地方自治体の住基カードの活用 鹿児島大学法文学部経済情報学科 大渡晃 研究背景 住基ネットの開始に続き、住基カードの交 付も開始されているが、個人情報の漏洩 等に対して不安を抱く人も多く広く利用され るまでにはいたっていない。また、現在提 供されているサービスでは国民に利用を 促すような魅力に欠けている。 研究目的 この研究では住基ネット及び住基カードの 抱える問題をあきらかにし、国民にとって 有益なサービスとは何かを研究する。 国のIT戦略 • e-japan戦略 • スローガン 「世界最先端のIT国家」を2005年までに目指す • 重点政策 – 超高速ネットワークインフラの整備 – 電子商取引の大幅な普及の促進 – 電子政府の実現 – 人材育成の強化 住基ネット • 地方自治体が個々に保有していた住民基 本台帳をネットワーク化したもの • 全国共通の本人確認を実現するシステム 住基ネット • 目的 – 住民サービスの向上 – 行政の効率化 • サービス内容 – 行政機関への申請や届出の際に住民票の写 し等の提出が不要になる – 年金の大半の現況届等が不要となる – 全国どこでも住民票が受け取れる 個人情報保護対策 • 都道府県・指定情報処理機関で保有する情報を 限定 • 民間部門が住民票コードを利用することは禁止 • 外部からの侵入の防止 – 専用回線の利用 – ファイアウォール・IDS(侵入検知装置)の設 置 – 通信時のデータの暗号化 個人情報保護対策 • 内部不正使用の防止 – システム操作者に守秘義務を課し、刑 罰を加重 – 操作者用ICカードやパスワードによる厳 格な確認 – コンピュータの使用記録を保存、定期的 な監査を実施 住基カードとは • Aタイプ(氏名、有効期限、交付地市町村 名) • Bタイプ(氏名、有効期限、交付地市町村 名、住所、生年月日、性別、写真) • 有効期限は10年間(写真付のBバージョン を希望する未成年の有効期限は5年間) カードに記録される情報 • 氏名、住民票コード、生年月日、性別 • パスワード(4桁) • 公開鍵暗号方式に対応したカード固有の 鍵情報 住基カードに対する国民の意識 4% 1% 4% 6% 29% Aタイプを入手済み Bタイプを入手済み Aタイプを入手したい Bタイプを入手したい 当分入手したくない 絶対入手したくない わからない 6% 50% 住基カードの普及状況 • 来年3月までの発行枚数は84万枚程度に とどまる見通し 今年7月時点での政府の見通しは300万枚 • 84万枚という数字は 全人口の0.65% 政府の見通し300万枚の28% どうして普及しないのか? • 国民への周知不足 • 独自サービスに慎重な自治体が多い 理由:財政難、市町村合併で忙しいetc. 現在独自サービスを導入もしくは導入を予 定している自治体は約90自治体 普及させるには何が必要か? • 幅広い年齢層の人が利用でき、尚且つ利 用頻度の高いサービス • 電子投票に住基カードを利用できない か? 岡山県新見市で行われた電子投票 • スタンドアロンのコンピュータ端末に候補 者名を表示させ、タッチパネルで選択する 方式。投票データはコンパクトフラッシュに 記憶し、開票時にはそのメモリを開票所に 持ち込んで別のパソコンで集計 電子集計にかかった時間はわずか12分 投票の流れ 1. 選挙人名簿で本人確認後、投票カード発券機 から発券された投票カードを受け取る 2. 投票カードを電子投票機に挿入すると候補者 の名前が画面に表示される 3. 投票したい候補者の名前にタッチペンで触れ 選択する 4. 投票が終了すると投票カードが排出される 5. 投票カードを投票所出口で返却する。返却され た投票カードは、初期化して再使用される この投票方式のメリットとデメリット • メリット – 開票時間の短縮 – 開票にかかる経費の削減 – 誤字脱字等による無効票・疑問票がなく なる • デメリット – 投票端末の購入等に費用がかかる 家のパソコンからできる電子投票 • 岡山県新見市のような電子投票では、従 来の投票と同様に定められた投票所まで 足を運ばなければならない • オンラインで投票ができればわざわざ投票 所まで行かなくてすむ オンライン投票における住基カード • オンライン投票の最大の課題 どうすれば成りすましを防止できるか 住基カードの公的個人認証サービスを使 えば成りすましを防止できるのではないか オンライン投票のメリット • • • • どこからでも投票できる 開票にかかる時間と費用の削減 字がかけない人でも自分で投票できる 投票率のアップ(特に若年層) オンライン投票のデメリット • 高齢者に受け入れられるか • 二重の投資が必要 オンライン投票実現の障害 • パソコンがどの家庭にもあるわけではない • ICカードリーダなんて持ってない • 公的個人認証サービスがまだ始まってい ない • 現行の法律ではオンライン投票ができない • 自由な意思で投票したのかどうかわからな い • 候補者が多い場合画面に入りきらない まとめ • オンライン投票が実現するにはまだまだ多 くの問題がある。しかし、投票率の低下が 大きな問題となっている今日において、オ ンライン投票は有効な解決策になりえるの ではないか。 ご静聴ありがとうございました
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