一酸化炭素(CO)中毒事故の防止について

第18回業務主任者・管理者研修会
一酸化炭素(CO)中毒
事故の防止について
関東液化石油ガス協議会
1
一酸化炭素(CO)
中毒事故件数
平成12年12月
保安高度化
プログラム
30
件数
20
一酸化炭素(CO)中毒事故
28
25
・燃焼器具等の交換誘導事業
・排気筒等の材料基準の見直し
平成15年4月1日施行
・開放型燃焼器周知義務
平成19年7月1日施行
CO中毒事故件数
死者数
傷者数
燃焼器交換誘導事業
24
21
21
18
17
15
10
9
5
4
11
4
0
平成9年
平成10年
12
平成11年
17
13
8
2
22
3
平成12年
13
8
4
6
9
4
0
10
6
0
平成13年
平成14年
平成15年
平成16年
5
1
平成17年
0
平成18年
年
CO中毒事故件数
死者数
傷者数
LPガス事故件数
9
11
12
8
6
8
9
6
10
5
4
4
2
3
0
4
4
0
1
0
21
24
28
13
17
18
17
21
22
13
68
75
79
78
87
90
120
105
105
219
1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年
平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年
2
一酸化炭素(CO)とは



一酸化炭素は無色、無味、無臭、空気より
軽い
血液中のヘモグロビンとの結合力が酸素
の210~250倍
1,000倍解離しにくい
3
一酸化炭素(CO)発生要因

不完全燃焼:ガス器具の故障、換気不足、
火災、爆発、排ガスの再循環
4
一酸化炭素(CO)中毒

ガス、液体燃料、木炭などの不完全燃焼
で発生したCOを含んだ空気を呼吸して起
きる中毒
5
一酸化炭素(CO)の危険性‐1
空気中における
一酸化炭素濃度
吸
入
時
間
と
中
毒
症
状
0.02%
200PPm
0.04%
400PPm
0.08%
800PPm
0.16%
1,600PPm
0.32%
3,200PPm
0.64%
1.28%
6,400PPm 12,800PPm
1~2分間で 1~3分間で
5~10分間で 頭痛、めまい 死亡
頭痛、吐き気
20分間で頭痛・
めまい・吐き気
30分で死亡
1~2時間で
頭痛・吐き気
2~3時間で
前頭部に軽
度の頭痛
15~30分で
死亡
45分間で頭痛・
めまい・吐き気・
けいれん
2時間で死亡
2時間で失神
2.5時間~3.5時間
で後頭部の頭痛
1%=10,000PPm
*成人の例ですが、個体差があります。
6
一酸化炭素(CO)の危険性-2
血中COヘモグロビン濃度
~10%
~20%
~30%
~40%
~50%
~65%
70%<
臨 床 症 状
無症状
(軽症)頭痛、頭重、皮膚血管拡張
(中症)頭痛(拍動性)、判断力減退
(重症)激しい頭痛、吐気、嘔吐、歩行障害
判断力鈍麻、視力障害
(重篤)呼吸困難、頻脈、意識障害、発汗
(危険)昏睡、痙攣、時に死亡
(致死)呼吸停止、死亡
*非喫煙者で0~1%、喫煙者で5~10%
*成人の例ですが、個体差があります。
7
事故事例-1
古いふろがまを使用中の事故

このお宅では、不完全燃焼防止装置の付いていないふろがまを使用
事故の原因は、まず奥様が入浴中にお風呂場の給気口を
ふさいでしまったこと。そして、更にご主人が隣室の換気扇を
回してしまったことです。
そのため密閉状態となったおふろ場から空気が吸い出され、
唯一外とつながっているふろがまの煙突から、排気ガスと一
緒に空気を吸い込みます。
排気ガスの混じった空気で燃え続けるふろがまは不完全燃
焼を起こし、COを発生したのです。この事故では夫婦2名が
亡くなられました。
不完全燃焼防止装置が付いていれば防げた事故でした。
▲風呂場で一人死亡
▲台所で一人死亡
出典 LPガス安全委員会
8
事故例-2

