確率編

確率と統計2007
- 確率編平成19年10月25日(木)
確率と統計2007
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今日から「確率」の話しをします。
高校までの「確率」の知識は必要ありません。
この授業で「確率」の基礎を身に付けましょう。
でも、とても難しい話も少しりますが、そこは
聞いているだけでもいいです。わかる人だけ
理解してください。
確率と統計2007確率と統計2006
ある質問
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イタリアのある貴族がGalileo(1564-1642)
にこう尋ねた。「3つのサイコロを投げると
き、その目の和が9になる場合と、10にな
る場合の数は等しいと思っているので、そ
のどちらに賭けても同じであると気にしな
かったが、実際には10になる方が少し多く
感じられるのはどうしたことか?」
Galileoに代りあなたは答えられますか?
確率と統計2007確率と統計2006
それでは本題に入りましょう。
確率と統計2007確率と統計2006
不規則現象
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例:
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サイコロ投げの結果
コイン投げの結果
明日の天気
測定誤差
雑音
手書き文字・発話音声
確率と統計2007確率と統計2006
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確率はこのような不規則現象(偶然現象)
を取り扱う、数学の1分野である。
以下では、まず確率の基本用語を定義す
る。
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用語の定義
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試行 (trial)
標本点 ω (sample)
標本空間 Ω (sample space)
事象 E (event)
単一事象 (simple event)
複合事象 (composite even)
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試行
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実験や観測において、繰り返えされる行為
のこと。
例えば、コイン投げで、
「表が出たか裏が出たかを調べる」
行為。
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標本点ω
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試行により起こる結果のこと。
例えば,コイン投げでは、
「表が出る」 とか
「裏が出る」
といった試行の各結果のこと。
<注>標本点を根元事象と呼ぶこともある。
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標本空間Ω
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すべての標本点からなる集合のこと。
例えば、コイン投げでは、
{ H, T }
ただし、
H: 表が出る
T: 裏が出る
を表す。
確率と統計2007確率と統計2006
まず、ここまでのことを例題で確認しよう。
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例題1 サイコロ投げ
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試行: サイコロを投げ、出る目を記録する。
標本点:
1の目が出る (①と記す)
2の目が出る (②と記す)
3の目が出る (③と記す)
4の目が出る (④と記す)
5の目が出る (⑤と記す)
6の目が出る (⑥と記す)
標本空間: Ω={ ①, ②, ③, ④, ⑤, ⑥ }
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例題2 2個のコイン投げ
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試行: コイン2個を同時に投げ、出る面を記
録する。
標本点:
「表が出る 」をH、「裏が出る」をTと記すと、
HH, HT, TH, TT
標本空間: Ω={ HH, HT, TH, TT }
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例題3 くじ引き
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設定: 当たり1枚、はずれ2枚
試行: くじを1枚引く
標本点: A, H1, H2
A: 当たりくじ
H1, H2: はずれくじ
標本空間: Ω={ A, H1, H2 }
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例題4 じゃんけん
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設定:2人、1回勝負
試行:じゃんけんをし、それぞれが何を出した
かを記録する。
標本点: (G, G), (G, C), (G, P),
(C, G), (C, C), (C, P),
(P, G), (P, C), (P, P)
標本空間Ω={ (G, G), (G, C), (G, P),(C, G),
(C, C), (C, P), (P, G), (P, C), (P, P) }
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例題5 2個のサイコロ投げ
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試行:
標本点:
標本空間:
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例題6 壺からの球の取出し(1)
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設定:赤球2個、白球1個、1個を取り出す。
試行:球を1個取り出し、球の色を記録する。
標本点:①, ②, ①
標本空間Ω={ ①, ②, ① }
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例題7 壺からの球の取出し(2)
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設定:赤球2個、白球1個。2個を同時に取り
出す。
試行:球を2個取り出し、球の色を記録する。
標本点:{①, ②}, {①, ①}, {②,①}
標本空間
Ω={ {①, ②}, {①, ①}, {②,①} }
確率と統計2007確率と統計2006
用語の定義(2)
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試行 (trial)
標本点 ω (sample)
標本空間 Ω (sample space)
事象 E (event)
単一事象 (simple event)
複合事象 (composite even)
確率と統計2007確率と統計2006
用語の定義
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試行 (trial)
標本点 ω (sample)
標本空間 Ω (sample space)
事象 E (event)
単一事象 (simple event)
複合事象 (composite even)
確率と統計2007確率と統計2006
事象
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標本空間Ωの部分集合のこと。
例えば、コイン投げでは、
{H}, {T}, {H, T}
などはすべて事象である。
{H}は「表が出る出来事」と解釈でき、
{H,T}は「表が出るか裏が出る出来事」と
解釈できる。
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単一事象と複合事象
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単一事象:要素が1個の事象
複合事象:要素が2個以上の事象
例えば、Ω={HH, HT, TH, TT}に対して、
単一事象: {HH}, {HT}, {TH}, {TT}
複合事象: {HH,HT}, {HH,TH}, {HH,TT},
{HT,TH}, {HT,TT}, {TH,TT},
{HH,HT,TH},{HH,HT,TT},{HH,TH,TT}, HT,TH,TT}
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ここまでのことをまとめると…
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例題8 コイン投げ
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標本空間Ω={H, T}
事象の集合F={φ, {H}, {T}, Ω}
{H}: 単一事象
{T}: 単一事象
φ: 空事象
Ω: 全事象
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例題9 2個のコイン投げ
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Ω={HH, HT, TH, TT}
F={φ, {HH}, {HT}, {TH}, {TT},
{HH, HT}, {HH, TH}, {HH, TT},
{HT, TH}, {HT, TT}, {TH, TT},
{HH, HT, TH}, {HH, HT, TT},
{HH, TH, TT}, {HT, TH, TT}, Ω}
確率と統計2007確率と統計2006
例題9 2個のコイン投げ

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Ω={HH, HT, TH, TT}
F={φ, {HH}, {HT}, {TH}, {TT},
{HH, HT}, {HH, TH}, {HH, TT},
{HT, TH}, {HT, TT}, {TH, TT},
{HH, HT, TH}, {HH, HT, TT},
{HH, TH, TT}, {HT, TH, TT}, Ω}
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ここまで準備ができれば後は簡単。
確率を定義しよう!
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確率の定義
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ある試行で起こりうる単一事象の総数(標
本点の個数と同じ)がNで、これらの単一
事象がすべて同じ確からしさ(蓋然性)で
起こるものとする。このとき、ある事象Aがn
個の単一事象からなるならば、その事象A
の起こる確率は、
P(A) = n / N
である。
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確率の定義(2)
P(A)=#A / #Ω
ただし、#Sとは集合Sの要素の個数を表す。
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例題10 サイコロ投げ
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Ω={ ①, ②, ③, ④, ⑤, ⑥ }
1の目が出る確率:
P({①}) = #{①} / #Ω = 1 / 6
奇数の目が出る確率:
P({①,③,⑤}) = #{①,③,⑤} / #Ω
= 3 / 6 = 1 /2
5以上の目が出る確率:
P({⑤,⑥}) = 2 / 6 = 1 / 3
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例題10 サイコロ投げ(2)
⑤
①
③
⑥
②
④
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例題11
確率と統計2007確率と統計2006
自由研究 Galileo問題
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3個のサイコロを投げるとき、その目の和
をTとする。このとき、
P(T=10) = P(T=9) ?
P(T=10) < P(T=9) ?
P(T=10) > P(T=9) ?
実際にサイコロを投げて調べてみよう。
(理論値は次週説明します。)
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