不動産業界 ~2003年問題とその影響~ 根本 幸子 目次 1.動機 2.今、不動産業界では何が起こっているのか。 『2003年問題~』 2-1.東京都 オフィスビル平均募集賃料と空室率 2-2.玉突き現象と、それに伴う空室率の推移 2-3.マンションの新規供給戸数と累積戸数の推移と、その老朽化 2-3.二極化 2-4.地価下落の要因 3.地価維持の為の対策 4.不動産投資信託(REIT) 4-1.主な外資投資ファンドと投資一覧 5.不動産業界の新しい潮流 5-1.住宅に個性を求める時代の到来 6.まとめ 7.参考文献 1.動機 • 来春、不動産業界で働くので、この業界の現 状、課題などの知識を知っておこうと思った。 • 今後の展望を考えることで、業界全体の将来 だけでなく、自分の将来にも大きく繋がると 思った。 2.今、不動産業界では何が起きているのか 『2003年問題』 • 2003年問題とは、2003年前後に丸の内、 汐留、品川、六本木など都心での大型再開 発が竣工し、オフィスビルの供給過剰によっ て既存の賃貸ビル市況に大きな打撃を与え るというもの。新築の大規模ビルに続々と企 業が移転していくために、従来のビルに空き 室が目立ち始め、これにより大型オフィスビ ルの平均賃料は、1割から2割近くも下落。 2-1.東京都 オフィスビル平均募集賃料と空室率 (単位:円/坪、%) 1998年 9月期 1999年 9月期 2000年 9月期 2001年 9月期 2002年 9月期 オフィスゾーン 賃料 ・丸の内・大手町・ 有楽町 34,880 ・内神田・神田須田町 15,440 ・日本橋・八重洲・ 京橋 20,630 ・銀座 20,050 ・渋谷 18,160 ・西新宿 20,820 空室率 1.7 3.6 5.6 賃料 空室率 賃料 空室率 賃料 空室率 賃料 空室率 37,090 1.4 31,500 1.2 31,090 0.7 29,450 1.7 14,310 6.5 14,190 4.6 13,310 4.4 13,150 6.1 19,520 9.0 19,190 6.0 17,960 4.7 17,420 7.1 19,320 9.4 18,910 7.4 17,840 6.1 17,900 6.8 18,330 5.5 18,250 1.8 17,630 3.7 18,160 6.2 18,740 4.6 19,160 1.7 18,960 1.6 18,750 3.6 東京都 7.1 3.2 4.1 2-2.玉突き現象と、それに伴う空室率の推移 • 2003年春:富士通が霞ヶ関ビルから「汐留シ ティセンター」に移転。 • 2003年春:米ゴールドマンサックス証券が アークヒルズから「六本木ヒルズ」に移転。 ビル業界の東京・大阪・名古屋の空室率推移 東京23区 名古屋 大阪 '98.12 '99.4 '99.8 '99.12 '00.4 '00.8 '00.12 '01.4 '01.8 '01.12 '02.4 '02.8 '02.12 12 10 8 6 空室率(%) 4 2 0 2-3.マンションの新規供給戸数と累積戸数の推移 と、その老朽化 (新規:万戸) (累積:万戸) 25 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 20 15 10 5 0 昭和 47 49 51 53 55 57 59 61 63 2 4 新規供給戸数 累積戸数 6 8 10 12 マンションの老朽化問題・・・6年後の2011年には、築年数が30年を超える マンションが100万戸以上になる見通し。 そしてスラム化するマンションが出現。 2-4.二極化 需要吸引力が高く一定の賃料水準が見込まれるエリアでは、地価の下落に歯止めがかかり 逆にオフィス立地として魅力に乏しいエリアでは地価下落が止まらないという問題。 東京 地方 地価が低い 二極化 地価が高い 人気のある 地域 より高い 2-5.地価下落の要因 • • • • • • • • 少子化問題 企業倒産、個人破産の増加、所得の減少 企業、生産拠点の海外移転 定期借家権制度 公共事業縮小 企業の評価基準のグローバル化 時価会計原則導入 居住家屋の耐用年数の長期化 3.地価維持の為の対策 商業地、住宅地ともに、土地の利用価値や ブランド力などを高めていくこと。 地価下落から逃れる一つの方策 大規模再開発事業に見られる共通のキーワード 「閉鎖的空間」・「独立機能」・「アミューズメント」 高度な都市再生プロジェクト 4.不動産投資信託(REIT) (Real Estate Investment Trust) • 投資家から集めた資金を主として不動産等 (不動産証券化商品を含む)で運用する投資 信託。 4-1.主な外資投資ファンドと投資一覧 (週間エコノミスト 投資ファンド カーライルグループ ローンスター WL&ロスアンド カンパニー リップルウッド ホールディングス サーベラス 出資を受けた会社 形態 時期 2003.3.11号) 総額(億円) エー・エス・エス 買収 02/2 100 イー・アクセス 営業譲渡 01/9 30 東京相和銀行 買収 01/6 401 目黒雅叙円 買収 02/11 非公開 ファーストクレジット 買収 02/11 100 東京シティファイナンス 買収 02/11 非公開 野村ファイナンス 買収 00/12 非公開 ミネベア信販 買収 99/9 エスティティ開発 買収 02/12 非公開 地産 買収 03/2 非公開 関西さわやか銀行 買収 01/2 240 フレスコカード 買収 01/6 4 日興電機工業 買収 01/12 3 大泉製作所 買収 03/1 37 日本長期信用銀行 買収 99/12 ナイルス部品 資本参加 01/4 非公開 フェニックスリゾート 買収 01/9 162 日本コロンビア 資本参加 01/7 50 デノン 買収 01/7 59 ダイア建設 資本参加 00/12 40 あおぞら銀行 出資 01/12 非公開 トーメン鉄鋼販売 買収 01/9 非公開 木下工務店 資本参加 02/4 非公開 40 1210 5.不動産業界の新しい潮流 ①SOHO市場 ○既存のオフィスビルの空室率を埋める為に、新たに創業した 企業や個人事業主、小規模企業経営者向けのビジネス ②住宅変換 『リノベーション』 ○オフィスビルの住宅への転用事業 ③高齢者住宅 ○老人ホームの一定基準を満たすように社員寮を改装 ④時間貸しビジネス~『コインパーキング』・『コンテナボックス』等~ ○地味なように思われがちだが、着実に儲かる事業 5-1.住宅に個性を求める時代の到来 • 団塊世代の「とりあえず一戸建て」を持つとい う考えから、個性を求める時代へ移行 オーダーメイド方式 コーポラティブハウス 6.まとめ • 不動産を手掛ければ儲かるという時代は、恐 らくやってくることはないが、ビジネスチャンス はまだ多くある。 • いかにアメニティあふれる空間を創造出来る かが勝負。 7.参考文献 • 「不動産業界の動向とカラクリがよくわかる本」 著者 長谷川 高(たかし) 発行所 秀和システム • 「よくわかる不動産業界」 著者 山下 和之 発行所 日本実業出版社 • ネット資料 http://www.kantoh-sekkei.co.jp http://www.oj-net.co.jp/report/2003/001_01.html • 週刊ダイヤモンド 2003 11/22
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