情報通信システム(9) http://www10.plala.or.jp/katofmly/chiba-u/ 2015年6月30日 火曜日 午後4時10分~5時40分 NTT-IT Corp. 加藤 洋一 千葉大学 9- 2 ディジタルデータの伝送について データ伝送 光ファイバー 何らかの 伝送装置 何らかの 伝送装置 同軸ケーブル ディジタル データ ディジタル データ ツイストペアケーブル 2 2 0100100100 1 2 4 6 8 10 加入者電話線 -1 1 2 -1 4 6 8 10 0100100100 -2 -2 大気中:電波 ルーター、コンピューター、 ディジタルTV、ディジタル 電話交換機など 伝送路 ルーター、コンピューター、 ディジタルTV、ディジタル 電話交換機など 千葉大学 9- 3 伝送路の特性 光ファイバー 同軸ケーブル 「伝送」という点では、最も優等生。光のパワーは、 約10Kmで半減。光が散乱する(ノイズ)、波長ごと に速度が異なる(波形が乱れる)、などの問題があ る。 シールドされているので、外部の電波、誘導に強い。 高い周波数ほど減衰率が高い。30年前までは長距 離伝送の花形だった。 ツイストペアケーブル 加入者電話線 空気中:電波 シールドされていないので、強い電波を拾ったり、静 電結合により他の回線から影響を受けやすい。高い 周波数ほど減衰率が高い。 周波数、使用するアンテナ、周囲の状況、などにより 伝送特性は千差万別。伝送特性が時間とともに大 きく変動する場合が多い。 千葉大学 9- 4 光ファイバー 約125nm 被覆材 約10 nm 光伝送では、後で述べる振幅 変調が用いられている。これは、 信号を光の強弱で表す方式。 クラッド コア 光ファイバテープ(8心) 0.3mm 光ファイバ 55mm 3000心光ケーブル 1000心光ケーブル 千葉大学 9- 5 光ファイバー 0.2~0.4dB/Kmの損失。即ち、2~4dB/10Km。3dBダウンで、光のパ ワーは半分。 1383nm帯のOH基の吸収を低減したシングルモ-ド光ファイバ。メトロネットワ-ク・D WDM/CWDM伝送用。光学特性は、FutureGuide -SM に準拠しております。 波長1,500nm 周波数は3 x 108 /(1.5 x 10-6 ) = 2 x 1014 Hz = 200THz 千葉大学 9- 6 同軸ケーブル 10dB=電力比で10倍 (電圧では3倍ちょっと) 20dB=電力比で100倍(電圧では10倍) 100dB=電力比で100億倍(電圧では10万倍) 特 特性およ 性 構 減衰量標準値 dB/km 造 1MH z 10MH z 30MHz 200MH z 4000MH z 内部導体構 成 および外径 mm 3D-2V 13 44 77 220 1400 7/0.32 5.5 48 5D-2V 7.3 26 46 125 760 1.4 7.5 90 8D-2V 4.8 17 30 85 600 7/0.8 11.5 200 10D-2V 3.6 14 24 65 490 2.9 13.7 280 20D-2V 1.9 6.6 13 41 400 6.0 26.1 970 び 構造 名称 仕上外 径 約mm 概算質 量 kg/km 千葉大学 9- 7 電話加入者線 プラスチック絶縁架空配線ケーブル(98%) (0.4 mm ~ 0.9 mm/ 10対 ~400対) NTT交換 ビル等 ブリッジタップ 架空配線 ユーザ宅 異種心線径 異種絶縁 アクセス点 き線点 ● ● マンホール 局内系設備 幹線系設備 ● 地下配線 ハンドホール ● マンホール 紙絶縁又はプラスチック絶縁幹線ケーブル (0.32 mm ~ 0.9 mm / 200対 ~ 3600対) 屋外線 プラスチック絶縁地下配線ケーブル(2%) (0.4 mm ~ 0.9 mm/ 100対~400対) 配線系設備 ユーザ系設備 平均ケーブル長:1.5 km 平均ケーブル長:0.7 km アクセス網 Copyright H.Naruse 千葉大学 9- 8 電話加入者線 ユニット(100対) NTT交換ビル等 固定配線 区画 (10*n対) き線点 地下ケーブル 架空 ケーブル 心線径が異なる場合が多い Copyright H.Naruse 千葉大学 9- 9 電話線(加入者線)の特性 出展: http://www.orixrentec.co.jp/t msite/know/know_adsl50.ht ml 出展: http://www.ese.yamanashi. ac.jp/~itoyo/lecture/networ k/network08/index08.htm 4Kmの線路の場合。 (山梨大学伊藤洋先生の ページより) 千葉大学 9- 10 FTTH FTTHの構成 GE-PON 光回線終端装置 ONU http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5% 85%89%E5%9B%9E%E7%B7% 9A%E7%B5%82%E7%AB%AF %E8%A3%85%E7%BD%AE http://www.ntt.co.jp/journal/0508/files/jn200508071.pdf 集合住宅でのFTTH(電話線も使う) https://flets.com/first/kouji/const_apartment_vdsl.html 千葉大学 9- 11 千葉大学 9- 12 静電結合 ペア線2 ペア線2を流れる信号 = 漏れてくる ペア線1 ペア線1を流れる信号 シールドされていないケーブルが束になっているとき、ある ケーブルと別のケーブルは、長い区間並行して走っている。 そのような場合、ケーブル間にはコンデンサが接続されている のと同じように動作する。このコンデンサを通じて、他のケーブ ルに流れている信号が別のケーブルに漏れてくる。 この影響は、周波数が高いほど激しい(コンデンサは周波数 が高いほど良く信号を通す)。 千葉大学 9- 13 電波を拾う = 長い銅線は、アンテナと同じように動作し、電波を拾う。ここで いう電波は、放送波や携帯電話など、目的を持って使われて いるものだけでなく、車のエンジンのイグニッションノイズ(発 火時に電波が発生する)、雷、などいろいろなものがある。こ れらは、伝送信号にとっては、「雑音」となる。 千葉大学 9- 14 電波伝搬 • 雑音 – 近隣の周波数帯を使う信号の帯域漏れ、雷、その他。 • フェージング – 電波が強くなったり弱くなったりすること。大気の状況で電波の強さが変化す る。移動通信の場合、短波通信の場合などには大きなフェージングが発生す る。 • マルチパス – 異なるパスを通った電波が重畳されること。位相と強度が異なる電波が足しあ わさされて届く。ビル街での通信など。 マルチパス 反射波 送信者 フェージングの例:電波の受信強度 が時間(移動)とともに変化する 直接波 受信者 電波の強度 直接波 反射波 時間 到着時間のずれ 波形が変化する 千葉大学 9- 15 伝送装置の役目 • 伝送装置は、送りたいディジタルデータを、伝送路 にあった形に変換し(これを「変調」といいます)、伝 送路に送り込む役割を持つ(送信側)。 • 伝送装置は、伝送路から受信した信号から元のディ ジタルデータを取り出す(これを復調といいます)役 割を持つ。 • 身近な伝送装置の例: – ADSLモデム:ディジタル信号を電話線で送れるように変 調、復調を行う。 – ONU(オプティカルネットワークユニット):光ファイバーを 使った光伝送と電気によるディジタル信号の間の変調、 復調を行う。 – 無線機:音声(これはアナログですね)やデータを電波とし て飛ばすことができる周波数帯域に変調する。また電波 を受信し、音声を復調する。携帯電話も無線機です。 千葉大学 9- 16 「伝送特性に合わせる」とは? • 伝送路を通る信号の周波数帯域 – 電波では、政府から割り当てられている周波数帯 域が決まっており、それを逸脱するような電波を 出してはいけない。 – 電話線では、音声帯域(4KHz以下)は使えない。 上限は1~数MHzまで。 – 加入者電話線では、1MHz以上の帯域は大きく 減衰している(長さにもよります) • 伝送路で発生する様々な雑音などの影響を 回避するようなしくみを持つこと。 千葉大学 9- 17 ディジタル伝送の原理 「シンボル」単位で伝送。 1シンボルは、通常1ビットから8ビット程度。 シンボルの速度を「シンボルレート」という。 シンボル周期:(シンボルレートの逆数) 時間 S1 S2 S3 S4 S5 S6 ・・・・・・・・・・・ 例:ディジタル信号3ビットを8つの信号レベルで表すとする。