km2)
年度
図2 京都府沖合海域における各施策の経年変化
205/6/27
32
牧野光琢
順応的管理は失敗を未然に防ぐ
Inflexible Management
F1
(1+ v *(mα+nβ))*F21
(1+ v *(mα+nβ))*F22
(1+ v *(mα+nβ))*F31
(1+ v *(mα+nβ))*F32
(1+ v *(mα+nβ))*F33
(1+ w *(mα+nβ))*F21
(1+ w *(mα+nβ))*F22
(1+ w *(mα+nβ))*F31
(1+ w *(mα+nβ))*F32
(1+ w *(mα+nβ))*F33
(1+ v *(mα-n δ))*F21
(1+ v *(mα-n δ))*F22
(1+ v *(mα-n δ))*F31
(1+ v *(mα-n δ))*F32
(1+ v *(mα-n δ))*F33
(1+ w *(mα-n δ))*F21
(1+ w *(mα-n δ))*F22
(1+ w *(mα-n δ))*F31
(1+ w *(mα-n δ))*F32
(1+ w *(mα-n δ))*F33
(1+v *(-mγ+ nβ))*F21
(1+v *(-mγ+ nβ))*F22
(1 + v * (-mγ+ nβ))*F31
(1 + v * (-mγ+ nβ))*F32
(1 + v * (-mγ+ nβ))*F33
(1+ w *(-mγ+ nβ))*F21
(1+ w *(-mγ+ nβ))*F22
(1 + w * (-mγ+ nβ))*F31
(1 + w * (-mγ+ nβ))*F32
(1 + w * (-mγ+ nβ))*F33
(1-v * (mγ-nδ))*F21
(1-v * (mγ-nδ))*F22
(1-v * (mγ+ nδ))*F31
(1-v * (mγ+ nδ))*F32
(1-v * (mγ+ nδ))*F33
(1-w * (mγ-nδ))*F21
(1-w * (mγ-nδ))*F22
(1-w * (mγ-nδ))*F31
(1-w * (mγ-nδ))*F32
(1-w * (mγ-nδ))*F33
205/6/27
Adaptive Management
(1+ v *(mα+nβ))*F41
(1+ v *(mα+nβ))*F42
(1+ v *(mα+nβ))*F43
(1+ v *(mα+nβ))*F44
(1+ w *(mα+nβ))*F41
(1+ w *(mα+nβ))*F42
(1+ w *(mα+nβ))*F43
(1+ w *(mα+nβ))*F44
(1+ v *(mα-n δ))*F41
(1+ v *(mα-n δ))*F42
(1+ v *(mα-n δ))*F43
(1+ v *(mα-n δ))*F44
(1+ w *(mα-n δ))*F41
(1+ w *(mα-n δ))*F42
(1+ w *(mα-n δ))*F43
(1+ w *(mα-n δ))*F44
(1 + v * (-mγ+ nβ))*F41
(1 + v * (-mγ+ nβ))*F42
(1 + v * (-mγ+ nβ))*F43
(1 + v * (-mγ+ nβ))*F44
(1 + w * (-mγ+ nβ))*F41
(1 + w * (-mγ+ nβ))*F42
(1 + w * (-mγ+ nβ))*F43
(1 + w * (-mγ+ nβ))*F44
(1-v * (mγ+ nδ))*F41
(1-v * (mγ+ nδ))*F42
(1-v * (mγ+ nδ))*F43
(1-v * (mγ+ nδ))*F44
(1-w * (mγ-nδ))*F41
(1-w * (mγ-nδ))*F42
(1-w * (mγ-nδ))*F43
(1-w * (mγ-nδ))*F44
p
1-p
0.912
0.088
SUCCESS:
TRY R, EXPAND X, or STOP ?
MAX[2089.03 , 2149.39-EX2, 1742.19]
= 2089.03 TRY R
MAX[1046.18 , 1098.98-EX2 , 890.75]
= 1046.18 TRY R
TRY X ?
MAX[2360.09-EX1 , 1931.46]
= 1932.89 TRY X
FAILURE: ABANDON the Project
1196.4
611.69
Phase 1
Phase 2
SUCCESS:
EXPAND X and R, or STOP ?
MAX[2315.59-EX3 , 1505.19]
= 1630.29 EXPAND
MAX[1184.31-EX3 , 769.59]
= 769.59
STOP
MAX[ 605.53-EX3 , 393.47]
= 393.47
STOP
3725.49
1904.81
973.91 X,R,
497.95
Great Success
2753.63
1407.91
719.85 X,R, Success
368.05
FAILURE:
EXPAND X, or STOP?
MAX[1254.67-EX3 , 1042.06]
= 1042.06 STOP
MAX[657.55-EX3 , 444.00]
= 444.00
STOP
MAX[336.20-EX3 , 227.01]
= 227.01
STOP
1943.74
993.82
508.13 Only X,
259.80
Great Success
1565.79
800.57
409.33 Only X, Success
209.28
947.52
397.09
247.7
566.92
289.86
148.20 FAILURE
75.78 in Phase 1
Phase 3
Phase 4
順応的管理により
回避しうる部分
33
牧野光琢
順応的管理による損失リスク回避
順応的管理により、漁業利潤
が0以下になるリスクが15.4%
削減された
京都府全体で、最低でも1億
以上の価値が生み出された。
1.2
硬直的戦略
1
0.8
0.6
0.4
順応的管理
0.2
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
-500
-1000
0
漁業利潤の累積確率
205/6/27
34
牧野光琢
現行漁業制度の理念
漁民らにより構成される漁業調整委員会に広範な
権限を認めることにより、漁業権の私的財産権的性
格を制限し、同時に、関係漁民の総意による漁場
計画と委員会指示を通じて水面の総合的利用を実
現することにより、漁業の持続的生産を達成する。
「資源利用者による資源の保護・培養」
という理念は受継がれている
205/6/27
35
牧野光琢
では、資源管理は誰がどのように行っていくのか?
