PowerPoint プレゼンテーション

第29回日本プライマリ・ケア学会
ICPC2ワークショップ
ワークショップ9
ICPCによる臨床分析と将来展望
1時30分から始めます
しばらくお待ち下さい
《 企 画 》
日本プライマリ・ケア学会
日本プライマリ・ケア学会国際疾病分類研究会
序 言
本ワークショップの目的
国際疾病分類研究会委員
大野 毎子
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第1部
ICPCコーディングの基礎
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第1部.ICPCコーディングの基礎
プログラム1
ICPC-2の概要
国際疾病分類研究会担当理事
山田 隆司
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
プライマリ・ケア医の必要とする診療情報
• 診療の特徴
–
–
–
–
–
–
–
地域住民全体
日常的な健康問題
病気の早い時期から
病悩期を越えた関係
全身を診る
家庭から近い
地域社会と密接な関係
• PC医に必要な情報
– 地域を母集団とした健康情報
– 重症疾患ではなく日常病に比重を
置いている
– 症状の発現時期に有用なもの
– 継続的に評価できる
– 全身的に管理しやすい
– 患者にとって有益で判り易い情報
すぐに治ってしまった腹痛
診断に至らなかった腹痛
胃腸炎による腹痛
胃潰瘍による腹痛
癌による腹痛
腹痛
腹痛
Episode of Careの概念
-健康問題の1単位認知された
健康問題
受療行動
受診理由
受診理由
診断病名
診断病名
同一の健康問題による繰り返しの受診
(診断病名は途中で変わっても健康問題としては同一としてとらえる。)
介入
介入
Episode of Care とは
ウィルスが消失
症状が無くなる
病原ウィルスが浸入
発熱、頭痛
医師を受診
Episode of disease
Episode of illness
Episode of care
診断書をもらいにくる
診断病名の階層構造
Pathophysiological Diagnosis:病態生理学的診断病名
Nosological Diagnosis:分類学的診断病名
Symptomatic Diagnosis:症状診断病名
健康問題の経過
0
10
20
40
70
腹痛、頭痛
外傷、蕁麻疹
急性上気道炎、インフルエンザ
アトピー性皮膚炎、気管支喘息
高血圧、糖尿病、狭心症
変形性関節症、骨粗鬆症
脳卒中、癌
De ath
ICDの不便な点
• 元々死因分類として整備されてきている。
• 重症疾患は網羅しているものの、日常的に出会わない
疾患がほとんど。
• 4桁表示で細分されすぎて検索しづらい。
• 愁訴、症状といった項目が追加されたものの、系統
だっていない。
• 病院の専門診療科での利用は比較的容易だが、診療
所等プライマリ・ケアの現場では実用性に乏しい。
ICPC( International Classification of Primary Care:
プライマリ・ケア国際分類)とは
• WONCA(世界家庭医機構)分類委員会が家庭医のための病名分類として開発
• 1975年、ICD-8に準拠したプライマリ・ケア健康問題国際分類(International
Classification of Health Problems in Primary Care:ICHPPC)を開発
• 1976年、WHOはICD-9を発表、第16章に兆候、症状の項目を加えた
• 1978年、WHOは愁訴、受診理由を分類するWorking Partyを結成。受診理由国際
分類(REFC)を開発
• WICCは独自に臨床試験を行い、1987年REFCを発展的に組み替え、ICPCを開発
した
• 1998年、ICPC-2を出版
• 現在WHO-FIC(国際分類ファミリー)との連携を保ちながら、国際的な普及に努め
ている
ICPCの特徴
•
•
•
•
•
•
•
•
愁訴、症状を分類できる
確定診断に至らない健康問題を分類できる
受診理由、病名、診断行為を一括して記録できる
健康問題を継続的、包括的に把握できる
プライマリ・ケア医、コメディカルにとって使いやすい
他の分類(ICD-10)と互換性がある
患者中心の医療情報システムのツールである
国際的に利用されている
COMPONENT
1.Symptoms and
complaints
2.Diagnostic,
screening
prevention
3.Treatment,
procedures,
medication
4.Test results
5.Administrative
6.Other
