滋賀県市町村職員研修センター係長級研修 2010.7.2 第1部 戸田市政策研究所の取組み 戸田市政策研究所 山本 義幸 本日の構成 • 第1部:戸田市政策研究所の取り組み • 第2部:調査研究の取り組み事例 特徴ある研究の紹介 1.戸田ボートコースの水質浄化(平成20年度) 2.急速な高齢化が戸田市に及ぼす影響(平成21~22年度) 3.地域へ大学の風を呼び込む(平成21年度) ~地域に大学のない自治体の取り組み ~地域へ大学の風を呼び込む -地域に大学のない自治体の取り組み- 2010/7/2 戸田市政策研究所 2 報告の構成 • 1.戸田市の紹介 • 2.自治体シンクタンク戸田市政策研究所設 置の経緯 • 3.研究所の組織体制 • 4.研究所の機能と活動 • 5.研究テーマについて • 6.戸田市政策研究所の特徴 • 7.課題と今後に向けて 2010/7/2 戸田市政策研究所 3 戸田市の位置(首都圏内) 2010/7/2 戸田市政策研究所 4 1.戸田市の紹介 ○東京都と接する埼玉県南部に位置。2区5市に 隣接(北区、板橋区、さいたま市、川口市、蕨市 、朝霞市、和光市) ○首都高速5号線、東京外かく環状道路が市内で 交差 ○都心より20km圏 ○新宿からJR埼京線戸田公園駅まで約20分 ○人口:123,836人(平成22年5月1日現在) ○面積 18.17K㎡ 2010/7/2 戸田市政策研究所 5 ○戸田ボートコース(日本最大、唯一のオリンピッ ク開催人工静水コース) ○平均年齢39.0歳 ○合計特殊出生率1.41 ○サステナブル都市調査 総合ランキング 2009 全国16位 2007全国3位 (日経新聞社) ○行政サービス調査 サービス水準ランキング 2008全国8位(日経新聞社) ○財政健全度ランキング 全国6位(東洋経済 都市データパック2009版) 2010/7/2 戸田市政策研究所 6 2.政策研究所設置の経緯 背景:自治体をとりまく環境変化 ○「地方分権一括法」の施行(平成12年)をはじめ とする地方分権改革の進展 ○基礎自治体への大幅な権限移譲 自治体は自身の責任と判断で進むべき方向を 決定し、自立した都市経営を行う必要が 都市間競争の時代、競走に勝つためには政策形 成力の向上が不可欠な要素に 2010/7/2 戸田市政策研究所 7 • 平成20年度の大規模組織改正により設置 • 組織改正の方向性 =重点課題分野の強化と効率化 • トップマネジメント機能の強化 トップ層の政策決定の補佐機能充実 ⇒調査研究、ブレーン機能を強化 ⇒戸田市政策研究所の設置 2010/7/2 戸田市政策研究所 8 • 総合政策部行政経営課より政策研究機能を分離 移管 • 市長直轄の「政策秘書室」を設置、戸田市政策 研究所を開設 • 要綱による設置 • 類型:内部設置型、常設型 • 設置にあたり配慮したこと 少ない人員・予算で高い成果 調査研究・提言以外の波及効果 2010/7/2 戸田市政策研究所 9 政策形成の戦略と展開 2010/7/2 戸田市政策研究所 牧瀬 稔 2009 より 10 3.研究所の組織体制 研究所は政策秘書室に設置 2010/7/2 戸田市政策研究所 11 平成22年度の体制 所長以下7名 • 所長(1名) 副市長 • 副所長 (1名) 政策秘書室長 • 主任研究員(3名) 主幹、副主幹、(政策秘書室担当課長) • 研究員(2名) 広報・広聴担当兼務(2名) • 政策形成アドバイザー(1名) ※必要に応じて研究員を任命し、プロジェクトを 設置する(平成22年度2研究で設置) 2010/7/2 戸田市政策研究所 12 4.研究所の機能と活動 ~2つの機能と5つの事業 2010/7/2 戸田市政策研究所 13 機能1:調査研究機能 ○事業1:調査事業 アンケート調査、基礎調査 必要に応じて実施する 現在は研究テーマの中で実施するもののみ ○事業2:研究事業 政策企画・・ 施策化・事業化を前提とした研 究事業で、原則1年間で結論を出すもの 政策研究・・ 必ずしも施策化・事業化を前提 としない研究事業で、数年間で結論を出すもの 2010/7/2 戸田市政策研究所 14 調査研究機能:研究テーマの設定 • テーマは、各部局から提出されたもの、市長・ 副市長の指定したものの中から、市長・副市長 が選定 • 研究員がそれぞれのテーマを持つ • 平成20年度、21年度、各6件。