情報ネットワーク

情報ネットワーク
岡村耕二
http://okaweb.ec.kyushu-u.ac.jp/lectures/in/
講義の進め方と単位認定について
• Power Point と必要に応じて板書・教科書は指定しない。
– Power Point は配布する(インターネットからDownload もできる。)
– Power Point にも、板書にも書かれない口頭のみの説明、話も多
い。
– 時々、演習問題を出す。演習問題に答えられるかどうかで理解度
を自分で考えてほしい。
• 自習が重要 (知らない用語は調べて理解しよう・覚えよう)
– 図書館
– インターネットの検索エンジンの活用
• 誤った情報もあるので、3つくらいのサイトから調べること。
• 単位認定
– 試験のみで評価する。
• インターネットの基本的な知識を習得できていること
• インターネット応用について考察ができること
– 技術用語を用いて正しく説明できているか。
– 出席は取らない
• 講義を聞いていないと単位は取れないと思う。
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参考テキスト
• コンピュータネットワーク、オーム社、 2001年、
ISBN4-274-13222-6
• インターネット総論、共立出版社株式会社、
2002年、ISBN4-320-12039-6
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インターネットの勉強とは?
• F1カーや、スペースシャトルを作るための研究のため
の知識を習得する感じ。
• ネットワークの研究
– 昔は自動車、航空機の研究と似ていた
– コンピュータ・ソフト → インターネット重要
• 研究(夢)
– 究極に速い車の開発(しかも与えられた条件で)
– 20,000Km を超えた航空技術 → 宇宙
– 中国やアフリカの砂漠、あるいは宇宙から通信を行うた
めには?
• 帰省中に大学にアクセスしたいとか、旅行中に調べ物がしたいと
か
– ちなみに私の若いころは(1993年くらい)
• 公園のベンチでメールを読みたい
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インターネットと学問
• 理論
– インターネットで研究開発された固有の理論は少ないかほとん
どない
• 既設の理論の応用
– オーダー O(n^2), O(n), O(log n)
– グラフ理論
• アルゴリズム
– 多数の受信需要に最小コストで通信を行うには?
• 応用力が重要
• 正しい知識が重要(用語の暗記)
– ネットワークの仕組みを知ろう
• 講義 → 机上の空論でつまらないかも?
• 日頃、コンピュータやネットを使っていて疑問はないか?
• 数字と規模と文化
– 地球の大きさ
– 人口
– 文化 = インターネットの利用方法 (たぶん、講義では扱わない)
インターネットに関する色々な仕事
• 回線の用意
– 光ファイバー
• 海底光ファイバー
– 無線ネットワーク
• 色々なメンテナンス
– ファイバー切断
– 性能向上
• 最新テクノロジーの導入
–
–
–
–
–
ISDN
ATM
ADSL
光ファイバ
HSDPA/LTE, WiMAX
• ネットワーク運用
– 政治
• 放送系
– 需要 >> インフラ
• 新しいインターネットの研
究開発
– セキュリティ
– モバイル
– P2P
• ビジネスモデル
– 費用対効果
インターネットの基本的な知識
用語の暗記と仕組みの理解
• 7階層の知識
• 物理ケーブルの基礎
• 論理的なケーブル上でのパケット通信(イー
サネット)動作原理 (第2層)
• IP 一般 (第3層)
– IPアドレスの体系
– 経路制御
• TCP/UDP (第4層)
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インターネット応用の設問例
• 光は1秒間に7周半するほど速いのに、日本
と光ファイバで接続されている アメリカにある
web サーバからのデータ転送はもっと遅い気
がします。なぜでしょ う。
• 携帯電話の通話は規制されると全くできなく
なるのに、携帯メール はできるのはなぜで
しょう。
• kitenet が時間や場所によってつながりにく
かったり、遅かったりするのはなぜでしょう?