7.Diagnosis,dise
ase
Z-Social
Y-Male genital
X-Female genital
Planning
W-Pregnancy,Childbering,
U-Urinary
T-Metabolic,Endcrine,Nutr
S-Skin
R-Respiratory
P-Psychological
N-Neurological
L-Musculoskeletal
K-Circuratory
H-Ear
F-Eye
D-Digestive
B-Blood,blood forming
A-General
CHAPTERS
Famly
ICPCの2軸構造
ICPC
RFE-classification
ICPC
components
1
1
2
2
ICPC
Diagnosis-classification
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
ICPC
Process-classification
A 全身と部位不特定
Component 7
Component 1
A70
結核
A01
全身の/多発する疼痛
A71
麻疹
A02
悪感
A72
水痘
A03
発熱
A73
マラリア
A04
全身脱力/倦怠感
A74
風疹
A05
不快感
A75
伝染性単核細胞症
A06
失神
A76
その他のウイルス性発疹
A07
昏睡
A77
その他のウイルス性疾患
A08
腫脹(除外 K07)
A78
その他の感染症
A09
発汗異常
A79
その他の悪性腫瘍
A10
その他の出血
A80
その他の事故、損傷
A13
治療に関する事柄/心配
A81
多発性外傷
A16
落ち着きのない乳幼児
A82
外傷の二次的影響
A18
外見に関する愁訴
A84
医療品による中毒
A20
安楽死の希望/討論
A85
医薬品の副作用
A21
悪性疾患の危険因子
A86
医薬品以外の物質による中毒
A23
その他の危険因子
A87
治療の合併症
A25
死の心配
A88
物理的因子の有害作用
A26
癌の心配 NOS
A89
装具による影響
A27
その他の疾患の心配 NOS、NEC
A90
その他の先天奇形/重複奇形
A28
その他の疾患による機能障害/能力低下
A91
異常結果の精査
A29
その他の全身症状/愁訴
A92
アレルギー/アレルギー反応
D 消化器
Component 1
症状と愁訴
D01
腹部全体の疼痛
D02
心窩部痛
D03
胸やけ
D04
直腸/肛門痛
D05
肛門周囲の掻痒感
D06
その他の限局性の腹痛
D70
D16
直腸出血
D17
便失禁
D18
便通異常
D19
歯/歯齦の症状/愁訴
D20
口腔/舌/口唇の症状/愁訴
消化不良/胃酸過多
D21
嚥下異常
D08
鼓腸/げっぷ
D23
肝腫大
D09
嘔気
D24
その他の腹部腫瘤
D10
嘔吐
D25
腹部膨満
D26
消化器癌の心配
D27
その他の消化器疾患の心配
D11
下痢
D12
便秘
D13
黄疸
D14
吐血
D28
消化器による機能障害/能力低下
D15
メレナ/黒色便
D29
消化器のその他の症状/愁訴
Component 7
診断/疾病
D70
病原体の確定された消化管感染症
D85
十二指腸潰瘍
D71
流行性耳下腺炎
D86
その他の消化性潰瘍
D72
ウイルス性肝炎
D87
胃の機能障害
D73
感染を疑う消化器疾患
D88
虫垂炎
D74
胃悪性新生物
D89
鼠径ヘルニア
D75
大腸/直腸悪性新生物
D90
横隔膜/食道裂孔ヘルニア
D76
膵悪性新生物
D91
その他の腹部ヘルニア
D77
その他の/詳細不明の悪性新生物
D92
消化管憩室症
D78
良性新生物
D93
過敏性腸症候群
D79
消化管異物
D94
慢性腸炎/潰瘍性大腸炎
D80
その他の消化器の損傷
D95
裂肛/肛門周囲膿瘍
D81
その他の消化器の先天奇形
D96
寄生虫病
D82
歯/歯齦の疾患
D97
その他の肝疾患
D83
口腔/舌/口唇の疾患
D98
胆嚢炎/胆石症
D84
食道の疾患
D99
その他の消化器疾患
ICPC
RFE-classification
ICPC
components
1
1
2
2
3
3
ICPC
Diagnosis-classification
ICF
4
4
5
5
6
6
7
7
ICPC
Process-classification
Thesaurus
ICD-10
Component 3
投薬、治療、治療行為
-50
薬の処方/投薬、注射
-51
切開、ドレナージ、吸引
-52
摘出、試験切除、除去、焼灼
-53
カテーテル挿入、挿管、拡張術
-54
修復、縫合、キプス、補綴
-55
局所の注入/浸潤
-56
包帯、圧迫、タンポナーデ
-57