22年度、5件。 • テーマごとに必要に応じて、「まちづくり戦略 会議」やプロジェクト(研究員として任命)との 連携を図る 2010/7/2 戸田市政策研究所 15 平成20年度研究テーマ 研究テーマ名 研究概要 事業名 戸田市の現状と課題 まちづくり戦略会議と連携し、戸田市の現状と課題を検証する。現状 政策企画 (まちづくり戦略会 と課題の検証により戸田市の強みと弱み、戸田市らしさを明らかにし、(1ヵ年) 議) 今後の行政運営の基礎資料とするものである。 戸田市のシティセー 戸田市がもたれている都市イメージを明らかにし、目指すべき都市イ ルスの必要性と成功 メージを設定する。また、そのイメージを売り込むシティセールスの する要件について 方策を提案する。 政策研究 (2ヵ年) 池蝶貝を活用した水 戸田市は環境分野の施策を重点的に展開しているが、戸田市漕艇場の 質浄化とブランド化 水質は近年悪化している現状がある。そこで、埼玉県ボート協会と連 に関する展望 携し、池蝶貝による水質浄化と、貝より採取した淡水真珠の活用につ いて検証する。 政策企画 (1ヵ年) ネーミングライツの 税収以外の新たな自主財源の確保と、公共施設の安定した運営のため、 政策企画 効果と方向性 ネーミングライツの導入による経済効果と、導入にあたっての工程及 (1ヵ年) び方向性を明確にする。 共働き家庭の子育て 助成の社会進出が進み、更なる共働き家庭への支援が求められている。 政策企画 支援について 本市における、子育て家庭の経済的支援、子育ての環境整備のために (2ヵ年) 市内企業に対する支援、父親を含めた共働き家庭への支援についての 方向性を検証する。 電子申告・電子納税 多様な住民ニーズへの対応と健全な行財政運営が求められている今、 の導入をめぐる議論 行政手続きの電子化について検証する。特に本研究では電子申告・納 税に着目し、導入のメリット・デメリットを検証する。 2010/7/2 戸田市政策研究所 政策企画 (1ヵ年) 16 平成21年度研究テーマ 研究テーマ名 研究概要 事業名 戸田市におけるシティ 本市を象徴する要素、セールスの対象を抽出する。また、同内容を検討するPT セールスの必要性と成 (プロジェクトチーム)として「まちづくり戦略会議」と連携する。研究2年目と 功する要件について して、必要性を明らかにし、取り組みの方向性を明確にする。 政策研究 (2年目) 行政と大学の連携によ 本市における大学との連携のあり方について、先行事例をもとに検証する。併せ るまちづくりの可能性 て本市で実施中の「市民大学」について、大学との連携等の可能性を探り、内容 について の充実を図る。 政策企画 急速な高齢化が戸田市 本市は、現在は平均年齢が低いまちであるが、今後の高齢化の速度は急激である。 政策研究 (1年目) へもたらす影響に関す そこで、本市の高齢社会に向けた課題整理と対応についての研究を行う。また、 る研究 研究にあたってはPTを設置する。 団塊の世代を地域に呼 新たに「公共」を担う主体として、地域コミュニティは重要な役割が期待される び戻せ~新たな担い手 ため、リタイアした団塊世代を地域において活用する方策を研究する。先行研究 発掘のために~ を参考にしながら、コミュニティ推進の視点、生涯学習の視点から研究を行う。 政策企画 2020年度の市税収 入をシュミレーション ~法人転出とマンショ ン立地の関係~ 政策企画 本市は、大規模な企業の市外転出が続き、その跡地がマンションとして再開発さ れる事例が増加している。そこで、企業転出とマンション建設に伴う影響につい て、市税の観点、サービス提供の観点などから経済的影響を算出する。算出にあ たっては、先行事例を調査し、本市としての標準的な比較モデルを作成する。 広告事業のさらなる展 現在、歳入を伴う広告事業は「広報とだ」「HPのバナー」で実施されているが、 開の可能性 あらゆる媒体で歳入を伴う広告事業を実施している先行自治体もある。昨年度は、 ネーミングライツの可能性について研究を実施したが、先行自治体事例の移転可 能性を検証する。 