計算の理論 I -講義についてー

計算の理論 II
言語とクラス
月曜4校時
大月美佳
講義の前に
 今後の予定
講義:1/22, 1/30, 2/2
試験:2/9
 レポート
回収延期:1/30まで待つ
今日の講義内容
1. 予定
1. 前回の復習
2. クラス
P, NP, PSPACE, NSPACE, NLOG, DLOG
3. 問題
2. 時間があれば
1. 還元可能性
2. NP完全など
T(n)時間限定
T(n)を関数とし、MをkテープNTMとする。
言語Lに対して以下の(1)(2)が成り立つとき、
MはLを時間T(n)で受理するという。
また、MはT(n)時間限定(T(n)-time bounded)
であるという。
(1) L=L(M)
(2) 有限個を除いてすべてのx∈Lに対して
timeM(x)≦T(|x|)
S(n)領域限定
S(n)を関数とし、MをkテープNTMとする。
言語Lに対して以下の(1)(2)が成り立つとき、
MはLを領域S(n)で受理するという。
また、MはS(n)領域限定(S(n)-space bounded)
であるという。
(1) L=L(M)
(2) 有限個を除いてすべてのx∈Lに対して
spaceM(x)≦S(|x|)
NTIME(T(n)), NSPACE(S(n))
NTIMEk(T(n))
={L|LはあるkテープNTMによって時間T(n)によって受
理される}
NSPACEk(S(n))
={L|LはあるkテープNTMによって領域S(n)によって受
理される}
NT IME(T (n))   NT IMEk (T (n))
k 1
NSP SCE ( S (n))   NSP ACEk ( S (n))
k 1
DTIME(T(n)), DSPACE(S(n))
DTIMEk(T(n))
={L|LはあるkテープDTMによって時間T(n)によって受
理される}
DSPACEk(S(n))
={L|LはあるkテープDTMによって領域S(n)によって受
理される}
DT IME(T (n))   DT IMEk (T (n))
k 1
DSP SCE ( S (n))   DSP ACEk ( S (n))
k 1
正規言語
Lを正規言語とする。
このとき、以下の(1), (2)が成立する。
(1) L∈DTIME(n)
(2) L∈DSPACE(1)
領域構成可能
関数S(n)は、
L(M)={1}*かつ
有限個を除いてすべてのx∈{1}*に対して
spaceM(x)=|_S(x)_|となるDTM Mが
存在するとき、
領域構成可能(fully space constructible)である。
このときMはS(n)を、
領域構成する。
時間構成可能
関数T(n)は、
L(M)={1}*かつ
有限個を除いてすべてのx∈{1}*に対して
timeM(x)=|_T(x)_|≧xとを満たすDTM Mが
存在するとき、
時間構成可能(fully time constructible)である。
このときMはT(n)を、
時間構成する。
P, NP
P
決定性Turing機械によって多項式時間で
受理される言語
 NP
非決定性Turing機械によって多項式時間で
受理される言語
 P≠NP
まだ証明されていない
Pの定義
P   DT IME(n )
k
k 1
p(n)  am n  am 1n
m
m 1
 ...  a1n  a0
am  0のとき、
kを十分大きくとる
(m  k )と
p ( n)  O ( n )
k
 DT IME( p(n))  DT IME(n )
k
NPの定義
NP   NT IME(n )
k
k 1
Pと同様に
p ( n)  O ( n )
k
 NT IME( p (n))  NT IME(n )
k
PSPACE, NSPACE
PSPACE   DSPACE(n )
k
k 1
Savitchの定理より
NSPACE(n )  DSPACE(n ) (k  1)
k
k
PSPACE   DSPACE(n )
k
k 1
  NSPACE(n )
k
k 1
NLOG, DLOG
 非常にわずかな領域しか使用しないTM
によって受理される言語
NLOG=NSPACE(log n)
DLOG=DSPACE(log n)
 包含関係
DLOG⊆NLOG⊆P⊆NP⊆PSPACE
このうち証明されているのはNLOG⊆PSPACE
のみ
問題
 写像A: Σ*→{0, 1}
アルファベットΣで表現された
真偽問題(yes/no problem)、問題
Σ*の部分集合{x∈Σ*|A(x)=1}
→AはΣ*上の言語
 写像Aの複雑さ
=言語{x∈Σ*|A(x)=1}を受理するTMの計算量
問題の例1
 COMPOSITE
={x∈{0, 1}*|xは合成数の2進数表現}
∈NP
TMの動作
入力wが与えられると、非決定的に動き、
第1作業テープと第2作業テープにxとyを書き出す。
x, yが2以上の2進数であることを調べた後で
xとyを掛け算したものを第3作業テープに書き出し、
これが入力wと一致すればwを受理する。
wが受理される場合の時間量
|x|, |y|≦|w|であるので多項式時間
問題の例2
 GRAPH
有限な有向グラフの符号化のひとつ
G=(V, E)
頂点集合V={w1, …, wn}
辺集合E={(u1, v1), …, (um, vm)}⊆V×V
G⊆(Γ∪{#})*として符号化
w1#…#wn##u1#v1#…#um#vm##
wi∈Γ+ (1≦i≦n), uj ,vj ∈V (1≦j≦m)
 GRAPH∈DLOG
∴ GRAPH∈P
還元可能性
 計算可能関数 f: Σ1*→Σ2*
言語 L1⊆Σ1*, L2⊆Σ2*
それぞれTM M1 ,M2で受理
すべてのx∈Σ1*に対して
x∈L1 ⇔ f(x)∈L2
となるとき、 L1をL2に還元(reduce)できるという。
 x∈L1 の判定
M1 を走らせるかわりにf(x)がM2 で受理できるか調べる。
変換機
変換機(transducer)
1本の入力テープ(読みとりのみ)
k本の作業テープ(読み書き可)
1本の書き出し専用テープ(左方向に動けない)
対数領域計算可能(log space computable)
fが領域log2 nで計算可能
多項式時間計算可能(polynomial time
computable)
ある多項式p(n)とfが時間p(n)で計算可能
還元可能
対数領域還元可能 (log space reducible)
L1≦log L2 (via f )
多項式時間還元可能 (polynomial time
reducible)
L1≦p L2 (via f )
C≦log L0, C≦p L0
言語のクラスCがすべてのLについて
L≦log L0, L≦p L0
NP完全、PSPACE完全、P完全
≦log 完全、 ≦p 完全
1.
2.
L0 ∈C
すべてのL ∈Cに対してL≦log L0, L≦p L0 となる
NP, P, PSPACEに対して
それぞれ≦log 完全(または≦p 完全)であるとき
NP完全(NP-complete)
PSPACE完全(PSPACE-complete)
P完全(P-complete)
NP完全な言語
 充足可能性問題(SAT)
 和積標準形(CNF)
 3和積標準形(3SAT)
 頂点被覆問題(VERTEX COVER)
最後に
開始
 次回
– 明日1/22 14:20~15:50
– NP完全まわり