理学療法、徒手整復
-58
治療的カウンセリング/聴取
-59
その他の治療的行為
Component 4
検査結果
-60
検査/診療行為の結果
-61
他からえた検査/診療行為の結果
Component 5
書類作成
-62
Component 6
各種書類作成
紹介およびその他の受診理由
-63
経過観察のための受診
-64
健康管理者で発見された健康問題
-65
その他の人で発見された健康問題
-66
健康管理者への照会/紹介
-67
医師への照会/紹介
-68
その他の照会/紹介 NOS
-69
その他の受診理由 NEC
Component 2
診断行為、スクリーニング、予防行為
-30
診察・健康診断(完全)
-31
診察・健康診断(部分)
-32
感受性試験
-33
微生物/その他の免疫の検査
-34
血液検査
-35
尿検査
-36
便検査
-37
病理組織検査/細胞診
-38
その他の臨床化学検査 NOS
-39
生理機能検査
-40
内視鏡検査
-41
エックス線検査/画像検査
-42
電気生理的検査
-43
その他の診断的行為
-44
予防接種/予防的投薬
-45
健康教育/経過観察/助言
-46
プライマリ・ケア医との対診
-47
専門医との対診
-48
患者の受診理由の分類/考察
-49
その他の予防行為
症例
58歳男性、以前より高血圧で治療中。今日も定期受診の日であったが、数日前より食後に胃もたれ、不快感があるとの訴えあり。
簡単な腹部診察を行うも特に所見は無かった。しかしここ数年胃の検査も受けていないとのことで、次週に内視鏡検査の予定とした。
受診理由(愁訴)
診療要求
K31(診察)
D02
診断前介入行為
診断病名
新旧
前病名
確定不確定
K31(診察)
K86(高血圧)
O
K86
C
D31
D02
N
診断後介入行為
K50(投薬)
C
前記の男性が内視鏡検査を受けにやってきた。検査の結果胃角部に潰瘍があり、念のため組織検査を施行した。同日薬も処方した。
受診理由
診療要求
D40
診断前介入行為
D40
診断病名
新旧
前病名
確定不確定
D86
O
D02
U
診断後介入行為
D37
D50
前記の男性が組織検査の結果を聞きにきた。現在は症状も無いとのこと。病理組織検査ではClass5で胃がんであった。近くの病院を紹介することとし
た。
受診理由
診療要求
D60
診断前介入行為
診断病名
新旧
前病名
確定不確定
D74
O
D86
C
診断後介入行為
D67
演者交代
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第1部.ICPCコーディングの基礎
プログラム2
北欧でのICPC活用状況と
今後の展望
国際疾病分類研究会委員
藤田伸輔
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
演者交代
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第1部.ICPCコーディングの基礎
プログラム3
ICPC-2コード化演習
まず、コードの検索方法のご紹介です
国際疾病分類研究会委員
山岡雅顕
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
プログラム3-1 ICPC-2コード検索方法
「発熱」を例としてコードを検索してみます
プログラム3-1 ICPC-2コード検索方法
本を使用した検索方法
(臓器別:p42~160)
臓器別に予測して・・・A,B,D・・・,Z
順に探していく(愁訴は1~29にある)
p42
プログラム3-1 ICPC-2コード検索方法
本を使用した検索方法
(索引:p161~216)
五十音順に探して・・・
p204
プログラム3-1 ICPC-2コード検索方法
本を使用した検索方法
(ICPC-2簡易表:本日のプログラム巻末です)
臓器別に探して・・・
簡易コード表p1
プログラム3-1 ICPC-2コード検索方法
パソコンを使用した検索方法
(Excel)
「発熱」と入力して・・・
付録CD-ROMのICPC-2ファイル:ICPC-2-J.xls
プログラム3-1 ICPC-2コード検索方法
パソコンを使用した検索方法
(Access)
付録CD-ROMのICPC-2ファイル:ICPC2.mde
プログラム3-1 ICPC-2コード検索方法
「発熱」と入力して・・・
プログラム3-1 ICPC-2コード検索方法
パソコンを使用した検索方法
(FEP:日本語変換システム)
辞書に登録して使用します
変換・・・
確定
プログラム3-2
では、お手元のプログラムに
ある具体的な症例で
コード化の演習をしましょう
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
