○日本における金融仲介 構造変化の要因・背景 ①金融仲介チャネルの多様化 ②幅広い投資家へのリスク移転・リスク分担 ③多様な資金運用対象の提供 ④コーポレートガバナンス機能 ⑤市場型金融のメリットの活用 1 ④コーポレート・ガバナンス機能 ・ 株価(や社債利回り)は、企業の投資計画、経営戦略、 現行の経営陣の質に対する投資家の判断を示す ・ – 株価低迷は買収される危険性を高める→経営陣に対する 株式市場からの強い圧力 • 特にPBR(株価純資産倍率)が1以下といった企業は買収の対象 になりやすい 2 • 経営に対して積極的にモノを言うファンド ( )の登場(e.g.村上ファンド) – 株主提案 • 運用会社(投信会社・投資顧問会社)によ る株主議決権の行使: – 議決権行使も資金受託者の責任の一部という 考え方の浸透、投資対象企業の長期的成長 を期待 →議決権の積極的行使 • 格付け会社による信用力・リスクの評価 3 ○HOYA・ペンタックスの経営統合問題 • 経緯 – 06年12月:07年10月合併で合意(実質的にはHOYA によるペンタックスの吸収合併) • 合併比率:ペンタックス1株にHOYA株0.158株を割当、被買 収・合併企業株主に対するプレミアムは直前3ヶ月平均株価 の27%・発表前日株価の11% – ペンタックスの大株主(資産運用会社スパークス)が 合併比率がペンタックス株主にとって安すぎるとして 合併反対 – HOYA方針転換:合併からTOB(株式公開買付)によ る子会社化へ • 買収価格・プレミアムを引上げペンタックス株主の了承を得る – 07年4月10日ペンタックス取締役会 • 合併を推進してきた社長を解職、新社長は合併反対派 • HOYAとの合併断念、経営統合は継続検討(本音は経営統 合回避・単独生き残り) 4 – スパークスのペンタックス新経営陣への要求 • HOYAとの経営統合以外の企業価値向上策の提示を要求 – 4月23日HOYA取締役会 • TOBに向け5月末まで協議継続、6月以降にTOB実施の準備に 入る(敵対的買収という形をなるべく避けて統合したい) – スパークス:株主総会6.22.で株主提案 • 経営統合に前向きな前社長ら3人の取締役選任を求める – 5月11日:ペンタックス決算発表 • 企業価値向上策提示:営業利益目標10年3月期112億円(今期 の2倍) 、コア事業への集中、海外生産の拡大、本社部門のス リム化 • スパークス:戦略が不透明、新味がない、目標が実現可能か? – 今後の展開 • 5月31日:この日までにペンタックス経営陣からTOBへの同意 が得られるか • 6月22日:ペンタックス株主総会 5 日経07.04.25. • 株式市場・株主からの経営に対する圧力の強まり • 経営に対して積極的にモノを言うファンド・運用会 社(アクティビスト)の登場・増大 – 株主議決権の行使、株主提案権の行使 6 第2章.情報生産 1.情報生産とは? • 情報生産とは? – 貸出先・投資先についての調査・分析・審査(本章の対象) – 金融市場は金融資産の価格(金利・株価・為替レート)を形 成し、その情報を発信 • 情報生産の必要性 • 事前的情報生産と事後的情報生産 – 貸出・投資決定前の調査・分析と貸出・投資後のモニタリ ング 7
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