藤 棚 - 狭山ヶ丘高等学校

平成23年12月20日(火)
藤
棚
狭 山 ヶ 丘 高 等 学 校
第260号
学 校 通 信
http://www.sayamagaoka-h.ed.jp/
生徒諸君の一年間の努力に敬意
校長
小川義男
今年も暮れようとしている。気温も低くなってきた。日没も早い。朝五時に起きても周囲は真っ暗
である。
「冬来たりなば春遠からじ」という言葉がある。私は冬至が来るのが楽しみである。冬至は一年中
で昼が一番短く夜が一番長い。この後には、寒い一月が待っているのだが、それでも、冬至を境にし
て昼の長さが少しずつ長くなっていく。だから、日暮れが早くとも、夜が長くとも、確実に春が近づ
いていることを実感できるのである。
季節は地軸が 23.5 度傾いていることに起因する。地球儀を眺めて、この、季節の変化に思いを致
すことも面白いのではないか。
ともあれ冬至の訪れと共に、新しい年、春の足取りが実感される。
この一年、高校生にとってはそれぞれに厳しい一年であったと思う。諸君はその厳しさに耐え進学、
進級を目前に控えている。
中には進路変更を試みたいと迷ったときもあろう。だが、平凡な日常を着実に積み重ね、自らの抱
負を実現させることこそ尊いのである。
最近、学校を辞めて「大検」を取り、大学に進学したいと考える人も絶無ではない。このところ大
検が著しく平易化され、少し勉強すれば誰でも合格できる程度に易しくなってきているからではない
だろうか。
「高校全入」が実現されるようになり、知的障害のある生徒も進学できる高等学校がつくられるよ
うになった。そのような事実を考えれば、大検の平易化は自然の流れということができるのかも知れ
ない。
昔は大検に当たるものとして「専検」というのがあった。正確には「専門学校入学者検定試験」と
言う。「専門学校」は今の大学だと思えば良かろう。
昔国民は著しく貧しかった。だから旧制の中学校、女学校に進学することは極めて困難であった。
合格者が村で一人か二人という時代である。小学校を卒業した子どもは、直ちに一家の稼ぎ手として
期待されることが多かった。だから貧しい家庭の子どもが中学校(男子)、女学校に進学することは
ほとんど不可能だったのである。
代わって男子の場合は「夜間中学校」というのがあった。昼間は大工、左官(壁屋)、魚屋、米屋
などの店員として働き、雇い主の許しを得て、夜、特別の中学校に駆けつけたのである。時間がない
すね
かじ
から、それぞれの労働着のまま鞄を抱えて走り込んでくる。親の臑を囓って「遊学」している我々の
目に、彼らの姿と、毅然とした顔は眩しかった。
夜間中学にも通えない人々が学歴を上積みしようとすれば、「専検」に挑むほかはなかった。とこ
ろが、その「専検」は、気が遠くなるほど難しかったのである。だから専検合格者ともなれば、我々
旧制中学生は戦慄した。それほどに彼らの実力は凄かったのである。
目下の我が国の文教行政は「甘やかし」の一語に尽きる。ゆとり教育は、まさにその典型であった。
あまりの評判の悪さに文部科学省は、指導要領をハードな方向に改訂したが、学校五日制は放置した
ままである。そのような狭間で大検の容易化が進められるとすれば、我が国高等学校教育全体への影
響が憂慮される。
諸君には「大検」という安易なコースに頼らず、現在の学校を確実に卒業するよう心がけていただ
きたいのである。
気になる情報がある。大学卒業者を採用するに当たって、企業が「あなたはどのようにして大学入
試を突破しましたか」と尋ねる向きがあるというのである。
問題になるのは、その人物が常に安易な方向を模索し、最小の努力で最大の成果を勝ち取ろうとす
るような人物であるかどうかを気にしているらしいということである。部活動、ボランティア等で敢
闘してきたような場合は別として、企業は常に安易な道を模索するような人物を、極度に警戒してい
るのではないかという点である。
学校を中退し、大検を経て大学入試を突破すれば、一応何の問題も残らないことになる。しかし、
高校中退という事実を履歴書から省くことはできない。杞憂に過ぎないかも知れぬが、私は、微かな
事実によってでも諸君の前途が不利に振れることを恐れる。それだけに、今年も、ここまで漕ぎつけ
た諸君の努力を心から称えたいのである。
二月も寒いが、一番寒いのは一月である。二月には既に日の照らす角度が相当高くなっている。気
温統計でも、二月には春の気配が感じられる。梅の花も咲く。
私は毎年数度湯島天神を訪れる。「学問の神様」に捧げる合格祈願の絵馬も微笑ましい。二月を待
たず私も、三年生諸君の成功を祈念しに湯島を訪れたいと思う。
正月は、来し方行く末に思いを致す好機である。一年間の努力のあとを振り返り、各学年とも来る
べき一年への思いを新たにしてほしい。私もこの一年に期するところは決して少なくない。生き甲斐
は努力の中にのみ存在する。共に希望を燃やして突き進んでいこう。
時間に流されるな
三学年部長
新居
学
後25日、と聞けば…。
真剣に自己実現に挑んでいる受験生は、ここに来て悩み、不安などあるはずがないでしょう。悩み、
不安を感じる受験生は、いつも後ろを振り返り、振り返りした弱気な受験生です。日一日と迫ってく
