数楽(微分方程式を使おう!) ~第3章 他分野への応用(基礎編)~ 平成19年9月12日 技術1課 佐藤 強 第3章 他分野への応用(年代測定法) 課題1:放射性物質の崩壊と半減期 放射性物質である炭素同位元素14による年代測定法 の原理を微分方程式を使って、調べてみよう! 「時刻 t で崩壊する放射性物質の割合は、その時刻で のその物質の量 M に比例する」 dM sM dt どっかで見たような!? 第3章 他分野への応用(年代測定法) 式が同じなら解も同じ M M 0es (t t0 ) t t t0 M M 0 M/M0 M/M0 1.2 -10000 1 -8000 0.785056 -6000 0.616313 -4000 0.48384 -2000 0.379842 0 0.298197 0.4 2000 0.234102 0.2 1 0.8 0.6 M/M0 0 -10000 -8000 -6000 -4000 -2000 0 2000 第3章 他分野への応用(年代測定法) 放射性物質に関連して、よく耳にする半減期を求める M0 M 0 e s (T t 0 ) 2 M0 t T M 2 答えは log e 2 0.693 T t0 s s 【プチトレビア】 プルトニウム239 24000年 ウラン235 7億年 第3章 他分野への応用(年代測定法) 炭素同位元素14による年代測定法 半減期 5730年 崩壊率 1.210ⅹ10^‐4/年 生体は空気中から絶えず炭素同位元素を体内に取り込むため、 生きている動植物に含まれる炭素同位元素の量は一定である。 しかし、生体が死ぬと炭素同位元素は新規に吸収されなくなる ため指数関数的に減少し始めます。 たとえば、縄文土器が作られた年代を測定するには、その土器 にこびりついた食物の化石(どんぐりなど)を利用します。 第3章 他分野への応用(年代測定法) 現在残っている同位元素の量(測定可能) ↓ M (t ) M 0e st ← S はすでに 分かっている ↑ 最初の同位元素の量(今、現存するどんぐりで測定可能) 第3章 他分野への応用(年代測定法) 1 M (0) t loge s M (t ) 現在のどんぐりの炭素同位元素量と 化石の炭素同位元素量を測定し、 炭素同位元素の崩壊率から、時間 t が求まるわけです。 下記に炭素同位元素14の年代測定法の詳細が記載されてます。 http://www.uraken.net/rekishi/reki-kodai07.html 第3章 他分野への応用(RC回路) 課題2:コンデンサーを含む電気回路 満充電されたコンデンサーに抵抗をつなぎ、電荷 である電流を抵抗で消費させます。 このときの電荷を時間の関数として表してみよう! S 満充電のコンデンサー C R 第3章 他分野への応用(RC回路) コンデンサーと抵抗が閉じた回路を形成するとき、 両者の電圧の和はゼロになる。(時間が経ったとき) VC VR 0 Q Q CVCより、 VC C dQ dQ VR IR 、 I VR R dt dt 第3章 他分野への応用(RC回路) Q dQ R 0 C dt dQ 1 Q dt RC こういう式ができますね。 どっかで見たような!? 式が同じなら解も同じ→ Q Q0e t t 0 RC 第3章 Q Q0e 他分野への応用(RC回路) t t 0 RC t0 0 Q e Q0 t RC 時定数RCを可変として コンデンサーの「放電」の様子を Excelに書かせてみよう! 第3章 他分野への応用(ロケット) 課題3:ロケットが飛んでゆく 燃料を消費しながら加速して飛んでゆくロケット 燃料をすべて消費したとき、どのくらいの速度に なっているか調べてみよう! ・ロケットの総重量 M ・燃料以外の質量 m (宇宙なので空気抵抗、重力を無視) 第3章 他分野への応用(ロケット) 運動方程式 F ma これは質量が一定の場合のみ 質量が変化するときは???? こんなときは p mv 運動量の式を利用して dP d (mv ) F dt dt 時刻 t の運動量 mv 時刻 t +⊿t の運動量 (m ⊿m)(v ⊿v) u⊿m 第3章 他分野への応用(ロケット) 運動量の保存則より mv (m ⊿m)(v ⊿v) u⊿m 第3章 他分野への応用(ロケット) まとめると、 m⊿v (v u )⊿m 0 となり、 m⊿v V⊿m v u Vとすると この Vはロケットから見た燃 であり、常に一定と考 える。(常時一定の速 料の相対速度 度で燃料を燃やす) m ⊿m dm m ⊿v 0 V ⊿v dv V 1 1 dm dv Vは定数と見なせる m V 1 1 dm dv m V 1 loge m v C V m ce 1 v V 第3章 m ce cM 1 v V 他分野への応用(ロケット) という一般解に すなわち、特殊解は M eln M と書けるので 両辺の対数をとれば、 v0mM m Me me 1 v V 1 v ln M V 1 ln m v ln M V 第3章 他分野への応用(ロケット) 1 ln m v ln M V v V (ln M ln m) M v V ln m v について解けば、 M:最初の質量 m:ある時点の質量 V:噴射速度 v:ある時点の速度 ↑ ツイオルコフスキーの公式 第3章 他分野への応用(ロケット) M v V ln m0 一般的に噴射速度V=3km/s 人工衛星を軌道にのせるためには v=7.8km/s 7.8 3 ln M M ln 2.6 m0 m0 m0 0.074M・・・燃料以外に使え る質量は 7.4%程度 H‐Ⅱロケットでは、4tの人工衛星を打ち上げるの に219tの燃料を使用しているということです。
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