例えば、 000 -> 1.75 ボルト 001 -> 1.25 ボルト 010 -> 0.75 ボルト 011 -> 0.25 ボルト 100 -> -0.25 ボルト 101 -> -0.75 ボルト 110 -> -1.25 ボルト 111 -> -1.75 ボルト (1シンボル=3ビット) 電圧 1.75 1.25 0.75 0.25 -0.25 -0.75 -1.25 -1.75 S1 S2 S3 S4 t S5 S6 ・・・・・・・・・・・ 伝送速度は、シンボルレートとシンボルあたりのビット数の積 T 千葉大学 9- 18 復調 電圧 1.75 1.25 0.75 0.25 -0.25 -0.75 -1.25 -1.75 ディジタルデータ復元のためのしきい値 T 測定 測定 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 受信側では、パルスのちょうど中間のあたりで電圧を測定 し(減衰分を考慮する必要あり)、しきい値と比較し、元の ディジタル信号を復元する。 一般に、一シンボルあたりのビット数が多くなると雑音や フェージングに弱くなる(伝送誤りがおきやすくなる) 千葉大学 9- 19 ディジタルデータ伝送の品質尺度 • 伝送速度 – 一秒間あたりのビット数 • ビットエラー率(BER) – 1ビットのエラーが発生する割合。例えば、1M ビットに1ビット程度エラーが発生するなら、BER は10-6 • 伝送遅延 – 送信から受信までの時間差 千葉大学 9- 20 ビットエラーを減らす工夫 電圧 1.75 1.25 0.75 0.25 -0.25 -0.75 -1.25 -1.75 エラー! 送信信号 受信信号(波形が雑音などで乱れる) T 1.75V 1.25V 0.75V 0.25V -0.25V -0.75V -1.25V -1.75V = 000 = 001 = 010 = 011 = 100 = 101 = 110 = 111 雑音などの 影響で、判定 を1段階間違 えると2ビット、 あるいは、3 ビット誤りが 生じる 1.75V 1.25V 0.75V 0.25V -0.25V -0.75V -1.25V -1.75V = 100 = 101 = 111 = 110 = 010 = 011 = 001 = 000 この割り当てなら、 判定を一段階間違 えても、エラーは1 ビットにとどまる データと電圧の対応関係を変えることで、エラーがおきるビットを最小限にとどめる 千葉大学 9- 21 誤り訂正符号(フォワードエラーコレクション:FEC) (誤り訂正符号に関する本格的な学習は、最低でも1学期分の講義が必要) 伝送するディジタルデータを入力(固定長:239ビットや493ビットなど) 誤り訂正用符号を付加(16ビットや8ビットなどが多い) BCH,RSなどと呼ばれる方式がある 合計255ビットや511ビットになる 伝送(ビット誤りがおきる) ある演算をすると、誤りが発生しているビット位置を計算できる 誤りが発生しているビットを反転 エラーを訂正し、出力する 誤り訂正用符号はもちろん除去する 千葉大学 9- 22 伝送に用いる周波数帯域 • 伝送路によって、利用可能な周波数帯域が 異なる。 – 例えば、ADSLの場合、電話(300Hz~3.4KHz)と 重ならないような帯域を選ぶ必要がある。 – ADSLは電話線が用いられる。電話線は2芯であ るので、上り用と下り用に異なる周波数帯域を用 いる。 – 電波は、許可された帯域のみ使用可能。許可さ れた帯域以外に周波数成分が広がるのは厳に 禁止されている。 • 占有周波数帯域の制限は重要! 千葉大学 9- 23 デジタル伝送の工夫(周波数帯域の制限) • 一シンボルをひとつの矩形パルスで送る場合、その周波数 成分は下の図のようになる。これでは、高い周波数成分が無 限に尾を引き、帯域制限が厳しい伝送路では使えない。 • パルスを「なだらかに」すると、高周波成分が減るが、シンボ ル間で干渉が起こる(シンボルの復号に誤りが生じる)。 • 周波数成分が帯域制限され、かつ、シンボル間干渉が出な いようなパルスが必要。 高い周波数まで成分がある (他の信号に影響を与える場合がある) 1.5 f(t) 1.25 F(f) フーリエ変換 1 1 0.75 0.75 0.5 0.5 0.25 0.25 -1 -0.5 パルス一個分 t 0.5 1 -10 -5 5 10 f パルス一個分のフーリエ変換 千葉大学 9- 24 ナイキストパルス 1.5 F(f) f(t) 1.25 逆フーリエ変換 1 1 0.75 0.75 0.5 ….. 