スライド 1

川崎就労定着プログラム K-STEP
精神障がい就職
マーケットの問題共有
川崎就労定着プログラム K-STEP
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精神障がい者を採用する際の企業の不安
面接時にどんな点を見ているかの調査結果によると、1~5位は次の通りです。
ご本人が想像していることと違うのではないでしょうか。
すぐに辞めないかなぁ
1位
2位
3位
4位
5位
客観的な安定状況(3~6ヶ月)
病気の特徴と、必要な配慮
チームサポート体制
人間性
経験やキャリア(スキル)
不安を解消したい
自社に適しているか確認したい
企業は一緒に働く仲間として、すぐに辞めないでいられる人、
言い換えると 安定した状態(を作れる)の人 を探しています
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安定した状態を作ることが上手な人を育てる
状態が不安定になりやすく、疲れやすいのが、精神疾患の一つの特徴ですから、
「安定した状態を作ることは難しい」 と考えてしまいますよね。
しかし、トレーニングによって次の3つの対処が出来ると考えています。
1 自分で、今の状態がわかる
2 自分で、その時々で必要な対処をおこなう
3 自分から、上司や仲間に理解してもらい、協力を依頼する
(仕事で)本来のチカラを発揮するために、自発的に必要な対処を
することを セルフケア といいます。
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協力を求めても受容れられないのでは。。。
人が持っている価値を適切に発揮するために必要な 周囲の理解や協力体制
のことを 配慮 といいます。
現在、企業では障がい者に配慮(合理的配慮)を提供することが義務付けられ
ています。つまり、配慮を求めることは常識に成りつつあるのです。
しかし、精神疾患の方を採用した多くの企業が、「面接で尋ねても、配慮は不要
だと言われる。」 「実際採用すると、安定して就業することが難しい人が多い。」
「今どのような配慮提供が必要なのか、察知することが難しい」と感じています。
今、我々が提供しているトレーニングは本当に充分なのでしょうか。
1 自分で、今の状態がわかる
2 自分で、その時々で必要な対処をおこなう
3 自分から、上司や仲間に理解してもらい、協力を依頼する
遅れているのは、セルフケアの仕方や、配慮の求め方のノウハウなの
かもしれません。
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病気や状態の特徴を記したトリセツの限界
多くの障がい者サポート機関で、当事者の特徴を記したトリセツを作成することは
主流になりつつあり、実際に、理解する最適な方法だと思われます。
(別紙:トリセツ例参照)
しかし、トリセツには3つの落とし穴があります。
1 一度見ると、次に見る機会が少なく形骸化しやすいこと
2 変化する本人の状態理解には対応できないこと
3 状態に合った適切な配慮が提供されにくいこと
上記の落とし穴も同時にクリアできる方法があると、
セルフケアや配慮の求め方のさらなる強化になるかもしれません。
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ドクターの本音
ご利用者のことを一番理解している方の一人にドクターがいます。
しかし、2~4週間に一度、5~10分の問診で本当に本人の状態を把握できるのか
尋ねると、「無理です」との回答が少なくありません。
ドクターは病気の特徴は正確に把握できますが、前回の診察から今日に至るまで
本人がどのような状態である(あった)か、分らないのです。
ですから問診をするのですが、本人は前回の診察から今日までのことをどの程度
正確に伝えることが出来るのでしょうか。
その問診によって、状態報告や把握が適切でなかった場合、本当に必要なお薬が
処方されていないかもしれません。
正しく今の状態や前回診察からの変化状況を伝えることができれば、
もっと医療との関係が良くなるとも言えそうです。
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仕事とは 「貢献」 すること
配慮の話をするときに、もう一つ抑えておきたいポイントがあります。
就職することとは、働くということであり、その会社の業務に携わることで
価値貢献し、対価を受け取るということです。
配慮だけが一人歩きし、容認されると、本人の貢献の気持ちや成長意欲を欠き、
場合によっては甘えの気持ちつながることもあります。
育成したい人のイメージは
・貢献や成長の気持ちがあること
・そのために必要なセルフケアをできること
・足りない部分を配慮要求できること
配慮
セルフケア
「私は貢献・成長意欲があり、セルフケアもできます。しかし、こういっ
ところは配慮を求めたいです。」 と言える方は採用したくなりますね。
