国際比較ゼミ 前期プレゼンテーション

国際比較ゼミ
前期プレゼンテーション
ー財政・国際比較ー
小野寺・鈴木・池原・斉藤・井口
プレゼンの目的
日本の財政赤字の問題点を
アメリカ・イタリアと比較、分析し
今後の日本財政のあり方を考察する。
プレゼンの流れ
日本財政の現状
財政赤字の増大
分権化の動き
アメリカ・イタリア 財政
アメリカ・イタリア 比較
税制・補助金・社会保障・格差
3国を同じ点から比較
結論
結論
日本の財政をアメリカ・イタリアと比較すると
日本の分権化の動きは将来的に財政再建に
貢献できると考えた。しかし、日本は分権化を
進めるにあたって、「国への依存の高さ」、「地
方自治に対する意識の低さ」が効率的な分権
化の阻害要因になっている。そのため、日本
は分権化を進めるとともにそれら阻害要因の
改革を同時に進めるべきである。
日本の財政の現状
財政赤字増大
分権化の動き
一般会計における 歳出歳入
兆円
100
90
80
70
40
一般会計歳出総額
一般会計税収
公債発行額
35
30
60
25
50
20
40
15
30
20
10
10
5
0
0
58 59 60 61 62 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
年度
出典:財務省 統計
日本 財政現状
歳出・歳入において大きなギャップ
(赤字分は公債発行で賄われている)
↓
財政赤字による財政圧迫
↓
財政再建の必要性
地方分権による効率化
公共財・サービスの利用者である住民に、より
近い立場にある地方公共団体によって行政
を行うことで、その地方事情にあったサービス
や公共財の提供が可能になる。
公共財・サービスの受益と負担の関係を、明確
化・情報開示することで、納税者の意識が高
まり行政監視機能が働き、効率性・利便性が
高まる。
具体的に
地方自治体による自主財源の強化
地方自治体による自主的な行政
政府間移転の減少
財政に関する情報開示
受益と負担の明確化
↓
地方による自助努力の強化
日本の財政改革
2000年 地方分権一括法施行
三位一体
地方の課税自主権の拡大
市町村の合併
三位一体改革
2006年までに
国庫支出金 3兆円程度の廃止・縮減
(2004年度は約1兆円の廃止・縮減)
地方への税源移譲 3兆円程度
(2004年度は4249億円の移譲)
地方交付税の改革
課税自主権の拡大
 法定外普通税+法廷外目的税の創設
法定外税を設置している地方団体は33団体
地方税収総額の0.12%
 税率決定権
税目によっては設定の範囲内で超過課税が行える。
2332の地方団体で実施
地方税収額の1.3%
市町村合併
 財政基盤の強化
 規模の経済性
↓
地方自治体の財政力の弱い日本には、
合併が必要
平成の大合併→期限内の合併によるメリット
市町村数の変化
(1999年)3229→(2005年)2834→(2006年)1822
アメリカの連邦制
連邦制について
アメリカでは連邦政府ができる前から
市町村や州があり、それぞれ人種や宗教の違 いから自立していた
国家を作るときに連邦制以外のシステムは
想定しづらかった
州の権限 日本の県とは比較できない強さである 財政面
• 日本との比較から・・・
日本では地方財政では国から地方への
財政移転が行われている
アメリカでは州政府の財政規制は保たれ
ており、財政赤字に陥っている州政府はほ
とんどない。
ほとんどの州が黒字財政
歳入
歳出
80000
70000
W yom ing
出典:2006 Statistical Abstract of the United States
W isconsin
W est V irginia
W ashington
V irginia
V em ont
U tah
Taxas
Tennessee
SouthD akota
South C arolina
R hode Island
Pennsylvania
O regon
O klahom a
O hio
N orth D akota
N orth C arolina
N ew Y ork
N ew m exico
N ew Jersey
N ew H am pshire
