厚生年金基金の解散について ~事業主様宛説明会~ 平成26年5月・6月 東日本硝子業厚生年金基金 0 目次 1.厚生年金基金制度の仕組み 2.基金の解散方針を決議した背景 3.厚生年金基金制度見直し法案の概要 4.基金の現状と財政状況 5.基金の解散方針決議までの経緯 6.特例解散 7.基金の解散について 8.今後のスケジュールについて 1 1.厚生年金基金制度の仕組み (1)わが国の年金制度の体系 加入員数 420万人 加入者数 加入者数 49万人 16万人 厚生労働省年金局 年金財政ホームページ より作成 国 民 年 金 基 金 確 定 拠 出 年 金 ( 個 人 型 ) 厚 生 年 金 基 金 加入者数 加入者数 796万人 420万人 (数値は平成25年3月末) 確 ( 企定 業拠 型出 )年 金 確 企定 業給 年付 金 職域加算部分 代行部分 厚生年金保険 3,472万人 共済年金 440万人 国 民 年 金 (基 礎 年 金) 6,736万人 第2号被保険者 の配偶者 自営業者等 960万人 1,804万人 第3号被保 険者 第1号被保険者 (各制度の「高さ」「幅」については給付額の高低を示すものではありません) 民間サラリーマン 公務員等 3,912万人 第 2 号 被 保 険 者 2 (2)厚生年金基金制度の仕組み 3階 部分 プ ラ ス ア ル フ ァ 部 分 の 掛 金 2階 部分 代 行 部 分 の 掛 金 1階 部分 ( 国厚 に生 納年 付金 )保 険 料 掛金 年金の受給を受けるときに、国の年金に一定額 が上乗せされて終身で年金を受給 プラスアルファ部分 ⇒基金へ納付 給付 厚生年金基金 (基金独自の 企業年金部分) 上 乗 せ 部 分 ⇒基金へ納付 国の厚生年金保 険の代行部分 保険料率 ⇒国へ納付 代行部分 老齢厚生年金 再評価・スライド部分 老齢基礎年金 (国民年金) 代 行 部 分 基金に加入している事 業所は一般の企業より 多く年金がもらえます 基 金 か ら 給 付 基金に加入している 事業所の制度 (サラリーマンが加入する制度を 一部代行している制度) 国 か ら 給 付 サラリーマンが加入します 国民全員が加入します 3 2.基金の解散方針を決議した背景 ①日本の少子高齢化、デフレ下での低成長など基金を取り巻く社会経済構造 が大きく変化したこと ②加入事業所および加入員が減少傾向にある中で、受給者が急激に増加し、 財政収支が悪化していること ③基金制度を維持するには、大幅な掛金引き上げが今後も必要となる可能性 が高いこと ④厚生年金基金制度見直しの法案が成立し、実質的に厚生年金基金制度の 廃止の方向が決定したこと 4 3.厚生年金基金制度見直し法案の概要 ○施行日から5年間 : 「代行割れ問題」に集中的に対応 ○施行日から5年後以降 : 「代行割れを未然に防ぐための制度的措置」を導入 5 (1)厚生年金基金の存続条件 ○法施行後5年以降も存続する基金は、以下の継続基準・非継続基準による財政運営を引き 続き実施する。 ○非継続基準は5年かけて段階的に引上げられる。基準未達の場合、翌年度末までに当該基 準までの積立水準を確保することが必要。 求められる純資産の水準 ×1.5 ×1.4 ×1.3 どちらかを満たす ×1.2 非継続基準(存続基準) ×1.1 最低責任準備金比 ×1.00 ×1.00 ×1.00 ×0.98 ×0.96 最低積立基準額比 継続基準 ×1.00 責任準備金比 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 平成31年度 平成32年度 法施行 5年後 6 (2)選択肢と主な選択のポイント 7 4.基金の現状と財政状況 (1)加入員・受給者の推移(設立来) ■加入者は平成4年度末の11,245名をピークに減少し、平成25年度末には 6,324名とピーク時の42%減となった ■受給者は平成24年度末に加入員を上回り、基金の成熟化が進展している (人) 12,000 10,000 加入員 8,000 6,000 受給者 4,000 2,000 0 43年 和46年 和49年 和52年 和55年 和58年 和61年 成1年 成4年 成7年 成10年 成13年 成16年 成19年 成22年 成25年 平 平 平 昭和 昭 昭 昭 昭 昭 昭 平 平 平 平 平 平 (年度) 8 (2)掛金額・給付額の推移と将来予測 差額 掛金額 年金給付 4000 3306 3000 2502 2312 1874 2356 2680 1997 2068 2202 1104 2086 1992 2146 2076 1000 0 -2000 3446 3515 3562 2145 2120 将来推計 2180 1932 3379 3460 1909 