ソフトUSBの提案とその 有益性の検証に関する 研究 九州大学 工学部 電気情報工学科 4年 岡村研究室 中川和久 指導教員 岡村耕二 助教授 2005年2月18日 1 発表内容 1. 背景 2. 目的 3. 手法提案 - ソフトUSB 4. 有益性の検証 - VR開発環境における遠隔制御 5. 考察と今後の課題 2 1. 背景 周辺機器 USB規格のインターフェイスは、標準的なインターフェイス となっている。 多種多様なUSB周辺機器(以下、USBデバイスと略す) が存在する。 ネットワーク技術の発展 大量のデータ送受信に十分耐えるほど高速化する。 ネットワークを介した周辺機器の遠隔からの利用が可能 (遠隔制御) 3 2. 目的 既存の手法 ユーザープログラムやライブラリを利用する。 遠隔制御の対象である機器の限定 実装が困難 本研究の目的 ソフトUSBの提案を行い、その有益性を検証する。 ソフトUSBは外部接続にUSB2.0規格を用いてある周辺機器 を対象 バーチャルリアリティ(以下VR(Virtual Reality)略す)の開発 環境に着目し、ソフトUSB導入の有益性を検証 4 3. 手法提案 - ソフトUSB ソフトUSB 遠隔にあるUSBデバイスそのものをローカルの計算機に 仮想化する手法である。 ユーザーはローカルの計算機に、遠隔制御対象のUSB デバイスドライバをインストールする必要がある。 soft USB Local Workstations Remote USB Device Internet 5 3. 手法提案 - ソフトUSB ユーザーアプリケーションは 、遠隔にあ Internet るUSBデバイスが、ローカルに接続され ているように認識し、ローカルの機器と同 様に、遠隔の機器の使用が可能である。 デーモン通信 要求結果 処理要求 割り込み発生 割り込み発生 ソフトUSBが仮想化した遠隔のUSB ポートを認識させる(virtual EHCI) ソフトUSBが遠隔のUSBポート (EHCIコントローラ)を仮想化する USBポート USBポート ソフトUSB USB デバイス 6 4. 有益性の検証 - VR開発環境における遠隔制御 VRデバイス 遠隔から制御される必要がある。 特殊な制御が必要 VRPN( Virtual Reality Peripheral Network ) VRデバイスの遠隔制御を可能にするために開発された。 サーバー・クライアントモデル サーバープログラムが、クライアントに接続されたVRデバイスを 制御するためのライブラリを提供 サーバープログラムを起動することでデータ入出力を実行 7 4. 有益性の検証 - VR開発環境における遠隔制御 VRPNを導入した遠隔制御 クライアント側のユーザー空間でのデータ構造体はライブラ リで指定されている。 コールバックハンドラーを使用してデータ通信を行う。 制御情報はサーバー側のユーザープログラムで算出する。 時間情報に従ってVRアプリケーションが 参照するメモリ領域に入力情報を渡す ユーザープログラム Tracker Tracker サーバープログラム Hapticデバイス Button Button Force Force 時間情報に従ってデバイスドライバが参 照するメモリ領域に制御情報を渡すユー ザープログラム 8 4. 有益性の検証 - VR開発環境における遠隔制御 VRPNの特徴 入出力に関するデータを細分化させ捉える。 全てのデータに時間情報を付加させる。 VRPNの問題点 VRデバイスが制限される。 VRPN対応のVRデバイスは必ず数値情報を入力するものに限定 され、入力データを全てTCP/IPを使用してパケット化 ユーザープログラムの作成が必要である。 VRPNに対応するVRアプリケーションはユーザー空間で指定する メモリ領域を参照することが前提 9 4. 有益性の検証 - VR開発環境における遠隔制御 ソフトUSBを導入した遠隔制御 virtual EHCIが指定するデバイスドライバにシステムコー ルを発行する。 virtual EHCIが指定したメモリ領域に格納される情報の 構造体はデバイス設計時に設定されており、VRアプリ ケーションはその構造体に従ったデータ参照を行う。 制御情報もioctlシステムコールの処理要求で実装される。 /dev/usb_remote0に接続 されていると仮想化 ソフトUSBによる仮想化 10 5. 考察と今後の課題 ソフトUSBの有益性 ソフトUSBでは遠隔制御を行うUSBデバイスに対して、新 たなデバイスドライバを作成する必要はない。 既存のVRシステムでの、VRデバイスの遠隔制御を可能 にする。 既存のUSBデバイスをVRデバイスとして導入することが 可能になる。 ソフトUSBを導入することが有益である 11 5. 考察と今後の課題 ソフトUSB実現への課題 ソフトUSB実現にあたっての問題点 デーモンで通信時でのオーバーヘッドの発生 デーモン通信における、それぞれの要求に応じた通信プロトコ ルの策定 仮想化されたEHCIコントローラに接続されたUSBデバイスに対 する、遠隔の計算機との競合問題 入出力データ遅延問題や、ネットワークQoS技術を保証 するアーキテクチャを提案することも今後の課題である。 12
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