N evada
N ebraska
M ontana
M issoun
M ississippi
M innesota
M ichigan
M assachusetts
M aryland
M aine
Louisiana
K entucky
K ansas
Iow a
Indiana
Illinois
Idaho
H aw aii
G eorgia
Florida
D elaw are
C onnecticut
C olorado
C arifom ia
A rkansas
A rizone
A laska
A labam a
0
アメリカ各州の財政(2004年)
90000
地域格差の広がり
しかし、
各州に財政の権限委譲
60000
50000
40000
30000
20000
10000
3段階の政府の織り成す関係構造
連邦と50州、約4万の地方政府
•州間の行政組織は多様
知事の任期・権限・議会制度・税財政は異なる
•地方政府は同一州内においても政府形態は異なる
税の体系
連邦
州
地方
個人所得税・法人税
景気の影響大
消費税
固定資産税
安定的な地方財政
・クリントン政権(93年包括財政調整法)
歳出削減策→国防費・公的医療保険の支出削減
歳入増加策→高所得者・最高法人税率引き上げ、
ガソリン税引き上げ
・ITバブルの景気回復
↓
29年ぶりに財政黒字(2000年ピーク)
クリントン政権、ITバブルでアメリカの財政は2000年に復活
アメリカの財政収支推移
対GDP比
1
ITバブル
0
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
-1
暦年
-2
-3
-4
クリントン政権
テロによる国防費増加
-5
-6
-7
出典:財務省
イタリアの地方分権
94年から97年にかけて回復
94年→三カ年計画
97年→バッサーニ改革
地方分権
イタリアの財政収支
対GDP比
0
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
-2
バッサーニ改革
暦年
-4
-6
-8
三ヵ年計画
-10
-12
出典:財務省
94年 三カ年計画
道路・鉄道などの公共事業
費用便益分析により事前の評価を行う
費用便益分析
ある公共 投資は 今年中に C の 費用 、B の便 益があ るとする。
0
0
1 年後以降も 毎年費 用と便益 が発生
T年後にC tの費 用、
Btだけ の便益 があるとし T年後 まで使え るとする
*1年目の1円と2 年目 の1円は同じ 価値ではない
割 引 現在価値 で計る
割引率 をrとすると 、公 共投資 の純便 益の割 引現在 価値(PV)は
2
PV=(B -C )+B1-C1 /( 1+r)+B2 -C2 /(1+r) +・・・ +BT+CT /(1+r)
0
0
T
バッサー二改革
• 地方分権の推進 国と地方の役割分担の見直し
単年度会計制度の見直し
(限られた予算の中での内容改善)
情報公開
政策の優先順位の明確化
評価システムの導入 国と地方の役割の明確化
国
国際関係・外交
経済・通貨対策
国の組織
人同士の関係(移民)
国の安全保障
福祉国家
司法
地方
農業・林業
手工芸
商業
工業
観光業
道路整備
地方警察
教育援助
公共事業
「行政権限はコムーネ(村)に依存する」
イタリアはもともとの住民の意識が違う
地下経済
(税務当局に申告されない個人、法人の所得を
生み出している経済活動)
イタリアの公共投資の効率の悪さ・インフレ時の賃金上昇対策
官に対する民の不信
住民の財政参加の基盤確立
アメリカ・イタリアの財政収支
改革とともに大きく変化
日本・アメリカ・イタリアの財政収支推移
対GDP比
2
ITバブル
0
暦年
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
-2
クリントン政権
-4
バッサーニ改革
-6
-8
-10
-12
3ヵ年計画
2000年地方分権一括法(地方分権の始まり)
日 本
米 国
イタリア
出典:財務省「財政収支の国際比較」
歳出の国,地方の役割
アメリカ
イタリア
国
地方
国防・郵便・宇宙開発 社会福祉・ハイウェイ・
