超高齢者における大腿骨頚部骨折の 術後経過について 医療法人社団 松弘会 三愛病院 整形外科 桑原忠義 中嶋祐作 佐々木一成 済陽輝久 対象 全例 80歳以上の超高齢者 308 例 性別 年齢 男 52 例 女 256 例 308 股 52 股 256 股 80~101歳 (平均87.5歳) 検討項目 術後経過、退院後の転帰を把握 術後成績の向上、術後合併症の予防 退院に向けたケアーの要点 方法 初診時:直ちに既往症の把握(かかりつけの情報提供取得) 術前評価:Coronary CT検査 心エコーなど (他科依頼) 麻酔法、術前術後管理の選択(クリニカルパスの選択など) 医療相談室の連携による環境整備(退院の準備) 受傷から初診・手術日までの期間 受傷から初診までの期間 0~62 日(平均1.5日) 受傷から手術までの期間 0~66 (平均2.8 ) 手術時間 13~125 分 (平均41.8分) 出血量 20~400 ml (平均98.9ml) 術後合併症 死亡例 5例 ・既往症の悪化 腎不全 肝硬変 心不全 1 1 2 ・心筋梗塞 1 生存例 心不全 肺炎 虚血性心疾患 褥瘡 腎不全 認知症 23例 5 5 1 10 2 5 受傷から手術までの期間 死亡例 (n=5) : 7~66日(平均18.5日) 生存例 (n=25) : 3~ 7 (平均 5.5 ) 入院期間 入院日数(日) 140 n=280 120 100 80 60 40 20 0 0 20 40 手術までの日数 60 80 (日) 新たに疾患が発見された例 認知症 高血圧 虚血性心疾患 心不全 糖尿病 腎不全 パーキンソン症候群 悪性新生物 うつ病 その他 38 例 (13.6 % ) 29 (10.4 ) 21 ( 7.5 ) 15 ( 5.5 ) 8 ( 2.9 ) 7 ( 2.5 ) 5 ( 1.8 ) 5 ( 1.8 ) 3 ( 1.1 ) 6 ( 2.1 ) n=280 受傷前の住居および退院先 受傷前 退院先 自宅 172 例 病院 50 介護施設 86 98 例 81 114 自宅からの入院例 在宅 90 例 (52.3 %) 病院 15 ( 8.7 ) 介護施設 67 (40.0 ) n=172 その理由 介護力不足 ADL能力の向上(リハ病院へ) 介護申請 自宅の工事、準備 その他 75 例 5 5 10 8 解決法 初診時から手術までの期間を短縮させる 合併症の早期発見、早期治療を心がける 全身状態(隠れた疾患など)の迅速な把握とその対応 医療相談室の連携による環境整備 ・物理的環境の整備 手すり、補助具、改築など ・介護力の充実 ケアマネージャーの介入、ヘルパーの依頼など まとめ • 超高齢者における大腿骨頚部骨折の術後経過に ついて検討した • 術後合併症は受傷から手術までの期間が短いほど 軽症であり、長いほど重篤になる傾向にあった • 入院後、迅速な物理的環境の整備および介護力の 充実をはかるは重要である
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