る入試当日には、目指す大学の狭き門に我一番と何千、何万という強者が押し寄せてくるのです。押
されれば、押し返そうとするのが心理。その力がいかに頑強かは、過ごした受験生活の質にかかって
きます。
二年生の進路ガイダンス、三年生の進路ガイダンスのたびに話してきた「平等なもの」について、
もう一度話をしたいと思います。
この世で平等に与えられていることとは何かと、問いました。
それは「時間」です。人間以外の生き物(植物も)は、朝、昼、夜と訪れる時間に逆らうことがで
きません。しかし、人間は時間を朝・昼・夜と問わず自由に、自分勝手に作り、使うことができます。
そこで人間は、戒めの言葉として、とても良い言葉を作りました。
「時は金なり」
(時間は貴重なもの、
有効なもの、大切にしなさい)です。しかし、私も含め、どれだけの人間が時間を意識し、大切に使
っているでしょうか。歌にもありますが、いつの間にか「時に身をまかせ」てしまい、流された日々
を送ってはいないでしょうか。
「時間」と同じく意識しないで過ごしていることに「健康」があります。健康も日頃意識せずに過
ごすため、怪我をしたり、病気になったりして初めて「健康の有り難さを知る」のです。時には遅い
場合もありますが…。
話を「時間」に戻しますが、時間は良くも、悪くも自分の好きなように使うことができます。ある
人は寝る時間もないとか、食べる時間がないとか、休む暇もないとか、とても忙しい時間を過ごして
います。逆に考えると、それだけ有効な時間があるということになりませんか。
どんな事でも結果を出すには準備と時間がかかります。1日24時間を有効に使うのも自分次第です。
以前、車で通りかかった道沿いのお寺の掲示板に「多忙多忙は怠惰の隠れ蓑」という言葉がありまし
かこつ
た(忙しいことに託けてサボること)。
これから受験の最終章を迎える受験生、その中でも強く不安を抱えている受験生は、「焦らず、ブ
レず、24時間を有効」に活用することを考えてください。
すなわち、16時間の活動時間(起床~食事~勉強~余暇)と8時間の睡眠時間を取ることです。「時
間を制する受験生」は『試験を制する』と断言します。
終わりに、保護者会で話したことです。
作家の宇野千代の言葉に、「いま あなたの上に現れている能力は氷
山の一角。真の能力は、水中深く深く 隠されている」とあります。
この言葉は「子どもは化け物だ」と事あるごとにおっしゃる小川校長
先生の言葉の意味と同じで「君たちは計り知れない可能性を秘めてい
る」ということなのです。
「出来ない事はない」 為せば必ず成ります。
生活指導部からの提言
生活指導部長
古屋 寿海
冬休みを迎え、個々に計画を立て目標に向かい邁進しよう。学校では、自習室を28日まで開放し、
新年は4日からとしている。一、二年生の講習は27日まで実施される。
各部活動では、顧問の先生方を中心に安全第一に活動し、充実した冬休みを過ごそう。そのために
以下の各項目を自分の約束として生活しよう。
①プロフ・ブログに個人情報や写真を載せません
②悪口を書いたり迷惑メールを送ったりしません
③夜遊びはしません(カラオケ・無断外泊)
④R15+・R18+・成人向け雑誌・ビデオは買いません・見ません
⑤万引き・自転車泥棒は絶対しません
⑥C、D、Z このマークがついたゲームソフトでは遊びません
⑦自転車のルールとマナーを守ります(二人乗り、携帯電話を使いながら、イヤホン
運転)
⑧たばこは吸いません、お酒は飲みません
⑨薬物の誘いを絶対断る強い気持ちを持ちます
⑩振り込め詐欺、その他の詐欺行為に引っかかりません
⑪公的な場(電車やコンビニ等)での振る舞いには、
十分気をつけます
⑫補習講習等で登校する際は、正しく制服を着用します
をしながらの
将来の日本を担う君たちに向けての提言です。豊かな心を養い、逞しく生きよう。
エコキャップ回収状況の報告【第一回】
生徒会・インターアクトクラブ
11月末、全校の皆さんが集めてくださったキャップを、NPO法人「エコキャップ推進協会」に
送りました。初めての協力結果は以下の通りです。
数 量
個 数
CO2抑制量
46.2kg
約18,480個(1kgを400個として計算)
146kg(400個を焼却すると3.15kgのCO2が発生します)
*エコキャップ1㎏=400個=10円
ポリオワクチン20円/人
今回のエコキャップは、23.1人分のポリオワクチンに生まれ変わります。確かに金額的に考えれ
ば、462円程度の協力にしかなりません。しかし、回収されることなく捨てられたキャップはゴミと
なり、普通に焼却されれば、大量のCO2を排出することになります。お金そのものを寄付すること
以上に、地球環境保護と発展途上国の援助を同時に行えることに大きな価値があると思います。
なお、今年の5月から9月にかけて、この協会は、東日本大震災の被害の大きい宮城県・岩手県
・福島県・茨城県の各県へ1,000万円ずつ義捐金を出しています。
今後とも皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。
*エコキャップ推進協会(http://ecocap007.com/)