スライド 1

外国研究・国際関係研究における経済要因の重要性増大
<第二次世界大戦後の冷戦時代>
「国際関係論」の関心は国家の「安全保障問題」に集中。
<冷戦後>
①多極化(世界全体を巻き込む大きな東西対立の枠組みが消滅)。
②西側陣営を束ねてきた国際経済体制(ブレトンウッズ体制)の秩序
安定能力の弱体化。
③急速な経済のグローバル化(物・人・資本、知識等の世界標準化)
経済問題が安全保障問題と並ぶ重要な国際的問題。
<東西問題から南北問題へ>
一見、イラク戦争やテロとの戦いは安全保障問題に見えるが、そ
の奥には経済的要因が浮かんでくる(南北問題。貧富の格差。石油
への利権)。
正しい経済学的視点の必要性(国際経済学Ⅰ・Ⅱ、国際政治経済論Ⅰ)。
グローバリゼーションとは?
市場化の徹底(世界共通市場化)あたりはコンセンサス。
①技術発展:特に交通、情報、通信
②組織的革新(多国籍企業)
③貿易、金融の自由化
主に
の3つのプロセスの結果で起きている,
金融的
経済的
政治的
な世界規模の相互結合のプロセス
社会的
文化的
一般に経済危機(1973、1990年代後半以降)、共産主義の崩壊(1989)、
文化的問題(西欧とアジア、アフリカ)、貧富の差の拡大のコンテキストで
語られる。(1970年代初期から始まったとの認識)
市場経済の基本原理(メカニズム)とその問題
点
<経済学の基本原理(市
場経済の基本原理)>
「個々人が己のほっする
ところに従って行動してい
たとしても、また行動して
こそ社会的に望ましい状
態が達成される。」
①社会的に望ましいとは
効率的・資源の無駄がな
いという意味のみで、それ
以外のこと(貧富の格差)
は無視されている。
②
現代の経済学
市場経済の基本原理
合理的行動
自発的行動の原則
価値の序列とグローバリゼーション
文化的価値
(思想・価値観・雰囲気)
政治的価値
(政治システム)
経済的価値
(経済システム)
その社会は何を大切にしているか:人
の尊厳。男女差別。若い人、老人。人
種。西欧人にとってのアジア人。…
その大切なものをどのように社会
として意志決定するか:独裁、民主
主義、…
限られた資源でこの意志決定されたも
のを社会が経常的にどう実現するか:
市場経済システム(資本主義経済シス
テム)、計画経済システム、…
世界人口60億のうち、半数に近い28億
人が1日2ドル以下、5分の1にあたる
12億人が1日1ドル以下の生活。
世界の貧しい人々
絶対貧困者数の多い国
52.5%(1日1$)
86.2%(1日2$)
3億5千万人
8億5千万人
中国
29.4%(1日1$)
53.7%(1日2$)
3億5千万人
6億7千万人
バングラディッ
シュ
48.0%(国別)
77.8%(1日2$)
6千万人
1億1千万人
パキスタン
34.0%(国別)
84.7%(1日2$)
5千万人
1億1千万人
(ザンビア)
86.0%(国別)
91.7%(1日2$)
8百万人
9百万人
インド
61
世界の経済格差
30
GDP1997(1991)
富裕1/5:86(84)%
貧困1/5:1(1.4)%
74倍
1960
1991
1997
乳幼児死亡率(1000人あたり)
by 2003HDR(2001),
シエラレオネ
182
カンボジア 97
フィリピン
29
アフガニスタ
ン
165
パキスタン 84
タイ
24
ニジュール
156
ケニア
78
メキシコ
24
ザンビア
112
インド
67
アメリカ
7
ナイジェリア
110
51
バングラ
ディッシュ
31
ブラジル
日本
3
全世界
56
イラク(1990,40) 107
5歳未満児の死亡率の高い上位6カ国
(1000人中、2001)
シエラレ 316
オネ
リベリア 239
ニジェー 265
ル
マリ
アンゴラ 260
後発開発 160
途上国
先進工業 7
国
アフガニ 257
スタン
231
平均寿命
国
1992 1997 2001 国
1992 1997 2001
アフガニスタン 43.4 45.5 43.1 ニジュール 47.5 48.5 45.6
ウガンダ 43.9 39.6 44.7 ベナン 47.7 53.4 50.9
シエラレオネ 44.0 37.2 34.5 ソマリア
48.0 47.0 47.9
44.4 46.5 48.5 ルワンダ 48.1 40.5 38.2
ギニア
44.5 45.0 45.6 エチオピア 48.1 43.3 45.7
マラウイ 45.3 39.3 38.5 モザンビーク 48.2 45.2 39.2
ザンビア 46.2 40.1 33.4 ジンバブエ 56.1 44.1 40.0
