CDの売上から見た音楽業界の 現状と課題 中京大学経済学部 山田ゼミ もくじ 1.現状分析 2.現状分析から見た要因 3.まとめと音楽業界の課題 1-1 CD生産数量の推移 シングル 120000 100000 80000 60000 40000 20000 0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 1-1 CD生産数量の推移 300000 アルバム 250000 200000 150000 100000 50000 0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 1-1 CD生産数量の推移 (千枚) 400,000 2000年 3.8億枚 350,000 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 全体 シングル アルバム 1-1 CD生産数量の推移 • シングル・アルバムともに2000年がピーク • シングルCDは近年回復傾向 • アルバムの生産数量のほうが多く アルバムの変化に大きく左右される 1-2 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(億円) (1990年~2013年) http://www.garbagenews.net/archives/2042380.html 1-2 音楽ソフト・有料配信の売上推移(億円) (2005年~2013年) http://www.garbagenews.net/archives/2042380.html 1-3 購入減少要因 現在の保有量で満足 金銭的な余裕の変化 好きなアーティストの曲が出ない/減った 買いたいと思う曲が減った 音楽を聴く時間が減った 無料動画配信サイトでの聴取が増えた 音楽に対する興味が減った CDのレンタル利用が増えた 好きなアーティストがいなくなった ほしい曲が入っているアルバムの減少 友人にCDを借りたり、コピーしてもらう 無料での音楽ファイルのダウンロード利用 再生機器を使わなくなった 中古のCDアルバムの購入 音楽の探し方がわからない、情報不足 0 10 20 30 40 http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2012.pdf#search=' CD%E8%B3%BC%E5%85%A5+%E5%B9%B4%E4%BB%A3+%E5%89% B2%E5%90%88 平均保有曲数 1500 1000 1370 957 全体の1.4倍 500 0 全体平均 現在保有している 音楽で満足 ・現在保有している音楽で満足する人は 全体平均よりもデータライブラリの曲数が多い! http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2012.pdf#search=' CD%E8%B3%BC%E5%85%A5+%E5%B9%B4%E4%BB%A3+%E5%89% B2%E5%90%88 1-4 音楽の関心・興味・時間等が減った理由 金銭的余裕がなくなった 買いたい楽曲が少ない 音楽以外にお金を使う/使いたい 保有の音楽で満足 買いたいアーティストが少ない 興味が減った 無料入手や視聴で満足 視聴手段の多様化でお金をかけたくない 新着情報に触れる機会がない CDを保有したくなくなった 時間的な余裕がなくなった 再生機器の不保持・不使用 購入機会の減少 その他 0 10 20 30 40 50 http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2012.pdf#search=' CD%E8%B3%BC%E5%85%A5+%E5%B9%B4%E4%BB%A3+%E5%89% B2%E5%90%88 グラフから • 音楽にお金をかけようと思わない人の増加 • 現在の保有量に満足して買おうとしない • 音楽に対する興味が減少 他に興味が移っているのでは!? もくじ 1.現状分析 2.現状分析から見た要因 3.まとめと音楽業界の課題 売上減少の考えられる要因 • 音楽離れ • 所得の低下 • 違法ダウンロード • 動画や無料の配信 • メディアで触れる機会の変化 • スマートフォンの普及 需要と供給に分けると 1.需要側の要因 • a.音楽離れ • b.所得の低下 • c.違法ダウンロード 2.供給側の要因 • a.動画での無料配信 • b.メディアによる影響 • c.スマートフォンの普及 需要と供給に分けると 1.需要側の要因 • a.音楽離れ • b.所得の低下 • c.違法ダウンロード 2.供給側の要因 • a.動画での無料配信 • b.メディアによる影響 • c.