低アスペクト比RFP装置RELAXにおける磁場揺動解析とMH

低アスペクト比RFP装置RELAXにおける
磁場揺動解析とMHDシミュレーション
小西祐介,藤田慎一,三瓶明希夫,池添竜也,恩地拓己,大木健輔,山下哲生,島津弘行
杉原正記,水口直紀(1),比村治彦,政宗貞男
京都工芸繊維大学 工芸科学研究科 プラズマ基礎工学研究室
(1)核融合科学研究所
第12回若手研究者によるプラズマ研究会 2009年3月16-18日
日本原子力研究開発機構 那珂核融合研究所
RFP(Reversed field Pinch)
●弱い外部トロイダル磁場で高ベータプラズマを閉じ込める軸対称トーラスプラズマ.
●プラズマ中心部と周辺部でBtが反転する. ●Tokamak: q >> 1
●RFP: q << 1
M.D.Wyman et al : Phys. Plasmas 15 (2008) 010701
世界のRFP装置
●RELAXは低アスペクト比化による,先進的領域の探究を担っている.
Stockholm
Padova
Madison
Kyoto
RFX-mod(A=4)
EXTRAP T2R(A=7)
RELAX(A=2)
MST(A=3)
RFPの低アスペクト比化
アスペクト比=大半径/小半径
●プラズマ中心付近で平坦,周辺部で急なq分布.
アスペクト比:高
アスペクト比:低
⇒有理面間隔の拡大.
⇒磁気島が重ならずに成長できる領域の拡大.
●QSH(Quasi-Single Helicity)状態に遷移し易い.
(単一の磁気島が大きく成長した状態,
その磁気島内部で閉じ込めが改善される.)
磁気島
QSHモデル(m = 1,n = 4モード)
有理面
(平衡)
低アスペクト比RFP装置“RELAX”
RELAX
(REversed field pinch of Low Aspect eXperiment)
●Ip~100kA (Vloop~30V) を達成
●大半径 R = 0.51 m.
●小半径 a = 0.25 m.
●アスペクト比 A = R / a = 2.
(RFP装置としては世界最小のアスペクト比.)
磁場揺動解析に用いた低電流放電波形
Ip (kA)
●低電流領域における典型的な放電
●Ip~50 (kA)
50
●Vloop~40 (V)
25
⇒1.5~2.0 (ms)程度のRFP放電
●0.3 (ms)程度でBtaは反転する
50
●<Bt>はバイアス磁場と同じ極性
0
20
⇒RFP磁場配位が形成されている
0
-20
3.0
20
2.0
~
15
5.5
m=1 / n=4
m=1 / n=5
m=1 / n=6
|B |ta (mT)
<Bt> (mT) Bta (mT)
Vloop (V)
1000
6.0
6.5
time (ms)
7.0
1.0
0.0
6.3
6.4
6.5
6.6
time (ms)
6.7
6.8
トロイダル・ポロイダルモードスペクトル
●トロイダルモードスペクトル
●ポロイダルモードスペクトル
(100 ensembles)
(30 ensembles)
●ポロイダルモード数m = 1が主要成分.
⇒m = 2モードの振幅はその半分程度.
●m = 1テアリングモード間の非線形結合.
●トロイダル効果.
●m = 2モードが不安定.
m=2モードの起源は?
三波結合
●非線形モード結合(三波結合)を,バイコヒーレンスb(k1,k2,k3)によって評価する.
●バイコヒーレンス
三波結合によって生じるB(k3)の成分.
Summation is over
他のモードと結合しないB(k3)の成分.
バイコヒーレンスが非線形結合係数として入る.
m = 1モード間の非線形結合は弱い
2
●RELAX(A=2) b (k1, k2, k1+k2)
●MST(A=3)
b2(1,
b2(k1, k2, k1+k2)
1, 2)
(-1,2)
(-8,0)
0.01
k1
(1,1)
0.35
(4,0)
k1
(0,8)
k1
k2
k2
(590 ensembles)
(m=2の振幅がm=1の半分程度の時)
k2
(S. Assadi et. al., Phys. Rev. Let. 69, 281 (1992))
(SawtoothCrashの時)
m=1モード間の非線形モード結合で,m=2モードが励起
される効果は小さい.
→ 有理面間隔の拡張を示唆(磁気島の重なり軽減).
低アスペクト比の効果
3次元MHDシミュレーションの目的
• A=2のトーラスを模擬した円柱プラズマでのMHDシミュレーション.
m=1/n=4モードが主要モード.
抵抗性壁不安定性(RWM)の成長の問題.
• 実験において.
トロイダル効果によるモード結合.
ヘリカル平衡RFP配位への遷移.
• トロイダル効果の影響.
m=1/n=4モードが主要モードになるか!?.
• ヘリカル平衡RFP配位.
どのようなダイナミクスによる遷移であるか!?.
3次元MHDシミュレーションにより明らかにする.
シミュレーションにおける座標系
●MHDシミュレーションにおいて
•
計算メッシュ
(Nr,Nθ,Nz)=(57,68,57)
•
計算範囲
0.418 < R < 1.44
θ
0 < θ < 2π
-0.509 < Z < 0.509
●平衡再構成コードRELAXfitにおいて
•
計算メッシュ
(Nr,Nz)=(100,100)
シミュレーションにおける座標系
•
計算範囲
0.0 < R < 99 [cm]
0.0 < Z < 99 [cm]
RELAXfitコードによる初期平衡配位の決定
●平衡再構成コードRELAXfit.
実験による測定結果から平衡配位を計算により求めるコード.
方程式系:Grad-Shafranov方程式.
●RELAXfitを用いたシミュレーションに用いる初期平衡配位.
トロイダル磁場
ポロイダル磁場
これらの平衡配位を初期値としてシミュレーションを行う.
非線形抵抗性MHD方程式
V
   VV  j  B  p    
t
MHD方程式
j   B
B
   E
t
マクスウェル方程式
E  V  B  j
p
   ( pV  T )  (  1)( p V   : V  j 2 )
t
2

