CD売上の現状と買わせる戦略の研究

CD売上の現状と
買わせる戦略の研究
経営学部 経営学科
ITビジネスコース
10-1-016-0196
北村 理絵
目的・概要
最近ではダウンロード音楽サイトの普及・進化や
レンタル店などによって様々なアーティストの楽曲
が手軽に安く取得できるようになったためか、実際
にショップに足を運び、自分の手に取ってCDを購入
するという人が減ってきている。
そこで!!
音楽業界の仕組みを理解し、抱える問題を把握す
るとともに、CD売上の現状を調査・分析していく中
で、CD購入に至る戦略を明らかにする。そして、購
入に至るプロセスやメリットを発掘することにより、
少しでも多くの人に「CDいいね!買ってみよう!」
と思って欲しい、と考え本研究を行うこととする。
方法
主にインターネットや書籍などから音楽
業界にまつわる情報を集め、分かりやくま
とめる、その中で明らかになったCD売上の
現状やCD不況における原因・背景などを割
り出す。それに加え、調査中に見つけたCD
購入における記事で、気になったものを抜
粋し、自分なりに分析・考察する。そして、
買わせる戦略として行われている・施され
ているものをピックアップしてまとめる。
意義
私の周りの知人や私自身も、よほど好きなアーティス
トでない限り、「CD購入」までに至らないケースが多い。
CD不況やら、若年層のCD離れ、など言われるが、私は
そこに違和感を覚えた。CDを購入しないからといって別
に音楽から離れてしまった訳ではない。ダウンロードや
レンタルで手軽に取得できるようになったこと以外の原
因に興味を持った。そして、CDで残すことのメリットも
発掘したい、と同時に、どういったプロセスから購入に
繋がるのかに興味を持ったため、今回の研究に繋がった。
また、戦略をリストアップすることにより、今まで知ら
なかったCDの特典やサービスを知り、面白いと思っても
らえると、少しでもCDを買うことに興味を持ち、買って
みようかなと思ってくれる人が増えてくれるのではない
か、と考える。
音楽業界が抱える問題
音楽業界の新人の育成システムによれば、新人に
投資する原資は大物アーティストにあったが、音楽
ビジネス不況によってこの投資サイクルが回らなく
なり、ビジネスモデルが崩壊してしまった。
100万枚!!
今はお金が回らず、独立す
るアーティストも
CD売上の現状
CDアルバムの生産額がこの10年でほぼ半減してい
る。アルバムを主な収入源にしていたレコード会社
にとって、大きな打撃である。若年層のCD離れ、ア
ルバム離れが大きいと思われる。私も含め、若年層
の生活の中心には携帯電話があり、その料金が支出
のメインを占めている。不況のあおりも影響してい
るだろうし、固い財布の紐をほどいて買う音楽は当
然厳選される。有料配信なら、着うたやiTunes、1曲
単位の購入が可能であるから、様々なアーティスト
の好きな曲だけつまんで購入することも楽しみとな
る。また、YouTubeなどの動画サイトを使えば、繰
り返し何度でも視聴が可能である。このような現状
からみると、CDを買わない時代もある意味、仕方が
ないのかもしれない。
CD市場の低迷を引き起こした要因
①人口動態
②経済
CDが売れなくなった原因
③制度
④社会
⑤技術
CD売上低迷における注目点

携帯電話などへの支出がメインになってしまい、CDにお金が回らなくなっ
ているため、買うにしても厳選するようになった
インターネット音楽配信サービス利用だとともかく、最近では携帯電話の
アプリケーションで、無料で楽曲を視聴できるものがある(違法アップ
ロード問題も含む)
 AKB48やジャニーズ等の活躍でCD売上は大幅に回復傾向であるが、それ以
外のシングルについては低迷しており、ミリオンセラーの誕生が格段に
減っている


チャート上位に入るハードルが下がってきていて、そこを狙うマーケティ
ングも生み出されるが、宣伝色が強まる一方で、チャートの信頼性や価値
が揺らいでしまう
学生は時間があるがお金がない、社会人はお金があっても時間がない、の
で年齢が近くても両者の購入手段に差がみられる
 40代50代の世代が一番CD購入についてお金をかけている
 CDの購入の際は、今まで買ったことのないアーティストだから、とか、今
までにも買ったことのあるアーティストだから、などはもうあまり関係な
くなってきている

タグマーケティング
友人がカラオケでPerfumeを歌
う
たまたまPerfumeの特集をテレビで
見る
Perfume を 知
る
YouTubeでPerfumeの1mmとい
う曲を知る
タグをたどると椎名林檎の恋愛発
覚中という曲を知る
中田ヤスタカプロデューサーを
知る
タグをたどるとSMAPのココロ
パズルリズムという曲を知る
中田ヤスタカってすご
い!
中田ヤスタカの手がけるアーティストのCDを
買ってみよう!
お持ち帰りCD
その日のライブ音源をその場でレ
コーディングし、CD-Rにコピーして、
出来立てホヤホヤの感動を終演後、
その日のうちに購入して持ち帰るこ
とが出来るという物だ。ライブ直後
の下がらないテンション、あの場で
体感した興奮や感動をそのまま持ち
帰ることが出来て、一つのコンサー
トグッズのような感覚。ライブ会場
に来た人限定で、一人一枚というの
だから、特別感も味わえる。後でダ
ウンロード出来ると言われても興奮
は冷めてしまうかもしれない。帰り
に車内ですぐ聞き、余韻に浸れる事
が、わざわざCDを購入する理由にな
るのかもしれない。そのライブに行
かないと感じ取れない会場の臨場感
も録音されているので、希少価値に
溢れている。
自分だけのCDという価値
CDそのものに、その日のライブの自分の座席番号が印字され
ている
 自分の座席からのステージの視界が写真という形で挿入され
ている
 ジャケット写真で、その日のライブの様子を後ろから撮影し
た写真を起用する
 その日のライブの曲順(セットリスト)カードが特典として
入っている
 そのアーティストが、その日のライブを終えての一言を直筆
で書いたメッセージカードが特典として入っている
 ライブ直後のアーティストの写真(オフショット)が特典と
して入っている
といったような「その日限定」ということにこだわった最大級
の特別感の得られるCDを提案する。

まとめ
音楽業界といっても幅が広すぎて、とても難しかった
が、音楽業界が目指す最終完成形というものに注目した。
抱える問題を調べていて思ったのが、時代の流れが速す
ぎるということだ。戦略はもはやその一定の期間・時代
でしか通用しなくて、常に新しい発想で着眼し、時代の
流れや流行の一歩先を行くことが重要だと感じた。CD売
上の現状をみても、アイドルやジャニーズなどは安定し
ていても、新人アーティストは売れるまでが伸び悩む。
40代や50代がマーケットシェアのトップを占めているこ
とから、その世代の人達の心を掴むアーティスト・楽
曲・戦略が生まれれば、回復に向かうかもしれない。買
わせる戦略として、人目に触れさせることはもちろんだ
が、本研究で知った「タグマーケティング」も重要で、
面白い戦略だと考えた。そして、特別感を味わえること
が、CD購入に繋がることが明らかになった。