メタボリックシンドロームと 保健指導

21.7.14
K健康保険組合
今日からできる!
動脈硬化予防
~働く世代のより健康的な明日のために~
独立行政法人 労働者健康福祉機構
大阪労災病院勤労者予防医療センター
保健師
米山 貴子
STEP1:内臓脂肪型肥満と、
非内臓脂肪型肥満を分類
1) 内臓脂肪型肥満
腹囲:男性≧85cm 女性≧90cm
(内臓脂肪が蓄積している可能性のある方)
2) 非内臓脂肪型肥満
腹囲:男性<85cm 女性<90cm
かつBMI≧25
(この状態も肥満といいます)
STEP2:動脈硬化を早める危険因子を数える
1) 血糖(いずれかに該当)
①空腹時血糖:100mg/dl以上
②ヘモグロビンA1c:5.2%以上
2) 脂質(いずれかに該当)
①中性脂肪:150mg/dl以上
②HDL-cho:40mg/dl未満
3) 血圧(いずれかに該当)
①収縮期血圧:130mmHg以上
②拡張期血圧:85mmHg以上
左記が1つでも
あてはまる場合
+ 4) 喫煙歴
例)血糖値が120mg/dlで、中性脂肪が160mg/dl、加えて喫煙する
場合、危険因子は3つ
STEP3:STEP1,2から、保健指導の
必要レベルをグループ分け
危険因子
1)腹囲:男性≧85cm
女性≧90cm
2)腹囲:男性<85cm
女性<90cm
かつBMI≧25
3個以上
積極的支援
積極的支援
2個
積極的支援
動機づけ支援
1個
動機づけ支援
動機づけ支援
※既に高血圧症・脂質異常症・糖尿病について治療中の方(服薬中)は、
主治医の指導があるため、特定保健指導は対象外となります。
保健指導レベル
今後のスケジュール
積極的支援
本日90分間お付き合い頂き、減量目標を設定し、
それを達成するために何をするか、を一緒に考え
ます。
また、本日から3ヵ月後と6ヵ月後、指定の様式に
より目標の達成状況や困難なことを郵送または
FAXにてご報告頂きます。
動機づけ支援
目標設定は積極的支援の方と同様です。
また本日から6ヶ月後、指定の様式により目標の
達成状況を郵送またはFAXにてご報告頂きます。
治療中(服薬中)
本日で終了です。お越し頂きありがとうござい
ます。今日お話したことはあくまで参考程度にして
ください。生活習慣の見直しは主治医にご相談
ください。
特定保健指導は、メタボリックシンドローム予防!
脂質異常症
肥満
↓
身体の変化が検査に現れる
↓
「高め」または「低め」が
続き、かつその危険因子が
複数あると、動脈硬化を
招いてしまう
↓
放っておくと脳梗塞や心筋
梗塞などの循環器病を引き
起こす危険性が高まる!!
メタボリックシンドローム予防=まず減量
★メタボそのものに効く薬は今のところありません。
筋肉量を維持してリバウンドの少ない減量をするために、
2に食事
1に運動
しっかり
禁煙
最後に
クスリ
1~3をしても検査数値が悪くなる場合
3ヶ月の運動と食事の見直しで、
内臓脂肪が減少!!
生活習慣を見直すことにより、
確実に内臓脂肪が減っています。
(http://www.sekichuo.jp/dock/fatscan.html)
運動量を把握しましょう
今、スポーツをしていますか?
Q1 普段、特別な時間をとってされている
(そのために時間を割いている)
スポーツはありますか?
(毎日ではなくても可)
Q2 では、そのスポーツは何曜日に、
どのくらいの時間していますか?
楽な
運動なら20分
ややきつい
運動なら15分
きつい
運動なら10分
身体活動量評価チェックシート記入例
活動内容
運動
生活
活動
合計
月
Ex
Ex
Ex
火
Ex
Ex
Ex
水
Ex
Ex
Ex
木
Ex
Ex
Ex
金
Ex
Ex
Ex
土
ウォーキング
30分
2Ex
Ex
2Ex
日
ゴルフ
60分
4Ex
Ex
4Ex
6Ex
Ex
6Ex
合計
身体活動量評価チェックシート記入例
活動内容
月
通勤時歩行
15分(片道)
運動
生活
活動
合計
Ex
4Ex
4Ex
火
通勤時歩行
15分(片道)
Ex
2Ex
2Ex
水
通勤時歩行
15分(片道)
Ex
2Ex
2Ex
木
通勤時歩行
15分(片道)
Ex
4Ex
4Ex
金
通勤時歩行
15分(片道)
Ex
2Ex
2Ex
土
ウォーキング
30分
2Ex
Ex
2Ex
日
ゴルフ
60分
4Ex
Ex
4Ex
6Ex 14Ex
20Ex
買い物30分
買い物30分
合計
食べ物や飲み物でとり過ぎて
いれば、減らしましょう。
生活習慣病予防と改善のための
食事の見直し
1 肥満があれば減量する。
(適正エネルギーをとる)
2 規則正しい食事をする。
3 バランスのとれた食事をする。
4 砂糖やアルコールを適量にする。
5 脂肪を適量にする。
6 食習慣を改善する。
1)肥満があれば減量する
いくら減量すればよいか?