2164 2154 2133 1772 716 -16 現在 79 -244 -1000 3061 3279 2333 2076 2000 1890 2988 2792 3105 3253 -510 -270 -534 -728 -1056 -1196 -1099 -1215 -1306 -1301 -1382 -1442 -1481 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年 28年 29年 30年 9 (3)年金資産額と運用利回りの推移(過去10年間) (単位:億円、%) 400 327 300 284 352 328 304 25.00% 369 330 335 19.47% 342 336 305 21.16% 266 230 200 4.91% 6.82% 4.19% 2.73% 100 -4.55% -100 275 241 262 7.54% 6.63% 15.00% 14.94% 10.00% 9.57% 2.17% -1.28% -0.26% -3.54% 34 0 -43 282 297 254 3.10% 22 -24 20.00% 280 0.00% 0.42% -5.00% -6.83% -31 -15.65% -31 -112 -21.75% -200 -28 5.00% -18 -34 年金資産 最低責任準備金 過不足 運用利回り 本体利回り -10.00% -15.00% -20.00% -25.00% 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 サブプライム問題 リーマンショック アベノミクス 10 (4)平成24年度決算内容 純資産が最低責任準備金(代行部分)を30億円下回っています(積立水準91%) 資産勘定 負債勘定 (単位:億円) ・国の厚生年金保険の一部 を代行して給付するための債 務。 30 ・解散した場合に、この部分を 国に返納する必要があります。 最低責任準備金 (継続基準=期ズレ解消後) 287 純資産 257 代行割れの状況 未償却過去勤務債務残高 12 11 (5)基金存続条件との比較 基金存続の基準 平成24年度末時点(億円) ※法改正後の計算ベースで記載 ▲173 ▲141 ▲30 最低責任準備金 ×1.5 最低積立基準額 最低責任準備金 (継続基準=期ズレ 解消後) 287 430 398 純資産 257 12 5.基金の解散方針決議までの経緯 2月 出来事 3月 ▲ A I J 問 題 発 覚 出来事 5月 ▲ 有 識 者 会 議 設 置 7月 ▲ 厚 生 局 向 け 説 明 会 4月 平成24年 6月 7月 8月 (▲ ~基 8金 月向 上け 旬説 )明 会 9月 10月 11月 12月 1月 2月 ▲ 専 門 委 員 会 設 置 ▲ 意 見 取 り 纏 め ▲ 報 告 取 り 纏 め 8月 平成25年 9月 10月 11月 12月 平成25年 3月 4月 ▲▲ 閣通 議常 決国 定会 に 法 案 提 出 5月 6月 ▲ 衆 議 院 本 会 議 可 決 ▲▲ 参改 議正 院法 本公 会布 議 可 決 ( 成 立 ) 平成26年 2月 3月 1月 決算 予算 代議員会 代議員会 政省令、通知等 の概要提示 (パブコメ) 法令等 政省令 公示公布 4月 通知改正 法施行 解散 関係 特例解散マニュアル 意見募集 (厚生局向け) 解散要件 通知改正 特例解散マニュアル 通知 法施行日 13 ①24年度決算は、純資産額と最低責任準備金との比較においては0.91であり、 代行割れの状況となっている。 ②24年度財政決算基準とした場合、「健全な基金」として存続するには、最低責 任準備金の1.5倍(約173億円)等の要件をクリアする必要がある。掛金対応 だけでは11.4.%以上の掛金アップ(1人当り平均月3万円以上)が必要となる ③改正法施行から5年間以内に存続基準を満たしていなければ、社会保障審議 会(第三者委員会)の意見を聴いて,厚生労働大臣より解散命令が出る ④他制度への移行は、代行型基金であり、新たに立ち上げるには、運営コストの 面からも難しい ⑤今後、時間の経過とともに財政状況は益々厳しくなる見込みである 基金制度維持は 極めて困難 企業の負担を考慮し早期解散が、最善の選択と判断 14 15 6.特例解散 施行後5年間の特例措置・…・・代行割れ基金が対象 (1)納付額特例 納付額特例の認定が承認されると、最低責任準備金が減額されます。 代行割れのまま解散する厚生年金基金は、厚生労働大臣に最低責任準備金の「納付額特例」を申請することがで きます。申請の認定にあたっては、申請までの基金の業務運営における掛金設定や給付抑制策などが「相当の努 力」の要件に適合する必要があります。