科学的に考えられない私達

授業のレポートのフィードバック
• 教官を使う、授業を使う、大学を使う
– 疑問・反論・批評を遠慮する必要なし
– わかりにくかったところ、眠くなったところ
• 毎日少しずつ死んでいる
– 興味深い vs 受け入れがたい
• 思考停止
• 梅干しからインフルエンザの薬
– 素晴らしい?時間がかかりすぎる?
• 仙台筋弛緩剤中毒事件・司法事故
• エンドポイント
自分の死=生(に対する認知)
を当事者意識で使いこなす
死は突然にやってくる←あくまで他人事
毎日少しずつ死んでいる←当事者意識
バックアップ、命の減価償却、保険
今すぐ正解が欲しい=思考停止したい
思考停止という「状態=名詞」があるのではなく、
正解が得られないと不安になってしまう自分がいる=当事者意識
•
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•
「就活」という言葉で不安にさせる
そこへ「正解」のラベルを貼った疑似餌を蒔く
飛びついてくる
正解が得られたと思って安心する→思考停止
就活で嘘はどこまでついていいのか?
実はツッコミどころ満載
→ツッコミ=思考停止の回避
• 当事者意識:こいつが自分のことを本当に
知っているのか?心配しているのか?
• 定義、組み入れ基準は一つの軸ではない
し、デジタル表示でもない
–嘘
– どこまで
– いい・悪い
思考停止を避ける楽しさ
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ぐずぐずを恥じない。決断力を恥じる。
迷う自分に安心する。
やり過ごし・先送りの多用。
正解を欲しがらない=答えのない不安に
耐える=「わからない」を「使える」ように。
• 多数派にツッコミを入れる。
• 自分にツッコミを入れる。
エンドポイントの使い方
• 時間軸、状況(空間)軸、人の軸で変化
• 真のエンドポイントが不明でも不安になる必
要はない=正解が得られなくても平気
– とりあえず代用ポイントで動いてみる
– 代用エンドポイントを固定しない
– そのうちに真のエンドポイントに近いものが見
えてくるかもしれない(代用エンドポイントと真
のエンドポイントは相互に排他的ではないかも
しれない)
本日のお話
1.
2.
3.
4.
リテラシー:健全な批判精神とは?
薬害:厚労省に依存する私たち
ドラッグラグ:鹿鳴館主義と規制緩和
リスクコミュニケーション:ゼロリスク
探求症候群とデジタル理解の罠
[email protected]
データで嘘をつく方法
• 視覚的に似ているもの・数字を並べて
– 因果関係があると主張する
• 交絡因子がない場合
• 交絡因子がある場合
• 視覚的に似ていないもの・数字を並べて関
係がないと主張する
大切なものは目に見えない
L'essentiel est invisible pour les yeux.
パ
腸ソ
コ
のン
難か
病ら
のの
原電
因磁
?波
が
電磁波でいろいろな病気が起こる?
• 近視
• 糖尿病
• 肺がん・大腸癌
ビジネスチャンス?
根拠・アウトカム不明のイカサマの数々
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•
電磁波防御シールド
抗菌グッズ
地球温暖化
宇宙開発
種々の検診、脳ドック
所詮は研究費獲得・公共事業ネタ
Public Enemy No.1への反論
ファーストフードと糖尿病は無関係?
マクドナルドの主張を認めますか?
糖尿病有病率
マクドナルドの店舗数
(単位人口当たり)
むしろ米の方が危ない
マクドナルドの主張を認めますか?
米の生産量
単位人口当たり米の生産量
癌による死亡率
癌による死亡率
一般市民にリテラシーはない?
リテラシー
lay people vs professionals
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日本精神神経学会学術総会
日本麻酔科学会学術集会
日本遺伝カウンセリング学会学術集会
プライマリ・ケア関連学会連合学術会議
Literacyの向上を阻むのも「専門家」
• 専門家側:専門家=「専門外」に「弱い」
– 専門家かどうかは専門外の範囲の設定次第
• 受け手側:「専門家」は「正しい」「はず」
– まさか「でたらめ」は言わない「はず」だ
– 自分は「わかっている」と思い込む
– 本人もでたらめを言っているつもりはない
医療者主導の不老不死カルト
• 脅迫のキーワード:老化、癌、呆け、脳血管
が切れる、生活習慣病
–
–
–
–
老化→アンチエイジング
呆け、脳卒中→脳ドック
癌→PET健診
生活習慣病→肥満者=非国民キャンペーン
本日のお話
1.
2.
3.
4.
リテラシー:健全な批判精神とは?