2010/7/2 戸田市政策研究所 政策企画 17 平成22年度研究テーマ 研究テーマ名 研究概要 急速な高齢化が戸田 本市は、現在は平均年齢が低いまちであるが、今後の高齢化の速度は 市へもたらす影響に 急激である。そこで、平成21年度は本市の高齢社会に向けた課題抽 関する研究 出についての研究を行った。今年度は抽出された課題の解決策を研究 する。また、研究にあたっては平成21年度同様PTを設置する。 事業名 政策研究 (2年目) 政策企画 知的財産権の運用と 本市における知的財産権の存在確認、権利関係の整理、活用方法等に 保護に関する研究 ついて研究する。また、自治体が保有する代表的な知的財産権の一つ である「ゆるキャラ」についても、先行事例等から今後の方向性を研 究する。また、研究にあたってはPTを設置する。 新たな地域分析ツー 「地理情報システム」の従来の用途は、都市整備や施設案内であった。 政策企画 ルとしてのGIS活 しかし、各種統計データの分析による地域特性の情報を視覚的に提供 用の研究 することで、地域住民起点となる施策展開が可能となる。そこで、 「地理情報システム」による地域特性を分析する新たな手法の可能性 や有効性を明らかにする研究を行う。 これからのまちづく 本市は、市民と行政の協働によるまちづくりを推進してきた。しかし、 政策企画 りと新たな人材発掘 転出入の多い本市では、市民自らが主役であるという意識や、参加す の研究 る身近な機会がまだまだ少ない状況である。そこで、本市における望 ましい市民参加の手法とその実現可能性について研究する。 戸田市シティセール 平成20,21年度に取り組んだ「戸田市のシティセールスの必要性 ス戦略の策定 と成功する要件について」の研究に基づき、今後の本市のマーケティ ング・プロモーションを「戸田市シティセールス戦略」として策定す る。また、策定にあたっては平成21年度同様「戸田市まちづくり戦 略会議」と連携する。 2010/7/2 戸田市政策研究所 18 機能2:政策支援機能 ○事業1:研修教育事業 • シンポジウム開催 対象は、市民、議員、市職員など 基調講演、研究成果報告、パネルディスカッシ ョンを実施 • 政策形成基礎・応用研修開催 対象は職員、政策形成能力向上に寄与する内容 勤務時間内に実施 • 戸田ゼミ 若手職員による自主勉強会、時間外に実施 2010/7/2 戸田市政策研究所 19 ○事業2:政策相談事業 • 庁内政策相談窓口 政策形成アドバイザーが対応 • マニフェストと行政計画の整合と進行管理 従来行われていなかったため研究所が担当 ○事業3:情報発信事業 • ホームページ開設 • 研究所だより発行 • 研究報告書発行 • 「めるまが」発信 2010/7/2 戸田市政策研究所 20 6.戸田市政策研究所の特徴(組織・運営面) • 組織類型:内部設置型、常設型、ブレーン型 • 研究体制:兼務研究員、プロジェクトの設置 まちづくり戦略会議との連携 • 運営経費:「政策研究所運営事業」 4,663千円(22年度予算) • 研究成果の施策反映性: 市長直轄の組織、 副市長が所長であること 2010/7/2 戸田市政策研究所 21 6.戸田市政策研究所の特徴(活動面) • 研修教育事業 自主勉強会「戸田ゼミ」の開催 ※ • 政策相談事業 マニフェストと行政計画の整合と進捗管理 • 情報発信事業 成果の書籍化、大学での寄附講座 • 大学との連携 ※ 寄附講座開設、インターンシップの受け入れ 2010/7/2 戸田市政策研究所 22 庁内自主勉強会「戸田ゼミ」 • 目的 職員の政策形成能力の確立と向上を目指し、市役所全 体の政策形成力向上につなげる • 対象 主任相当職まで それ以上になると卒業 22年度参加者16名 • 主な内容 ①戸田市政策研究所政策形成アドバイザーによる講義と 意見交換 ②有識者・学識者による講義と意見交換 ③指定図書の共通講読と意見交換 ※勤務時間外(18時~20時)超勤手当支給無し 2010/7/2 戸田市政策研究所 23 情報発信 成果の書籍化 平成20年度 平成21年度 2010/7/2 東京法令出版(株) 「政策開発の手法と実践」を発行 2,310円 東京法令出版(株) 「選ばれる自治体の条件」を発行 