スマートフォンの普及 2-1-a 音楽に費やす支出を代替するもの スポーツ・旅行・レジャー 外食など交際費 携帯・パソコンの利用 生活費 上記以外の趣味・娯楽 ファッション 新聞・書籍・雑誌 学習・習い事 映画鑑賞やDVDレンタル 有料放送 その他ゲーム その他 代わりに増えたものはない 0 10 20 30 http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2012.pdf#search=' CD%E8%B3%BC%E5%85%A5+%E5%B9%B4%E4%BB%A3+%E5%89% グラフから • スポーツ等を筆頭に代替となる • 音楽以外の支出の増加 • 音楽にはお金をかけない傾向 →無料のものに頼る • 音楽から離れていない層もいる カラオケ参加人口(万人) (万人) 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 近年は横ばい状態!! 5000 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ライブ年間公演回数 (本) 25000 20000 15000 10000 ライブ公演回数は増えている 0 1000 500 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ライブ年間入場者数 (万人) 4500 4000 3500 3000 2500 2000 1500 ライブに参加する人も増加 0 2-1-a 考察 • カラオケの参加人数は大きな変化なし • 公演数と入場者数は増加傾向 →音楽離れは深刻化していない • CDの代わりとなる儲け方か? • 複数人で楽しむためのツールに変化 2-1-b 若者人口と売上の相関関係 売上(千枚) 400000 350000 若者人口は 15~30歳とした 300000 250000 200000 y = 0.0229x - 260962 R² = 0.9008 150000 100000 50000 0 0 5000000 1000000015000000200000002500000030000000 若者人口(人) 売上と所得の相関関係 売上(億円) 7000 6000 5000 4000 3000 y = 0.0708x - 16133 R² = 0.4863 2000 1000 0 250000 260000 270000 280000 290000 300000 310000 320000 所得(億円) 2-1-b グラフから • 若者人口と売上には正の相関 • 所得と売上にも正の相関 • 若者人口減少で市場は縮小 • 近年、所得以外の要因が 関係していると考えられる 2-1-c 無料で音楽を聴く • PCソフトで動画を音楽ファイルに変換 (現在では違法) • 最近は携帯のアプリで音楽が聴ける • 実際どのような仕組か? PCの変換ソフト仕組み 動画をダウンロード 動画または音楽ファイルへの変換 再生機器での再生 変換ソフトの仕組みから • 動画そのものをダウンロード • 音楽ファイルとして使用可能 • 現在は禁止されている。 →違法ダウンロード扱い 違法ダウンロードについて • 違法アップロードされている映像または 音声ファイルを違法と知りつつ ダウンロードすること • 親告罪である • 刑罰は・・・・ 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金 またはこれの併科 音楽アプリ仕組み 音楽動画の検索 視聴したい音楽の選択 ストリーミング再生 アプリの仕組みから • ダウンロードは行われていない →違法ダウンロードには当たらない • 再生リストにのみ保存 • 動画を見る要領と同じ • CDが持つ煩わしさがなくなる • 手軽に様々な曲を聴ける 需要の要因まとめ • 音楽への接し方の変化 • 音楽の楽しみ方の変化 • CD市場の縮小 需要と供給に分けると 1.需要側の要因 • a.音楽離れ • b.所得の低下 • c.違法ダウンロード 2.供給側の要因 • a.動画での無料配信 • b.メディアによる影響 • c.スマートフォンの普及 2-2-a 無料聴取層の非購入理由 youtube等を使ったため購入しなかった 無料動画配信サイトでの視聴が増えた 現在保有している音楽で満足している 金銭的な余裕が無かった 好きな楽曲ではなかった 好きなアーティストではなかった 無料ダウンロードで入手した 無料音楽ファイルのダウンロードが増えた そもそも音楽に払おうと思わない 0 5 10 15 20 25 30 35 http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2012.pdf#search=' CD%E8%B3%BC%E5%85%A5+%E5%B9%B4%E4%BB%A3+%E5%89% B2%E5%90%88 音楽を楽しむために利用したサービス 90.0 80.0 70.0 60.