主な研究テーマ

研究テーマ一覧
① 高速動作素子(主にトランジスタ)の作成
② 量子効果を利用した発光デバイス(レーザー)の作成
③ 単電子トランジスタの作成
① 高速動作素子の作成
高速動作素子のメリット
通常,パソコンや携帯電話などの電子機器の信号処理速度は
トランジスタのスイッチング速度によって決定することが多い.
従って,スイッチング速度の速いトランジスタができれば,
短い時間でたくさんのデータを送受信することができる!!
ど~すれば速くなるか?
一番簡単な方法は,電
流の源となる電子の動
きをはやくすればいい!!
材料名
電子移動度
ガリウム砒素 (GaAs)
8500(cm2/Vs)
ゲルマニウム (Ge)
4000(cm2/Vs)
シリコン (Si)
1800(cm2/Vs)
即ち,移動度(電子の動き
やすさ)の大きい材料でトラ
ンジスタを作れば良い!!
GaAs の移動度が
最も優れている.
高速動作素子において,GaAs が世間一般で
盛んに使用されている.
しかし,通常の集積回路(LSI)では,
シリコン(Si)しか使われていません.
※ 高速動作素子は必ずしも集積回路である必要はありませ
ん.
それは,トランジスタを作るためには絶縁膜が重要となるからです.
ゲート
ソース
ドレイン
アルミ(Al)
Al
酸化シリコン(SiO2)
Al
シリコンの酸化物(SiO2)が
絶縁膜となるため,Siを基
板に使うことで簡単に絶縁
膜が得られる!!
シリコン(Si)
MOSFETの構造図
この理由のため,現在のLSI は全て
Si で作られています.
そこで,本研究室ではシリコン(Si)で
高速動作素子を作ることを試みている!!
通常,電子は熱振動するSi 原子に衝突しながら移動しています.
電子
原子
電子の通る道(半導体)
を非常に小さくすると
電子の衝突する
確率は激減.
電子の障害がなくなるので,高速に動作します.
しかし,この方法には問題点が
スイッチをoffにした時,微量の電子が漏れてしまう.
電子
電子の漏れ(トンネル現象)が
発生してしまう.
この問題を解決するため,スイッチを2つ入れる.
この範囲を超微小サイズにすると量子論
的に電子の入り込みに制限を加えられる.
現在までの進行状況(2003年11月)
電流 (A)
これまでに,3重障壁のトンネルダイオードの
作成に成功している.
スイッチ1つ
スイッチ2つ
トランジスタとチョット
構造が違うモノ.
電圧 (V)
今後は,トランジスタの作成を試みる.
電子の漏れ
が減少してい
る.
② 量子効果を利用した発光
デバイスの作成
最近,急速に普及されつつある光ファイバー
は石英ガラスで作られています!!
しかし,光ファイバーの問題点として,光信号
の減衰があります.
石英ガラスファイバー
光信号
光信号は進行するにつれて,石英ガラスに吸収
または拡散されてしまい徐々に弱くなってしまう.
信号減衰の問題をどう改善するか?
損失係数 (dB/km)
石英ファイバーによる光損失係数を見てみると.
0.6
光の波長 1.55μm
で最小値をとる!!
0.4
0.2
0
0.9
1.1
1.3
1.5
1.7
波長 (μm)
光信号の光源には波長1.55μm の遠赤外光
レーザーが最適!!
本研究室では,シリコン(Si)と性質が似て
いるゲルマニウム(Ge)をレーザーに適用
※ 通常,半導体レーザーはガリウム砒素(GaAs)など
のⅢ-Ⅴ族系の材料で作られています.
Ge でレーザーを作るメリット
Si によって構成されている論理デバイスとの適合が容易.
しかし,ゲルマニウム(Ge)は結晶構造上
発光しない材料である
そこで本研究では,量子効果によって発光可能
な微小Geドット構造を採用!!
Geの塊
(3次元)
Ge 薄膜
(2次元)
Ge ドット
(0次元)
微小ドットを構成することにより,量子論的に電子の
エネルギー状態が変化し,発光可能な材料となる.
ゲルマニウム(Ge)ドットの作成法
Ⅰ シリコン(Si)基板を削って,小さな凹凸を作成する.
Ⅱ 凹凸のあるSi 基板を高温で加熱しながらGe を付ける.
Ⅲ Ge が微小凹凸まで移動し,微小ドットとなる.
Ⅰ 凹凸の作成
Ⅱ Ge の付着
Ⅲ ドットの形成
現在までの進行状況(2003年11月)
直径 50nmの微小Geドットの
作成に成功している!!
Ge ドット
今後は,発光の確認を行い,1.55μmで発光する
光デバイスの作成を目指す!!