・ BMI25以上の場合は、体重の5%を減量すれ
ば生活習慣病の改善になるといわれている。
・ 例えば、70kgの人は3.5kg、80kgの人は4kg
減量を目標に運動と食事を見直す。
・ 月1~2kgの割合で減量するのが体に負担が
かからず理想的である。
肥満があれば減量する
(適正エネルギーにする)
• 標準体重を計算する。BMI(体格指数)=22
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
• 必要エネルギーは、
標準体重×(25~30kcal)
○例えば170cmの人の場合
標準体重=63.6kg
標準体重当たり25kcalとして
必要エネルギー≒1600kcal
標準体重当たり30kcalとして
必要エネルギー≒1900kcal
標準体重kgとBMI別にみた体重kg
身長cm
22
43.1
46.3
49.5
52.9
56.3
59.9
63.5
25
49.0
52.6
56.3
60.1
64
68.1
72.3
30
58.8
63.1
67.5
72.1
76.8
81.7
86.7
35
68.6
73.6
78.8
84.4
89.6
95.3
101.2
175 56.7
67.4
76.6
91.9
107.2 122.5
180 59.9
71.3
81
97.2
113.4 129.6
185 63.3
75.3
85.6
102.7 119.8 136.9
140
145
150
155
160
165
170
18.5
36.3
38.9
41.6
44.4
47.4
50.4
53.5
40
78.4
84.1
90.0
96.1
102.4
108.9
115.6
2)規則正しい食事をする
朝食を抜くことが週に3回以上ある
朝食習慣と肥満の関係
BMI(kg/㎡)
24
23.5
23
22.5
22
21.5
21
20.5
毎日とる
ときどき
全くとらない
Timlin MT.et al:Pediatrics e638-645,2008
3)バランスのとれた食事をする
副菜の料理は、1日5~6皿
4)お菓子を適量にする
お菓子のエネルギーと砂糖の量
★ 和菓子(1個)
(まんじゅう、羊羹、大福もち、もなかなど)
100~200kcalのエネルギーがある
砂糖の含有量:10g~30g
★ 洋菓子(1個)
(ケーキ、シュークリーム、アップルパイ、カステラ、チョコ
レートなど)
200~350kcalのエネルギーがある
砂糖の含有量:12g~40g
★ 菓子パン(1個)
300~450kcalのエネルギーがある
砂糖の含有量:30g前後
1日あたり100kcalまでにしましょう
一日平均純アルコールで20g程度が適量(男性)
種類
ビール
中瓶
0.5合
(180ml)
(90ml)
12~13
25
40
16~20 17~19
18
20
125
160
500
アルコール度
数(度、%)
4~5
エネルギー量
(kcal)
焼酎
ウイスキー
(25度)
1合
量(ml)
アルコール量
日本酒
200
200
60
「糖質0」のアルコールとエネルギー量について
飲料100mlあたり20kcal以下
→「カロリーオフ」「カロリー控えめ」
飲料100mlあたり5kcal未満
→「カロリーゼロ」、「ノンカロリー」
飲料100mlあたり糖類が2.5g以下
→「低糖」「糖分控えめ」
飲料糖質0.5g未満
→「糖質0」「無糖」「ノンシュガー」
「シュガーレス」「糖分ダイエット」
アルコール量1%未満
→「ノンアルコール」
糖質を一部除去したもの
→「糖質オフ」
糖質と糖類は違う
→「糖類0」
商品名
エネル
ギー
(kcal)
アルコー 糖質
ル分
(g)
(%)
企業名
zero
67
3
0
キリン
スタイルフ
リー
84
4
0
アサヒ
ビバライフ
98
5
0
サッポロ
ストロング
ゼロ
168
8
0
サントリー
チュウハイ
カロリ
98
4
0.5
サントリー
糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
糖類=単糖類(ブドウ糖、果糖)+二糖類(砂糖、乳糖)
(350ml缶)
5)脂肪を適量にする
《脂肪のとりかた》
食物油として1日当たり15g(大さじ1杯) =135kcal
ピーナッツ