薬害:厚労省に依存する私たち
ドラッグラグ:鹿鳴館主義と規制緩和
リスクコミュニケーション:ゼロリスク
探求症候群とデジタル理解の罠
[email protected]
副作用・毒・薬害
• 副作用のない薬はない
• そもそも薬と毒がきれいに分けられない
– 人間の都合で決まる
– ワーファリン、ジギタリス
• 副作用・毒・薬害もきれいに分けられない
– 人間の都合で決まる
デ
ジ
タ
ル
理
解
の
問
題
点
医薬品のリスクベネフィットバラン
スのイメージ
誤ったイメージ
正しい理解
薬害と規制当局
医薬品規制当局=厚生労働省+
(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)
主な薬害事件
1961 サリドマイド事件
安全な睡眠薬→胎児奇形
1964 スモン事件
安全な整腸剤→重篤な神経障害
1975 クロロキン事件
抗マラリア薬→クロロキン網膜症
1988 薬害エイズ事件
血友病治療薬→AIDS感染
1991 MMR事件
新三種混合予防接種→髄膜炎
1992 陣痛促進剤被害
分娩の促進→子宮破裂、胎児仮死
1993 ソリブジン事件
帯状疱疹治療薬→抗がん剤併用で死亡
1996 CJD(薬害ヤコブ病)
脳硬膜移植→重篤な中枢神経障害
薬害は日本の専売特許ではない
• アメリカ合衆国 (JAMA 1998;279:1200)
– 年間221万6000人が重い副作用で苦しみ
– 年間10万6000人が副作用で死亡する
• 死因の第五位(ただ気づかないだけ)
• 日本
– 受動喫煙だけで年間3万人が死亡する
– 自動車事故では?
– 航空機事故では?
ところで,
厚労省の働きは・・・
1. 十分である
2. 不十分である
どちらだと思いますか?
厚労省の働きは不十分である
(けしからん)
もっと働いてもらいたい
↓
期待している
↓
依存している
非難の背後には必ず依存が隠れている!
臨床試験のジレンマと限界
• 数(被験者数)の限界
• 被験者の質の限界
– 組み入れ基準
– 除外基準
• 非正規例が溢れる現実世界
– 医療者
– 患者
水戸黄門ごっこ
何百回も繰り返される秘密
何百回も繰り返される秘密
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自分が水戸黄門気取り
悪人を懲らしめていい気持ちになる
いい気持ちになっただけで満足する
自分の頭で考えなくなる
原因も対策も考えなくなる
また悪人が出てくる
薬害は誰の“責任”か?
• 全てが厚労省の責任なのか?
• 薬害については、「現場を知らない厚労省」
に全て責任を押し付けて医者が被害者面し
ているのはなぜか?
• 薬害被害者団体がそんな医師を卑怯者とし
て非難せずに、ひたすら厚労省だけを叩くの
はなぜか?
• なぜ薬害が繰り返されるのか?
リスクを誰が引き受けるのか?
パターナリズム(父権主義)、
当事者意識、リテラシー
「那覇へ飛べ!」
2007年12月21日午後7時35分ごろ、関西空港発那覇行きのJA
L2579便(乗客147人)が那覇空港の天候不良のため、鹿児島
県霧島市の鹿児島空港に臨時着陸した。ところが、関空に引き返
そうとするJAL側と那覇行きを求める乗客との間で約3時間押し
問答となり、同機は午後11時ごろ那覇に向けて再出発した。JA
Lが乗客の圧力に押し切られた格好だ。
JAL広報によると、同機は午後4時5分に関空を出発。那覇で午
後3時ごろから風向や風速が変わり出したため、機長が「安全に
着陸できない」と判断。いったん鹿児島に着陸し、関空に戻ること
にしたという。 ところが、鹿児島に着陸した後、那覇で待つ知人ら
から電話で「航空機が次々に着陸している」と知らされた一部の
乗客が「那覇へ飛べるじゃないか」とJAL側に抗議。搭乗口の周
辺で「関空に戻るなら乗らない」と押し問答になり、怒声も上がっ
たという。 (2007年12月22日朝日新聞)
本日のお話
1.
2.
3.
4.
リテラシー:健全な批判精神とは?
薬害:厚労省に依存する私たち
ドラッグラグ:鹿鳴館主義と規制緩和
リスクコミュニケーション:ゼロリスク
探求症候群とデジタル理解の罠
[email protected]
ドラッグラグとは?
ドラッグラグ(新薬承認の遅れ)の現状
1,417日
(=約4年)
約2.5年
915
757
620
日本
フランス
デン
マーク
ドイツ
583
スウェー
デン
538
スイス
512
505
英国
米国
* 世界売上トップ100の製品が初めて上市されてから何日で各国で上市されたかを平均したもの。
各国によってトップ100のうち上市されている製品数が違うため、その国での上市されている製品数のみ
で上市の遅れを算出。
資料:
医薬産業政策研究所リサーチペーパーNo.31
38
FDA に比べて厚労省は
鹿鳴館主義
早ければいいのか?
