オーストラリア不動産マーケット分析(2015 年 3 月) シドニー メルボルン ブリスベン パース 不動産マーケッ トのサイクル ピーク 上昇中だがピー ク間近 上昇 下降 空室率 需要と供給がバ ランスしている 需要と供給がバ ランスしている 供給過剰 新築家屋の需要 強い 需要に対して供 給がやや少ない ~バランス 強い~大変強い 強い 弱い 新築家屋の建設 堅調 堅調~増加 非常に増加 減少 家屋の販売戸数 減少 非常に増加 堅調 減少 過去 1 年の価格 上昇率 11.85% 5.1% 2.7% 2.05% 不動産在庫戸数 の増減率 ▲2.2% ▲7.5% 2.6% 21.0% 「Australian Property Investor (April 2015)」の統計データより 近年のオーストラリア不動産市場において外国人投資家、特にアジア・華人の影響が多大なこ とは広く知られていると思います。地元のデータバンクによりますと、2012/2013 年度は外国 投資審議会にて約 11,700 件(約 158.1 億ドル)の不動産投資が許可されました。2013/2014 年 度は 2014 年 3 月までの約 9 ヶ月間で約 16,000 件、投資総額は約 241.3 億ドルと前年度を大き く上回っております。なかでも投資総額の約 60%を NSW 州(シドニー)と Victoria 州(メルボ ルン)が占める事から、2 都市集中化が顕著に見受けられます。関係者の間では当初ブリスベ ンが 2014 年のブームになると予測されていました。しかしながらオーストラリア不動産市場に 影響力のあるアジア・中華圏バイヤーは、大規模なアジアンコミュニティーのあるシドニー及 びメルボルンを好む傾向があり、その趣向を組んだディベロッパーは 2 大都市における大規模 開発・複数のユニットを持つアパート(マンション)を中国本土のエージェントや中国本土に 事務所を持つ不動産業者を介し市場へ流すフローを構築し、その結果、不動産マーケットサイ クルのピークと見られているシドニー・メルボルンの足元を引続き支える要因となっているよ うです。一方で、外国人投資家によるオーストラリア不動産市場への参入に関して以下のよう に賛否両論あるようです。 《ネガティブ要因》 ①適正価格以上で売買が成立する。オークション等で自国民が競り落と すことが困難。②市場価格の異常な上昇を招く。③管理費/修繕積立費等の支払いが滞った場合、 その催促が困難。④言語の問題。 《 ポジティブ要因》 ①住居の供給に貢献。②雇用の促進。③景気の底上げ。④平均予算 135 万ドルで、First Home Buyer とマーケットが異なる。 特に中華圏バイヤーに人気の都市、地域において、一部の売り手は外国人投資家による恩恵を 受けますが、多くは上記ネガティブ要因に見られるようなストレスを抱えているようです。一 方で、関係者の間では仮に外国人投資家による住居の供給が制限されると、自国民からの投資 だけでは供給不足を招き、ついては価格の上昇を招く恐れを指摘する声も聞こえます。いづれ にしても、大筋では資源ブームの低迷に伴う景気停滞の回復に一翼を担うと期待されており、 引続き外国人投資家と関係者にとって追い風だと感じることが出来ます。
© Copyright 2024 ExpyDoc