古い小型湯沸器を使用中の事故
このお宅では、不完全燃焼防止装置の付いていない小型湯沸器を使用
奥さんは、換気扇を回さずに、台所で長時間にわたって洗い
物をしていました。ところが小型湯沸器の排気口にあるフィン
が汚れて目詰まりを起こしており、排気ガスがうまく外にでな
くなったために不完全燃焼を起こしたのです。
湯沸器はCOを発生しましたが、ご家族は誰も気がつかず、
CO中毒事故が発生してしまいました。
この事故では家族3名が亡くなられました。
この事故も不完全燃焼防止装置が付いた湯沸器を使用して
いれば防ぐことができたのです。
出典 LPガス安全委員会
9
なぜCOは発生するの-1
参考例
燃焼器の燃焼排ガス例
16.0
14.0
12.0
10.0
(%)
空気が少なく
なると急激に
COが発生し
ます。
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
1
1.1 1.2
1.3
1.4 1.5 1.6
空気比(λ)
酸素濃度(O2)
一酸化炭素濃度(CO)
空気比(λ)
酸素濃度(O2)
二酸化炭素濃度(CO2)
一酸化炭素濃度(CO)
1
0.0
13.7
15
1.1
2.1
12.4
0.28
1.2
3.8
11.2
0.01
1.3
5.2
10.3
0.005
1.4
6.4
9.5
0.005
1.7
1.8 1.9
2
二酸化炭素濃度(CO2)
1.5
7.4
8.9
0.005
1.6
8.3
8.3
0.005
1.7
9.2
7.7
0.005
1.8
9.9
7.3
0.01
1.9
10.2
7.0
0.03
2
11.0
6.5
1.2
10
なぜCOは発生するの-2
COの発生
排気ガス
CO=約50PPm以下、CO2=約10.4%、O2=約5%
排ガス再循環
目づまり等
排気閉塞
排ガス再循環
空気量(酸素)が少ない
空気(O2=21%)
LPガス(C3H8)
LPガス1m3を完全燃焼させるに
は約30m3の空気が必要です。
LPガス(C3H8)
11
CO中毒対策-1(調査)
このような設備、使い方があったらすぐに改善して下さい。
出典 高圧ガス保安協会 ガス警報器工業会
12
CO中毒対策-2(測定)
一酸化炭素(CO)検知器で測定します
CO検知器
YZ-006
*燃焼させてから2分後(安定燃焼)に測定開始してください。
出典 高圧ガス保安協会
13
測定結果ー1
一酸化炭素濃度測定時の判定基準
CO濃度測定値(PPm)
150
開放式湯沸器
開放式湯沸器
800
PPm
判定シール
使用注意!
危険!
使用禁止!
判定シールの例
使 用 注 意 !
この器具には「不完全燃焼防止装置」
がついておりません。 老朽化により
一酸化炭素(CO)が発生するおそれ
がありますので、お早めに新しい器具
にお取り替えください。
危 険 !
この器具は不完全燃焼しています!
なるべく早めに修理または新しい器具
にお取り替えをお願いします。このま
まご使用になると、一酸化炭素(CO)
による中毒や死亡事故につながるおそ
れがあり大変危険です。
使 用 禁 止 !
この器具は不完全燃焼しています!
至急、新しい器具にお取り替えくださ
い。一酸化炭素(CO)による中毒や
死亡事故につながるおそれがありま
す。お取り替えが済むまで絶対に使用
しないでください。
14
測定結果ー2
一酸化炭素濃度測定時の判定基準
CO濃度測定値(PPm)
400
CF式湯沸器
CF式ふろがま
CF式湯沸器
800
PPm
判定シール
給気・換気注意!
危険!
使用禁止!
CF式ふろがま
判定シールの例
給気・換気に注意
ご使用になるときは、給気や換気に
十分注意し、給気口や窓を必ず開けて
ください。
この器具と台所の換気扇(レンジフー
ド)との同時使用はおやめください。
(ガス器具の排ガスが逆流するおそれがあります)
危 険 !
この器具は不完全燃焼しています!
なるべく早めに修理または新しい器具
にお取り替えをお願いします。このま
まご使用になると、一酸化炭素(CO)
による中毒や死亡事故につながるおそ
れがあり大変危険です。
使 用 禁 止 !
この器具は不完全燃焼しています!
至急、新しい器具にお取り替えくださ
い。一酸化炭素(CO)による中毒や
死亡事故につながるおそれがありま
す。お取り替えが済むまで絶対に使用
しないでください。
15
CO検知器の保守点検
・日常点検
①ドレンブロックに水滴等が付着していないこと
②ダストフィルタ、NOxフィルターは2~3ヶ月で交換し
てください
・定期点検
①3~6ヶ月ごとに1回、校正用ガスによる感度調整を
行うこと
②1年に1回、メーカーによるオーバーホールを行ってく
ださい
16
CO中毒対策-3