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ファイル交換と著作権侵害と P2P 技術
我が国の著作権の扱い
•
•
著作権の侵害に注意(警視庁のWEBページより)
– 最近では、個人でホームページを開設する人も多いようですが、そのホームページの
中に、論文や詩歌、写真や絵画、イラストやアニメキャラクターなど他人が創作したも
のを無断で使用したり、コンピュータソフトや音楽ソフトをコピーして交換する行為も著
作権法違反に問われることがありますので注意しましょう。
– 著作権は「知的所有権」の中のひとつです。「知的所有権」とは人間の知的な創作活動
などから生産されたものに対する権利の総称として使われます。「知的財産権」とも呼
ばれます。
– 著作権は、「著作物」に対する創作者の権利で、その利用について認められる権利の
ことです。著作物は、著作権法第2条において、「思想又は感情を創作的に表現したも
のであって、文芸、学術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されています。
– 著作権法では「著作物を創作する者」を著作者と呼んでいますが、原則的に創作活動
を行った本人が著作者となります。
政府広報オンライン
– http://www.gov-online.go.jp/useful/article/200908/2.html
– 違法配信された音楽・映像の無断ダウンロードも違法に
• そこで、今回、著作権法の改正が行われ、著作権を侵害した配信だと知りながら、
権利者に無断で音楽や映像をダウンロードすることは、個人的に楽しむ目的で
あっても、違法(権利侵害)であるとされました。
– 違反者への罰則はないが、権利者は権利行使が可能に
• この改正著作権法は、平成22年1月1日から施行されます。違反した人に対する
罰則は設けられていませんが、ダウンロード行為について、明らかに違法配信で
あると知って行っていたり、それを誇示していたりするような悪質な場合は、著作
権などをもつ人が権利侵害として民事訴訟を起こすことができるようになります。
– 正規の配信サイトからダウンロードを
著作権侵害はなぜ起きるか?
• 実際に著作権侵害を侵しているから
– BitTorrentの監視、支線LAN管理者への警告
• Limewire などのファイル交換ソフトを使用した
から
– 本学ではファイル交換ソフトの利用は禁止
• ファイル交換ソフトを使うとどうして著作権侵
害が起きるのでしょうか?
• ファイル交換ソフト?P2Pソフト ?
Client/Server vs. P2P
Client/Server 方式
アップロード
サーバー
ダウンロード
Peer to Peer 方式, Peer=対等
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P2P技術を用いたファイル交換
みんなで流通の助け合い (ファイル交換)
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ファイル交換ソフト利用のトラブル
著作権侵害の指摘
自分は著作権
侵害のファイ
ルを扱ったつ
もりはないの
に、自分のコ
ンピュータ上
にファイルが
存在
著作権侵害
ファイル
学内でのファイル交換ソフトの利用は禁ずる!
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最近のファイル交換ソフトのトラブル
情報漏洩
パソコンの文書をまと
めて、勝手にファイルを
流通させてしまうウイル
ス!
いったん、ファイル交換ソフトで流通
してしまうと他のファイル交換ソフト
を利用しているパソコンにあっという
まに広がり、消去もできない!
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自宅なら P2P をしてもいいか?
• 「学内でのP2Pソフトウェアの利用は禁ずる」と
いうのは実は、曖昧。
• 正確には、学内のネットワークに接続する可
能性のあるパソコンにP2Pソフトを入れてはい
けない。
– 自宅でも、そのノートPCを大学に持ってきてキャン
パスネットワークにつなぐことがあるのであれば、
×。
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IT インフラを用いてしてはいけないこと
(情報セキュリティガイド参照)
有料の音楽、映画、写真メディアを
インターネットからダウンロードして
はいけません。日本は、著作権に
対する考え方が厳しい国です。
使用禁止ソフトの例:100bao(百宝), Blubster,
Cabos, eDonkey2000, eMule, G2, Gnutella, Grokster,
iMesh, Kazaa, KuGoo(KuGou, 酷狗), Kuwo(酷我),
Lime Wire, Morpheus, Overnet, PerfectDark, Piolet,
PPLive, PPStream, QQLive(QQ 直播),RockItNet, Share,
Shareaza, soulseek, TTPlayer(千千静听), Xunlei
(Thunder,迅雷), BitTorrent, Winny, WinMX 等
大学が用意するインターネットは、
勉強したり、研究をするものです。
また、問題を起こした場合は学生ID
によりすぐに特定できます。
これらのことは、大学に限ったこと
ではありません。ちょっとしたことで、
大学生活を台無しにしないように注