社会保障・天然資源 刑務所
国防・外交・司法・
・移民問題・社会保障
農業・林業・手工芸・
観光業・道路整備・公共事業
・教育援助・社会福祉・
生活保護
特徴
• 国防、社会保障は両国で国が実施
• 生活保護→イタリアは地方分権に委譲
• イタリアは地方活発につながるような歳出
(手工芸、観光)
地方分権の日伊比較
≪日本≫
半ば強制的な市町村合併
≪イタリア≫
連邦制的地方分権
日本とイタリアの地方分権は
どのように進められたのか
日本の地方分権の流れ
• 平成の大合併(2005年3月まで)
合併特例法の期限内に合併する
有利な地方債(合併特例債)を起債できる
・合併市町村の公共施設の整備などを賄うために起債
・元利償還金の70%が地方交付税で手当てされる
・合併後の維持管理費の負担が増える
結局は借金をすることになる
合併特例法の期限内に合併しない
地方交付税が削減され自治体の運営が厳しくなる
市町村合併の現状
実績 1999年4月 3,229 →2005年1月 2,834(△395)
今後の合併予定
2005年1月 2,834 →2006年3月 1,822(△1,012)
財政と分権の関係
地方政府の歳入歳出は継続的に増額
州政府や地方公共団体の財政的自主性高まる
経常費に占める独自歳入の割合
1990年~1999年
州→12%~48% 県→15%~56% コムーネ→35%~60%
イタリアでは全103の県
1992年→プラス8県
規模が小さいほど効率のいい財政
2005年→プラス4県
2009年→プラス3県(予定)
が分離
日本
イタリア
財政が困難な地方同士の
なかば強制的な合併
分離してでも合理的財政
イタリアは地方における中小企業・観光業が活発
=小さい規模でもやっていける能力がある
日本は産業のほとんどが都市に集中
日本・アメリカ・イタリアの
税制・補助金の比較
税金の目的
①財源の調達・・・民間部門から公共部門へ
の資源の移転
②所得の再分配・・・垂直的公平と水平的公
平を図る
③経済の安定化・・・景気の調節、雇用の創
出
アメリカの税制
連邦・州・地方の三つの
レベルから税金が課せられる
州ごとに税率・課税対象が異
なる
アメリカの連邦・州地方の主な税収
連邦→個人所得税
州→売上税
地方→財産税
アメリカの税収構成(州政府)
州政府の税収構成
法人所得税6.9%
その他6.5%
自動車免許税2.9%
小売売上税32.3%
個人所得税32.6%
個別間接税15.5%
自動車免許税
その他
財産税
小売売上税
個別間接税
個人所得税
総額4442億ドル
資料:アメリカ商務省センサス局 1997
アメリカの税収構成(地方政府)
地方政府の税収構成
法人所得税1.1%
個人所得税5.0%
自動車免許税0.4%
個別間接税4.9%
その他4.3%
小売売上税11%
財産税73.3%
個別所得税
法人所得税
自動車免許税
その他
財産税
小売売上税
個別間接税
個人所得税
総額2844億ドル
資料:アメリカ商務省センサス局 1997
イタリアの主な税収
国→法人所得税及び個人所得税
州→州事業税
イタリアの税収構成
イタリアの州の歳入割合(1991年)
その他の州固有収入7.8%
州直接税2.7%
移転収入83%
移転収入(用途指定なし)6.5%
州直接税
移転収入(用途特定なし)
移転収入(用途の特定なし)
その他の州固有収入
出典:国内経済総合レポート
補助金と問題点
地方が補助金に依存すると、
支出の削減を怠る
地方債の元利償還にまわしてし
まい行政サービスの低下を招く
日本の主な税収
国→所得税、法人税
地方→個人住民税、法人事
業税
アメリカの補助金の歴史
1972年 一般交付金の導入
財政格差を是正する機能がある
1986年
連邦政府の赤字の深刻化により、
歳出削減のために廃止。
自治体間の財政力均衡を果たす補
助金として評価。一方、連邦政府の
役割ではないとの声も・・・。
日本・アメリカの自主財源割合の比較
アメリカ
日本
国からの歳入
(地方交付金・
国庫支出金・地
方譲与税・地方
特例交付金)
36%
連邦補助金
17%
自主財源(税
金・地方債・そ
の他)
64%
自主財源(税
金・手数料・そ
の他)