熱
症例1
49歳男性。
昨日から熱が出て、
咳と鼻もでている、と言う。
診察したところ、急性上気道
炎と診断して、薬を処方した。
A03
咳
R05
鼻汁
R07
診察
R31
受診理由
患者の言葉そのまま
診断行為
急性上気道炎
R74
薬処方
R50
診断
治療行為
症例2
5歳女児。
今朝から急に高熱が出て
いると言う。
母親はインフルエンザの
検査をして欲しいとのこと。
検査の結果、インフルエン
ザAと判明し、薬を処方し
た。
受診理由
診断行為
診断
治療行為
熱
症例2
5歳女児。
今朝から急に高熱が出て
いると言う。
母親はインフルエンザの
検査をして欲しいとのこと。
検査の結果、インフルエン
ザAと判明し、薬を処方し
た。
A03
受診理由
インフルエンザの検査
R33
患者の言葉そのまま
診察
R31
診断行為
インフルエンザの検査
R33
インフルエンザ
R80
診断
抗インフルエンザ薬処方
R50
治療行為
腹痛
症例3
8歳男児。
昨日から腹痛と発熱を訴え、
今日は嘔吐している。
診察の結果、急性虫垂炎を
疑い、後方病院に紹介した。
D06
受診理由
熱
A03
嘔吐
D10
診察
診断行為
D31
急性虫垂炎
診断
D88
後方病院に紹介
D67
治療行為
水イボ
症例4
3歳女児。
水イボだといって母親が連れ
てきた。
診察の結果、水痘と診断し、
痂皮化するまでの外出禁止を
指導して、薬を処方した。
S95
診察
S31
受診理由
診断行為
水痘
診断
A72
助言/生活指導
A45
水痘の投薬
A50
治療行為
のどに魚の骨が刺さった
症例5
1歳女児。
のどに魚の骨が刺さったよう
だといって母親が連れてきた。
診察の結果、咽頭に魚の骨を
発見し、ピンセットで除去した。
R87
受診理由
診察
R31
診断行為
咽頭異物
診断
R87
咽頭異物除去
R59
治療行為
蜂に刺された
症例6
57歳女性。
農作業中に右上腕を蜂に刺さ
れた。
診察の結果、消毒と投薬を
行った。
S12
受診理由
診察
S31
蜂刺傷
S12
診断行為
診断
消毒
S56
薬の処方
S50
治療行為
歩き方がおかしい
症例7
3歳女児。
歩き方がおかしくて、左足が
痛いようだと母親が連れてき
た。
左足部が痛いようなので湿布
を処方したが原因はわからな
かった。
様子をみて、よくならないよう
なら再診を指示した
N29
受診理由
左足痛
L17
診察
N31
左足痛
診断行為
診断がつかなければ
受診理由を病名にする
診断
L17
湿布処方
L50
治療行為
助言/再診指示
L45
症例8
58歳男性。
高血圧で通院している。
今日もいつものように診
察したが、水虫の薬が欲
しいという。
足白癬を認めたので、軟
膏といつもの降圧薬を処
方した。
高血圧経
水虫の薬
過観察
K31
希望
S50
診察
診察
K31
S31
高血圧
足白癬
K86
S74
降圧薬
抗真菌剤
K50
S50
複数のエピソードを区別してコードする
受
診
理
由
診断
行為
診
断
治療
行為
鼻閉、鼻汁
症例9 –1
R07
診察
50歳男性。
3週間前から鼻閉、鼻汁が続
くので受診した。
後鼻漏があるが身体所見は
異常ない。
レントゲン撮影にて右上顎洞
の急性副鼻腔炎の診断で抗
生剤を処方して再診を指示し
た。
R31
受診理由
診断行為
副鼻腔X-p
R41
急性副鼻腔炎
R75
診断
抗生剤処方
R50
治療行為
助言/再診指示
R45
症例9 –2
数日後、鼻の症状はよくなったが、最
近息切れがするといって再診。動くと
息がきれるので仕事を休んでおり、横
になるよりも座っていたほうが楽だとい
う。数年前心筋症といわれ治療を受け
たことがあるが、現在は落ち着いてい
るため定期通院はしていないという。
胸部聴診上湿性ラ音を聴取。酸素飽
和度92%、胸部X-P上著名な心拡大と
肺浮腫を認め心不全を合併したものと
診断した。
副鼻腔炎
息切れ
再診
R31
R02
診察
診察
R31
R31・K31
受診
理由
診
断
行
為
SpO2
R39
胸部X-p
R41
急性
心不全
副鼻腔炎
R75
K77
利尿剤静注により症状は改善したが、
精査加療のため入院を勧めた。
利尿剤静注
K50
入院助言
エピソードが複数ある場合、それぞれコード化していく
診断
K45
治療
行為
第1部.ICPCコーディングの基礎
プログラム3
ICPC-2コード化演習
コード例(解答)配布
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第2部
ICPCの臨床分析と
将来展望
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第2部.ICPCの臨床分析と将来展望
