Title ラットのブレオマイシン肺炎における気管支肺胞洗浄液細胞成分の 分析および肺胞マクロファージ由来のインターロイキン-1活性の測 定 Author(s) 西, 耕一 Citation 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査結果の要旨/金 沢大学大学院医学研究科, 平成2年7月: 11 Issue Date 1990-07 Type Others Text version publisher URL http://hdl.handle.net/2297/14762 Right *KURAに登録されているコンテンツの著作権は,執筆者,出版社(学協会)などが有します。 *KURAに登録されているコンテンツの利用については,著作権法に規定されている私的使用や引用などの範囲内で行ってください。 *著作権法に規定されている私的使用や引用などの範囲を超える利用を行う場合には,著作権者の許諾を得てください。ただし,著作権者 から著作権等管理事業者(学術著作権協会,日本著作出版権管理システムなど)に権利委託されているコンテンツの利用手続については ,各著作権等管理事業者に確認してください。 http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/ 学位授与番号 医博甲第916号 学位授与年月日 平成元年9月30日 氏名 西耕一 学位論文題目 ラットのプレオマイシン肺炎における気管支肺胞洗浄液細胞成分の分析および 肺胞マクロファージ由来のインターロイキン1活性の測定 論文審査委員主査 松田保 副査 谷ロ昂 竹田亮祐 内容の要旨および審査の結果の要旨 本研究では、ラットのプレオマイシン(BLM)肺炎モデルを用いて、1)気管支肺胞洗浄液(BALF) の細胞所見の経時的な変化を分析し、2)気管支肺胞洗浄(BAL)により得られた肺胞マクロファージ (AM)から、インターロイキン1(IL-1)が遊離されるかどうかについて検討した。また、3)シク ロオキシゲナーゼ阻害剤としてインドメサシン(IDM)、リポキシゲナーゼ阻害剤としてAA-861を用 いて、これら薬剤がBALF細胞所見、AM由来のIL-1遊離および病理組織所見に対して及ぼす影響に ついて検討した。 結果は以下の通りであった。すなわち、1)ラットBLM肺炎において、BALF細胞成分では、6時間 後より細胞数の増加が認められ、4日後にピークが認められた。2)BALF細胞分画では、好中球が、6 時間後より出現し始め、24時間後にピークを示した。リンパ球は24時間後より出現し、4-7時間後にピー クが認められた。3)またそのBALFリンパ球は、主としてTリンパ球からなり、ヘルパーT細胞:サプ レッサーT細胞の比は、経過中約1:1であった。4)活性化したAMより産生されるIL-1は、6時 間後より出現し始め、12時間後にピークを示した。5)肺の病理所見では、24時間後に好中球の浸潤が 著明となり、4日後にはリンパ球の浸潤が著明となった。肺の線維化は、4日後より出現し始め、14日後 では線維化が著明となった。6)BLM+AA-861投与群では、24時間後や4日後のBALF好中球の数の 減少が認められたが、その他のBALF細胞所見やAM由来のIL-1活性には影響は認められず、7日後 以降の線維化の所見にも影響は認められなかった。7)BLM+IDM投与群では、BALF細胞所見、AM 由来のIL-1活性や組織所見には明かな影響は認められなかった。 以上のことから、本研究により、BLMは、初期に好中球が浸潤し、以後リンパ球(ほとんどがTリン パ球からなり、そのヘルパーリンパ球とサプレッサーリンパ球の比は約1:1であった)の浸潤が主体と なる肺の炎症を引き起こし、しかもIL-1産生で評価されるようなAMの活性化を伴うことが明かとなっ た。また、BLMによる急性期の炎症、特に好中球の浸潤の機序の一部にはりポキシゲナーゼ代謝産物の 関与が考えられたが、後に引き続いて生じる肺の線維化の過程に関しては、アラキドン酸代謝産物の関与 は少ないものと考えられた。 本研究は、肺線維症の病態を解明する上で重要であり、呼吸器病学の進歩に貢献する有意義な労作と考 えられた。 -11-
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