fearth.org

平成17年度 ぎふ男女共生大学
地域再生の基本戦略
・・・・・NPOは地域再生の鍵となれるか・・・・・・
駒宮博男(自治体行財政改革研究会)
名城大学大学院経営学研究科客員教授
(特活)地球の未来 理事長
(特活)ぎふNPOセンター理事
Ⅰ.そもそも、NPOとは何か
(序論にかえて)
地域再生の鍵を握る(?)NPOの現状
・問題のないところにNPOなし!
社会的問題とは何か・・・・(持続不能性問題?)
問題解決が全てのNPOのミッションのはず
・都市部と郡部の本質的差異
NPO法人は、「落穂拾い」?
新たな公共の担い手となり得るか?
21世紀の問題群の発端とは・・・
1972年 : 『成長の限界』(ローマクラブ、メドーズ)
エネルギー、食糧は大丈夫か?
現代社会が抱える危機(問題)の種類
現代社会が抱える危機(問題)の種類
局
地
的
・地震
・身近な環境問題
・高齢者福祉
いわゆるNPOの活動領域
・教育問題
・身近な経済問題
市町村合併に伴う地域の公共サービスの質の低下、減少の可能性
財政破綻
・環境破壊
・地球温暖化
・オゾンホール
・その他
・南北格差の増大
広
範
囲
食糧危機、エネルギー危機
・戦争
・危機はこの矢印に沿って顕在化する
・ある閾値を越えると行動の誘引化
・グローバル経済
緩慢
突発
都市型NPO活動、郡部型NPO活動
・都市のパブリック領域
: パブリック領域
: 行政
: 外郭組織
・郡部のパブリック領域
: ボラ組織
: NPO
: 企業
Ⅱ.公共サービス領域を再考する
岐阜県から始まった仕分け調査
協働事業推進ガイドライン
行政によるパブリック領域独占の背景
1)明治以来の強すぎる中央集権
・外圧に対する正常な反応
・しかし、江戸までは地方分権
2) 「御上」に従う思想と住民の官依存性
・官依存的精神の源は?
歴史的御上従属意識
郡部経済環境(『国内ODA対象地域』)
3) 「1940年体制」が意味するもの
・果たして1945年はカタストロフィックな年だったか?
・「1940年体制」=「戦時体制」(野口悠紀夫)
・「戦時体制」の功罪
功 : 高度経済成長を為した、隠れた社会基盤
罪 : 中央集権+官僚主導=地域の崩壊
「構想日本」の仕分け調査
「A県(岐阜県)」からスタート
・その後複数県で実施
・「国と地方の税制を考える会」(知事有志の集まり)
第7回会合資料(H15/8/5)
*「構想日本」と「国と地方の税制を考える会」は、『イコールパートナー』
その後の展開
・市町村へ(各県1市町村)
・岐阜県では多治見(2004年2/24、25)
・国の仕分け調査
・『自治体改革具体化研究会』発足
パブリック領域を考えなおす
構想日本「国と地方の税制を考える会」の仕分け作業とは
A.仕分けの概略
国
細々事業レベル
8,760億円
6,627項目
5%(4%)
都道府県 59%(72%)
市町村
28%(16%)
民間
8%(8%)
不要な仕事
B.部局ごとの仕分けの概略
構想日本 仕分け結果
これまでの仕分け実施自治体
H14年 : 岐阜、岩手、宮城、秋田、高知、三重
三浦(市)
H15年 : 長野、新潟、新潟(市)
H16年 : 多治見市、横浜市(経済事業)
(多治見市の仕分けに駒宮参加)
H17年 : 横浜市(福祉事業)
計、8県4市の12自治体で実施
構想日本 仕分け結果
自治体の仕分け作業結果(歳出ベース)
市町村
(3市の平均)
1
3%
1
6%
7
1%
都道府県の平均
(8県の平均)
不要/民間の仕事
1
0%
他の行政機関の仕事
3
0%
市町村または
都道府県県の仕事
6
0%
構想日本 今後の方針
H17/8月に、「自治体改革具体化研究会」発足
『仕事の範囲』
現在の事業範囲
仕事の「性質」による吟味
事業仕分け
現『
在仕
の事
事の
業や
コり
ス方
ト』
仕事の「効率性」による吟味
バランスシート
行政コスト計算
行政が
手を離
すべき
事業
・一律基準が原因の無駄
・手続き上の時間、労働力
の無駄
「執行」の吟味
「手続き」の吟味
NPOによるパブリック領域の区分
・山岡氏(日本NPOセンター常務理事)による区分
A
B
民間主導
C
協働領域
・早瀬氏(大阪ボランティア協会
取り組み領域
D
E
行政主導
理事・事務局長)による区分
具体例
行政権力行使領域
許認可、刑の執行・身柄拘束、課税
人権保障領域
安全保障、生活保障、福祉、義務教育
公共財提供領域
道路・河川管理、(郵便)
行政・民間混在領域
各種公共サービスの実施
民間主導領域
問題発見、提案、新規サービス開発
民間自主管理領域
宗教・特定の価値観の普及
岐阜県版『協働ガイドライン』とは
1)協働ガイドラインの特徴
・協働のためのルールと手順
・県と、NPOの協働事業として作成
・協働コーディネーター
・協働事業推進士
・『フィージビリティー調査』(仕分け調査)
フロー概要
フィージビリティー調査
NPOからの事業提案
事業化、予算化のための協議と
合意事項の協定(コンパクト)
議会の可決
事業実施に関する協議と合意(コンパクト)
事業の実施と評価
2)『フィージビリティー調査』とは何か
・細々事業ベースでの協働の可能性調査
可能性のある事業はNPOへ
・行政(県)とNPOの協働で行う
行政だけでは不可能
試験的に行った結果(2002年には僅か4事業)
東濃の某市でも行ったが、なし!
