公益財団法人 名古屋産業振興公社 プラズマ技術産業応用センター 成 果 事 例 集 目次へ戻る 目次 事例1.大気圧プラズマ処理による樹脂の接着性向上 事例2.大気圧ラジカル処理を用いたアラミド繊維へのめっき技術の開発 事例3.液面プラズマを用いた微粒子酸化チタン水分散技術の開発 事例4.電子ビーム励起プラズマを用いた難窒化材の迅速窒化技術の開発 事例5.大気圧プラズマによる鋼の窒化技術の開発 ◆お問合せ先 1 事例1はここに飛ぶ 事例1.大気圧プラズマ処理による樹脂の接着性向上 引張せん断強度 [MPa] 処理有 ポリプロピレン樹脂のような難接着材料への接着前 処理無 処理として、大気圧プラズマ中のラジカルを用いた処 理を行うことにより接着性が向上することを確認した。 25mm×100mm、厚さ 5mm の樹脂板にプラズマ処 理した後、常温硬化型 2 液性エポキシ樹脂接着剤を用 いて貼り合わせ、引張せん断試験を行った。照射面積 (接着面積)は、25mm×12mm とした。プラズマ 処理により親水化し、接着剤の基材への濡れを改善す ることで、接着性が向上したと考えられる。 図 ナイロン 6(PA6)、ナイロン 66(PA66)、 ポ リ プ ロ ピ レ ン ( PP )、 高 密 度 ポ リ エ チ レ ン *富士機械製造㈱との共同研究の成果 (HDPE)の処理有無の引張せん断強度の変化. 事例2はここに飛ぶ ▲目次へ戻る 事例2.大気圧ラジカル処理を用いたアラミド繊維へのめっき技術の開発 高分子繊維に金属をめっきした“高分子繊維めっ き素材”を開発した。高分子繊維めっき素材は、金 高分子繊維 属線より軽く、強度や耐久性が高く、屈曲性に優れ 銅めっき るという特徴を持つ。高分子への無電解めっきは、 断面サンプル めっき被膜の密着性が悪い。また、めっき前処理と 作製用樹脂 してエッチング法を用いると繊維強度が低下する問 題がある。そこで、めっき前処理として、非平衡大 図 大気圧ラジカル処理を行った高分子繊維 気圧プラズマで生成されたラジカルにより高分子繊 めっき素材の断面 SEM 像. 維の表面改質を行う技術を開発した。 *2010 年度 名古屋メッキ工業㈱との創造的プラズマ技術産業応用研究開発事業の成果 事例3はここに飛ぶ 事例3.液面プラズマを用いた微粒子酸化チタン水分散技術の開発 液体中に微粒子を安定に散在させる分散技術は塗料、化粧品、 セラミック製品など幅広い分野で使用されている。しかし一般 に 100nm 以下の微粒子は表面エネルギーが高いため凝集した 状態で存在している。そこで、水面上でプラズマを発生させる 液面プラズマによる微粒子の水中分散技術を開発した。分散剤 を用いることなく微粒子酸化チタンの水分散液の調製が可能と なった。 *名古屋市工業研究所、日本メナード化粧品(株)との共同研究の 成果 2011 年度 科学技術振興機構のA-STEP FSステージ 探索タイプの成果 2012 年度 科学技術振興機構のA-STEP シーズ顕在化 タイプの成果 超音波処理のみ ▲目次へ戻る 超音波処理 +プラズマ処理 図 処理後 1 日の分散液の様子. 濃度 0.1wt%. 「超音波処理+プラ ズマ処理」が良好な分散状態を示し た. ▲目次へ戻る 2 事例4はここに飛ぶ 事例4.電子ビーム励起プラズマを用いた難窒化材の迅速窒化技術の開発 従来のプラズマ源に比べ高密度の窒素プラズマが アルミニウム 窒素 生成可能な電子ビーム励起プラズマ(EBEP)源を 用いて、難窒化材を迅速に窒化する技術を開発した。 Al-Mg 系アルミニウム合金 A5052 を 525℃ に加熱し、45 分間のプラズマ窒化を行い、剥離の ない厚さ約 25μm の窒化アルミニウム層を形成し 図 アルミニウム窒化層の断面 EDX 分析. た。硬度は最大で 1440Hv が得られた。 写真左側が表面、処理温度 525℃. オーステナイト系ステンレス鋼 SUS316 を 450℃ に加熱し、60 分間の窒化を行い、厚さ約 5μm の耐腐食性に優れた S 相(拡張オーステナイト相) の形成ができた。表面硬度は、825Hv が得られ、従来のイオン窒化と比較し、塩水噴霧試験にお いて高い耐食性を示した。 *2010 年度、2011 年度 ㈱片桐エンジニアリングとの創造的プラズマ技術産業応用研究開発 事業の成果、名古屋大学堀勝教授との共同研究の成果 ▲目次へ戻る 事例5はここに飛ぶ 事例5.大気圧プラズマによる鋼の窒化技術の開発 大気圧でより手軽に行えるプラズマ窒化装置を目指して、 10μm 直径 20cm、長さ 30cm の円筒状チャンバーを持つ小型の 大気圧プラズマ窒化装置を開発した。従来の減圧下によるプ ラズマ窒化に比べ、大気圧下による窒化処理により、処理コ ストの削減、処理時間の短縮、そして塩浴窒化に比べて環境 負荷の低減が期待できる。この装置を用いて SACM645 ( Al-Cr-Mo 鋼 ) の 窒 化 処 理 を 行 っ た 。 表 面 の 硬 さ は 1200Hv 程度であった。 *2011 年度、2012 年度 中日本炉工業㈱との創造的プ ラズマ技術産業応用研究開発事業の成果 図 窒化試料断面のナイタル腐食観察. 表面側の白色部分が窒素化合物層、その 下の黒色部分が窒素拡散層. ▲目次へ戻る ◆お問合せ先◆ 公益財団法人 名古屋産業振興公社 プラズマ技術産業応用センター 〒463-0003 名古屋市守山区大字下志段味字穴ケ洞 2268 番地 1 (なごやサイエンスパーク ●Tel 052-739-0680 ●E-mail [email protected] 先端技術連携リサーチセンター内) ●Fax ●URL 052-739-0682 http://www.nipc.or.jp/placia/ 3
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