EDS面分析の最新手法: EDSピーク分離マップと EDS多変量イメージ解析(COMPASS) Part 1 EDSピーク分離マップ サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 The world leader in serving science 1 Part 1 の内容 • 1. EDSピーク分離マップ カウントマップとピーク分離マップの比較 ピーク分離マップの手法 ピーク分離マップとCOMPASS主成分マップの比較 • EDS多変量イメージ解析COMPASSの詳細については、 Part 2で説明します。 2 EDSカウントマップとピーク分離マップの 実際のデータによる比較 3 9種類の粉末: シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、タンタル、 酸化タングステン、アルミニウム、チタン、ニッケル、銅 反射電子線像 <収集条件> 加速電圧: 7kV 分析倍率: 400倍 収集イメージ分解能: 256 x 192 EDS SD検出器: UltraDry(10mm2) X線平均保存レート: 58,500 cps 平均デッドタイム: 収集時間: 分析エリア全体の 積算スペクトル 29% 5分 試料中の元素(合計 10元素): 炭素、酸素、窒素、シリコン、アルミニウム、 チタン、ニッケル、銅、タングステン、タンタル 試料中の主成分(合計 10主成分): 樹脂、シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、 タンタル、酸化タングステン、アルミニウム、 チタン、ニッケル、銅 4 9種類の粉末:この試料の面分析が難しい理由 ピークが重なる元素の組み合わせ N_K Ti_L Ni_L Cu_L Si_K Ta_M W_M この試料が未知試料だと仮定した場合、 存在している元素を見落としてしまう可 能性は、非常に高い。 EDSの元素マッピングは、存在している 元素を見落としたら致命的。 5 分析エリア全体の積算スペクトル の自動定性結果 N_K、Ni_L、Ta_M、W_M が検出で きてない。 分析エリア全ピクセルの スペクトルをスキャンし て、各エネルギーチャン ネルの最大カウント値を 記録したスペクトル Ta_M、W_M が検出でき てない。 9種類の粉末:従来のカウントマップ(上) vs. ピーク分離マップ(下) 従来の カウントマップ N、Si、Ni、Cu、 Ta、Wに 他元素の影響 ピーク分離 マップ N、Si、Ni、Cu、 Ta、Wから 他元素の影響 を除去 倍率:500 6 加速電圧:7.0 kV EDSピーク分離マップの手法 7 EDSピーク分離マップ ピーク分離マップ スペクトルイメージングデータの全スペクトラムについて、 バックグランドをデジタルフィルターで取り除き、 元素ピークのリファレンス波形を使って重なり合うピークを分離。 加えて定量マトリクス補正までしたものが、定量マップ。 ピーク分離マップの精度 = スポット分析の精度 ◎ ピークが重なる他元素の影響や、試料全体から発生するバッ クグランドの影響を、除去。 △ 存在する元素を事前に把握しておく必要がある。 8 スペクトルイメージングデータの構造 各データポイントが個々に、全エネルギー領域のスペクトルデータを保持。 (例:画素数が256x256の場合、65536個の生スペクトルデータ) データ収集後に、データの再処理が自 由に行える。 (分析指定元素を再設定してマップの抽出処理、 任意の個所のスペクトラムデータを抽出して定 量分析、他) 9 デジタルトップハットフィルターの効果 10 デジタルトップハットフィルターの効果 フィルター処理後 フィルター処理前 11 フィルター処理と波形分離 フィルター処理前 複合ピークの波形 成分Aの波形 成分Bの波形 連続X線の波形 12 フィルター処理後 最小自乗法によるピーク分離 測定スペクトラム = A1(Reference 1) + A2(Reference 2) ……………. + Am(Reference m) フィルター処理後の測定スペクトラムの波形は、フィ ルター処理後のリファレンス波形Reference (1 … m) にそれぞれの重み係数A (1 … m)を掛けたものの合 計で表せると仮定する。 最小自乗法の方程式。カイ自乗の値が最小になる解を求める。 フィルター処理後の測定スペクトラム のi番目のチャンネルのカウント数。 フィルター処理後の測定スペクトラムとの 差が最小になるように、フィルター処理後 の各リファレンス波形Rjに、それぞれの 重み係数Ajを掛けたものを合成して作ら れたスペクトラムのi番目のチャンネルの カウント数。カイ自乗の値が最小になる Ajの解をもとめる。 測定スペクトラムのi番目のチャンネルカウン ト数の誤差分散。統計量的により確かな個 所のフィッティングがより重要になる。 13 スペクトラムのフィッティング を行う部分のチャンネル数。 フィッティングに使われるリフ ァレンス波形の数。 ピーク分離マップの流れ スペクトルイメージングデータの収集 <X線ピーク分離マップ> 各ポイントのスペクトルを ピーク分離 分析元素の指定 <従来のX線カウントマップ> データスペクトルとリファレンス波形の バックグランドを トップハットフィルターで除去 分析元素のX線ピークの エネルギー範囲指定 最小自乗法により ピークネットカウントを抽出 指定エネルギー範囲の X線カウントをそのまま抽出して元素 マップを作成 ピクセル毎の各元素のピークネットカウントを 定量マトリクス補正したものが定量マップ。 ピーク分離マップの精度 = スポット分析の精度 14 ピーク分離マップとCOMPASS主成分マップの比較 15 9種類の粉末: ピーク分離マップ(上) vs. COMPASS(下) ピーク分離マップ 単元素のマップでは、 シリコン、窒化シリコン、 酸化シリコンの分布が 分かり難い。 COMPASSの結果は、 シリコン、窒化シリコン、 酸化シリコンの分布が 一目瞭然! デ-タタイプ:ネットカウント 16 倍率:500 加速電圧:7.0 kV 9種類の粉末:COMPASSが自動抽出した10種類の主成分 前情報無し、解析時間はたったの数秒で、 10種類の主成分の自動抽出に見事成功! シリコン、窒化シリコン、酸化シリコンの分布が一目瞭然! 樹脂 タンタル アルミニウム 銅 ニッケル 酸化タングステン シリコン チタン 窒化シリコン 酸化シリコン 17 多変量イメージ解析COMPASSの詳細 については、Part 2で。 18
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