4.ICPCの臨床分析例
4-1 松戸市
夜間小児応急診療所
国際疾病分類研究会委員
和座一弘
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第2部.ICPCの臨床分析と将来展望
4.ICPCの臨床分析例
4-2 自治医科大学
国際疾病分類研究会委員
三瀬 順一
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第2部.ICPCの臨床分析と将来展望
4.ICPCの臨床分析例
4-3 千葉大学医学部
国際疾病分類研究会委員
藤田 伸輔
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第2部.ICPCの臨床分析と将来展望
4.ICPCの臨床分析例
4-4 洲本市応急診療所
国際疾病分類研究会委員
山岡 雅顕
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
洲本市応急診療所
洲本市応急診療所は平日の準夜間と休日に診療を行う年中無休
の一次応急診療所である。 1年間の受診者数は、3,500~4,000人。
洲本市健康福祉館
(1階に診療所がある)
洲本市応急診療所診察室
診察時間
診察
時間
9:00
-12:00
13:00
-17:00
18:00
-22:00
月
火
水
木
金
土 日祝
○
○
○○
○○○○○○○
年中無休、12/31~1/3、8/15は日祝に準じる
ICPC2の記録方法
患者一人診察終了毎に、パソコンの表計算ソフトMS-EXCELに入
力する。演者以外の診療日の分は、直近の演者勤務日にカルテ
を見てまとめて入力している。現在、主訴と診断病名のみICPC
コードに変換している。ICPCコードの参照は、ICPC-2のEXCEL
ファイルから、EXCELの検索機能を使って行うが、頻出するコード
は限られており、入力はコピーアンドペーストで済むことが多い。
・・・入力する
診察して・・・
症状別集計
平成12年10月1日~平成18年1月19日
(プライマリ・ケア国際分類コード別)
受診理由上位20
で全受診理由の
82%、上位30で
全受診理由の
89%を占める。
S06
H01
その他
S02
皮膚の痒み236 耳痛230名 発疹(部分)214名 5936名
A03
1%
1%
17%
名
発熱7947名
S12
1%
22%
虫刺症309名
1% D02
L20
多関節痛375名 胃痛363名
1%
T03
1%
食欲不振383名
S18
1%
S07
切創398名
発疹(全身)436名
R05
A04 1%
1%
咳嗽4302名
倦怠感483名
D09
12%
1%
嘔気609名
2%
S56
消毒759名
R07
2%
鼻汁3155名
R74
D06
9%
風邪895名 腹痛1185名 N01
R21
患者数 18,189名
D11
3%
症状総数 35,632
3% 頭痛1258名
D10 咽頭痛2521名
下痢1750名
7%
1人平均症状数 1.96
嘔吐1888名
4%
5%
5%
病名別集計
平成12年10月1日~平成18年1月19日
(プライマリ・ケア国際分類コード別)
A03
D12
発熱145名
便秘159名
1%
1%
D83
口舌耳下腺疾患
141名
1%
その他
3862名
20%
診断病名上位20
で全病名の80%、
上位30で全病名
の85%を占める。
R74
急性上気道炎
6778名
35%
H71
急性中耳炎167
S14
名
熱傷199名
1%
1%
U71
膀胱炎213名
1%S13
動物咬傷213名 A72
1%
水痘220名
1%
S17
S98
擦過傷287名
D73
1% 蕁麻疹306名
急性胃腸炎2417
D87
2%
R76
名
胃炎366名
R96
急性扁桃炎323
R80
13%
S16
2%
R78気管支喘息482
名
インフルエンザ1089 患者数 18,189名
挫傷/打撲傷373 急性気管支炎 名
S18
S12
2%
名
名
470名
虫刺症350名
病名総数 19,276
3% 切創716名
6%
2%
4%
2%
1人平均病名数 1.06
2%
2
0
0
2
2
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
5
0
0
0
0
4
4
/
/
5
5
5
5
/
/
4
4
4
4
/
1
1
/
/
/
/
1
1
/
/
/
/
1
1
/
/
/
/
1
2
0
8
6
4
2
2
0
8
6
4
2
2
0
8
6
4
2
2
0
8
6
4
2
2
0
D10
嘔吐
S12
虫刺症
2
2
0
0
0
0
0
3
/
3
3
3
3
/