アボガド
豚バラ肉
ベーコン
20g 20粒
60g 約1/3個
30g
30g 1.5枚
バター
マーガリン
マヨネーズ
ドレッシング
大さじ1杯
大さじ1杯
15g 大さじ1杯
30g 大さじ2杯
油を使い過ぎないようにするには
1 油料理は、1日1~2品までにする。
2 炒め物の油は、2gまでにする。又はテフロン
加工のフライパンを使う。
3 マヨネーズの使用量はできるだけ少なくし、
牛乳や酢で薄めて使う。
4 ドレッシングは、ノンオイルドレッシングやポン酢に
変更する。
5 豚ばら肉や牛ばら肉は、油として使う。
6 肉類は、脂肪の少ない赤み肉を選ぶ。
生活習慣修正に基づく降圧の程度
(JNC7を改変) (高血圧治療ガイドライン2004)
見込まれる
収縮期血圧低下
(mmHg)
DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)ーSodium DASH食
(コレステロール・飽和脂肪酸の制限、K,Ca,Mgの増加、食物繊維の増加)
減塩
DASH食
減量
運動
節酒
0
-5
-10
血圧
-15
-20
-25
6g/日
減少
日本食
に近い
10kg
減少
30分/日
速歩
男:30ml/日以下
女:15ml/日以下
脂質異常症の予防と改善のための食事
1 適正なエネルギーをとる。
2 全体的に脂肪を減らす。
・肉類、卵類、牛乳などの動物性油脂↓
・青魚に多いDHAやEPA↑
3 コレステロールの多い食品は1日300mgまで!
★卵(L寸1個で250mg)を1日半個又は2日に1個に
する。
★魚卵(イクラ、たらこなど)にも注意が必要。
4 砂糖や脂肪の多いお菓子やジュース、ごはんの
とりすぎは中性脂肪を上昇させる。
5 食物繊維は食物中のコレステロールを吸着し排泄
する働きがある。
6)食習慣を改善し具体的な目標にする
•
•
•
•
•
•
•
•
•
休肝日を週2日作る。
ごはん2杯を1杯にする。
揚げ物は、1日1回までにする。
ドレッシングをノンオイルドレッシングに変える。
お菓子は、週に3回までにする。
ジュースや炭酸飲料は、水やお茶に変える。
腹8分目にする。
野菜を毎食食べる。
一口20回(又は30回)噛むようにする。
タバコについて
タバコには3つの依存
ニコチン依存
人間の意志では克服困難
ニコチンが切れるとイラ
イラするような仕組みを、
ニコチンが作ってしまう
ために起こります。
心理的依存
喫煙の正当化
プロパガンダ:認知的
不協和が生じること
によって、自分の行
動を正当化してしま
います。
習慣化
生活習慣化されている
タバコを吸うことが生活習
慣と結びついているため
に起こります。
例:食後必ず吸っていた人
が、食後にとても吸いたく
なる等
その1.環境改善法
● タバコ、ライタ、灰皿などの喫煙具を処分する
● タバコが吸いたくなる場所をさける(パチンコ店、居
酒屋など)
● タバコが吸えない場所を利用する(図書館、映画館)
● 喫煙者に近づかない
● タバコを吸わない人の横に座る
● タバコを買う場所に近づかない
● 自分が禁煙したことを身近な人に言う
● 禁煙中の貼紙をする
● 周囲の喫煙者にタバコを勧めないよう
頼んだり、近くで吸わないようお願いする
● タバコから話題をそらせる
など
その2.行動パターン変更法
● 洗顔、歯磨きなど、朝一番の 行動の順番を変える
● いつもと違う場所で昼食をとる
控えめに!
● 食後早めに席を立つ
● コーヒーやアルコールをひかえる
● 食べ過ぎない
● 過労をさける
● 夜更かしをしない
● 電話をかける時にタバコを持つ手で受話器を持つ
など
その3.代償行動法
● 冷たい氷を含んだり、熱いめのお茶を少しづつ
飲む
● 散歩や体操などの軽い運動をする
● 歯を磨く
● 深呼吸をする
● 糖分の少ないガムや干し昆布などをかむ
● 机の引き出しを整理する
● 音楽を聴いたりする
● シャワーを浴びる
など
上手な禁煙 8つのコツ
①禁煙開始日を決める
②禁煙開始前日に、たばこ、ライター、灰皿を処分する
③吸いたい気持ちをそらす工夫
④口寂しさ対策とたばこに替わる習慣づくり
⑤お酒の席は、できれば禁煙後1~2ヶ月は避ける
煙の多い場所に行かない
⑥気負わない
⑦自分の禁煙サポーターをつくる
⑧あきらめない
睡眠不足は肥満の原因