ガイダンス

消費関数論争
経済学B
第7回
畑農鋭矢
1
2つの消費関数
• C:消費、Y:可処分所得、 0<a<1
• 消費関数の型
クズネッツ型 C=aY
(b=0)
ケインズ型 C=aY+b (b>0)
• 限界消費性向
Yを1円だけ増加したときCの増加は?⇒a円
• 平均消費性向=C/Y
クズネッツ型 C  a
⇒一定
Y
C
b
ケインズ型
⇒経済成長とともに低下
a
Y
Y
時系列と横断面の比較
300
国民経済計算1955~98年
250
一
人
あ 200
た
り
消 150
費
(
万 100
円
)
50
家計調査1997年
家計調査1997年
国民経済計算1955~98年
0
0
50
100
150
200
250
一人あたり可処分所得(万円)
300
消費関数の推定
消費関数 C=aY+b の回帰分析による推定
C:1人あたり消費、Y:1人あたり可処分所得
国民経済計算
家計調査
1955~98年
1997年
1990年
1980年
変数名
a
b
決定係数
係数
0.863
-3.254
0.993
(t値)
(76.11)
(1.71)
係数
0.564
26.378
(t値)
(35.74)
(9.68)
係数
0.621
18.847
(t値)
(30.66)
(6.36)
係数
0.632
14.127
(t値)
(49.81)
(11.37)
0.994
0.992
0.997
消費関数の謎
• クズネッツ型とケインズ型のどちらが正し
いのか?
• 何故、時系列と横断面で異なる傾向が観
察されるのか?
• 時系列と横断面の観察事実を整合的に
説明することはできるのか?
⇒新しい消費行動理論
謎を解く鍵
• 将来の予想が消費行動に影響しないか?
今年の所得 来年以降の所得
Aさん 1000万円 ずっと1000万円
Bさん 1000万円
0円
AさんとBさんの今年の消費行動は異なる。
• 所得の性質が重要ではないか?
常にもらえる所得か?
⇒恒常所得
今年偶然もらえた所得か?⇒一時所得
恒常所得仮説
• Y = YP + YT
所得 恒常所得 一時所得
[前提①]一時所得は「+」と「-」の繰り返し
⇒長期平均は0
• [前提②]消費は恒常所得のみに依存する。
C=kYP
• [前提③]金持ちほど一時所得が「+」
貧しいほど一時所得が「-」
平均消費性向
• 消費Cは恒常所得YPに反応する!
C=k YP =k (Y - YT) =k Y - k YT
• 横断面の平均消費性向
C
YT 金持ちはYTの割合が高い⇒C/Y低
 k k
Y
Y 貧しいとYTの割合が低い⇒C/Y高
ケインズ型と整合的
• 時系列の平均消費性向
C
長期ではYT=0だから、  k で一定。
Y
クズネッツ型と整合的
図による説明
クズネッツ型
消
費
C=kYP
C3
K3
A2
C2
C1
O
ケインズ型
A3
K1
A1
Y1 YP1
YP2= Y2
YP3 Y3
所得
新しい消費理論のポイント
• ①将来の予想
将来を見通した上で人々は消費行動を決
定する。
• ②恒常所得
消費行動にとって重要なのは恒常所得で
ある。
• ③経済政策
一時所得を変化させる政策は効果を持た
ず、恒常所得を変化させる政策が有効。