そもそも“ホルモン”とは?

環境科学A(髙島)
【緊急連絡】
先週の授業(1限)終了後、前のテーブル
の上にレポートを提出した学生、受業終了
後、来てください。補講のプリントと間違っ
て持って行ってしまった学生、いません
か???
環境科学A(髙島)
ゴミを堆肥にするのと燃やすの、どっちが良
いの?
資源は有限! → 循環させて使用すること
が望ましい 堆肥の形の方が有効利用
物質の燃焼 → 燃焼のエネルギー発生(他
のエネルギーに変換しにくい)「熱はエネル
ギーの墓場」
RDF工場爆発:三重県出身者から反響大
川越町でも音がした,宣伝カーで謝罪,健康
被害の説明会
環境科学A(髙島)
焼却炉が禁止なら、たき火もダメ?
禁止の自治体が増えています。♪垣根の垣
根の曲がり角~の時代は昔の話!?
微生物っていろんなものを分解してるんですね。
環境ホルモンも分解するなんてスゴイですね。
環境ホルモンって何ですか?
では、今日は「環境ホルモン」についての話。
そもそも“ホルモン”とは?
内分泌腺(分泌物を直接血管に放出する腺)で生
産され、離れた標的器官に情報を伝達して作用を
現わす物質。
内分泌腺
標的器官
作用
代表的なホルモン
性ホルモン (男性ホルモン、女性ホルモン)
胎児期の性分化、第二次性徴に影響を与える
ホルモンが作用するまで
細胞
受容体
ホルモン
核
ホルモンと受容体が結合
DNAと結合
mRNAを生成
タンパク質合成
(ホルモン作用)
ホルモンと受容体は鍵と鍵穴の関係
細胞
受容体
ホルモン
核
ホルモンと似
た性質の物質
・ホルモンが無いときに、ホルモンと似た
性質の物質と受容体が結合
・ホルモンがあるときに、ホルモンよりも
先に似た性質の物質が受容体と結合
環境ホルモン
タンパク質合成
(ホルモン作用)
環境ホルモンとは?
環境中から体の中に入ってきて(本来ならば体の
中で必要に応じて作られるはずの)ホルモンと同じ
作用をしたり、ホルモンの作用を妨害したりして、正
常なホルモンのはたらきを狂わせる物質
直接作用
環境ホルモン
内分泌系
間接作用
標的臓器
生殖器
免疫系
神経系
内分泌攪乱物質とも言う
健康障害
なにかと話題の環境ホルモン
・貝類の生殖障害(メスのオス化:産卵障害)
・魚類の生殖障害(オスのメス化)
・鳥類の生殖障害(卵の殻が薄くなる、孵化率低
下、メス同士のつがい)
・ほ乳類の生殖障害、免疫力低下
などが報告されている
生活との関連で環境ホルモンを分類
環境ホルモン
非意図的化合物 工業的使用
過去に使用
現在も使用
プラスチック類
その他
薬品類
農薬類 医薬品 その他
過去に使用
現在も使用
国内で使用
海外で使用
非意図的化合物
 農薬や有機塩素系化合物の製造過程における
副生成物
 ゴミ焼却過程で発生
 漂白過程
【ダイオキシン、ベンツピレンなど】
工業的使用(過去に使用)
 過去に工業生産され、その後使用禁止となった
が、分解されにくく、環境中に残存しているもの
【PCB類など】
現在も使用(プラスチック類)
 プラスチックの材料、可塑(かそ)剤として現在も
使用されている
【ビスフェノールA、フタル酸エステル類など】
現在も使用(その他)
 プラスチック以外の用途で工業的に使用されて
いるもの
 洗剤、工業試薬、合金半導体の製造
【PBB、アルキルフェノールなど】
農薬類(過去に使用)
 過去に農薬として使われその後使用禁止となっ
たが、分解されにくく、環境中に残存しているもの
【DDT、HCBなど】
農薬類(現在も使用:国内で使用)
 現在、国内で農薬として使用されているもの
【シマジン、ケルセンなど】
農薬類(現在も使用:海外で使用)
 現在、国内では使用されていないが、海外では
農薬として使用されているもの
【アルディカーブなど】
医薬品