申請が認められた場合、最低責任準備金は次の方法で計算し、いずれか 低い額を返還することができます。 ①平成11年9月末を起点に元利合計した額 現行の最低責任準備金の計算方法。 ②基金設立時を起点に元利合計した額 厚生年金基金が設立されなかった場合に厚生年金本体が保有していたと見なされる額。ただし、②で計算した額 よりも純資産額が大きい場合は純資産額。 16 (2)納付猶予特例 分割納付期間は通常5年ですが、最長で30年まで延長することができます。 代行割れのまま解散する場合、積立不足は加入事業所の事業主が掛金を拠出して一括償却すること が原則ですが、分割納付をするため厚生労働大臣に「納付猶予特例」を申請することができます。申請 の承認にあたっては、基金と事業主が猶予をうけようとする額や分割納付期間などを記載した「納付計 画」を提出するとともに、申請までの基金の業務運営における掛金設定や給付抑制策などが「相当の 努力」の要件に適合する必要があります。分割納付期間は原則5年以内で、やむを得ない理由がある ときは期間を最長15年まで延長することができます。今回の改正ではさらに、基金の業務運営が「著し い努力」の要件に適合する場合は、最長30年まで延長することができるようになりました。 納付計画はすべての事業主が提出します。 納付計画は、原則としてすべての事業主が提出することが必要です。これにより国と基金の債券債務 関係が国と事業主に置き換えられ、事業主間の連帯債務もなくなります。一部の事業主の負担を基金 の納付計画に合わせて提出することも可能ですが、この場合は、その事業主間で連帯債務を負うこと になります。なお、分割納付額には加算金が上乗せされますが、利率は解散した年度の国債利回りを 勘案して定められた率が用いられます(固定)。 (原則的な取扱い) (特例的な取扱い) 特例解散による納付 猶予を受けるには、 全ての事業主が納付 計画の提出要 一部事業所が納付計画 を提出することが困難 な場合は、当該事業所 基金と併せて負担額を 納付する形態も可 17 18 7.基金の解散について (1)解散後の掛金 一般的には事業主 が負担している 厚生年金基金 厚生年金基金 3階部分 基金に納付 基金解散後 基金が解散すれば、3階部分や不足額負 担の特別掛金等の納付がなくなる。 (上乗せ部分) 代行部分 厚生年金 2階部分 厚生年金 17.120% 国に納付 国民年金 1階部分 (基礎年金) H25年9月現在 17.120% を労使折半 (国に納付) 国民年金 (基礎年金) (各8.560%) 19 (2)解散後の給付 厚生年金基金 解散すると3階部分 の給付はなくなる。 残余財産は分配さ れる。 基金解散後 厚生年金(代行年金)は解散 しても国が支給を保証 3階部分 基金から給付 厚生年金基金 代行部分 厚生年金 2階部分 厚生年金 国から給付 国から給付 1階部分 国民年金 国民年金 (基礎年金) (基礎年金) 20 (参考)掛金のしくみ 21 《 掛金の内訳 》 22 純資産と最低責任準備金(国に返還する金額)は解散認可まで変動します。 増加要因 減少要因 増加要因 減少要因 30億円下回っている (億円) 掛 運 金 用 収 益 給 運 付 用 損 失 純資産 257 最低責任準備金 287 代 行 部 分 の 掛 金 厚 生 年 金 本 体 利 回 り の 付 利 代 行 部 分 の 給 付 24年度決算時点(法改正後の基準) 23 解散認可申請に必要なこと ①記録整備 ⇒ 解散するには基金保有の代行年金給付データを国に引渡す。 国のデータと相違している場合、確認調査 が必要となる。(確認調査に各事業所様のご協力をお願い致します。) ②年金受給者への説明 ⇒ 解散に至る理由や解散による影響等について書面等で説明することが義務付けられている。 (年金受給者より各事業所様にお問い合わせがいく場合がございます。) ③「解散の同意書」回収 ⇒ 全事業主の3分の2以上の同意書の取得 全加入員の3分の2以上の同意書の取得 労働組合の4分の3以上の同意書の取得(加入員の3分の1以上で組織する組合) (加入員、労動組合への説明、同意書回収をお願い致します。) ④納付計画書(特例解散の場合、原則として全事業主) ⑤代議員会での議決(①、②、③が完了が条件) ⇒ 解散認可申請を行う議案について、代議員定数の3分の2以上の同意が必要 ⑥解散認可申請書の提出 ⇒ 厚生労働大臣宛に解散認可申請書を提出し認可を受ける ⑦責任準備金相当額の返還 ⇒ 代行部分の資産を国に返還する。 24 8.今後のスケジュール 25 MEMO 26 MEMO 27 28 28
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