83%
出典:総務省・地方財政の現状、米国統計局
アメリカの補助金
アメリカには、格差是正の目的
の補助金の交付はない
・医療、教育、高速道路などの
サービスに支給される
⇒政策費の改善や新しい政策へ
のアプローチが目的
アメリカの補助金の仕組み
補助プログラムに関するカタログの出版
↓
応募条件に沿って事業計画の提出
↓
連邦政府が精査
↓
拠出
補助金の拠出先
州、地方政府、非営利団体、企業、
個人、一部の連邦政府機関
・63%・・・個人
・州・地方政府の資本支出におけ
る補助金の割合・・・22%
イタリアの補助金
地方財政の状況・・・国からの移転が
多い(97年55%、98年33%)が、近年の
財政改革でその割合が低下している
国からの移転
州・・・国庫支出金、歳入の6割(97年)
県・・・国庫支出金、歳入の6割(97年)
市・・・国庫支出金、歳入の3.5割(97年)
イタリアの地方財政改革
改革の背景・・・70年代から90年代
前半にかけては国への依存大
↓
地方財政の効率化のインセンティヴ
が働かない
↓
お金を多く使い、多くもらおうとする
地方の国への依存の弊害
国から地方への医療費補助の見積
もりを現実より過少に見積もる
↓
州が医療サービス供給者への費用
負担の滞納をおこす
地方財政改革
98年、州生産活動税(IRAP)及び
所得税(IRPEF)の州付課税の導入
・2001年付加価値税(VAT)の一部
地方への配分
↓
国から普通州の交付金システムの
廃止
州生産活動税(IRAP)
州生産活動税・・・外形標準課税、労働コストに対して
の課税が行われる
医療費についての赤字が出た場合
↓
州はIRAPの税率を上げる州
↓
州が税率を上げなければ国が強制的に税率をあげる
イタリアの地方財政の推移
イタリアの94年~98年の地方財政
16
14
地方政府の歳入(GDP:%)
税収
国からの移転
イタリアの実質成長率
収支
12
10
8
6
4
2
0
94年
95年
96年
97年
98年
日本・アメリカ・イタリアの主な税目
国・連邦
州 地方
日本 所得税・法人税
個人住民税・法人事業税
アメリカ 個人所得税
売上税 財産税
イタリア 法人所得税・個人所得税 州事業税
日本・アメリカ・イタリアの主な税収から
アメリカ・・・アメリカの州は売り上げ税を中心にして、
ほとんどの州は歳出と歳入のバランスを保っている。
イタリア・・・イタリアの州は事業税を中心とし、また
税源移譲されたIRAPで歳出と歳入のバランスを保っ
ている。
日本・・・日本は、地方分権ともに的確な税源の移譲
が必要となる。
社会保障と格差
アメリカの社会保障制度
連邦政府による国民全体を対象とする
公的医療保険制度がない
医療費の高騰
160
140
120
100
80
60
40
20
0
-20
-40
出典:米国議会予算局
2004
2001年
同時多発テロ
発生
2003
米国 連邦政府の歳出内訳 推移
2002
2001
2000
1998
1999
1997
1996
億ドル
1995
1994
1992
1993
1991
1990
1989
1988
1987
1985
1986
1984
1983
1982
1981
1980
歳出 内訳
その他
医療
社会保障
軍事支出
イタリアの健康保険制度改革
1978年の改革
全国民を対象とする健康保険制度導入
1992年の改革
本格的に健康保険の地方分権推進
1999年の改革
公的医療監視体制導入
1992年の改革
 地域保険機構(USL)の整理統合と公企業化
 州の独立性強化
 州が独自に住民に拠出を求めることができる
国民健康保険サービスにおける州の権限強
1999年の改革
 主な改革事項
1、政府による地域保険事業と病院事業体への
投資の柔軟性
2、公的医療監視体制の導入
医療費上昇率
Annual growth of total per capita expenditure on hearth
1992to2003(OECD)
Italy
Japan
United States
効率性を求める
健康保険改革
10.0
8.0
上昇率
6.0
4.0
2.0
2002/03
2001/02
2000/01