 医学的に処方されている薬品類
その他
 上記以外のもの
 漁業用防腐剤など
【漁業用防腐剤など(有機スズ) 】
上記の分類をすると、農薬類(殺虫剤、除草剤、殺
菌剤)が60~70%
環境ホルモンが入ってくる経路
大気を通して体に入ってくるもの
水や土壌を通して体に入ってくるもの
食べ物を通して体に入ってくるもの
農薬類の使用によって体に入ってくるもの
プラスチック製品から溶け出して体に入って
くるもの
薬の服用を通じて体に入ってくるもの
植物を通して体に入ってくるもの
大気を通して体に入ってくるもの
地球全体でみると、環境汚染物質の50%以上が
大気中に存在している。
成人が1日に吸い込む空気の量
約12kg(13,000リットル:石油缶720缶分)
体内に取り込む物質として最も多い物質
大気から取り込んだ物質は肺を経由
して吸収される。
↓
吸収率が高い(経口よりも毒性高)
大気を通して体に入ってくるもの
☆ダイオキシン(女性ホルモン代謝促進・受容体減少)
・焼却(家庭ゴミ、産業廃棄物、医療廃棄物、野焼きなど
の過程)で発生
•有機塩素系農薬(DDTなど)の製造過程の副生成物
•塩化ビニール、塩化ビニリデンなど有機塩素系プラス
チック製造過程
•塩素漂白(紙やパルプの漂白など)の課程で発生
現在のところ、90%以上がゴミ焼却由来のものと考えら
れている(実のところ、詳細はわかっておらず調査中)。
水や土壌を通して体に入ってくるもの
大気中から土壌や河川に降下して、地下水
や水道水に混入し、体に入る
工業製品に使用されている化合物が工場の廃液や
排水に入る。
合成洗剤に含まれる界面活性剤などが家庭の排水
に入る。
廃棄物処分場の侵出水に入る
大気中の粉塵に付着して土壌、河川、海洋に入る
水や土壌を通して体に入ってくるもの
東京都日の出町:二ツ塚処分場 、谷戸沢処分場問題
http://www.ne.jp/asahi/hinodenomori/tokyo/
ゴミ埋め立て場:1.5mmのビニールシートで保護して
いたが、周辺土壌から有害物質を検出
香川県小豆郡土庄町豊島
http://www.teshima.ne.jp/
有害産業廃棄物が不法に投棄され野焼きされた。兵庫
県警の摘発により操業停止したが、その後も有害産業
廃棄物が放置され、有害物質が瀬戸内海に流出
食べ物を通して体に入ってくるもの
環境ホルモンのほとんどは食べ物経由
(ダイオキシンでは90%以上:大気からは1.5%)
大気中の汚染物質が粉塵に吸着して地上に降下
↓
野菜や果物に付着
↓
体に入る
食物連鎖による生物濃縮
沿岸部の魚介類から高濃度ダイオキシン検出
食べ物を通して体に入ってくるもの
食物連鎖による生物濃縮
海水中のPCB濃度
植物プランクトン
動物プランクトン
アミ
小魚
大型魚
人間
1倍
250倍 食物連鎖の末端に
いるのは人間。
500倍
4.5万倍 人間が最も濃縮さ
れた状態で汚染物
83.5万倍 質を摂取する。
280万倍
プラスチック製品から溶け出して体に入ってくるもの
☆ビスフェノールA、ノニルフェノール(プラスチッ
クの可塑剤:女性ホルモン作用)
•食品梱包剤、ほ乳瓶、缶詰の内装材、おもちゃ、
歯科充填物などに使用
乳ガン細胞(女性ホルモンがあると増殖)が、女性ホル
モンを加えていないのにプラスチック内で増殖した!
→プラスチック内のビスフェノールAの影響
カップラーメンの容器からノニルフェノールが溶け出した
缶詰の内側のプラスチックコート材からビスフェノールA
プラスチック製品から溶け出して体に入ってくるもの
どの物質にどのくらいホルモン作用があるのか
については、まだ調査段階を脱していない。
例:カップラーメンから溶け出したスチレンモノマーには
環境ホルモン作用がないと言う報告も出ている
プラスチックが水に溶け出すの?
