平成17年度 卒業論文発表資料 ゼロエミッションをめざした 産業ネットワークの形成に関する研究 流通情報工学課程 2002744 諸岡 祐一 1 研究の背景 「大量生産、大量消費、大量廃棄」 の社会システム 地球資源の枯渇化 埋立地の残存容量の懸念 2 産業廃棄物の排出量 (百万t) 500 廃 400 棄 物 300 排 200 出 量 100 0 近年は横ばい状態 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 有限である環境資源、埋立地の減少などで深刻な状況 廃棄物削減の対策=ゼロエミッション 3 研究目的 産業ネットワーク形成の視点から、ゼロエ ミッションを検討する。 産業間のフロー量、再資源化フローについ て検討する。 産業ネットワークのモデル図を示し、廃棄 物削減における現状からのフローの変化 について分析する。 4 ゼロエミッションの概要 廃棄物を再資源化し、社会全体で循環させるこ とにより、最終的に廃棄物ゼロを目指す。 ⇒廃棄物削減 資源を有効利用することで、自然環境から新規 の原材料(マージン原材料)を採取する量を抑制 する。 ⇒地球資源の保全 ある産業の廃棄を別の産業の原材料として再資 源化することによる有効利用。 ⇒産業ネットワーク 5 産業ネットワークの検討点 他産業からの調達(インプット)、他産業へ の生産(アウトプット)を明らかにすることで、 産業間のフローについて検討する。 発生した廃棄物について、「どこから」、「ど こへ」、「どれくらい」といった再資源化の詳 細を検討する。 6 産業ネットワークの構成要素 産業(ノード) ⇒排出産業廃棄物の多い10産業を選択。 産業 フロー(リンク) A フロー 最終需要 産業Cの 産業 産業 最終需要 B C 廃棄量 再資源化量 再資源化 産業Cの 廃棄 7 産業ネットワークの定式化 目的関数(最終廃棄物量) i min ← ( zi yk , j si , j ) i ( k , j )Wi j 排出廃棄物量 再資源化量 過剰生産量 ⇒最終的に発生する廃棄物量を最小にする。 制約条件 ⇒各産業は、最終需要を満たす生産活動を行う。 ⇒再資源化できる量、及びそのフローを制限。 8 使用するパラメーター 産業連関表 ⇒産業間のキャッシュフロー、最終需要額を利用 する。 ⇒投入係数(ある産業の単位生産における他産 業の必要生産量) 原単位データブック ⇒産業連関表の円単位からエネルギー量(J)に変 換。 廃棄物産業連関表 ⇒廃棄物の再資源化率を設定。 9 最適化の結果 排出廃棄物量:1,378,250GJ 再資源化 最終廃棄物量(目的関数):901,808GJ ⇒排出廃棄物量の約34.6%を削減 再資源化量 :580,479GJ ⇒排出廃棄物量の約42.1%の再資源化 10 最適化の結果2(再資源化量) 産業 フロー (アウトプット産業→インプット産業) 再資源化量 [GJ] 51602 効果的な再資 源化 2060 01 農林水産業 食料品→食料品 02 鉱業 窯業・土石製品→建設 03 食料品 食料品→食料品 04 パルプ・紙製品 パルプ・紙製品→パルプ・紙製品 9561 05 化学製品 化学製品→化学製品 7778 06 窯業・土石製品 建設→電気・ガス・熱供給・水道 3118 07 鉄鋼・金属 機械→機械 9970 08 機械 機械→機械 328869 09 建設 機械→機械 476 電気・ガス→電気・ガス 10 電気・ガス・熱 供給・水道 226 12973 現状では、同一産業間での再資源化が多い。 11 産業ネットワークモデル図 38.5% 電気 農 林 8.6% 0.3% 鉱 業 フロー 46.4% 50以上 食料 建 設 40~50 43.1% 21.9% フロー量削減 率(%) 30~40 パル プ 機 械 14.9% 鉄 鋼 14.0% 化 学 土 石 総合として 21.4%の削減 17.0% 20.1% 特に食料、建設、電気・ガス業において生産量の変化が 見られる。 12 まとめ ゼロエミッションを推進することで、廃棄物の 発生量についてその削減効果を定量的に示 すことでその効果を実証できた。 定式化された産業ネットワークの最適化に よって、効率的な再資源化の産業間フロー を示すと同時に、産業ネットワークにおける フロー量の削減についてモデル図を示すこ とで部分的な変化を検討することができた。 13 ご清聴ありがとうございました。 14
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