形態論

形態論
2014・05・21
二つの研究視点
• 通時的分析、通時的研究、通時的な見方、共時的・・・
• 日本語の接辞は漢語(反社会的)が多いが、和語の接頭辞、
接尾辞 ま~(真新しい、真っ赤、*ま古い)、ぶん~(ぶん殴
る、ぶっ飛ばす)
• 生産的(productive)、~さ(深さ、寂しさ)。程度の問題。「ま
~」が付けられる形容詞は限られているが、「~さ」はほぼ全
形容詞に付けられるから前者よりも後者は生産的だと言える
逆成
一般的なパターンは「動詞を元に、ルをとっ
て名詞を作る」。「たそがれ」は逆に元々
あったのは名詞。の類推によって「たそがれ
る」という動詞が作られた。結果的に似た関
係だが、作られた過程が逆。
名詞(作られた) 動詞(古い、元となっている)
• 疲れ
← 疲れ+ル(元)
• あこがれ
← あこがれ+ル(元)
• ガス漏れ
← 漏れ+る(元)
• たそがれ(元) → たそがれる
• メモ(古い) →
メモる(新)
• ダブル(古い) → ダブる(再解釈)
「メモ→メモる」は少し事情が違う。類推
によってできた点は同じだが、「たそが
れる」の場合は、「この名詞があるから、
類推による変化 analogical change
きっと動詞から来た」という誤解。メモは
「メモるという動詞から来たんじゃな
い?」という誤解はない。
逆成
名詞
(動作を行なう人)
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語形成過程
元々あった動詞+接尾辞
actor
→
act + or
inspector → inspect + or
baker
→
bake + er
teacher → teach + er
editor ←
edit
retronym (レトロニム)
• 新しい物・概念が、既成の物・概念の下位分類とし
て登場する時に、それまで無標(unmarked)だった
ものが有標(marked)になり、特別な名称が必要に
なる。
レトロニムの形成過程
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第1段階
物が一種類
名称が無票
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第2段階
新型の物が誕生。旧物の
下位分類
有票の名称ができる
問題は総称としての「電
話」と「非・携帯電話の電
話」との名称の使い分けが
できないこと
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第3段階
「固定電話」というレトロニ
ムが誕生する
結果的に、最も古い物に
最も新しい名称がついて
いる
物:古い
名称:最も新しい
電話
電話
?ただの電話
物:新しい
名称:やや新しい
電話
携帯電話
固定電話
携帯電話
日本語の動詞の種類
ー語幹や活用による分類ー
• いくつ考えられる?
• 五段動詞、一段動詞・・・・
一段動詞の五段化
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一段活動、ru-verbs,
vowel verbs
出る
de-ru
-rareru
着る
ki-ru
食べる tabe-ru
起きる
oki-ru
信じる shinji-ru
覚える oboe-ru
考えるkangae-ru
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五段活用、u-verbs,
consonant verbs
待つ mat-u
-eru
書く kak-u
呼ぶ yob-u
泳ぐ oyog-u
読む yom-u
死ぬ shin-u
貸す kas-u
走る hashir-u
例外を考えよう
• irassha-ru, irassha-imasu, irassha-tta,
irasshata…
• sawar-u, sawar-imasu, sawa-tta, sawaranai, sawar-e, sawar-oo. . .
• tabe-ru, tabe-masu, tabe-ta. . .
• 「行く」、「有る」は?
二つの方言を比べて、活用形が異なる場合、それは
形態論の領域
文法範疇が異なるのは統語論の領域
琉球語の古層
「書く」
現代東京語の文法
首里方言
未然形
書か
kaka-
連用形
書き
kaci-
終止形
書く
kacun
連体形
書く
kacuru
已然形
書け
kaki-
命令形
書け
kaki
民間語源説
• dongara
• Bonin
• seirei
品詞
一般名詞、代名詞、固有名詞
• 言語によって、一般名詞、代名詞、固有名詞の文法
的動きが異なる。だからこそそれぞれを違う品詞と
して考える
• 英語の名詞と代名詞の文法的違い
• 動詞+前置詞の表現、pick up(拾う)、turn over(ひっくり返
す)、look up(辞書で調べる)
• I picked the rock up. I picked it up.
• I picked up the rock. *I picked up it.
• 沖縄のことばやチャモロ語などで固有名詞の文法的動きは
一般名詞と異なる