このように安全な燃焼器具に交換して下さい
<不完全燃焼防止装置付小型湯沸器>
<強制排気式(FF式)ガス給湯器>
酸素不足やフィンの目詰まり
などで不完全燃焼を起こすと
ガスを止め、CO中毒を未然に
防ぎます。
燃焼に必要な空気を給気口で
屋外から直接取り入れ、燃焼後
の排気ガスも、内部ファンによっ
て強制的に屋外に出す方式のも
のです。
<屋外設置式(RF式)ガス給湯器>
出典 LPガス安全委員会
古い燃焼器具をお使いの場合は、今すぐ安全なものに交換して下さい。
17
CO中毒代替措置-1
S型保安ガスメータで使用時間遮断ができます。
20分で遮断します
・設定器(GSD-11K)はメータ制御コード3で設定してください
・簡易設定器(ST-302C,403C等)はモード1の機能変更
のコード1(4・5号湯沸器長時間対策)で設定してください
*流量区分5・6とは0.58kg/h以上1.0kg/h未満
18
CO中毒代替措置-2

CO警報器の設置
火災・不完全燃焼警報器
一酸化炭素警報器
設置方法
YP-210
YP-215
アダプター
YSC-09
CO濃度150~550PPm以上
でガスメータが遮断します
19
一酸化炭素(CO)警報器の機能
鳴動しない
出典 高圧ガス保安協会 ガス警報器工業会
20
平成18年度CO中毒事故
発生月日 発生場所
現象
3月16日 熊本県
CO中毒
宇城市
3月20日 秋田県
横手市
CO中毒
7月21日 長崎県
CO中毒
北松浦郡
被害状況
建物
事 故 概 要
軽症者4名 一般住宅 15時頃から台所に設置している開放式瞬間湯沸器(5号)に水道用ホースを繋い
で浴槽へ給湯していた。入浴後、台所に面した居間(6畳間)にいた者のうち4人
が倒れ、救急車で搬送された。
消費者宅ではふろがまが故障のため、2年ほど前から湯沸器に水道ホースを繋い
で浴槽へ給湯していた。
定期点検・調査が未実施であったため、基準不適合の状態で放置されていた。
軽症者1名 共同住宅 悪天候で風が強く、FE式湯沸器(20号)が排気不良を起こして不完全燃焼となり、
湯沸器と排気筒の継ぎ目(継ぎ目はアルミテープで処理)からCOが室内に漏れ
出したものと推定された。
軽症者2名 飲食店
飲食店の経営者他1名が、厨房で調理中に気分が悪くなり、かかりつけの医師
に相談、医師の判断で救急搬送した。経営者他1名はCO中毒により5日間、加
療入院した。
調理時には、業務用ガスコンロ、ゆで麺用のガスカマド等を使用していた。事故
発生時、調理時の意識ははっきりしていたが、その際、燃焼器具の異常は特に
確認されておらずCOガスの発生原因は不明。事故発生時、通常、稼動させて
いる換気扇を止めていたことから、室内のCOガス濃度が高まったものと想定。
21
平成18年度CO中毒事故
発生月日 発生場所
現象
8月29日 兵庫県
CO中毒
姫路市
12月29日 福岡県
CO中毒
久留米市
被害状況
建物
事 故 概 要
軽症者2名 工場食堂 工場内食堂の厨房で、従業員が食器洗浄作業を行っていたところ突然頭痛を
厨房
訴えて作業を中断し休憩した。偶然来社した保険外交員が食器洗浄作業を手伝
ったところ、休憩中の従業員が椅子から倒れたため、救急を求めて食堂を出たと
ころで、保険外交員も倒れた。工場従業員が気づき救急車によって2名搬送した。
フード換気扇を作動させずにガス湯沸器を使用して食器洗浄作業を実施したため
不完全燃焼となりCO中毒が発生した。
軽症者4名 共同住宅 11:00頃、消費者から給湯器の不調に対する連絡が販売所にあり、調査を行った。
給湯器は、マンション3Fのパイプスペース(PS)内に設置された屋外式であり、排
気筒は、PS内を通り外部へ配管されていた。調査に訪れた際に異臭を感じ、不
完全燃焼を起こしていることがわかった。PS裏に位置する浴室点検口を開けた
ところ白煙が充満していたため、即座に窓を開け換気をした。
消費者2名の気分が悪くなったため、救急車で病院に搬送し、CO中毒が確認
された。
その後の調査でPS上部に一部コンクリートが欠損した部分があり不完全燃焼
により発生したCOガスは当該欠損箇所から部屋に侵入したと推定された。
22
ご静聴ありがとうございました。
関東液化石油ガス協議会
23