スライド 1

応用物理学科セミナー
第13回
日時: 7月2日(木) 16:10 – 17:40
場所:葛飾キャンパス研究棟8F第2セミナー室
Speaker:竹森 那由多 氏 (Nayuta Takemori)
Affiliation: 東京工業大学理工学研究科 D3
Title:準周期系における相関効果
Abstract:
広義の結晶でありながら並進対称性を持たない準結晶は、その発見から現在まで合金としての
性質に注目した研究が精力的に行われてきた。準結晶物質は狭義の結晶が持ち得ない回転対称
性を持つことが知られており、狭義の結晶とは異なる性質を持つことが期待される。また、準周期
格子はフラクタル格子の1つであり、その幾何学的構造を反映して、自由電子模型において無限重
縮退をもたらす自己相似状態などが厳密な固有状態として現れることが知られている。最近、準結
晶物質Au51Al34Yb15において、今まで研究されてきた準結晶合金とはことなり、典型的な重い電子
系の振る舞いを示すことや、近似結晶では発現しない量子臨界性を示すことが明らかにされた。こ
れにより、準周期系における相関効果は、強相関系の新たな舞台となっている。
本研究では、準結晶特有の性質である準周期性をもつ2次元ペンローズ格子に注目し、ハバード
モデルを用いて局所電子相関に由来する電子物性について論じる。本研究では、有限温度におけ
る電子相関を明らかにするため、局所電子相関を正確に扱うことができる実空間動的平均場理論
(R-DMFT)を用いて解析を行った。二重占有率および繰り込み因子を各格子点について求めること
により、モット転移が U/t~10で起こることを明らかにした。また、準結晶特有の幾何学構造により、
モット転移近傍において非自明な繰り込まれた金属状態を発見したことを報告する。
世話人:遠山 貴巳