1999/2000
1998/99
1997/98
1996/97
州の権限を強める
健康保険改革
1995/96
-6.0
1994/95
-4.0
1993/94
1992/93
1992
1991
-2.0
1990
0.0
二つの改革を踏まえて
1992年の改革→長期的に成功
1999年の改革→すぐに効果が出た
イタリア 社会保障の
中央・州・地方の関係
 中央
医療関係支出を管理。通常、3年毎に
国家保険計画を立案
州
イタリア国内は20州に分けられ、各州
は3年毎に地方保険計画を策定
 地方
限られた予算の中での内容改善
1、地域保険単位の事業体化
2、病院組織網の再編
3、公立病院の縮小化
⇒中央・州・地方の役割の明確化
格差
アメリカ各州の財政格差
歳入
歳出
80000
70000
W yom ing
W isconsin
W est V irginia
W ashington
V irginia
アメリカ経済の格差はどれか一つの要因が大きく影響しているのではなく、
V em ont
U tah
Taxas
Tennessee
SouthD akota
South C arolina
R hode Island
しかしどの州も財政収支は均衡している
Pennsylvania
多くの異なった要因が影響しあっている
O regon
O klahom a
O hio
N orth D akota
N orth C arolina
N ew Y ork
N ew m exico
N ew Jersey
N ew H am pshire
N evada
N ebraska
M ontana
M issoun
M ississippi
M innesota
M ichigan
M assachusetts
M aryland
M aine
Louisiana
K entucky
K ansas
国民の意識など
貿易
技術
Iow a
Indiana
Illinois
Idaho
H aw aii
G eorgia
Florida
D elaw are
C onnecticut
C olorado
C arifom ia
A rkansas
A rizone
A laska
A labam a
0
アメリカ各州の財政(2004年)
90000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
出典:2006 Statistical Abstract of the United States
イタリア 地域格差の発生
 歴史的背景が強い
 イタリア統一(1860年代)
・北部の制度が、ほとんどそのまま南部に適応されたため南
部にさまざまな不合理が生じた(軍事力が背景)
北部→自由貿易主義
南部→保護貿易主義
南部に大きな影響(産業、金融、税制)
地域格差の発生
1880年代
・保護貿易主義
保護貿易の対象
北部→発展しつつあった近代工業生産物
南部→小麦(大土地所有制…粗放な土地利用)
・1880年代以降
・大土地所有制廃止を主張
・南部主義(→地方自治の拡大)
地域格差
1950年以降
・農業改革→大土地所有制廃止
・南部への公共投資
・南北格差は縮小しなかった
・南部の都市周辺部、平野部で経済活性化
・南部への公共投資の波及効果→北部→国外
地域格差の問題
1980年以降
・財政赤字が膨らむ
・北部の経済的負担増大
・1990年代
・通貨統合参加のための課題
・地域格差の問題点がシフト
地域政策→年金、福祉問題
州政府や地方自治体の財政的自主性が高まる
イタリア州財政の格差
州政府や地方公共団体の財政的自主性高まる
経常費に占める独自歳入の割合
1990年~1999年
・南北格差(県レベル) 北部→71% 中部→61.9% 南部→35.5%
・国庫依存率
北部ロンバルディーア州内の県→1%
特別州サルデーニャ内の県→45.3%
・住民1人あたりの課税対象額
ロンバルディーア州(北部)→1万1000ユーロ
カラーブリア州(南部)→3600ユーロ
・(人件費/経常費)×100
シチリア州のコムーネ39.7%
→財政の硬直化
ロンバルディーア州→26.2
・1人あたりの医療費(2001年)