意しましょう。
• 著作権侵害
– 違法コピー、ダウンロードの
禁止
– ファイル交換ソフト使用によ
るトラブル
• その他インターネット等を
使った公序良俗に反するこ
と
– インターネットを用いた他人
の批判
– インターネットを用いた詐欺
• 学外・自宅でもしてはいけ
ません。友人がしていたら、
注意してあげてください。
実際に九大で発生した情報インシデント等の例
「知りませんでした」では済まなくなることが多いです。
• 自分のIDでネットにつながったパソコンを友人に貸し
たらゲームをダウンロードされた。
• 軽い気持ちで 2ch に書き込んだら、相手をいたく傷つ
けた。しかし、その後訴えるといわれた。
• 軽い気持ちで blog・SNS に書き込んだら、騒動になっ
た。
• 自宅でファイル交換していて、名簿を流出させてしまっ
た。自宅でファイル交換しているパソコンを大学でネッ
トにつないで騒動になった。
• 友人に頼まれて、Web などの安全性を確かめていた
ら攻撃していると勘違いされた。
• Yahoo などのアカウントが他人に取られてしまった。パ
スワードも変えられ、収束に時間を要した。
• パソコンや USB メモリを紛失した。
P2P は技術的には素晴らしい
• 例えば32人に配布する時 (1sec/人)
– Client-Server 32sec
– P2P 二分木を使ったと仮定して 5sec
• しかし、解決(研究)すべき課題も多い
– 相手をどうやって見つけるか?
• 相手は固定しない
– 流通物のバージョン管理
インターネットの歴史と運用
• 1969年 ARPANET (Advanced Research
Projects Agency Network)
– 国防総省がスポンサー
• 1975年 TCP/IPの研究開発
• 1980年 NSFNET (National Science Foundation
Network)
– 全米科学財団
• 1990年 商用インターネットの急成長
– WWW,電子メールの普及
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インターネットに関連する組織
• 1984年 インターネットアーキテクチャ委員会
(IAB)
– RFC(Request For Comment) 発行開始
• 1992年 インターネット学会(ISOC; Internet
Society)
– IAB はISOC の一部となる
– 備考: IEEE
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インターネットの運用
インターネットガバナンス
• 1988年 IANA (Internet Assigned Numbers Authority)
– IPアドレス、ドメイン名、TCP/IPなどで使用するパラメー
タ(ポート番号など)の割り当て管理を行う。
• 1993年 ネットワーク情報センター(NIC)
– InterNIC (北米)
– RIPE NCC (欧州)
– APNIC (アジア太平洋)
• JPNIC
• 1998年 IANA → ICANN (The International
Corporation for Assigned Nmaes and Number)
• 2011年 ICANN の IPv4 アドレス在庫無くなる
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現在のアドレス割当組織
• ARIN(American Registry
for Internet Numbers)
• RIPE NCC(Reseaux IP
Europeens Network
Coordination Centre)
• APNIC(Asia Pacific
Network Information
Centre)
• LACNIC(The Latin
American and Caribbean IP
address Regional Registry)
• AfriNIC(African Network
Information Centre)
IPv4 アドレスの枯渇
• 2004年以降は毎年おおよそ10個程度の「/8ブロック」が世
界中で消費され、 2011年2月3日にはIANAの中央在庫が
無くなりました。また、2011年4月15日にはアジア太平洋地
域の在庫もなくなりました。(http://www.kokatsu.jp/blog/ipv4/whatsexhaustion.html)
• IPアドレスの売買?
– マイクロソフトが新たに66万6,624個のIPv4アドレスを購入した
と伝えられている。このIPアドレスは倒産したカナダ企業Nortel
から750万ドル(約6億円)で購入したとされており、IPアドレス1
個あたり11.25ドル(約911円)にあたる。IPアドレスブロックの詳
細は明らかにはされていない。
(http://slashdot.jp/story/11/03/25/0840234/%E3%83%9E%E3%
82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%BD%E3%83%95%E3
%83%88%E3%80%8166%E4%B8%876,624%E5%80%8B%E3%81
%AEIPv4%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%B9%E3
%82%92%E8%B3%BC%E5%85%A5)
– 単価USD10くらい?