測定試料をプラスチックチューブに入れて保存した
後、質量分析計で測定 → 無いはずのフタル酸エス
テルの存在
プラスチック容器を使わないよう気をつけたのにフタ
ル酸エステルのピークが出た ← 醤油チュルチュル
農薬を通して体に入ってくるもの
☆農薬(除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤などを含む)
↑農家が使用するものだけでなく、家庭で使うス
プレー剤も含まれる
除草剤による魚類の脊椎異常
殺菌剤による魚類の成長障害、生殖障害
殺虫剤による鳥類の生殖障害、卵殻の薄化
などが報告されている
薬を通して体に入ってくるもの
☆ホルモン剤は外部から供給するホルモン作用
を呈する物質 → 一種の環境ホルモン
(1999年に日本でも低容量ピルが解禁)
(ホルモンに限らず)薬は生理活性物質
・なんらかの生体への影響がある
・作用と副作用がある
(例:風邪薬の催眠作用、胃腸障害)
薬は、医師の管理の下、量と使用方法を厳密に
守らないと毒にもなりかねない(酒は百薬の長) 。
薬を通して体に入ってくるもの
特に怖いのは胎盤を通過してしまう薬
<胎盤の作用>
・胎児に酸素や栄養素を供給し、老廃物を捨てる。
・胎児の発育に必要なホルモン、タンパク質、酵素
を生成し、妊娠を維持する。
・母親の血液中に含まれる有害な物質から胎児を
守る。
一部の薬品は胎盤を通過して胎児に異常を起こす
→ サリドマイド児(手足の奇形など)
植物を通して体に入ってくるもの
一部の植物は体内で女性ホルモン様物質をつくる
(パセリ、ニンニク、トウモロコシ、米など300種以上
古来からザクロや野生ニンジンは避妊薬)
・クローバーを食べた羊に死産、不妊が相次ぐ
*大豆のホルモン様物質は乳ガンや前立腺ガン
を抑制する(アジア人は乳ガンの割合が低い)
*成人では心配不要であるが、胎児期や誕生直
後の大量摂取には懸念がある
環境ホルモンの複合影響
一種類ではホルモン作用を示さないほど低濃
度の物質でも、他の物質と同時に与えるとホル
モン作用を示す (相乗効果)
有機スズとPCBを同時に魚に投入
↓
それぞれ単独のときと比較して数倍 のホルモン作用
実際の環境中は複数の化学物質で汚染されている
環境ホルモン作用の疑いのある物質群は100種以上
↓
調査方法の確立、早急な調査・研究が必要!
Coffee Break: なんだか女性学みたいな話
環境ホルモンと性同一性障害
性同一性障害:肉体がどちらの性別に属してい
るかをはっきり認識していながら、その反面で、
人格的には自分は別の性に属していると確信し
ている状態(生物学的には完全に正常 )
胎児期において、人間は最初は皆、女性。男性ホルモ
ンシャワーの影響で男性が誕生する。
↓
胎児期の環境ホルモンの影響で性分化に異常?
(両性具有、遺伝子と体の形態が異なる胎児の誕生)
第二次世界大戦中ドイツで生まれた子供に同性愛者
が多いと言う報告もある
環境ホルモンと性同一性障害
糸魚川先生@女性学 のお話
胎児の時期に母親がストレスを感じたりしてなるって
「一昔前に、そんな説もでましたけど、それを実証するのは困
難ですし、それだけが原因と考えるのは少し無理がありそうで
言ってる学者もいるけど、それだけに原因を求める
す。」
のはどうかなと思う。先天的な要因と後天的な要因
が複雑に絡んでなるんじゃないかな。
http://www.magnet.cx
典子さんの話
生物遺伝子の組み換え
さまざまな汚染物質を分解するために..
遺伝子組み替え微生物の導入
遺伝子とは:体を作り動かすのに必要なタンパク質
などを作るための設計図
その生物の情報を司っている暗号情
報(DNAの配列がその生物の特性を
決める)
生物遺伝子の組み換え
汚染物質が存在していないときと、存在していると
き(汚染物質を処理したとき)の遺伝子を比較する
汚染物質を分解したときに強く発現している遺伝子
=汚染の除去に関係する遺伝子
この遺伝子を多く含むDNAを導入する
遺伝子組み替え生物の完成
遺伝子組み換え生物
遺伝子組換え微生物のはたらきを利用して…
・今まで分解できなかった汚染物質を分解できる
微生物(難分解性の物質、残留性の高い物質の
除去)
・成長速度の速い微生物の導入(分解時間の
短縮による汚染物質の残留性減少)
・環境中の阻害物質(生育に対して妨害する物
質)に対して耐性を持つ微生物の導入(今までは
使用できなかった空間への応用)
遺伝子組み換え生物
遺伝子を組み換えた生物の問題点
・その微生物が環境中に存在することに問題はない
のか?(物理的環境が狂ってしまう恐れ)
・その生物が大量増殖する恐れはないのか? (生
態系が狂ってしまう恐れ)
・倫理的問題(人間が生物を創ってしまって良い
のか?宗教上の問題:神様しかつくることができ
ないはずの生物を人間がつくってしまって良い
の? など)
遺伝子組み換え生物
遺伝子を組み換えた生物の問題点
一般人の感覚として…
・微生物(バクテリア、ウィルス)は怖いもの(SARSなど)
・遺伝子組み換えと言う行為に対する恐怖感と拒
絶感(例:消費者の遺伝子組み換え食品に対す
る反応)
現実問題として、これらの不安を払拭するだけの
ネタ(データ)は無い
ある技術があることと、その技術を応用することは別問題
(遺伝子組み換えに限らず)技術の安全性をよく確認!
環境科学A(髙島)
出席カードを前に提出してください
第3回レポートも提出してください。
過去3回のレポート全てを提出しないと、テストの
点数に関係なく、単位を認定しないので、必ず最
終講義(来週)までに提出してください。
来週の後半、テストについて説明します。