1
/
/
/
/
1
1
8
平成12年10月1日~平成18年1月19日
(プライマリ・ケア国際分類コード別)
2
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
2
/
2
2
2
2
/
/
/
6
4
2
2
0
R 21
咽頭痛
S18
切創
2
2
2
2
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
1
1
/
/
/
1
1
R 07
鼻汁
S56
消毒
2
0
2
2
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
/
/
R 05
咳嗽
N 01
頭痛
2
2
0
2
2
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
A 03
発熱
D06
腹痛
2
2
2
2
0
0
0
0
0
35%
2
2
2
0
0
0%
2
2
症状割合の推移
※外傷はここでは、S18 切創、S16
挫傷/打撲傷、S13 動物咬傷、S17
擦過傷、S14 熱傷 の5つのコード
の合計とした
D11
下痢
R 03
喘鳴
30%
25%
20%
15%
10%
5%
1
2
06
/
20
1
/1
/1
05
05
20
20
9
0
/1
05
20
8
05
/
20
05
/
20
7
6
05
/
20
05
/
20
5
4
05
/
20
05
/
20
3
2
05
/
20
05
/
20
1
2
05
/
20
1
/1
/1
04
04
20
20
9
0
/1
04
20
8
04
/
20
04
/
20
7
6
04
/
20
04
/
20
5
4
04
/
20
04
/
20
3
2
04
/
20
04
/
20
1
2
04
/
20
1
/1
/1
03
03
20
20
9
0
/1
03
20
8
03
/
20
03
/
20
7
6
03
/
平成12年10月1日~平成18年1月19日
(プライマリ・ケア国際分類コード別)
R74 急性上気道炎
R80 インフルエンザ
S12 虫刺傷
20
03
/
20
5
4
03
/
20
03
/
20
3
2
03
/
20
03
/
20
1
2
03
/
20
1
/1
/1
02
02
20
20
9
0
/1
02
20
8
02
/
20
02
/
20
7
6
02
/
20
02
/
20
5
4
02
/
20
02
/
20
3
2
02
/
20
02
/
20
1
2
02
/
20
1
/1
/1
01
01
20
20
9
0
/1
01
20
8
01
/
20
01
/
20
7
6
01
/
20
50%
01
/
60%
20
5
4
01
/
20
01
/
20
3
2
01
/
20
01
/
20
1
2
01
/
20
1
/1
00
20
0
/1
/1
00
00
20
20
病名割合の推移
D73 急性胃腸炎
R96 気管支喘息
外傷
流行している、あるいは流行が
予測される疾患をホームページ
で随時情報提供・警告している。
40%
30%
20%
10%
0%
能動喫煙と受診理由
受診理由
A03発熱
R21咽頭痛
R05咳
R07鼻汁
D11下痢
R74急性上気道炎
N01頭痛
D10嘔吐
D06腹痛
D09嘔気
D02胃痛
A04全身倦怠感
L20関節痛
S12虫刺傷
S18切創
N17めまい
P
オッズ比
0.0005
1.51
0.0062
1.45
0.0050
1.49
0.2846
1.20
0.0006
1.82
0.0119
1.57
0.0549
1.43
0.7398
1.07
0.0034
1.82
0.9963
1.00
0.2643
1.31
0.4897
1.20
0.0272
1.79
0.3385
0.76
0.6283
1.15
0.3604
0.69
95%CI
χ2乗値
1.20
1.91 12.24
1.11
1.89
7.50
1.13
1.97
7.88
1.29
1.10
2.56
2.22
11.81
6.33
1.22
2.73
8.57
1.07
3.01
4.88
受診理由
U01排尿痛
T03食欲不振
L03腰痛
S13動物咬傷
R50投薬希望
S06発疹(限局)
S02掻痒
D19歯の症状
S07発疹(全身)
S98蕁麻疹
S16挫傷・打撲傷
S04腫脹(限局)
S17擦過傷
F76耳内異物
D12便秘
P
オッズ比
0.0971
0.49
0.2214
0.48
0.0611
0.36
0.6236
1.25
0.1588
1.84
0.4575
1.39
0.6236
1.25
0.2517
1.70
0.0661