フィージビリティー調査のフロー
行政の仕事
行政の施策に対する
アセスメント
協働に関するフィージビリティー調査
A
B
C
民間
D
E
行政
NPO・行政の協働
民間・NPOへ
行政単独
X(不要な仕事)
岐阜県のこれまでの結果
・これまでに、10課室で実施(県民政策室については下表になし)
・県民政策室、環境局は、積極的に、仕分けに従ってNPOへ委託
課・室
県民生活安全室
男女共同参画室
人権施策推進室
総合
予算
事業数
3,480
4
17,539
13
66,750
21
(単位 : 千円)
協働可能(委託)分
予算
%
事業数
1,000 28.7
2
11,948 68.1
7
30,141 45.2
10
%
50.0
53.8
47.6
総合政策課
102,632
21
31,477
30.7
9
42.9
福祉政策課
児童家庭課
469,871
1,387,287
34
47
70,498
199,979
15.0
14.4
7
17
20.6
36.2
20,607
72,496
472,446
19
24
55
14,680
31,297
118,892
71.2
43.2
25.2
9
10
14
47.4
41.7
25.5
2,613,108
238
509,912
19.5
85
35.7
環境政策室
循環社会推進室
自然環境森林室
合計
新たな統治システムと協働可能性調査
仕分け調査の理念的順序
・補完性の原則に則れば、コミュニティーから
山岡の偉大な実験 (合併→主体の喪失→新たなる主体の創造)
・NPOは、地域自治組織になりうるか
「全員参加」のNPO法人
cf.近隣自治政府の制度設計(日本都市センター)
第27次地方制度調査会答申
・町長自らが行うFSとNPOへの委託
4月から数億円規模
主要ポストには行政職員(一町民として参加!)
Cf. 志木市の選択
・職員数を10%に、事業の90%はNPOへ
補完性の原則による地方自治とは
補完性の原則の現状(『特異点』分析)
凡例
補完の方向
特異点
個人
家庭
コミュニティー
市町村
県
国
国際社会
理念型
・コミュニティーが補完原則の頂点に
・持続社会においては有りうべき姿?
・合併後の山岡町?
・『コモンズからの信州革命』はこの思想?
・コミシス大和の目指すシステム?
・行政主導(首長主導)の考え方
・『地方制度調査会』はこの思想?
・『NPO』、『コミュニティー』の意義は希薄?
・埼玉県志木市は、実はこのタイプ??
・県の行動原理としての補完性の原則の姿
・県が補完原則の頂点
・論理的に言って、最も必然性のないシステム
・道州に移行した場合は、単なる中央集権
コミュニティー優
位型
市町村優位
型
県優位型
(アメリカ)
中央集権型
+アメリカ追
随型
それぞれの特徴
・完全な理念型
・個人が補完原則の頂点
・条件として、完全なる自己の確立
・コミュニティーの意義は希薄?
・『社会』、『リーダー』の意義も希薄?
・単なる理念であって有り得ない??
・現在の我が国の状況
・『逆補完性の原則』に従ったシステム
・補完原則の頂点はアメリカ??
・現状の税制はこのシステムに従っている
・このシステムを崩さない限り『自治』は不可能
なんか、現実離れ?
『ヒト生態学』に合致?
みんな頂点に立ちたがる!
良質なリーダーシップ??
間接民主主義を堅持??
これには、もう飽き飽き!!
1940年体制の悪しき遺物
財政破綻の元凶!!