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 全体 40.4 36.9 大学・専門生 50代 35.2 14.9 4.3 1.9 http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2012.pdf#search='CD%E8% B3%BC%E5%85%A5+%E5%B9%B4%E4%BB%A3+%E5%89%B2%E5%90%88 音楽を楽しむために利用したサービス ・大学・専門生は特に動画サイトやカラオケなどが多い ・50代では特にラジオやテレビなどのメディアが主流 世代間で音楽の楽しみ方に 大きな差がある どちらの世代も無料もしくは安価で 楽しむことが多い 2-2-b メディアによる音楽の影響 報道による影響 • 佐村河内氏 • 妖怪ウォッチ 特典付き商法 • AKB48グループ 佐村河内氏の例 • 佐村河内氏のゴーストライター騒動 • 交響曲第1番《HIROSHIMA》 →週間ランキング27位 • シャコンヌ~佐村河内守弦楽作品集が88位 • 鎮魂のソナタが95位 妖怪ウォッチの例 http://youkai-world.com/ • 妖怪ウォッチが大流行 • オリコン週間ランキングにて • ダン・ダン ドゥビ・ズバー! 1位 • ゲラゲラポーのうた 4位 AKB商法の例 • 同一タイトルシングルの複数仕様 • 生写真などの封入 • 各種投票権 • 握手会 • フォトアルバム集 特典付きの販売法 年間の売上比較(シングル) • フライングゲット • ギンガムチェック • 恋するフォーチュンクッキー 158.7万枚 130.3万枚 147.9万枚 大きな差がある • 家族になろうよ:福山雅治 25.5万枚 • グッドラック:BUMP OF CHICKEN 19.5万枚 • ピースとハイライト:サザンオールスターズ 33.9万枚 2-2-b マスメディアによる音楽の影響 • 世間の話題・社会現象となる • CD以外の特典を付与する • 流行を作ることや新たな販売方法を 模索することが重要になる。 2-2-c 年代別携帯電話普及率 (2014年) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 携帯電話(計) スマートフォン スマートフォン以外 http://www.dir.co.jp/library/column/20140522_008534.html グラフから • 若者はスマートフォンが主流。 • スマートフォンが普及する →音楽アプリも普及 年代別CDの市場シェア 100% 90% 20.2 19.1 80% 31.3 37.8 24.8 28.4 26.0 25.4 26.6 28.5 70% 60% 50% 41.5 42.8 35.0 26.3 39.6 39.5 41.3 36.4 41.8 33.5 40% 10% 標準偏差 50~60代 5.3353 30~40代 30% 20% 50~60代 30~40代 中学生~20代 38.2 38.1 33.6 35.8 35.6 38.2 38.0 32.1 32.7 31.6 0% 200420052006200720082009 2010 2011 2012 2013 5.0947 中学生~20代 2.7037 2-2-c 考察 • 若者の比率はさほど変化なし • 中高年齢層はばらつきがある • 中高年齢層の購買意欲の向上が必要か 供給の要因まとめ • お金をかけないで済む供給の仕方 • メディアによる影響が大きい • スマートフォンによる接触機会の増加 • CDを安定して買う層は若者 供給方法は多様化している 要因から 需要 供給 プラス マイナス ・ライブの公演回数と 動員数が増加 ・音楽アプリの出現で CDがなくてもよい ・メディアの影響で売上増加 ・無料動画で満足 ・特典付きだと売上増加 ・安定したCDの購入は若者 もくじ 1.現状分析 2.現状分析から見た要因 3.まとめと音楽業界の課題 まとめ • 音楽へのアクセス方法が多様化 →音楽離れは深刻化していない • CDのみの売上は減少傾向にある →新たな販売方法の模索が必要 • 少子高齢化による購入者の絶対数が減少 →市場は縮小 音楽業界の課題は….. • ライブ等のCD以外の販路の確立 • CDに付加価値を付けた販売法 • メディアを利用した流行づくり • 中高年の購買意欲上昇 →カバー曲などの多年齢対象の販売
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