•
•
/8: 16,777,216,000 (168億円)
九大: JPY 65,536,000
ICANN
• IEPG (Internet Engineering Planning Group)
– ISPに対する技術援助、運用ポリシの調整
• CERT (Computer Emergency Response
Team)
– コンピュータネットワークへの不正侵入などの方
法を解析し対策を研究する。
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インターネット技術の開発と標準化
• ISOC (インターネット学会)
– IAB (アーキテクチャ委員会)
• IRTF 次世代技術委員会
– 標準化は行わないが、先進技術の研究を担当
– 必要であればIETFに標準化を提案
• IETF 技術標準化委員会
– RFC による技術標準化に責任を持つ
– 年3回のミーティング、電子メールによる議論
– IESG(運営管理委員会)
» 複数のワーキンググループによって遂行
» http://www.ietf.org
• ISTF 社会政策委員会
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RFCのできるまで
• アイディアが浮かぶ
– 個人、WGで提案 Internet Draft
• IETF で6ヶ月保存
• IESG が標準化すべきと判断
– Proposed Standard
• RFC 番号
• 実装、テスト
• 6ヵ月後 IESG審議
– Draft Standard
• 4ヶ月の運用試験
• STD 番号の付与
• RFC
– Informational
– Experimental
– Historical
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IETF 風景
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ITU 風景(参考)
情報ネットワーク
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日本におけるインターネットの歴史
• 1984年 JUNET (インターネットではない)
• 1988年 WIDE プロジェクト
– 1990年 九州大学 WIDE プロジェクトに接続
• 大阪大学と 64Kbps
• 1993年
– 日本インターネット協会 (IAJ)
– 日本での商用ネットワークの始まり
• その後急速な追随により、世界レベルに達し
ている。
情報ネットワーク
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研究・教育ネットワークとは
• 基本的に政府の政策 (スパコンと似ている)
– インターネットではもはや研究はできない
– 研究専用のネットワーク
• 市場とは独立。
– ビジネスに発展することは期待されている。
• 開発、開拓することに意義がある。
• 国際教育・研究用ネットワーク
– 国間での将来のネットワークを志向した研究のため
のネットワーク。両国の政府の支援(かけごえ)のもと
整備される場合が多い。
• JGN(総務省)、SINET(文部科学省)
• インターネットと共存することが多い。
国際教育・研究ネットワークの利用方法
• 日本の教育・研究ネットワークの利用方法
は?
C大学
A大学
SINET
JGN
B大学
超高速
イントラネット
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国際教育・研究ネットワークの利用方法
C国
A国
B国
A国とB国の協議によって
ポリシーが決められる。
NREN (National Research & Education
Network ) NOC (Network Operation
Center)
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国際教育・研究ネットワークの利用方法
A国とB国の許可
が得られれば
C国
A国
B国
A国とB国の協議によって
ポリシーが決められる。
NREN (National Research & Education
Network ) NOC (Network Operation
Center)
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日本・世界の研究・教育ネットワーク
• APII・APAN (2003-2005)
– JP-KR, KR-CN, TW-JP, SG-TW, AU-SG
– CN-HK
• TEIN (2006-)
– VN, MY, ID, PH
• ERNET (2007-)
– IN-IT, IT-GIANT,TEIN
• SINET (2006, APAN)
– JP-TH
• JGN (2006-)
– JP-TH, JP-SG
2006年当時、ベトナム、インドネシア、マレー
シア、フィリピンなどと DVTS できることのイン
パクトは強かった。
International Network (APAN)
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Research & Education
Network
Korea: KOREN
Taiwan: TWAREN
China: CERNET
Sapporo
Core network bases
Aus:AARNet
Kanazawa Nagano
Fukuoka
Osaka
Okayama
Kochi
Okinawa
NICT
Koganei
Headquar
ters
Sendai
Tsukuba
NagoOtemachi
ya
Japan:
JGNII or37
Academic Network
in Western countries
USA: Internet2 connects
over 200 universities.
Europe: GÉANT2
connects 34
countries.
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International Network (GEANT2)
39
Glif Asia
GLIF, the Global Lambda Integrated Facility