規模に従った相互補完性
凡例
中心となるセクター
誰が
何を
初等
中等
教育
高等
職業
高齢者
福祉 子育て
障害者
家庭医
医療 高度
先端
環境
地域
地球
外交
草の根
国家間
防衛
通貨
地域
円
個人
家庭
コミュニティー
市町村 県(道州)
国
国際社会
ここでで少々、男女問題を・・・・
1.公共サービスの中心
教育
医療
多くの分野の主役は女性
福祉
環境
2.『シャドーワーク』(イリイチ)
貨幣経済は、経済活動のほんの一部
Ⅲ.今後の地域社会を考える
・市町村合併をどう捉えるか
従来型:シングルスタンダード
地域重視型:マルチスタンダード
・地域経済の本質的見直し
「国内ODA」に支えられてきた地域経済
「作らせない・買わせる」政策とは
・最終的には、抜本的税制改革が必要
基礎自治体に最大の徴税権を!!
NPOへのダイレクトな資金の流れを!!
市町村合併をどう考えるか(その1)
従来型市町村合併の手法
従来型市町村合併の手法
1.『シングルスタンダード』方式
: 役所、役場
A市
ミニ中央集権化
B町
B町
A市
市町村合併
C町
E町
D村
・役場機能縮小
・地域の独自性崩壊
・地域の公共サービス
の質の低下
・シングルスタンダード方式は、現在多くの自治体群で行われようとしている市町村合併の形態である。
・この方式での合併は、短期的にせよ、行政コストの増大を招く恐れがあり、しかも、これまで行われてきた地域
ごとのきめ細かな公共サービスの質の低下は必至である。
・また、この方式では、持続可能社会のソーシャルユニットである地域コミュニティーは完全に崩壊し、 『ミニ中央
集権化』が進展し、地域の活力は大幅にそがれる可能性がある。
・『公平性』、『平等性』という縛りにより、地域間の行政サービスの差異を埋めるため、多大な支出を余儀なくさ
れる。
・また、同規模の市町村合併の場合、『覇権争い型合併』となり、暗礁に乗り上げる可能性が高い(既に多くの実
例あり)。
市町村合併をどう考えるか(その2)
望ましい市町村合併の形態を模索する
望ましい市町村合併の形態を模索する
2.『マルチスタンダード』方式
支所機能拡大
A市
B町
B町
A市
市町村合併
・『ミニ行政 + NPO』で
地域の公共サービスを運
営
・支所における、『ワンストッ
プサービス』の徹底
C町
E町
行政のミニマム化
役場機能縮小
D村
・マルチスタンダード方式での合併は、行政コストをミニマム化する。
・地域の公共サービスの主体は、NPOと行政(支所)となり、新市の行政としての役割は、地域内で処理不能、あるいはス
ケールメリットが得られないサ-ビスの提供、各種データの管理等にとどまる。即ち、新市の各地域を補完する役割を持つ。
・支所での行政サービスを最大化するためには、新市内における情報ネットワークによる『ワンストップサービス』の徹底が不
可欠となる。
・マルチスタンダード方式は、これまでに醸成された各地域の地域性を温存し、各地域の主体性に基づく自治(住民自治)を
基本とした考え方である。
・この方式により、旧市の町単位の支所機能は拡大され、旧周辺町村の役場機能は縮小され、それぞれが同等レベルの機
能となることが必要である。これにより、旧市の町と、旧周辺町村が実質上平等なスタンスとなる。
・また、様々な地域における公共サービスの差は、NPOが主体者であることで問題が消滅する(『平等』、『公平』という行政の
原理を使わずに済むため)。
・従って、地域コミュニティーごとに公共サービスの質を争うことが可能となる合併形態と言える。
・尚、コミュニティーの適正範囲に関しては、最大で5,000人位(中学校区)か?
参考)財団法人日本都市研究センター『近隣政府の制度設計』
合併後の公共サービス
公共サービスの格差
(合併前)
A村
行政
B町
C町
D町
E市
NPO
競争原理の領域
(地域の自発性)
(合併後)
公平・平等の領域
(safety net)
A区
B区
C区
D区
E区
地域の新たな産業構造を考える
1.これまでの地域経済の構造
投資的経費
60%削減で
地域経済崩
壊!!!
*愛知県豊根村でのエネルギー消費額調査
戸数500戸で、年間5億円
(名古屋大学大学院環境学研究科高野ゼミ)
2.これからの地域経済の構造
食の地産地消
エネルギーの地産地消
税の地産地消
公共サービスの地産地
消
マンパワーの地産地消
地域革命の最終課題=税制改革
税制改革と地方自治
1)これまでの税の流れ
1)これまでの税の流れ
国
:2
47都道府県:1
3,000市町村:1
(従来の税制とNPO)
目減り
目減り
市町村
NPO
目減り
県
国
住民・企業
2)本当の自治を可能にする税の流れ(試案)
2)本当の自治を可能にする税の流れ(試案)
(税制改正の主眼)
目減り
目減り
市町村
目減り
県
NPO
国
住民・企業
(市町村合併、道州制後の理想的形態)
市
道州
NPO
*スウェーデンでは、投票率95%!
国
住民・企業
基礎的自治体
に最大の徴税
権を!