ヴァッレ・ダオスタ(北部)→1656ユーロ
プーリア(南部)→1198ユーロ
イタリアの格差
サービスの質の格差
全国均一なサービスが供給されない
財政 比較
財政制度
構造
地方政府支出 /一般
政府支出
日本
アメリカ
イタリア
中央集権制
連邦制
分権制
47都道府県・約
3000市町村
連邦と50州、約4万の地方
政府
政府・20州・103県・市町村
8,100
40.1%
43.2%
26.7%→27.9%(98年)
地方税収/中央+地方税
収
39.0%
47.9%
10.5%→19.02%(98年)
国からの移転/地方収入
42.3%
22.1%
63.2%→37%(98年)
国・地方の債務残高(対
GDP比)
国:134.8% 地方
43.9%
国:47.2% 地方:20.8%
地方税の主な税目
個人所得税・法人
事業税・地方消費
税・固定資産税など
個人所得税・法人所得税・
小売売上税・財産税など
市町村固定資産税・通行
税・家庭用ガス、電気消費
税など
国:115.1%
地方:9.6%
財政調整制度
地方交付税
なし
付加価値税の一部が基金
として積み立てられ、基金
から各州へ配分
一般交付金の規模
地方予算の24.1%
0%
2001年の改革に伴い廃止
国・地方 役割
日本
アメリカ
イタリア
国の役割
社会保障・公共事
業・教育・防衛
国防・郵便・宇宙
開発・社会保障・
天然資源
国防・外交・司法・移民
問題・社会保障
地方の役割
福祉・学校教育・
消防・公共事業
社会保障・ハイ
ウェイ・刑務所・教
育
産業支援・公共事業・
教育援助・社会保障
アメリカ・イタリアと日本
 共通点:地方に権限を委譲することによる、
地方の財政力の強化
地方における国からの移転収入の削減
 相違点:歴史的背景
一般交付金による財政調整
市町村の合併と分離
補助金の配分決定方法
結論
日本の財政をアメリカ・イタリアと比較すると
日本の分権化の動きは将来的に財政再建に
貢献できると考えた。しかし、日本は分権化を
進めるにあたって、「国への依存の高さ」、「地
方自治に対する意識の低さ」が効率的な分権
化の阻害要因になっている。そのため、日本
は分権化を進めるとともにそれら阻害要因の
改革を同時に進めるべきである。
参考文献
・馬場康雄・岡沢憲芙 『イタリアの経済「メイド・イン・イタリー」を生み出すもの』 早稲田大学出版部1999年
・村上義和 『現代イタリアを知るための44章』 明石出版2005年
・林建久 『地方財政読本』 東洋経済新聞社 2003年
・大野吉輝 『地方財政の制度と理論』 けい草書房 1994年
・地方財政研究会『やさしい地方財政[改訂版]』 1999年
・長手喜典 『イタリア経済の再発見~南部開発から産業事情まで~』 東洋書店 1991年
・藤永鉄男 『イタリア経済の時差と危機』 産能大学出版部 1980年
・杉浦哲郎 『アメリカ経済の光と影』 金融財政事情研究会 平成8年
・長岡和範『アメリカ連邦税入門』 2002年 税務経理協会
・仲村優一、一香ヶ瀬康子 『世界の社会福祉5 フランス・イタリア』 旬報社 1999年
・岡伸一 『欧州統合と社会保障』 ミネルバ書房 1999年
・財団法人自治体国際化協会
・みずほ総合研究所 『アメリカの経済』 日本経済新聞社 2005年
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・イタリアの地方自治 http://www.clair.or.jp/j/forum/c_report/html/cr176/
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・www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2001/pdf/cs20010501.pdf
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・ICMA,The Municipal Year Book1987
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