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それぞれの立場から感じている問題をまとめる
と。。。
【当事者】
・ やる気はあるのに就労定着できしない
・ 自分のことを周囲の人が正確に理解してくれない
【採用企業】
・ 採用してから状態が安定せず、就労定着しない
・ 特徴は判っても、必要な配慮が分からない
【支援者】
・ 就労定着のためにどんな支援を強化すればよいか模索中
【ドクター】
・ 当事者の正しい状態がわからないため、適切な処方が出来ていない
セルフケアトレーニングをさらに強化することで、
これらの問題がすべてクリアするかもしれません。
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ここまでのポイントと今回の研修のテーマ
■ 下図とおり、3つのポイントを押えた育成が大切であることを確認しました
■ セルフケアの手法は世の中に沢山あるようです
各社が独自の方法でセルフケアを高めることで良いと思われます
>> 配慮要求の現在の主流はトリセツ形式です
トリセツでクリアできない部分をクリアする
方法を共有します
>> JINEN-DOで実施している様々なセルフケアの
方法を情報共有してみます
時間があれば相互に情報交換しましょう
配慮
セルフケア
就労移行支援とはセルフケアトレーニングができる場所。
川崎では、就職前の利用が一般的という認識を構築できると素敵ですね。
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刻々と変化する状態に
合わせたセルフケアとは
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セルフケアトレーニングの 3つのポイント
セルフケアトレーニングには前提となる事実があります。
それは、本人以外今の状態を正確に把握することは難しいということです。
よって、本人が自分でできるようにトレーニングすることが重要です。
1 常に今の状態を把握できるようになる
2 状態に合せたセルフケアができるようになる
3 状態に合せた配慮を要求できるようになる
この中で、もっとも重要なのは 1 の状態把握です。
あとの2つは、状態に合せた選択肢を決めておくことで、他人が手伝うことができます。
これからお伝えする内容と、今皆さんが取り組んでいる手法を
上手く合わせることで、さらなる就労定着が実現すると思われます。
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状態の基本は3段階 良好 注意 悪化のサイクル
良好は自分の本来の
価値を発揮できる状態
自分のリズムで
良好~注意~悪化を
循環している
良好状態
注意は価値が
発揮しにくくなった状態
注意状態
悪化は価値が
発揮できない状態
悪化状態
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状態によって変化する特徴を把握する
否定されても平気
人と目を合せられる
良好状態
自己開示できる
集中力がある
億劫感が出る
疲労感が残る
注意状態
寝ても眠気がある
やる気が弱い
多くのことが不安
簡単な判断が難しい
悪化状態
グルグル思考
外出ができない
自分の存在否定
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状態に合わせたセルフケアや配慮要求をする
配慮要求
・50分に10分の休憩
をください
・独りになりたい時がある
良好状態
ことを理解してください
セルフケア
・睡眠食事を大切にする
・10分間回復を丁寧に
・毎日状態報告する
・45分に15分の休憩を
ください
注意状態
・仕事内容を簡単な作
業に変えてください
・就寝時間を早める
・疲れに注意する
・不安なことを報告する
・連絡ができなくなること
悪化状態
を認めてください
・2日間お休みをください
・欠席を選択する
・自宅で回復に努める
・カウンセラーに相談
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セルフケア手法の
ご紹介
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オフタイム と オンタイム の セルフケア
オフタイム セルフケア
生活リズムを司るのは、オフタイムの行動習慣
基本事項の時間を決め、状態に依らず、同じ行動ができるように
トレーニングする
 食事:食事時間、所要時間、量、質、食べ方など
 睡眠:眠剤の服用、就寝・起床時間、中途覚醒時の対処など
 ストレス対処:呼吸、軽い運動、人との関わり方、入浴、NGルールなど
オンタイム セルフケア
自分の価値をいつまでも継続して発揮できるペースを知り、キープする
また、周囲の方にも理解(協力)してもらうよう配慮要求する
 休憩ペース:50分に10分の休憩が基準
 エネルギー残量チェック:残量が少ないときは要注意