1,890円 戸田市政策研究所 24 大学との連携 ○目的 • 大学、研究機関の知恵を活用 • 行政と異なる視点からの研究成果を期待 • 職員のスキル向上の機会提供 ○取り組み内容 • 寄付講座の開催(目白大学・法政大学大学院) • 市民大学への協力(目白大学・法政大学大学院) • 大学生インターンシップの受け入れ(学部生) • フィールドワーク制度の創設(院生) • レポート、研究論文による提言 2010/7/2 戸田市政策研究所 25 寄附講座 • • • • • 2010/7/2 大学にて講座を実施 講師として、市の職員を派遣、経費は市負担 20年度は法政大学で1講義、 21年度は目白大学で1講座(15講義) 22年度は法政大学大学院で1講座(7講義)目 白大学で1講座(15講義)を実施予定。 戸田市政策研究所 26 大学との連携(インターンシップ) • 8月~9月大学生を研究補助員として受け入れ • 終了後に学生の視点からの提言を受ける 20年度は「学生の視点からの戸田市のシティセ ールス」について 21年度は「古武術を通した防犯活動」について 2010/7/2 戸田市政策研究所 27 7.課題と今後に向けて • 組織・研究体制 兼務研究員であることによる限界 • 研究活動 研究レベル向上 基礎的な研究技術向上 庁内ニーズへの対応方策 • 政策支援活動 庁内コンサルティング機能の強化 • 研究の施策・事業化 ※ • 研究の評価 2010/7/2 戸田市政策研究所 28 課題解消に向けた試み • 組織が小さく、研究技術も充分とはいえない =本研究所の大きな課題 • 解決のひとつの方向 ⇒大学や研究機関、団体、市民などとの連携・ 協力を図る 事例:20年度研究「池蝶貝を活用した水質浄化 とブランド化に関する展望」は、埼玉県ボート 協会、戸田市、埼玉大学、埼玉大学化学分析支 援センターなど様々な主体が関わり成果を上げ た 2010/7/2 戸田市政策研究所 29 戸田ボートコースの水質浄化を目指して~池蝶貝を利用した水質浄化と淡水真珠ブランド化の取り組み (埼玉県戸田市) 埼玉県ボート協会 平成20年度 地方の元気再生事業提案書(様式4) 地域の現状と課題(提案の背景) ・水質が悪化してきた戸田オリンピックボートコースの浄化のため、水質浄化能力が高いとされる池蝶貝を活用して水質改善を図る。 目指すべき地方再生の全体 ◆地方の元気再生事業◆ ○取組のねらい・実施主体間の連携 等 水質浄化によりボートコースを訪れる人々に快適な水と緑の空間を提供するとともに、 戸田ボートコースそして戸田市のイメージアップを図る。 埼玉県、戸田市、戸田競艇組合、埼玉大学 ○主な取組 取組① 池蝶貝の水質浄化 能力の実証実験 ①埼玉県ボート協会と埼玉 大学により池蝶貝の実証実 験を実施。 取組② 池蝶貝の里親制度 の創設 ①里親制度の検討 ②里親の募集及び決定 取組③ 淡水真珠を使った PR事業 ①淡水真珠のアクセサリー 作り講座の開催 ◆実施スケジュール◆ H20年8月 関係機関との調整 H20年10月 実施① 池蝶貝の敷設 実施② 浄化実証実験 水質、汚泥調査 H20月10月 実施③ ~ 貝生存に関する調査 H21年3月 実施④里親制度、 真珠を使ったPR事業 実施⑤貝投入 ◆H21年度以降の展開◆ H21年4月 ~ H22年3月 ・埼玉県ボート協会と関係行政機関等(埼玉県、戸田市、戸田競艇組合)との連携による 活動の継続(H21~) ・ ・・・ H22~H23年 ◆地方再生の目標像◆ ・ 水質浄化により快適な水と緑の空間を提供するとともに、戸田ボートコース、戸田市のイメージアップを図る 本格展開に向けた調整 ・ハード整備その他の 本格展開 ①池蝶貝の投入 ②水質調査 池蝶貝を活用した水質浄化と ブランド化に関する展望 ○各主体の関係 環境省 埼玉県 委託・成果報告 連携協力 市民・ 企業等 (里親) 埼玉県ボート協会 戸田市政策研究所 連携協力 委託・成果報告 埼玉大学・化学分 析支援センター 2010/7/2 戸田市政策研究所 戸田競艇 組合 31 ご清聴ありがとうございました 続きは第2部で 2010/7/2 戸田市政策研究所 32
© Copyright 2024 ExpyDoc