2.40
0.5552
0.64
0.9560
0.97
0.8915
1.07
0.8218
1.11
0.8018
1.15
0.9710
1.02
※対象は成人の初
診患者2,651名、
5,131受診理由。
※対照群との間で
2×2表を作成し、χ2
乗分析を行った。
※赤字は有意差が
認められたもので、
95%信頼区間も示し
た。
能動喫煙と受診理由で有意な関係が認められたのは、ICPCコード別に、
A03発熱(1.51。数値はオッズ比。以下同じ。)、R21咽頭痛(1.45)、R05咳
(1.49)、D11下痢(1.82)、D06腹痛(1.82)等だった。
能動喫煙と診断病名
診断病名
R74急性上気道炎
D73急性胃腸炎
R80インフルエンザ
D87胃炎
S12虫刺傷
S18切創
R76急性扁桃炎
R96気管支喘息
R78急性気管支炎
U71尿路感染症
S16挫傷・打撲傷
S98蕁麻疹
S13動物咬傷
S17擦過傷
H82回転性めまい
N17めまい
P
オッズ比
0.0010
1.48
0.0583
1.36
0.1399
1.45
0.0365
1.65
0.1932
0.70
0.5254
1.19
0.0000
4.45
0.2030
1.53
0.6169
1.18
0.0385
0.44
0.5597
1.22
0.9004
1.05
0.6236
1.25
0.6834
0.82
0.9667
1.02
0.4469
0.59
95%CI
χ2乗値
診断病名
1.17
1.87 10.78 D82歯疾患
1.03
2.64
4.37
2.31
8.57
19.94
0.20
0.96
4.28
P
オッズ比
0.0371
2.80
N01頭痛
0.8018
1.15
D83口腔疾患
0.4596
0.56
S14熱傷・火傷
0.9313
1.27
D12便秘
0.8018
1.15
S88接触性皮膚炎
0.9904
0.85
F76眼内異物
0.8816
1.09
U95尿路結石
0.7245
0.68
A03発熱
0.1647
0.19
L03腰痛
0.1162
0.17
F70感染性結膜炎
0.2975
1.78
S09爪周囲炎
0.7755
0.66
S02掻痒
0.5772
2.04
L77足関節捻挫
0.4711
0.31
S19その他皮膚損傷 0.2605
0.34
95%CI
1.06
7.39
χ2乗値
4.35
※対象は成人の初診患者2,651名、2,840診断病名 。
※赤字は有意差、青字は逆の関係が認められたもので、95%信頼区間も示した。年齢調整はしていない。
能動喫煙と診断病名で有意な関係が認められたのは、R74急性上気道炎
(1.48)、D87胃炎(1.65)、R76急性扁桃炎(4.45)、D82歯疾患(2.80)であっ
た。
受動喫煙と受診理由
受診理由
A03発熱
R21咽頭痛
R05咳
R07鼻汁
D11下痢
R74急性上気道炎
N01頭痛
D10嘔吐
D06腹痛
D09嘔気
S07発疹(全身)
D02胃痛
A04全身倦怠感
S18切創
L20関節痛
S12虫刺傷
H01耳痛
T03食欲不振
P
オッズ比
0.0074
1.23
0.0162
1.29
0.0142
1.24
0.0136
1.26
0.0081
1.37
0.0096
1.44
0.0010
1.54
0.0758
1.22
0.1681
1.20
0.0636
1.39
0.1210
1.33
0.0125
1.68
0.0157
1.65
0.4140
0.83
0.1019
1.48
0.9663
1.01
0.3011
1.29
0.0376
1.67
95%CI
χ2乗値
1.06
1.43
7.16
1.05
1.60
5.78
1.04
1.48
6.02
1.05
1.52
6.08
1.08
1.72
7.00
1.09
1.89
6.70
1.19
2.00 10.84
1.12
1.10
2.53
2.48
6.24
5.84
1.03
2.71
4.32
受診理由
S06発疹(限局)
S98蕁麻疹
R03喘鳴
S02掻痒
S17擦過傷
R96喘息
S04腫脹(限局)
S16挫傷・打撲傷
S14熱傷・火傷
R50投薬希望
U01排尿痛
L03腰痛
N17めまい
S13動物咬傷
D19歯の症状
S01皮膚疼痛
D12便秘
D20口腔症状
P
オッズ比
0.4324
1.23
0.0551
1.65
0.0059
2.10
0.7296
1.11
0.8678
1.05
0.0435
1.76
0.7877
1.08
0.5076
1.22
0.8966
1.04
0.5766
1.22
0.2487
0.65
0.5491
0.80
0.7344
1.13
0.0707
1.95
0.5264
1.30
0.1824