 配慮要求:休憩、仕事の量や内容の変更、場所の変更など
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エネルギー量の変化に気づけるようにする
朝起きたときから、なんだか疲れている。
出かけて帰宅すると、バタンキューとなってしまって家のことができない。
調子が良いときは張り切りすぎて、後で反動からダウンしてしまう。
こんなことありますよね。
自分のエネルギー量の変化が見えてくると、生活が楽になり、対策が分かります。
消費 回復
残量
量
量
起床時
7
オフ
家事 準備
2
5
タイム
通勤中
1
4
10時
1
3
11時
1
2
昼休憩
2
4
オン
13時
1
3
タイム
14時
1
2
15時
1
1
2
16時
1
1
17時
1
0
帰宅中
2
-2
オフ
自宅生活
3
3
-2
タイム
睡眠
5
3
時間帯
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A:起床時のエネルギー量
B:睡眠含めて回復(補給)するエネルギー量
C:一日の消費エネルギー量
A+B-C が 0に近づくほど動きにくく、
また疲れやすくなるようです。
例) 残量が3以下で要注意、0になると活動の参加を禁止し
回復行動を最優先とする。
10分休憩で回復(エネルギー補給)できるように
なる
エネルギーの残量が少なくなると疲れから、状態を悪化することに触れました。
普段から何かに集中する時間と、回復する時間を明確にし、短時間でも回復できる
トレーニングを積むと、セルフケアが上手な人になります。
やり方は、消耗することから物理的・精神的に離れ、次の回復プランの中から
選んで組み合わせ、実行します。
肉体:
1)血流改善:
2)リラックス:
3)栄養補給:
4)水分補給:
ストレッチ(首・腰・肩・手足)、マッサージ、歩く など
洗顔、深呼吸、仮眠、横になる など
ナッツ類、大豆食品、干し梅、果物 など
水、お茶、炭酸水 など
精神:
1)五感:
2)飲食物:
3)関わり:
4)リラックス:
映像・写真、音楽、アロマ、好きなタオル など
ジャスミンティ、コーヒー、タバコ、ミント など
ちょっとした会話、安心できる場所に居る など
瞑想・目をつぶる など
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セルフケアと配慮のバランスを理解する
1.短期回復
自分の能力を発揮できる状態に戻す選択
セルフケア : 10分間で回復することを実施する
配慮
: 10分間の休憩をもらう
2.長期回復
次(数時間後や明日以降)に備えた投資の選択
セルフケア : ゆっくりと回復することを実施する
配慮
: 1日お休みをもらう
3.現状維持我慢した状態で、その場にいることを重視した選択
セルフケア : 何もしない
配慮
: 今何もできないことを許してもらう
セルフケアトレーニングを受けていない多くの方が、3(我慢する)を選択します。
その結果、価値を発揮できない(しない)人材という位置づけになります。
配慮の本質は、2つあり、一つは苦手なことを理解してもらうこと、
もう一つがセルフケアをするための配慮なのです。
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一般企業で得られる主な配慮
1.時間の配慮
就業時間、始業時間の調整
休憩時間の提供 (50分に10分の休憩)
臨時休憩時間の提供 +α15~20、30、60
2.環境の配慮
座席変更、会議室を借りる、トイレへ行く、外に出るなど
3.仕事量の配慮
通常の○ぶんの一の量など
4.仕事内容の配慮
いまできる作業などの業務を任せてもらう
就業を目指す際は、自分自身の配慮の内容を徐々に上記に近づけると
社会適応しやすくなります。
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配慮要求の3つのポイント
【1.どんな場面で必要なのか】
・ いつも必要
・ 特定の場面や状態に至った際に必要
理解ある上司でも、
いつどんな配慮が必要か
判断することは難しいですね。
【2.どんな配慮が必要なのか】
・ 事前に決まっている内容
・ 状態や状況に応じて判断する
【3.周囲や上司にどうやって知らせるか】
・ 事前に認識しておいてもらう
・ 必要になった時に自分から報告する
上記3つのポイントをまとめに沿って、自分自身が使いこなせると、
企業は配慮を提供してくれます。
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状態が急激に変化する 引き金 の存在
自分のリズムで
良好~注意~悪化を
循環している
良好は自分の本来の
価値を発揮できる状態
良好状態
注意は価値が
発揮しにくくなった状態
引き金
注意状態
引き金
悪化は価値が
発揮できない状態
悪化状態
引き金を引くと
急激に状態変化する
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