北海道大学 安全教育教材

北海道大学 安全教育教材
専門共通編
安全教育 専門共通編
Ⅰ部 共通編
Ⅱ部 専門編
Ⅲ部 学生生活編
項目
1.電気の安全な使用
2.工作機械・工具の安全な使用
3.運搬と高所での安全な作業
4.ガスの安全な取扱い方
5.薬品の上手な使い方
6.生物災害の防止
7.実験廃棄物の安全な管理
Ⅱ.1 電気の安全な使用
電気の安全な使用
◎電気は生活において無くてはならないもの
・ひとたび取扱いを誤ると‥‥‥
感電
漏電
火災
感電
◎感電を防止するために‥‥‥
・濡れた手で電気器具に触れない
・プラグやテーブルタップが破損
→速やかに取り替える
・電気機器のアースを完全にする
漏電
◎漏電→火災・感電事故を引き起こす
電気機器や電気設備への
・水気
・湿気
・ ゴミ,ほこり
・ 摩耗,損傷
に充分に注意する。
過熱
◎電気コンロ,電気ストーブ等
・部屋から出るときは必ずスイッチを切る
・可燃物をそばに置かない
◎コンセントやプラグの接触不良
・定期的な点検
◎コードやコンセント,テーブルタップ
・電流容量を超えない電流値で
電気火花
電気火花→スイッチの開閉や静電気などによって発生
爆発や火災を引き起こす
・引火性や可燃性の物質をスイッチや発熱する
機器の近くに置かない
・ アースなどを使用して,静電気をためない
電気火災への対応
◎電気火災が発生した場合には‥‥
1.電源を遮断
2.消火活動
◎電源を遮断できない場合
・粉末消火器か炭酸ガス消火器
水は感電の恐れがあるので×
Ⅱ.2 工作機械・工具の安全な使用
服装の基本
・切りくずなどによるケガや火傷から身を守る
・回転物などに衣服や頭髪などが巻き込まれない
工具・機械類の取扱い
◎気をつけるのは‥‥
・回転部に触れる,駆動部に挟まれる
・飛散する切り屑
大ケガの恐れがあるため
教職員の指導の元で作業
を行うこと
工作機械の運転時の注意・点検事項
◎起動前
・工作機械の点検,周囲の安全確認
◎作業中
・機械の前から離れる際には,必ず機械を停止
・異常振動や異常音→直ちに停止して原因調査
◎作業後
・機械の停止を確認してから必要な作業
・電源の元スイッチを切ってあることを確認
各機械の使用時の注意事項
・担当の教職員の指導の元に行う
・取扱い説明書等を熟読する
・安全の手引を参照
少しでも不安があるときは,必ず担当の教職員
に確認してから操作を行う
Ⅱ.3 運搬と高所での安全な作業
運搬の事前準備
◎整理整頓
→安全な通路と作業のためのスペース確保
◎段差などを事前に確認
◎作業にふさわしい服装
(場合によっては安全帽,安全靴)
特に靴は重要!
スリッパ,サンダルは厳禁
運搬作業
◎腰痛に注意
・正しい姿勢で
・無理に一人で運ばない
・2人以上での運搬
→事前に打ち合わせて,協調して行う
免許,技能講習及び特別の教育
特定の免許,資格などを有する者以外は作業
できないものがある。
高所での作業
◎高所からの墜落
・あまり高くない所での軽微な作業ほど
事故の発生が高い
↓
「これくらいの高さなら‥」と侮ると危険
法律:2メートル以上の高所で作業
→作業床の設置などの墜落防止措置
高所作業での注意点
◎墜落防止のための手すりを設ける
◎滑り易い履物は厳禁
◎無理な姿勢での作業は避ける
◎安全帽を必ず着用する
安全帽
◎万が一墜落した場合,もしくは落下物による事故の際に,
身を守るもの
面倒くさい,わずらわしいは生命に関わる
Ⅱ.4 ガスの安全な取扱い方
ガスの使用前に
◎実験室では多種多様なガスを用いている
→ガスの種類によって性質・毒性が異なる
ガスの性質・毒性を調べて
から実験を行う
ガスの分類とその性質
a) 可燃性ガス(水素,一酸化炭素,プロパン等)
b) 支燃性ガス(空気,酸素等)
c) 爆発性ガス(可燃性ガスと支燃性ガスの混合)
d) 不活性ガス(液体窒素,液体ヘリウム等)
e) 液化・固化ガス(窒素,ヘリウム,ドライアイス等)
f) 有毒ガス(一酸化炭素,アンモニア,硫化水素等)
g) 腐食性ガス(塩素ガス,塩化水素,オゾン等)
h) 高圧ガス(ボンベに高圧に充填されたガス全体)
それぞれ種類のガスの危険性を認識する
火災・火傷・爆発を防ぐために
可燃性ガス(水素,一酸化炭素,プロパン等)
支燃性ガス(空気,酸素等)
ある割合で混合すると爆発性ガスになる
・可燃性ガスを漏らさない
・室内の換気を十分に行う
・可能な限り火気を使用しない
都市ガス
◎日常生活で使用するガス
→使用時には換気の習慣を身につける
◎ガス漏れ,不完全燃焼が起きたとき
・ガスの使用を中止し、元栓を閉める
・窓や戸を大きく開ける
・火気は絶対に使用しない
・電気器具のスイッチを点滅しない(電気火花)
不活性ガスの取扱い
◎不活性ガス(液体窒素,アルゴン等)
そのガス自身は無害であるが‥‥
室内に充満すると酸欠を引き起こす
(酸欠による死亡事故の割合は非常に高い)