      V I  V  t V 
3

•粘性率ν、抵抗率ηは空間的・時間的に一様とする.
•壁は完全導体である.
応力テンソル
1.E-02
1.E-05
1.E-08
1.E-11
1.E-14
1.E-17
1.E-20
1.E-23
1.E-26
1.E-29
1.E-32
5
75
145
215
285
355
425
495
565
635
705
775
845
915
磁気エネルギー
シミュレーションの初期結果
n=1
n=2
n=3
n=4
n=5
n=6
n=7
n=8
時間[τA]
m =1 の構造
n = 4 についての圧力分布
磁気エネルギーの
トロイダルモード数の時間発展.
τA=350 において、
ポロイダル断面にこのような
圧力分布の構造が現れた。
m =2 の構造
n = 8 についての圧力分布
まとめ
●磁場揺動解析結果
●RELAXにおいて,m = 1モードが支配的であり,m = 2モードの振幅はその半分
程度であることがわかった。(これは他のRFP装置では観測されなかった現象)
● m = 2モードの起源を調べるため,非線形モード結合をバイコヒーレンスによっ
て評価した。その結果, m = 1モード間の非線形モード結合でm = 2モードが励起
される効果は小さいということがわかった。これは低アスペクト比の効果による,
有理面間隔の拡張を示唆しているものと思われる。
●MHDシミュレーション結果
●3次元シミュレーションにおいても実験や円柱プラズマのシミュレーションと同様
にm/n=1/4の構造が現れた。m/n=1/4 とm/n=2/8の位置は一致している。
今後の課題
・結果に対して定量的な解析を行う。
・実験装置において起こっている現象を模擬する。
・現在の計算モデルでは真空容器壁を完全導体としている。
これを抵抗性壁とし、現実の実験装置により近づける。
RELAXfitコードによる初期平衡配位の決定
• 平衡再構成コードRELAXfit
実験による測定結果から平衡配位を計算により求めるコード
方程式系:Grad-Shafranov方程式
• RELAXfitを用いたシミュレーションに用いる初期平衡配位
トロイダル磁場
R(大半径)方向磁場
Z(高さ)方向磁場
これらの平衡配位を初期値としてシミュレーションを行う。
RELAXの周辺磁場計測システム
●Bt,Bp検出コイルのトロイダルアレイとBp検出コイルのポロイダルアレイ
●トロイダルアレイ
●ポロイダルアレイ
・トロイダル方向に16分割
・ポロイダル方向に12分割
⇒n = 0~8
⇒m = 0~6
(上下2つのポートに設置)
・コイルは0.5 mm厚SUS管
で保護
⇒カット周波数f~77 kHz
・コイルはパイレックス管
で保護
RELAX装置図(正面)
RELAX装置図(真上)
ポロイダル断面図
RELAXにおける不整磁場検出と制御法
絶縁ポロイダルギャップ(テフロン)
壁に誘起された電流が
ポロイダルギャップ部で
鞍型電流を形成
局所的不整磁場の発生
検出, 制御用鞍型外部コイル
不整磁場検出用鞍型コイル
不整磁場制御用鞍型コイル
・容器外部に設置
・上下, 内外方向の
不整磁束に対応
・各コイル:1ターン
不整磁場制御法
不整磁場フィードバック制御機構
1. 検出用コイルで不整磁場取得
2. 比較器によって
参照信号(閾値を出力)と不整磁場を比較
⇒閾値を越えていれば比較器出力
3. 各比較器の出力に応じて
電流駆動回路のIGBTゲート開閉
4. 鞍型コイル電流が流れ, 補正磁場生成
I_coil
I_coil
・閾値を用いた不整磁場との比較
・比較器を用いた高速電流スイッチング制御
⇒極性が変化する不整磁場の補正が可能に
不整磁場抑制効果
補正なし
・Ipの増大(9.3%, (6.7%))
・垂直方向不整磁場
-8~6mT⇒
-4~2mT(50%)
-6~3mT⇒
・放電再現性↑
水平方向のみ
水平+垂直制御
閾値
Time [ms]