政府の役割と現状 財政学A(公共経済学) 第2回 畑農鋭矢 1 政府の財政 • 政府を通じたモノやカネの流れ ⇒政府の経済活動 • 主として貨幣に依存 • 政府の収入と支出 政府収入:租税、国債発行など 政府支出:公共事業,公共サービス,社会保障 • 財政の役割を理解するためには? 資金の流れ+制度的な枠組み 大きな政府か小さな政府か • • • • • • • 重商主義 夜警国家 ケインズ経済学(ケインズ主義) 福祉国家 ケインズ経済学の凋落 公共選択学派 マネタリスト・合理的期待学派 一般政府の支出の国際比較(2005年、%) 出所:OECD National Accounts of OECD Countries 総支出 日本 米国 カナダ 英国 ドイツ イタリア フランス スウェーデン 38.1 36.7 39.2 44.5 46.9 48.3 53.7 55.3 政府消費 (政府最終消費支出) 政府投資 (総固定資本形成) その他 (移転、利払い等) 18.1 15.9 19.1 21.7 18.8 20.4 23.8 26.5 3.7 2.5 2.6 0.7 1.4 2.3 3.3 3.0 16.4 18.3 17.5 22.1 26.7 25.6 26.5 25.9 公的介入とその根拠 • マスグレイブの3機能 ①資源配分機能 ②再分配機能 ③景気安定化機能 • マスグレイブの3機能の限界 機能の修正・追加 機能の不可分性・相互の関連性 市場の失敗と資源配分機能 • 市場の失敗 厚生経済学の第1基本定理が不成立 伝統的:外部性、公共財、自然独占 新しいもの:情報の非対称性など • 情報の非対称性 逆選択 モラル・ハザード 再分配機能と公平性・効率性 • 再分配機能 所得分配に大きな格差があるとき、 財政を通じて行われる是正措置 • 再分配と効率性の間のトレードオフ 厚生経済学の第2基本定理 ⇒トレードオフなし 現実の再分配政策は効率性とトレードオフ の関係にあることが多い 景気安定化機能 • 景気安定化機能の限界が指摘される傾向 • 機能区分に関する質的な批判 資源配分機能との関係 再分配機能との関係 • 資源配分機能+再分配機能 将来世代への配慮 • 世代間の再分配 現在世代と将来世代のバランス • 割引率 将来世代の軽視⇒環境問題など • 指数型割引と双曲型割引 行動(実験)経済学 動学的非整合性 政府の範囲 公 共 部 門 一 般 政 府 放送大学 国民生活センター 中央政府 大学入試センター 年金資金運用基金 地方政府 農業者年金基金 社会保障基金 特殊法人 公的企業 造幣局、国立印刷局、JETRO 独立行政法人 地方自治体管轄の公社 財政の構造 国債 中央政府 直接支出 公共事業 地方交付税等 地方債 地方政府 等 国庫補助 社会保障基金 直接支出 給付 公共事業 消費支出 等 等 財政運営の原則 • 国の収入と支出は全額予算に計上、 予算は国会の議決を受ける。 • 財政民主主義:日本国憲法の第7章「財政」 租税法律主義:財政法、租税法など • 単年度主義 会計年度独立の原則: 4月1日~3月31日 予算のプロセス:予算編成 • 財政年度:t年4月~t+1年3月 • 予算編成 t-1年7月 概算要求のガイドライン (財務省⇒各省庁) ~8月末 概算要求(各省庁⇒財務省) 秋 折衝(財務省⇔各省庁) 税収見積もり(経済成長の見通し) 復活折衝(各省庁、政治家等) 12月~翌1月 予算案の内閣決定・国会提出 予算プロセス:当該年度 • 当初予算(本予算) 当該年度開始前に国会の議決により成立 • 暫定予算 政治的な理由で審議が遅れた場合の経過措置 当初予算成立後に当初予算に吸収 • 補正予算 当初予算成立後に不足がある場合 • 決算 会計検査院で検査 予算の種類 • 一般会計予算 教育、外交等 • 特別会計予算 保険事業(公的年金等) 公共事業(道路、港湾) 融資事業(産業投資) 財政投融資 • 政府関係機関予算 公的金融機関など 財政投融資 財政投融資の規模 出所:財務省『財政投融資レポート2012』
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