世界ソブリンバブル 衝撃のシナリオ 第9章「バブル崩壊は回避できるか」 2011/5/18 棚倉 彩香 国債バブルの発生は政府の責任ではない 国債バブルの問題 政府部門の経済効率の低下←低金利の継続により、抜本的 財政改革がなされない 政府部門が肥大化するリスク さらに大きな問題として国債バブルの背景には民間需要 の低迷がある 信用バブル の崩壊 デフレで民 間経済縮小 相対的に公 的部門拡大 国債バブルが民間部門にもたらす影響 →産業構造改革の遅れ 供給調整 の遅れ 超過供給 の存続 物価に下落圧力&労 働市場の流動性低下 国債バブルの問題は、産業構造改革の 遅れによって経済を低迷させている! 国債バブルと株価バブル 国債バブルと株価バブルは同時に発生する可能性が高 い 国債バブルのもとで景気回復 国債バブル:国債価格が財政状況を適切に反映せずに高止 期待が強まると、株価や不動産 まりし、その結果、市場長期金利が過度に低く抑えられている 状態。 価格が上昇 市場長期金利が低いなら、株価や不動産価格は →国債バブルと景気回復期待 上昇しやすい。 の”融合“が株価バブルをもた ・資産価格は長期国債利回りとの相対比較のもと決定されるから らす ・長期金利が低いため株式市場や不動産市場に資金が流入するから 世界景気には一定の変動パターンがある 向こう2~3年は景気回復 基調が続くはずである。そ して2015年後半か2016年 には再び景気が後退局面 に入る可能性がある。そう すると中央銀行は金融引 き締めに向かい、その結 果株価バブルも2015年の 終わりまでには破裂する 可能性が高い。 国債バブル崩壊の影響は第二波・第三波の方が おそろしい 国債バブル崩壊のインパクト 国債バブル 金融資産 企業倒産の 失業の 崩壊 価格下落 増大 増大 内需の縮小 政府は税収減+長期金利上昇による利払い費の 増加に苦しむ→増税は不可避 増税 • デフレ圧力が強まる • 不動産価格の大幅下落や企業倒産の拡大 • 金融機関には膨大な不良債権が発生 • 金融不安が再燃 • 国債の日銀引き受け • 金融機関への公的資金注入 • 海外資金の引き揚げ • 円相場の下落 • 円安期待により国内貯蓄は海外へ これを日銀が国債購入 で 止 め よ うと す れ ば 、 円安期待をあおること になるため事態はさら に悪化する。 • 銀行は預金流出による流動性不足となり、 • 保有している国債の売却へ=長期金利上昇のセカンドウェーブ 国債バブルに伴う経済と社会の混乱を最小化するため には国債売却の停止、預金封鎖、資本移動規制、証券 取引所閉鎖、などを実施せざるを得なくなるかもしれな い=近代金融機能の停止措置 =世界経済・金融システムからの遮断、孤立化 国債バブル崩壊のポイント 経済システム、金融システムへの信認が崩れることによって スパイラル的な経済混乱が発生すること。 デフレで困る人はいない? 国債バブルが大きく膨張する前にはじけるケース :経済構造改革推進へ 国債バブル:デフレ的な均衡の徒花 真剣にデフレを打開しようと思って 借金をしている人にとっては問題。 しかし、一般的な給与生活者や年金受給者にとっては困ることはない。 いない。 また、個人金融資産のほとんどは預・貯金であるためデフレになるほど実質的価値は上がる。 したがって、デフレ均衡は崩れず、 売上は減少しがちだが、それに合わせてリストラ(事業の再構築)や給与カットで人件費を削減 しカバーしているケースが多い。 国債バブルは膨張し続ける。 バランスシートの健全化により、上場企業の 6 割は無借金。 政府・日銀 個人 企業 デフレ均衡を破るインセンティブを持っていない。金利水準さえ低ければしのげる。 ケインズのデフレ論 ケインズの主張 :デフレは技術革新と経済の活性化を遅らせる デフレ均衡を打ち破るために、インフレ政策にトライすべ き(筆者) 紙幣の一割を「無効」に? 現金の価値を強制的に目減りさせる政策の導入を検討 するべき。 マンキュー(ハーバード大学教授)が提唱する例 例えば、ナンバーの下1ケタについて、「0」から「9」のうちのひとつを しかし、こうした方策は預金に対する税金であ 任意に選択し、その番号の紙幣は○月○日から流通できないと通 達する。ただし、番号は当日になるまで発表しない。そうすると、10 り、紙幣に対してのみ課税をしたら誰でも手元 枚の紙幣を持っていても、そのうち1枚は無価値になるから実質9枚 の紙幣を預金にかえようとする。そこで、預・貯 分の価値しかないことになる。 金に課税する「貯蓄税」が必要となってくる。 つまり。これは10%のマイナス金利、ないしは10%のインフレと同じ 意味を持つ。デフレ期待が強い状態では多くの人が現金で資産を 持とうとするが、それに対してある意味罰を科す政策である。 「貯蓄税」導入のすすめ 可処分所得と比べた 純金融資産の額が OECD諸国平均約 250%であるのに対 し、日本は2006年時点 で400%を超えており、 日本人の貯蓄は過大 であるという印象だ。 税引き後の所得の蓄積である貯蓄に課税するのは”二 重取り“ではないか? 現在のように1~2%のデフレの場合、ゼロ金利でも実質 的な購買力は上がってくる。そのメリットを課税によって 相殺ないしマイナスにすることで、広い意味での投資や 消費を促そうというのが「貯蓄税」の狙いである 「デフレ・ボケ」からの脱却を 紙幣の流通制約 貯蓄税導入 持続性がある政策とは考えられない。導入すら出来な い可能性が高い しかし、国債バブルが膨張し続ければ悲惨な末路を迎え ることは目に見えている。もはやデフレ脱却ないし国債 バブル回避のアイデアは多くない。試せることは試した 方がいいのではないか。 貯蓄税は導入できるか
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