0.5 0.25 -1 周期T毎に0となる f -0.5 0.5 W/2 -W/2 帯域制限された信号 の周波数特性 0.25 t 1 -10 T=1/W -5 5 無限の過去から無限の未来へ続く信号 (標本化定理で出てきた「標本化関数」です) 上記のパルスは、主パルス の前後の振動が長く続くとい う欠点はあるが、周期T毎に 0となるので、重ねあわせた ときに都合が良い 1 0.75 0.5 0.25 -10 -5 5 10 10 千葉大学 9- 25 ナイキストパルス (1 a ) 0 , f W 2 1 1 W (1 a ) (1 a ) F ( f ) (1 sin( ( f ))), W f W aW 2 2 2 2 (1 a ) 1, f W 2 ナイキストパルスは、周期T毎に0となり、かつ、振動の尾の部分の振 幅が小さい、という特徴を持つ。占有周波数帯域は、(1+a)Wとなる(標 本化関数の場合は、W)。aが小さいと尾の部分の振幅が大きくなるが 占有周波数帯域は狭くなり、aが大きいと尾の部分の振幅は小さくなる が、占有周波数帯域は広がる。通常は、0.1<a<0.8程度。 占有帯域幅 F(f) F(f) 1 1 1 0.8 0.8 0.8 0.8 0.6 0.6 0.6 0.6 0.4 0.4 0.4 0.4 0.2 -1.5 -1 -0.5 F(f) F(f) 1 0.2 f 0.5 a = 0.1 1 1.5 -1.5 -1 -0.5 0.2 f 0.5 a = 0.3 1 1.5 -1.5 -1 -0.5 0.5 a = 0.5 1 f 1.5 0.2 -1.5 -1 -0.5 f 0.5 a = 0.8 1 1.5 千葉大学 9- 26 ナイキストパルスの逆フーリエ変換 (1 a) 0 , f W 2 1 1 W (1 a) (1 a) F ( f ) (1 sin( ( f ))), W f W 2 aW 2 2 2 (1 a) 1, f W 2 f (t ) j 2ft F ( f )e df (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 1 j 2ft e df 2 (1 a ) W 2 1 W (1 sin( ( f )))e j 2ft df 2 aW 2 (1 a ) W 2 e (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 j 2ft 1 j 2ft 1 e e df 2 2 j 2t (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 j 2ft df (1 a ) W 2 1 1 W (1 sin( ( f )))e j 2ft df 2 aW 2 j 2ft e df (1 a ) W 2 e j 2ftの項のみ以下で計算 e j 2ft j 2t (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 j 2ft 1 e 2 j 2t (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 1 e jt (1 a )W e jt (1 a )W 2e jt (1 a )W 2e jt (1 a )W e jt (1 a )W e jt (1 a )W 2 j 2t 1 e jt (1 a )W e jt (1 a )W e jt (1 a )W e jt (1 a )W 1 sin( (1 a)Wt ) sin( (1 a)Wt ) sin(Wt ) cos(aWt ) t t 2 j 2t 2 千葉大学 9- 27 ナイキストパルスの逆フーリエ変換 残りの項の計算 1 2 sin( (1 a ) W 2 1 2 (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 aW (f W 1 1 W ))e j 2ft df sin( ( f ))e j 2ft df 2 2 (1 a ) aW 2 2 (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 sin( aW W (f 2項目でf fとおく W ))(e j 2ft e j 2ft )df 2 (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 sin( aW (f W )) cos( j 2ft )df 2 W W cos( ( f ) 2ft ) cos( ( f ) 2ft ) 1 W W 1 aW 2 aW 2 sin( ( f ) 2ft ) sin( ( f ) 2f )df 1 1 2 (1 a ) aW 2 aW 2 2 ( 2t ) ( 2t ) W 2 aW aW (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 (1 a ) W 2 (1 a ) (1 a ) (1 a ) (1 a ) cos( 2 ( W )t ) cos( 2 ( W )t ) cos( 2 ( W )t ) cos( 2 ( W )t ) 1 2 2 2 2 2 2 2 2 ) ( ) 1 1 1 1 2 ( 2t ) ( 2t ) ( 2t ) ( 2t ) aW aW aW aW 1 sin( (1 a )Wt ) sin( (1 a )Wt ) sin( (1 a )Wt ) sin( (1 a )Wt ) sin(Wt ) cos(aWt ) sin(Wt ) cos(aWt ) ( ) 1 1 1 1 2 ( 2t ) ( 2t ) ( 2t ) ( 2t ) aW aW aW aW 1 1 ( 2t ) sin(Wt ) cos(aWt ) ( 2t ) sin(Wt ) cos(aWt ) 4ta 2W 2 sin(Wt ) cos(aWt ) aW aW 1 1 (1 4a 2W 2 t 2 ) ( 2t )( 2t ) aW aW 1 ( 2 千葉大学 9- 28 ナイキストパルスの逆フーリエ変換 sin(Wt ) cos(aWt ) 4ta 2W 2 sin(Wt ) cos(aWt ) f (t ) 2 2 2 t (1 4a W t ) (1 4a 2W 2 t 2 ) sin(Wt ) cos(aWt ) 4t 2 a 2W 2 sin(Wt ) sin(aWt ) 2 2 2 t (1 4a W t ) sin(Wt ) cos(aWt ) sin(Wt ) cos(aWt ) 2 2 2 t t (1 4a W t ) (1 4a 2W 2 t 2 ) ナイキストパルスの波形 1 -10 1 1 0.75 0.75 0.75 0.5 0.5 0.5 0.25 0.25 0.25 -5 5 a=0.0 10 -10 -5 5 a=0.1 10 -10 -5 5 a=0.3 10 -10 -5 1 1 0.8 0.8 0.6 0.6 0.4 0.4 0.2 0.2 5 a=0.5 10 -10 -5 5 a=0.8 10 千葉大学 9- 29 矩形パルスとナイキストパルス 4 'np_out2.dat' 'np_out1.dat' 3 2 1 0 -1 -2 -3 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 a=0.0の場合。パルスの中心では値が一致する。 0.14 0.16 0.18 千葉大学 9- 30 振幅変調(AMラジオの方式) x(t ) 送りたい信号 g (t ) 実際に送る信号(例え ば電波) g (t ) Ax(t ) cos(2f ct ) x(t ) cos(2f s t ) とすると g (t ) A cos(2f s t ) cos(2f ct ) A A cos(2 ( f c f s )t ) cos(2 ( f c f s )t ) 2 2 fcを搬送波(あるいはキャリヤ)という。通常は、原信号周波数 fs << fc G(f) 入力信号が 単純なコサ イン波の場 合 G(f) 振幅変調 A A/2 0 fs 0 f f fc-fs fc 入力信号が W以下の帯 域に制限さ れている信 号 G(f) 0 W 振幅変調 f fc+fs G(f) 0 f fc-W fc fc+W 千葉大学 9- 31 振幅変調の復調 変調波 g (t ) Ax(t ) cos(2f c t ) 変調波とキャリヤの積 を計算する 1 cos(4f c t ) Ax(t ) Ax(t ) cos(4f c t ) g (t ) cos(2f c t ) Ax(t ) cos2 (2f c t ) Ax(t )( ) 2 2 2 第2項は、ほぼキャリヤの 倍の周波数成分を持つ。これを低域通過型フ ィルタ ( LP F)でカットすると、元 の x(t )が得られる。 g(t) g(t) x(t) 伝送路(電波やケーブル) 周波数 fc のコサイン波(キャリヤ) 振幅変調 周波数 fc LPF x(t) のコサイン波(キャリヤ) 振幅復調(普通は、「検波」という) 千葉大学 9- 32 振幅変調の種類 サイドバンド キャリヤ 一般的な振幅変調では、キャリヤ成分も同 時に伝送する。これで復調に必要なキャリ ヤ周波数を、受信信号から抽出できる。 G(f) 0 f fc-W fc キャリヤ成分が受信側でかなり正確に再現 可能な場合では、キャリヤと片方のサイドバ ンドを(フィルタなどで)カットし、ひとつのサイ ドバンドのみ送る方法もある(SSB)。 