⇒公共信託法理(Public Trust Doctrine)
「自然資源から得られるある種の利益は市民にとって非常に重要である。
よって政府は、公共の使用の為にそれらの自然資源から私的占有を排除
し、健全な状態に保持する義務を有する」
漁業資源の管理は政府の「義務」である
欧米型資源管理制度であるTAC・ITQ(譲渡可能個別割当量)方式では、
政府が資源動態モデル等に基づいてTACをトップダウン式に設定するが
、その利用・配分は自由な市場原理 →構造的欠陥
<日米資源管理制度の比較>
日本型制度は資源の利用・管理に関する意思決定の権限が各地域漁民
の共同体に一元的に委ねられている。一方で米国型は、政府による資源管
理と市民一般による資源利用という二元的制度である。
205/6/27
36
牧野光琢
日本型の資源管理制度の構造的欠陥
1. 米国より科学的・定量的な管理概念が米国より希薄であり、
特に商品価値の高い魚種を対象としたものが中心である。よっ
て沿岸生態系全体に漁業が及ぼす影響を考慮した資源管理
が成り立ちにくい。
2. 資源管理が各漁業種類、漁協、又は地方行政を単位として
行われていることが多い。
3.
同様に、資源培養の為の放流事業に於いても、対象魚種
の回遊メカニズムを考慮に入れた広域の協力体制がとられて
いない。
205/6/27
37
牧野光琢
日本の資源管理の特徴
日本の制度の下で、実際に資源管理型漁業が成功
しているとされる事例では、科学的知見が積極的に
活用されているという特徴がある。ただし米国との重
要な相違点は、そこでは米国の様に科学的知見(
TACの設定)を漁業者らに対する規制行政に適用す
るのではなく、科学的知見を漁民が自主協定の中で
活かしているという特徴である。
その具体例が京都府沖合海域
205/6/27
38
http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2004/Shiretoko.html#1104
松田の2004.11.4書簡
• 海洋保護区(MPA)という言葉を使っていないのは大問
題・・・漁業活動を管理する新たな取り組みを決め、モニ
タリング項目も専門家(科学委員会と理解)の意見を求め
つつ策定・・・これは評価できます.
• 多利用型統合的海域管理計画の訳語が問題・・・「利用」
だけが前面に出て,protected areaとは理解されないでしょ
う.・・・MPAは明確な定義がない・・・あえて相手の助言
を否定する道を選びました.
• また自主管理をどう訳すかも問題・・・community-based
managementならよいが,voluntary regulationなどと訳すと,
評価されない = (voluntary tight restrictionsと回答)
Integrated marine management program for multiple utilization
“Multiple-use integrated marine management plan”
205/6/27
39
海洋保護区MPA ≠ 禁漁区No-take Zone
日本におけるMPAの種類
(Simard 1995、高橋紀夫2004)
• 国立公園普通地域、海中公園地区<自然
公園法
• 海中特別地区<自然環境保全法
• 保護水面<水産資源保護法
• UNESCOのMAB(Man and Biosphere Program)に
おける生物圏保護区(biosphere reserve)
205/6/27
40
まとめ
• 保護と持続的利用の両立を
– トド保護管理計画の策定を
– 海洋保護区の実験を(評価対象魚種は?)
– 漁業者と観光客とトドと羆と鹿の共存を
• 北方四島と総合した海域保護管理の実行
• 科学的合意形成(risk communication)の基
本形の定着を
– 科学委員会制度の定着を
205/6/27
41
謝辞
• 牧野光琢(中央水研水産経済部)
• 藤原千尋(知床財団)
• 加々美康彦(海洋政策研究財団)
高橋紀夫(2004)絶滅危惧種の保護対策「ワシントン条約附属書掲載基準
と水産資源の持続可能な利用」松田裕之・矢原徹一・石井信夫・金子
与止男編。自然資源保全協会,105-110
Simard F (1995) Northwest Pacific, in “Global Representative
System of Marine Protected Areas”,
http://www.deh.gov.au/coasts/mpa/nrsmpa/global/volume4/chapter1
6.html 2005年6月確認
藤原千尋(2005)「知床世界自然遺産候補地科学委員会と地域社会-研究者
と地域住民の対話の始まり」農業と経済 2005年6月号65-70
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• 世界自然遺産候補地科学委員会
• 科学委員等専門家
– エゾシカ対策WG
– 河川工作物WG
• 科学委員等専門家
– 海域WG
• 科学委員、水産試験場、漁
協*
連絡調整
情報交換
– 知床ガイド協議会、観光協会、
漁協、農協、運輸・交通機関、
関係行政機関
• 自動車利用適正化対策連絡協議
会
• 保護増殖事業(シマフクロウ、オオワシ・オシ
゙ロワシ)分科会」
情連
報絡
交調
換整
• 知床国立公園適正利用基本計画
検討会議
• エコツーリズム推進協議会
*は傍聴者
情連
報絡
交調
換整
• 「知床世界遺産候補地地域連絡会議」
– 環境省、北海道、北海道森林管理局、斜里町、羅臼町、NGO*、漁協*
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