換気能力が十分である部屋以外では
使用しない
低温液化ガスの危険性と取扱い(1)
◎主な低温液化ガス
液体窒素(常圧における沸点 -196℃)
液体ヘリウム(常圧における沸点 -269℃)
液化状態‥極低温のため凍傷
気化状態‥室内に充満して酸欠
低温液化ガスの危険性と取扱い(2)
◎直接皮膚,目,手足に触れないように
・保護服,保護面,保護メガネ,皮製手袋
◎容器の転倒防止策を講じる
◎部屋の換気をよくする
教職員の指導の元に作業を行う
有毒ガスの取扱い
◎有毒ガス(一酸化炭素,硫化水素など)
→微量でも漏れると重大な事故に
何よりも漏らさないことが基本
使用するガスの
・毒性,性質
・注意事項
・中毒になったときの応急処置
をしっかり頭に入れてから実験を行う
高圧ガスの取扱い(1)
実験室では高圧に充填されたガスボンベを
使用するケースが多い
転倒対策が必要(上下2点で固定)
高圧ガスの取扱い(2)
◎使用前
・実験装置の操作手順をよく理解する
・配管の接続は確実で漏れはないか
・換気は充分か
・実験装置の周囲に引火し易いもの,
爆発しやすいものはないか
高圧ガスの取扱い(3)
◎操作中
・換気装置は正常に作動しているか
・実験装置,容器の様子に異常はないか
・変な臭い,頭痛,めまい,目や喉の痛みはないか
◎実験終了後
・元栓は確実に閉めたか
・最後にすべての最終安全確認を行う
異常時の対応
◎異常や事故が起きたとき,発見したときは
・自分一人で処理しようとしない
・大声を出して救援を求める
Ⅱ.5 薬品の上手な使い方
薬品について
◎大部分の薬品は危険である(火災・中毒)
しかし,その危険度は,取扱い方法によって
大きく異なってくる
薬品の性質・危険性
取扱い方法
を熟知する必要がある
薬品の保管
◎保管
・基本原則‥保管する薬品は必要最小量に
・薬品棚からの落下防止策を講じる
薬品の使用
・使用前に,その薬品の性質・危険性を調べる
・薬品が皮膚に直接触れないようにする
・目を守るための保護メガネは必ず着用する
不明な点は,自分勝手に実験を行わないで,
担当教職員に確認する
廃液の処理
廃液は有機系と無機系に分ける
(有機‥赤,無機‥白)
・不明な点は担当の教職
員に問い合わせる
勝手な廃棄は禁物
発火危険性のある物質
◎分類
・発火性,禁水性,引火性,可燃性,爆発性,
酸化性,強酸性
・自分の使用している薬品がどの分類か
・万が一火災が起きたときの消火方法は
(安全の手引 Ⅱ.5 薬品の上手な使い方参照)
特に注水厳禁の禁水性物質は注意する
人体に対して有毒な物質
◎基本原則‥ほとんど全ての薬品は有毒
体内に取り入れることを防止する
・蒸気を吸入する
・皮膚から体内への吸収
・誤って口に入れて体内への吸収
ドラフト内での使用,保護具の使用
毒物および劇物(1)
◎少量でも生命に関わる危険のある薬品
・取扱いには厳重な管理・注意が必要
ラベルに「医薬用外劇(毒)物」の表示
毒物および劇物(2)
◎「国立大学法人北海道大学毒物及び劇物
管理要項」に基づいて管理を行う
◎保管方法
・専用の保管庫
・常時施錠
・表示
盗難・紛失は重大な事件・事故に!
Ⅱ.6 生物災害の防止
病原性微生物(病原体)
◎病原体の種類
・ウイルス,クラミジア,細菌,原虫など
感染の拡大が一番恐ろしい
・実験室内感染の防止
・外部への病原体の漏出の防止
病原体の危険度
病原性の弱いクラス1から最強毒のクラス4
までに分類される
病原体の取扱い
◎安全な施設で行う
◎正しい無菌操作,滅菌法や消毒法
◎取扱い作法を忠実に遵守
担当の教職員の指導を厳守する
実験動物の取扱い
◎感染に細心の注意を払う
特に使用済みの注射針の処理は適切に!
・実験台上に放置しない
・一般のゴミ箱に廃棄しない
担当の教職員の指示に従い廃棄を行う
Ⅱ.7 実験廃棄物の安全な管理と処理
実験廃液の管理と処理
◎実験室から出る廃液
・人体に危険,環境に悪影響
適切な処理が必要
(下水に絶対に流さない)
廃液の処理は,大学の「環境保全センター」
で一括して行っている。
廃液の分類と保管
◎指定の10リットルのポリ容器
(有機系が赤,無機系が白)
廃液の収集(1)
表示札に必要事項を記入
廃液の収集(2)
収集日は毎月2回,第2・第4火曜日
収集当日の朝9時30分までに各部局等の
指定の場所に搬出
ふたをしっかりと閉める
(漏れ出すと環境に悪影響)
実験用廃棄物の処理
◎一般のゴミ箱に廃棄してはいけないもの
・感染性廃棄物(注射針・注射器等)
・薬品が入った試薬ビン
不明な点は,担当の教職員や
各部局等の担当係に問い合わせること
(勝手な判断は厳禁)
まとめ
まとめ
◎実験では「慣れ」が大敵
「普段大丈夫だから,今日も大丈夫だろう」
「多少薬品が手にかかっても平気だろう」
重大な事故・健康障害を招く危険性
危険なものを扱っているという意識を常に