G(f) 0 f fc-W fc かつて行われていた電話信号 の長距離伝送多重化方式では、 キャリアを4KHz毎にたて、音声 信号を多重化していた(同軸 ケーブルで伝送する)。 fc+W fc+W 1チャンネル分の音声信号 ・・・・・・・・・・・・・・ f fc1 fc2 fc3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・fcn 4KHz毎に音声チャンネルを多重化する 千葉大学 9- 33 効率の良いディジタル伝送 • ディジタルデータの伝送では、使用するパルスの周期で、シンボルレートが決まる。 – 先ほど、ナイキストパルスのところで説明しました。 – 細いパルス → シンボルレートが高い → ビットレートがあがる→ 周波数帯域大 – 逆に言うと、使用する周波数帯域を決めると、最大のシンボルレートが決まる • 勘違い? – 下記の信号はASK(Amplitude Shift Keying)と呼ばれるディジタル変調方式の一つで ある。キャリヤ信号があるときが1でないときが0である。このような信号の場合、使用 する周波数帯域は、キャリヤの周波数だけだから、使用する周波数帯域は狭い、と思う のは大間違い。下図の不連続な部分はかなり広範囲な帯域の成分を持つ。 • では、シンボルあたりのビット数を増やす工夫は? – 複数のビットをまとめて多値を割り当てる方法。 – 直交する2つのキャリヤを使う方法(QAM)。 不連続 1 0 1 0 1 1 千葉大学 9- 34 直交する二つのキャリヤとは? x(t) Cos(2πfct) g(t) y(t) Sin(2πfct) 「直交する2つのキャリヤ」、即ち、90度位相が異 なるサイン波(サイン波とコサイン波の関係) この方式では、x(t)とy(t)の2つの信号を一度に変調できる。しかし、 x(t)とy(t)をうまく取り出す(復調する)ことができるのか? 千葉大学 9- 35 直交変調 g (t ) Ax(t ) cos(2f ct ) y(t ) sin(2f ct ) A x 2 (t ) y 2 (t ) sin(2f ct (t )), ここで sin( (t )) y(t ) x (t ) y (t ) 2 2 cos( (t )) x(t ) x (t ) y (t ) 2 2 上式から分かるように、直交変調は、キャリヤの振幅と位相の 変化を信号として伝える方式である。 ディジタル伝送に本方式を用いるときは、Quadrature Amplitude Modulation(QAM)と呼ぶ。 千葉大学 9- 36 QAM (Quadrature Amplitude Modulation) g (t ) Ax(t ) cos(2f c t ) y (t ) sin(2f c t ) 1 cos(4f c t ) 0 sin(4f c t ) g (t ) cos(2f c t ) Ax(t )( ) Ay(t )( ) 2 2 Ax(t ) Ax(t ) cos(4f c t ) Ay(t ) sin(4f c t ) 2 2 2 0 sin(4f c t ) 1 cos(4f c t ) g (t ) sin(2f c t ) Ax(t )( ) Ay(t )( ) 2 2 Ay(t ) Ax(t ) sin(4f c t ) Ay(t ) cos(4f c t ) 2 2 2 このように、変調信号g(t)にそれぞれ直交する搬送波を掛け算し、 LPFをかけると元の信号が取り出せる。この方式は、アナログTV の色差信号を変調するためにも用いられている。 千葉大学 9- 37 QAM x(t) LPF Cos(2πfct) Cos(2πfct) g(t) キャリヤ発信器 キャリヤ発信器 Sin(2πfct) x(t) 伝送路 90度移相器 Sin(2πfct) 90度移相器 y(t) y(t) LPF 受信側 送信側 QAMには、4QAM(QPSK)、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAMなどがある 001 00101001010010 6ビット/ シンボル FECの出力 3ビットずつ に分ける 010 3ビットから8レベ ルへの符号化 ナイキストパ ルスを使う x(t) g(t) 64QAM 3ビットから8レベ ルへの符号化 ナイキストパ ルスを使う QAM y(t) 千葉大学 9- 38 QAMの応用:ADSLの構成 4KHz以下の成分(電話音声) 音声信号(電話) メタリックケーブル 交換機 スプリッタ ルータ xDSL (1対または2対) 4KHz以上の成分 (データ) スプリッタ xDSL ディジタルデータ信号 電話局 ユーザー宅 1対(2本)または2対(4本)のメタリック線(ツイストペア線)を用い、 下り:数Mbit/s程度 上り:数百kbit/s程度 のビットレートでディジタルデータを伝送するシステム スプリッタ:4KHzを境に、それ以上とそれ以下の信号に分ける装置 千葉大学 9- 39 ADSL伝送路の阻害要因 高周波域での損失 が大きくなる 漏話雑音 インパルス性雑音 網構成の影響 既存サービスの影響 ・TCM-ISDN ・HDSL ・ADSL(G.lite) ・ディジタル専用線(DDX) 64kbps,12.8kbps,6.4kbps,3.2kbps ・アナログ電話回線 ダイヤルパルス、リンギング等 通信路が長い 線路損失 時々断 ブリッジタップ 異種心線 0.4mm 0.32mm 手ひねり接続 メタリックケーブル 千葉大学 9- 40 QAMの応用(ADSL) DMT変調方式 上り信号 下り信号 振幅 電話信号 (Discrete Multitone modulation) 0 • • • • • • 4 25 138 周波数【kHz】 1104 さらに、ダブルスペクトラム方式:26k2.208MHz、クワッドスペクトラム方式:26k3.75MHzとして下り通信速度向上 多くのQAMを同時に用いる(多数のチャンネル) 4.3125KHz間隔のサブキャリアを用いる 個々のQAMは帯域幅が狭く、通信する情報量も少ない 雑音や高域減衰のためエラー率が高いチャンネルは使わない(自動判別) サブキャリアごとに発信器を持たず、フーリエ変換で波形を合成 ITU-Tで国際標準化 *図中の帯域はG.992.1(G.dmt、8Mbps)の場合 Copyright Naruse 千葉大学 9- 41 信号の多重化(FDM、TDM、CDM) f 利用できる周波数帯域 f 複数のチャンネルに分割して利用する (チャンネルごとに別の周波数帯域を割り当てる) Frequency Division Multiplexing 千葉大学 9- 42 信号の多重化(FDM、TDM、CDM) Time Division Multiplexing f 利用できる周波数帯域 利用できる周波数 帯域をいっぱいに 使ってディジタル伝 送を行う t チャンネル1 チャンネル1 チャンネル2 チャンネル2 チャンネル3 チャンネル4 ビットごと、あるいは、パケッ ト単位で多重する t チャンネル3 チャンネル4 千葉大学 9- 43 信号の多重化(FDM、TDM、CDM) • 4チャンネルの多重化の場合、下図の様な直 交するCDM符号を用意する – 各符号の内積は0となる。 符号3 符号2 符号1 符号4 +1 +1 +1 +1 -1 -1 -1 -1 1,1,1,1 例えば、 1,1,-1,-1 と -1,1,1,-1 -1,1,-1,1 の内積は、 (1,1,-1-1)・(-1,1,1,-1) = -1 + 1 - 1 +1 = 0 Code Division Multiplexing 千葉大学 9- 44 信号の多重化(FDM、TDM、CDM) 各チャンネルの1ビットごとに、CDM符号を発生させる。CDM 符号は、入力ビットが1のときはそのまま、0の時は信号の符 号を反転させる チャンネル1 チャンネル1 チャンネル2 チャンネル2 伝送 チャンネル3 チャンネル4 チャンネル3 加算する 1ビット入力 1ならそのまま、0なら反転 チャンネル4 内積を計算 1ビット出力 千葉大学 9- 45 信号の多重化(FDM、TDM、CDM) 3ビット分の例 1 1 -1 チャンネル1 (1,1,0) -1 -1 1 -1 1 -1 1 -1 送信側 チャンネル2 (0,0,1) チャンネル3 (0,1,0) -1 チャンネル4 (1,0,0) 加算 伝送 千葉大学 9- 46 信号の多重化(FDM、TDM、CDM) 受信側 内積計算 4 4 -4 (1,1,0) -4 -4 4 (0,0,1) -4 4 -4 (0,1,0) 4 -4 -4 (1,0,0) 4で割り、1→1、-1 → 0と すれば元の信号になる 千葉大学 9- 47 携帯電話の多重化方式 • 上りと下りをどう分けるか? • 複数の携帯電話にどう信号を割り振るか? 方式 上りと下り 複数の端末 第二世代 周波数 周波数と時間 PHS 時間 周波数と時間 第3世代 時間 (CDMA2000) 第3.9世代(LTE) 時間 CDM OFDM
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