1.61
0.0811
0.46
0.1012
0.48
95%CI
χ2乗値
1.24
3.58
7.58
1.02
3.04
4.08
※対象は全年齢の初診患者5,732名、10,980受診理由。
※対照群との間で2×2表を作成し、χ2乗分析を行った。
※赤字は有意差が認められたもので、95%信頼区間も示した。
受動喫煙と受診理由で有意な関係が認められたのは、A03発熱(1.23)、
R21咽頭痛(1.29)、R05咳(1.24)、R07鼻汁(1.26)、D11下痢(1.37)、N01
頭痛(1.54)、D02胃痛(1.68)などであった。
受動喫煙と診断病名
診断病名
R74急性上気道炎
D73急性胃腸炎
R80インフルエンザ
R96気管支喘息
S12虫刺傷
R78急性気管支炎
S18切創
D87胃炎
S98蕁麻疹
S16挫傷・打撲傷
A72水痘
R76急性扁桃炎
H71急性中耳炎
S17擦過傷
S14熱傷・火傷
P
オッズ比
0 .0 1 0 9
1 .2 2
0 .0 0 6 8
1 .3 2
0 .0 4 9 1
1 .3 2
0 .0 0 1 4
1 .7 3
0.6716
0.91
0.6302
0.90
0.3414
0.80
0 .0 1 8 6
1 .6 5
0.1586
1.39
0.8156
1.06
0 .0 4 3 6
1 .6 3
0.2109
1.38
0.9735
0.99
0.8389
0.94
0.8297
1.07
95%CI
χ2乗値
1.05
1.43
6.48
1.08
1.62
7.33
1.00
1.75
3.87
1.24
2.43 10.16
1.09
2.49
5.53
1.01
2.63
4.07
診断病名
A03発熱
U71尿路感染症
D12便秘
D83口腔疾患
S88接触性皮膚炎
F70感染性結膜炎
S13動物咬傷
S07発疹(多発)
D71流行性耳下腺炎
S02掻痒
N17めまい
A76その他のウイルス性発疹
N01頭痛
L77足関節捻挫
S84伝染性膿痂疹
P
0.3203
0.3699
0.2289
0.6255
0.5766
0.3955
0.0436
0.2296
0.0528
0.2187
0.8440
0.0256
0.1772
0.1772
0.1252
オッズ比
0.72
0.74
0.66
0.85
1.22
0.71
2.08
1.58
2.13
1.67
0.91
0.19
1.82
1.82
0.34
95%CI
χ2乗値
1.02
4.26
4.07
0.05
0.82
4.98
※対象は全年齢の初診患者5,732名、6,118診断病名。
※対照群との間で2×2表を作成し、χ2乗分析を行った。
※赤字は有意差、青字は逆の関係が認められたもので、95%信頼区間も示した。年齢調整はしていない。
受動喫煙と診断病名で有意な関係が認められたのは、R74急性上気道炎
(1.22)、D73急性胃腸炎(1.32)、R80インフルエンザ(1.32)、R96気管支喘
息(1.73)、D87胃炎(1.65)などであった。10歳未満の年齢層では、R74急性
上気道炎(1.28)、A72水痘(1.78)、S06発疹(限局)(5.63)が受動喫煙と有
意な関係があった。
まとめ
•受診者に特徴的な受診理由・診断名・流行時期がわかった。
•一次救急患者において、能動喫煙および受動喫煙と関連し
ている受診理由・診断病名が多数ある可能性がわかった。
•このように、受診理由や診断名をICPCコードで表すことに
よって、プライマリ・ケアの現場での統一した基準の下での比
較研究の可能性の一例を示した。
洲本市応急診療所ホームページ
http://www1.sumoto.gr.jp/shinryou/
第2部.ICPCの臨床分析と将来展望
プログラム5
質疑応答
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第2部.ICPCの臨床分析と将来展望
プログラム6
ICPCの将来
~ 身近な応用法についての
ディスカッション ~
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
第2部.ICPCの臨床分析と将来展望
プログラム7
グループ別発表
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
プログラム8
閉会
ワークショップ評価票にご記入の上、
回収箱にお入れください。
ご参加、まことにありがとうございました。
国際疾病分類研究会委員一同
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ
ありがとうございました
第29回日本プライマリ・ケア学会 ICPC-2ワークショップ