宇宙の階層構造

第13回
銀河の形成と進化
東京大学教養学部前期課程
2013年冬学期 宇宙科学II
松原英雄(JAXA宇宙研)
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宇宙は膨張している
• ハッブルの法則
• 距離:D
– 後退速度 : V
V = H0×D
H0 : ハッブル定数
• 宇宙には始まりがあった
“ビッグバン”
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Redshift due to Expansion
Colour
at rest-frame
Colour at 5billion
light years away
(UV)
Light from distant
objects on the Hubble
flow is redshifted as:
λ=λ0(1+z)
z:redshif t
(IR)
→ Gamma-ray photons
when the Universe is 0.4
millon years old is now
redshifted to millimeterwave (z~1000)
3
WMAP Observations of the CMB
WMAP
•Wilkinson Microwave
Anisotropy Probe (2001 at L2)
•Probe the CMB fluctuation
Spectrum below the horizon
scale :
q ~ 900 - 0.2
(l=2-1000 @ Spherical
harmonics q=180o / l )
q ~ 70
q ~ 0.20
4
WMAP Observations of the CMB
Red - warm
Blue - cool
5
WMAP Observations of the CMB
fundemental
1st harmonic
6
What WMAP found?
The content of the Universe:
Baryon 4% + Cold Dark Matter (CDM) 20% +
Dark Energy 76%
From Detailed shapes and relative amplitude of fluctuation peaks
By considering Acoustic Oscillation in Baryon-photon fluid
The Hubble Constant : 73 km sec-1 Mpc-1
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赤方偏移と宇宙年齢・ルックバックタイム
の関係
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宇宙の階層構造
階層
質量
(M◎ )
大きさ
密度
( g/cm3 )
星
~1
~ 106km
1
銀河
~ 1011
~ 10kpc
~10-25
銀河団
~1013~14
~ 5Mpc
~10-28
超銀河団
~1015~16
~100Mpc
~10-30
宇宙全体
~1021~23
~3000Mpc
~10-30
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重力を支配するダークマター
• 光を出さない。しかし万有引力は持っている。
• 正体は未だ不明。
• 銀河の回転運動を調べていくと、“何かがあ
る”ことは間違いない。
• 大きなスケールになるほど顕著:
– 太陽の近く:光っている物質の2-3倍
– 我々の銀河系(銀河中心~太陽系まで):10倍
– 銀河団:30-100倍
(その一部はX線で光るホットガス)
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宇宙の構造形成の歴史
(現在の標準的な考え方だと)
• 宇宙誕生から1-2億年:
– 1億~10億太陽質量のダークマターの固まり
(矮小銀河クラス)が出現。
• 宇宙誕生から5-10億年:
– 千億~一兆太陽質量のダークマターの固ま
り(普通の銀河) が出現
• 宇宙誕生から10-30億年:
– 銀河団規模の固まりがようやく出現
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Large-scale Structure Formation (CDM)
12
© Moore et al. (1999, private communication with T. Kodama)
ダークマターハローの質量関数
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銀河はどうやってできたのか?
(現在の標準的な考え方)
星が爆発的に
誕生している
赤外線で輝く銀河
大変小さな
赤ちゃん銀河
銀河の
衝突・合体
「銀河風」により星の母
胎である星間雲が吹き
飛んでしまうと…
星々が年老い
て楕円銀河に
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生まれたての銀河はみつかったか?(1)
• ライマンα輝線銀河
– 水素原子(宇宙で最も多い
元素)の数多いスペクトル
線の中で最も基本的なライ
マンα(波長121.566nm)輝
線を頼りに地上大望遠鏡に
よる「広くかつ深い探査」で
発見。
– 約百億年前の宇宙で大規
模構造が見つかっている!
25” = 190 kpc
SSA22 “Blob1” (Steidel et al. 2000)
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のすばる画像 (Matsuda et al.
2004)
生まれたての銀河はみつかったか?(2)
• サブミリ波銀河
• 波長800ミクロン~1ミリで、専用の地上望遠鏡を用
いて探査することで発見。2009年に打ちあげられ
たハーシェル宇宙天文台で数全個に。
• 小さな原始銀河が衝突・合体していく過程で、星形
成が活発に起こる。そして生まれたばかりの星はと
ても明るい。
• するとそれによって星間物質中の塵が暖められ、赤
外線を強く放射する。
• サブミリ波では、この塵からの赤外線が赤方偏移(z
=2~3)したものを捉えているのである。
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星形成が活発な銀河は
「高光度赤外線銀河」
チリがなかったと
したらこのくらい
明るい(星の光)
あたたかい
チリからの
赤外線
銀
河
の
明
る
さ
星の光は、チリ
に吸収されて、
くらくなってしま
う
0.1
1
10
波長〔ミクロン〕
100
17
Herschel launched !!!
14 May 2009
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Credit: ESA
第13回の問題
問13. 物質優勢、宇宙項ありの場合、現在の宇宙で
m0  0 = 1  kc2 / a02 H02
(13.13)
である。ここで m0 、 0 はそれぞれ
m0  m0 (8G / 3H02 ), m = m0 (H02 / H 2 )(1  z)3 (13.11)
0  c2 / 3H02
(1) 過去の宇宙(赤方偏移 z )で

(13.12)

H 2 = H02 m0 (1  z)3  0  (m0  0 1)(1  z)2 (13.14)
となることを示せ。
(2) 現在の宇宙では(WMAP衛星の計測により)
m0 = 0.24, 0 = 0.76, H0 = 73km s 1 / Mpc
(13.16)
と、宇宙項(ダークエネルギー)が宇宙膨張を支配している。ところが
(13.11)で表わされるように、過去の宇宙では物質のエネルギーが重要
になる。宇宙項の寄与と物質の寄与が同じになる赤方偏移 z を求めよ。
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