47.0 53.3 48.4 日本
78.6 80.0 81.3
マリ
ギニアビサオ
アンゴラ
47.4 46.5 40.2 先進国
74.6 77.7 78.1
By HDR(1994, 1999,2003)
貧困問題の見方
①経済成長さえすればいずれ貧困は解消される
トリックルダウン
by先進国政府開発援助、国際機関
<1950-60年代> しかし。。。
②貧困削減、開発プロジェクト (上からの見方)
by先進国政府開発援助、国際機関、国際NGO
<1970年代以降> しかし。。。
③貧困者自身の歩みの発展(下からの見方)
貧困者のスペース拡大とPeople’s Processの発展
<1980年代以降。しかし知られていない。将来へ。>
3 機関の都市貧困削減及び都市インフラへの融資の割合
-世界銀行・アジア開発銀行・OECF(JBIC)-
(1)都市における貧困削減プログラムへの融資の割合
1981-83 1984-86 1987-89 1990-92 1993-95 1996-98 All year
WB
7.0(1.9)
8.6(2.6)
8.4(3.2) 12.2(1.9) 15.9(1.9) 15.4(2.2) 11.3(2.3)
ADB
7.7(1.9) 10.9(3.6)
6.7(0.4)
3.6(0.1)
6.1(0.8) 11.8(3.4)
7.8(1.7)
OECF
3.7(0.3)
3.6(0.1)
6.7(0.4)
6.5(0.2)
5.3(0.3)
( )内は、貧困削減プログラムのうち、貧困層にフォーカスを当てた居住状態改善プログラム
(2)都市開発プログラム全体への融資の割合
WB
ADB
OECF
1981-83 1984-86 1987-89 1990-92 1993-95 1996-98 All year
14.8
17.5
18.7
22.5
27.7
22.1
20.7
21.4
20.3
20.8
22.5
22.6
25.5
22.7
20.3
24.3
34.5
39.0
30.1
※(1)以外のものとは、主に港湾・空港建設、高速・幹線道路建設、水道(幹線)改善、公共
交通網(地下鉄・モノレール)、公害防止設備等の大規模インフラシトラクチャー
Source: International Institute for Environment and Development, United Kingdom
開発政策・貧困解消政策の方向性
国際機関・先進国政府・各国政府
NGO
フォーマルセクター
住民組織
(ネットワーク)
貧 困 層
(インフォーマルセクター)
貧困者自身の自立的発展の障害
①土地、場所へのアクセス(Land, Place)
②クレジットへのアクセス(Credit)
③マーケットへのアクセス (Market)
※今のグローバル化のプロセスの中で市場の自由化の方向性
の偏りを是正する試み。
アジアの貧困者による3つの障害を克服する試み
(People’s Process)
<共通に成果を挙げている取組み>
①コミュニティー・オーガニゼーション
②貯蓄グループ(saving group)、信用貯蓄組合(credit
union):マイクロクレジット (micro credit)
③共同(協同組合的)でのマーケットへのアクセス(これ
は非常に難しい)
<先進的な具体例の紹介>
タ イ の CODI ( Community Organizations
Development Institute/政府機関)
※理事会は政府代表、財界関係者、スラムコミュニティ
ーメンバー代表、NGO、学識経験者からなる
貯蓄グループ(場合によっては credit union)のオー
ガナイズと回転資金の融資
コミュニティー企業(Community Enterprises)の促
進とそのネットワーク作り及びマーケット(生産財市場
と原材料購入市場)へのアクセス支援(海外市場を含む)
。
アジアの貧困者による3つの障害を克服する試み
<特徴>
①Community-based(コミュニティーを基盤として)
→共同性
②Creative(創造的)な試み
③住民同士の経験交流
→貧困者の国際的グローバルなネットワークへ
インフォーマル経済のフォーマル化
(オータナティブ経済への可能性)
フォーマル経済
移す
インフォーマル経済
ディーセントワークの欠如
インフォーマル
雇用者
インフォーマルセクター企業
(自営業者・小規模事業家)
既存のフォーマル経済
(近代的産業部門)
オータナティブな
経済
(People’s Based
Economy)
フォーマル化
(共同性が鍵)