確率・情報理論基礎 2001年度 情報ネットワーク学専攻 伊藤秀一 講義の概要 • 確率と統計学の基礎 • 情報理論の基礎 – 情報源符号化 – 通信路符号化 • その他・行く先不明 参考書など • W.Feller: An Introduction to Probability Theory and Its Applications, John Wiley (翻訳有り 確率論とその応用) • T.Cover, J.Thomas: Elements of Information Theory, John Wiley • 橋本: 情報理論, 培風館 • 韓,小林: 情報と符号化の数理, 培風館 • その他、そのつど紹介する。 講義の進め方 • 例題 • 宿題・レポート • 期末試験? 数理的な考え方に基づく学問体系とその工 学的な応用に触れ、勉強のおもしろさを発 見してほしい。 第1章 はじめに 情報と通信、情報理論の生立ち、情 報とは、 … 情報と通信 • 情報の伝送 – のろし、半鐘 – 腕木、セマフォ(ナポレオン) 正確さ、距離の限界 • 19世紀ー電気通信の出現 – 産業革命 – 情報革命 エネルギー 大規模なものが可能、いろいろな問題点が明らかになった。 例 • Kelvin の海底電線 – 周波数と時間の関係ーー通信工学のはじまり • 雑音のある通信路 – 通話が正確に伝わらない • 「サクラチル」 Y or N, 0, 1 • ゆっくりと話す ディジタル通信 情報の理論的な取り扱い • 定量的に扱う必要 • 確率の概念 • 情報と雑音 – Wiener … 予測とろ波、サイバネッティクス – Shannon … 近代的情報理論 “A mathematical theory of communication,” 1948 情報量、情報源、通信路、通信路容量、符号化基本定理 通信の基本モデル 情報源 符号器 通信路 復号器 • 通信路容量 – 通信路符号化、無誤り伝送の限界 • エントロピー – 情報源符号化、データ圧縮の限界 受信者 伝送と蓄積 • 通信 – 情報を距離の隔たった場所へ移動する • 蓄積 – 情報を時間の隔たった時点へ移動する 圧縮技術と誤りに打ち勝つ符号化技術 第2章 確率論の基礎 確率とは何か? • 正しく作られたサイコロを振る – 1の目の出る確率は1/6 – 現実の現象を良く説明できる・・・なぜ? • 開票速報「X氏は90%以上の確率で当選 確実」? – 既に確定しているはず – 判断確率 • 公理主義による確率の定義 確率的実験 (試行) • コイン・トス – 表か裏が出る – 表が出るか裏が出るかわからない – 何度でも実験できる • ルーレット – 0から36と00の38の区画、赤と黒(可能な結果) – 数または数の組み合わせを賭ける (分らない) – 何度でも繰り返し実験できる 続き • 30cm定規の長さ – 製造された物差しの精度を検査 – 29cmから31cmの間 • 電球の寿命 – 選んだ電球の寿命 ・・・ 分らない – 0から∞の間 ランダム(無作為)実験 • 定義 ランダム実験(試行) – 実験結果のすべての実現値は事前に既知 – 実験結果はあらかじめ分らない – 実験は同じ条件の元で何度でも繰り返してで きる 標本空間(可測空間) • 定義 ランダム試行の標本空間 (, S ) – – S 試行の実現値の全集合 部分集合の族(σ-加法族) • 説明 – Ωの要素を標本点 (sample point) という – 集合 A S を事象 (event) という。事象は 標本点の集合である。 – 試行の結果の標本点が A の要素であれば、 その試行により事象 A が生起したという。 – 1つの標本点だけの集合を素事象(単純事 象)という。 – |Ω|が有限 → (, S )は有限標本空間 可算 → 離散標本空間 非可算 → 非可算標本空間 例 • コイン・トス H , T S , H , T , H , T • 2つのコイン H , H , H , T , T , H , T , T , H , H , H , T , T , H , S , H , T , T , H , T , T , • 「少なくともひとつの表が出る」事象 {( H , H ), ( H , T ), (T , H )} • サイコロを n 回振る n 2 – Ωは 個の単純事象をもつ。 – 1をちょうど1回だけもつ事象 A • 表が出るまでコインを振る – S はすべての自然数の部分集合の族
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