ロフェコシキブの教訓
• ロフェコキシブ
–
–
–
–
当初は夢の鎮痛薬
効果は同じで副作用がない
世界に先駆けて米国で承認
日本では未承認
• 上市後に重大な副作用が明らかに
• スケープゴート探し?
– FDAが悪い?企業が悪い?
日米規制改革および競争政策イニシアティブ
に基づく日本国政府への米国政府要望書
2004年10月14日
薬事制度改革:総合機構の立てた重要な目標を
順守し、審査と承認を迅速に行なう。総合機構
が製品審査の迅速化に成功したかどうかを評価
する効果的方法を、業界との対話を通じ確立す
る。海外監査や工場査察が新製品の承認を遅
らせないことを確保する。
日米規制改革および競争政策イニシアティ
ブに基づく日本国政府への米国政府要望書
2004年10月14日
米国政府は日本政府に対し、その医療政策を達成するためには、
医療機器・医薬品に関する薬事規制と償還価格に問題を引き続
き解決する努力を活発に行うことを求める。例えば、薬事承認の
継続した遅れは、日本でビジネスを行う際のコスト増につながり、
患者の革新的な製品への早期アクセスを否定する。それらの革
新的製品は、医療の質を高め長期的に医療費削減に貢献する
ものである。また、日本の償還価格制度は革新性を適切に評価
していない。その結果、業界の日本における研究開発を抑制し、
国際競争力を改善するという日本の意欲をも妨げている。米国
政府は、薬事および保険償還の政策が、日本での革新的製品
の導入を促進するよう措置を講じるよう求める。
規制依存と自律
•
•
•
•
自律性の尊重
役所の縮小
小さな政府
職業集団の自由度↑
•
•
•
•
規制依存
役所の肥大
大きな政府
職業集団の自由度↓
ただし!
↓
リスク評価の規制緩和、民営化で何が起こったか?
規制緩和の結果
耐震構造偽装問題が起こるまで
• 96.2:日米首脳会談(橋本・クリントン)
– 背景:日本の建築基準が“非関税障壁”
– 住宅・建材などの輸入促進→「規制緩和」
• 97.2:米政府「年次改革要望書」
– 「建築基準を仕様重視型から性能重視型にす
るための建築基準法の改正」
• 98.6:建築基準法改正
– 建築確認の“規制緩和・民営化”
結局は規制強化に
Building Standards Law revised
健康のコストパフォーマンス世界一
日本の乳児死亡率は世界最低
機械の数はダントツ
CTスキャナー
(100万人あたり)
MRI
(100万人あたり)
日本人の健康の秘密?
本日のお話
1.
2.
3.
4.
リテラシー:健全な批判精神とは?
薬害:厚労省に依存する私たち
ドラッグラグ:鹿鳴館主義と規制緩和
リスクコミュニケーション:ゼロリスク
探求症候群とデジタル理解の罠
[email protected]
ゼロリスク探求症候群
ー自覚症状の欠如ー
リスクバランス欠如が引き起こす
社会問題を理解できない病気
• ハンセン病患者の隔離
• HIV患者,肝炎患者への差別
• 狂牛病問題
許容できるリスクとは?
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650kmの航空機飛行
100kmの自動車旅行
紙巻きタバコ3/4本の喫煙
ロッククライミングを1.5分間続ける
60歳の人間が20分間過ごす
経口避妊薬を2.5週間飲む
ワインをボトル半分飲む
10ミリレムの放射線被曝
100万人に一人が死ぬリスク
日本・日本人の特殊性
ドラッグラグ問題の背後に
• 豊かな社会・整備された医療制度
→不老不死願望
• わずかなリスクに過敏
– ベネフィットの無視
– ゼロリスク探求症候群
リスクコミュニケーション
受け入れやすい説明の特徴
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リスクの発生機序が複雑である
生命・健康リスクに関係する
リスク回避行動を促す
リスク回避行動による損失が見えにくい
ゼロリスク探求症候群
• ゼロリスク神話(リスクが無いと思いこむこ
と)人間は、ある確率以下のリスクは無視
して暮らしている。
• ゼロリスク神話は平穏な日常生活に必要
• 何らかの理由でわずかなリスクを意識した
場合、科学的確率論とゼロリスク神話は軋
轢を生じる。→ゼロリスク探求症候群
90-92年スコットランドにいました
X 100,000
狂牛病年間発生頭数
Japan
25
Britain
1,800,000
Which kills Japanese?
nil
30,000 / year
(passive smoking
only)
「全頭検査」に対する我が闘争
幸せな気分になるために
• 愛は動詞である:対称性を求めない
– 片思いできる幸せ
– 異性に対するコントロール願望の排除
• まごころ:想い・言語・行動の一致
• 関係の頑健性
– 継続性:賞味期限がない→待てる
– 距離・空間に影響されない