第7章 交換技術 7.1 交換機の機能と構成 7.2 ディジタル交換機 7.3 ATM交換設備 7.4 IPネットワーク交換技術 7.5 高速スイッチング 7.6 トラヒック 7.7 番号計画 7.3 ATM交換機 7.3.1 7.3.2 7.3.3 ATM交換技術 ATM交換機の構成 ATM交換機の動作 7.3.1 ATM交換技術 (1)同期転送モードと非同期転送モード (a) 同期転送モード(STM:Synchronous Transfer Mode) 帯域幅を時間単位で分割する。すなわち,STMで多重化されたすべての コネクションには,1つの固定したタイムスロットが与えられる。 一度タイムスロットが割り当てられると,タイムスロットの帯域幅は,コネク ションが休止しても,他のコネクションをサポートしない。 (b) 非同期転送モード( ATM:Asynchronous Transfer Mode ) 情報ブロックを蓄積し,宛先や制御用情報などを含むヘッダが付けられ, ヘッダで出側回線を選択し,出力向けヘッダを更新して送出する。 パケット交換では,出側回線が全部使用中なら空きを待つが, ATMセルでは,直ちに接続するか,廃棄するかのいずれかであり, 待ち合わせをしない. (2)ATM交換に関わるパラメータ (a) セル構造 ユーザ・網インタフェース(UNI)用のセルと, ネットワーク・ネットワークインタフェース(NNI)用のセルがある 5オクテット [UNI用] 48オクテット セル ヘッダ ペイロード(ユーザデータ) 仮想パス識別子(VPI) Virtual Path Identifier 汎用 フロー 制御 仮想パス 識別子 仮想 チャネル 識別子 ペイロード 型 4ビット 8ビット 16ビット 2ビット [NNI用] 5オクテット 12ビット 仮想 チャネル 識別子 16ビット セルヘッダ チェック サム 1ビット 1ビット 8ビット 仮想チャネル識別子(VCI) Virtual Channel Identifier ペイロードタイプ(PT) Paylord Type 48オクテット セル ヘッダ 仮想パス 識別子 予約 セル 損失 優先 汎用フロー制御(GFC) Generic Flow Control ペイロード(ユーザデータ) ペイロード 型 予約 セル 損失 優先 2ビット 1ビット 1ビット セルヘッダ チェック サム 8ビット セル損失優先度(表示) (CLP) Cell Loss Priority セルヘッダチェックサム(ヘッダ誤り制御) (HEC) Header Error Control (b)汎用フロー制御(GFC:Generic Flow Control) ユーザ側端末と局間のフロー制御に使用される。 ユーザ側からB-ISDNへの接続では, ユーザ側でLANに接続された多数端末であるので, このための制御として4ビットを要している. (c)仮想パス指示子(VPI)と仮想チャネル指示子(VCI) 送信元と宛先ATM局の対局間のパスを識別する。 仮想チャネル指示子(VCI)はその仮想パス内のコネクションを定義する。 UNIではVPI+VCIで24ビット,NNIでは28ビットである。 (NNIのほうが4ビット長い) バーチャルチャネル(VPI+VCIで識別) バーチャルパス(VPIで識別) 伝送路(ポート番号で識別) 伝送ペイロード 伝送路としての階層化 ATMネットワーク階層は,VPレイヤとVCレイヤから構成される。 上位のVCレイヤは,1つ下のVPレイヤをサーバとして利用する。 オペレーション システム サービス制御 システム ユーザ VCH VCH VCレイヤ網 VPH VPレイヤ網 LT VPH LT 伝送媒体レイヤ網 ATMネットワーク VCH:VCハンドラ,VPH:VPハンドラ ユーザ (d)ペイロードタイプ(PT) 当初,セル内の情報がユーザ情報であるか, ネットワーク管理用情報であるかを識別するために 定義されたが,その後,機能が拡大された。 バーチャルチャネル上でのOAM用のセル識別や 網内のふくそうを着側に通知する機能など, 様々なオプションが設定されている. (e)セル損失(破棄)優先(CLP:Cell Loss Priority) 交換機スイッチでセルを伝送路に送出するとき, バッファオーバフロー時のセル廃棄に優先度を設定するために 使用される。 CLPビットは, 申告値を超えて入力されるセルに対する違反表示として 用いることも可能であり,違反した優先セル(CLP=0)は, 非優先セル(CLP=1)に変わる (f)ヘッダ誤り制御(HEC) ヘッダ誤り制御(HEC)は,CRCチェックで行う。 誤り検出・訂正を行うとともに,ATMセルの自己同期を行う. これをセル同期と呼ぶ. (3)B-ISDNの階層構造 ネットワークが提供する機能は,OSI階層のレイヤ1とレイヤ2である。 セル転送機能だけが中継交換機(ATMノード)の機能であり, フロー制御や誤り制御等はエンドシステム(ATM端末)にまかせられる。 (AALは ATM 端末に実装される) 上位レイヤ 上位レイヤ AAL AAL ATMレイヤ ATMレイヤ ATMレイヤ 物理レイヤ 物理レイヤ 物理レイヤ 主 要 機 能 セル分解・組立, セル転送のゆらぎ吸収, フロー制御/誤り制御 セル転送 (VC/VPのルーチング,多重) セル伝送をマッピング (4)ATM物理層 物理層は,以下の副層に分けられる。 ① PMD副層:Physical Medium Dependent ケーブル接続信号におけるビットを取り扱い, 各媒体により異なる。 ② TC副層:Transmission Convergence TC副層では,ビットからセルを組み立て, 逆にセルをビットに分解する. (5)CLAD CLAD(Cell Assembly/Disassembly) 53オクテット(注)のATMセル単位で情報を区切って送受信し, 到着したセルの中からヘッダ部分を取り除いて元の情報に戻す装置 ATMの端末では,CLAD機能が内蔵されているが, 既存のコンピュータ,PBX,あるいはLAN等では, CLADを外付けまたはネットワーク側で用意する必要がある. (注) 「オクテット」とは「八個一組のもの」という意味で,8ビットを指す。 現時点では,1バイト8ビットがほとんどなので,「バイト」と同じになるが, 通信分野では,現在でも単位としてこの「オクテット」を使うことが多い。 7.3.2 ATM交換機の構成 (1)交換機のモデル ATM交換機では,出側伝送路のVPI/VCIを対応付け, その対応付けに従ってVPI/VCIを付け替えて転送する。 入側のVPI/VCI 伝送路 VP/VC 出側のVPI/VCI ATM交換機 一般には,1つの伝送路に複数 のVP/VCが多重化されている。 ATM交換機の基本的役割 (1)入側と出側の伝送路およびVP/VCの対応付け (2)それに従ったセル転送(VPI/VCIの付替え) (2)ATM交換機の一般的構成 ATMでは,シグナル処理だけがソフトウェアで処理され, その他は,すべてハードウェアで処理される。 [基本的な動作] ① セルを入力ポートから受信 ② 入力ポートでの帯域制御 ③ VPI/VCIの値によって出力ポートを決定 ④ セルを出力ポートに出力 [基本的な構成要素] QoS(要求サービス品質:Quality of Service) シ グ ナ リ ン グ 処 理 部 入力 ポート ヘッダ 処理部 QoS 処理部 (入力) セル スイッチ QoS 処理部 (出力) 出力 ポート ATM交換機の機能ブロック 使用量パラメータ制御(UPC:Usage Parameter Control) 実際の交換機では,トラヒック制御や使用量パラメータ制御を行う 必要があるので,次のような機能ブロックから構成される. 優先制御機能 使用量パラメータ制御機能 端末 呼設定情報 使用帯域 要求品質 ポリシング ・ ・ ・ トラヒック監視機能 出力バッファ ATM スイッチ ・ ・ ・ 帯域割り当て トラヒック 目標 データ 品質 コネクション受付制御 セルレベル制 御 呼レベル制御 網レベル制御 網内トラヒック制御 (3)セルスイッチの種類と構造 (a) ブロッキングとノンブロッキング セルスイッチは次のように分けることができる。 ① ブロッキングスイッチ(Blocking Switch) 複数の入力があったとき,いくつかの入力を入力側で待たす。 ② ノンブロッキングスイッチ(Non Blocking Switch) 全ての入力を同時に処理する。 ATMスイッチのほとんどは,ノンブロッキングスイッチである。 (b) 代表的なセルスイッチ ① TDM(Time Division Multiplexing)スイッチ セルマルチプレクサが,複数の入力ポートを一定時間間隔で走査し, セルバスに入力セルを,制御バスにポートマスクを出力する方式。 出力ポートは,制御バス上のポートマスクで自分宛であることを確認して, セルバスのセルを取り込む。 ② ノックアウト(Knockout)スイッチ 入回線,出回線とも同じ本数のバスに接続する方式。 クロスバースイッチとも呼ばれるが,アナログ式の電話交換機における クロスバースイッチと誤解されるので,ここではこの用語を用いる。 ③ バッチャバニヤン(Butcher Banyan)スイッチ バニヤンスイッチは,ATM以前から使用されているスイッチであり, 2入力2出力のスイッチエレメントである。これを多段に接続して使用する。 [用語]バニヤンスイッチという言葉は,スイッチの接続の様子が,枝から縦方向に気根が 垂れ下がるように生えるバニヤンの木に似ていることによる。 TDM(Time Division Multiplexing) (c) TDMスイッチ セルマルチプレクサが,複数の入力ポートを一定時間間隔で走査し, セルバスに入力セルを,制御バスにポートマスクを出力する。 ノンブロッキングスイッチとして動作する条件は,以下のとおりである。 入力ポート帯域×入力ポート数 ≦ バス帯域 セルバス 入力 ポート 制御バス 出力 ポート セル・ マルチプレクサ ・ ・ ・ ・ ・ ・ TDM(Time Division Multiplexing) TDMスイッチの特徴 ① 構造が簡単で実装が容易であり,マルチキャストのとき, ユニキャストと同じ性能で処理することができる。 ② バス帯域を入力ポート帯域×入力ポート数以上にする必要があるため, 接続ポート数に限界がある。 現在のバスクロックの上限は,約 133 MHz であるため, データ幅 64 ビットバスでは, 133 MHz × 64 ビット = 8.5 Gbps が対応できる帯域上限となる。 ノックアウト(Knockout)スイッチ 仮想チャネル(VC) (d) ノックアウトスイッチ 入回線,出回線とも同じ本数のバスに接続する方式。 入力バス上のセルが1サイクルごとに出右側に転送され,セルのヘッダで 仮想チャネルを識別して,接続する点(クロスポイント:接続点)を見つける。 セルは,クロスポイントを通って,出力側に移る. 0 入力 1 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ フィルタ フィルタ フィルタ ・・・ ・・・ ・・・ 7 N:L トーナメント形 集線スイッチ N:L トーナメント形 集線スイッチ N:L トーナメント形 集線スイッチ L入力1出力 FIFO L入力1出力 FIFO L入力1出力 FIFO 0 1 ・・・ 7 入力バス ノックアウト(Knockout)スイッチ ノックアウトスイッチの特徴 ① 各入力がクロスポイントによって,常に全出力ポートに接続されているの で,入力側ではブロッキングは発生しない。 ② ブロッキングが発生するのは,フイルタおよび集線スイッチ回路の 処理能力を上回るセルが転送され,FIFOあふれが生じた場合である。 ③ ノックアウトスイッチは,構造が単純で設計が容易であり, マルチキャストの場合も効率よく処理できるが, ポート数の2乗に比例したクロスポイントが必要となり, ポート数が大きくなると回路が大規模になってしまう. (e) バッチャバニヤンスイッチ バッチャバニヤン(Butcher Banyan)スイッチ 2入力2出力のバニヤンスイッチを多段に接続して使用する。 以下は,3段,12個のバニヤンスイッチを使用したスイッチである。 入力ポート 転送すべき 情 報 ルーチング 情 報 0 1 1 出力ポート 0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 0 2 1 1 1 3 0 0 0 4 1 1 1 5 0 0 0 6:110 1 1 1 7 1ビット目 の判定 2ビット目 の判定 3ビット目 の判定 バニヤンスイッチにおける衝突 バニヤンスイッチでも衝突は発生する。 ① 1段目では,(5,7),(0,3),(6,4),(2,1)で衝突が起き,5,0,4,1が選択。 ② 2段目では(0,1),(5,4)が衝突し,1,5が残り,これがそのまま出力。 5 0 1 6 2 7 3 4 1 5 衝突のないスイッチ 以下の例では,ルーチング情報の並びは異なるが, 同じ出力ポートであるにもかかわらず,衝突が起きていない。 すなわち,入力側の組合せによっては衝突が起きないのである。 0 0 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 7 7 入力回線の並び順の変更 バニヤンスイッチの前にもう1つのスイッチ群を用意し, 入力回線の並び順を変更して,バニヤンスイッチで衝突が起きないようにする。 これをバッチャー網あるいはソーティング網と呼ぶ。 入力ポート 3 空間スイッチ網(Banyan網) ソーティング網(Butcher網) 出力ポート 0 0 0 1 1 1 3 1 2 0 3 3 バッチャバニヤンスイッチの特徴 必要なバニヤンスイッチの数は, ポート数nに対してn/2×log n個 である。 ① ノックアウトスイッチの n2 よりスイッチは少なくなる。 ② ポート数が増加すると,スイッチ要素間の接続が複雑になり, 同一出力ポート宛のセルが複数入力されるとブロッキングが発生する。 ③ マルチキャストのとき余分なコストがかかる。 ④ 現在のポート数や帯域の範囲内では,前述した他の方法の方が, 安価で性能が良いため,商用のATMスイッチで, バッチャバニヤンスイッチを使用しているものは少ない. 7.3.3 ATM交換機の動作 VP(Virtual Path) VC(Virtual Channel) VCC(Virtual Channel Connection) (1)VCCの確立 ATMは,コネクション指向のセルネットワークであるため, 通信に先立って2つの端末間にVCCを確立する。 [VCCの識別方法] ① ATM端末は,送信したい情報をセルに分割し, VPとVCと呼ばれる仮想的な通信路を介してATM交換機に届ける。 ③ VP/VCは,通常,1つの伝送路に多重化され,ATM交換機は,各セルのヘッ ダのVPI/VCIで転送先を決定する。 ④ VPは複数のVCを束ねたものである.伝送路上での階層を構成し,各VCを 束にすることによって,交換機のスイッチング等を簡単化している。 VP(Virtual Path) VC(Virtual Channel) VCC(Virtual Channel Connection) (2)コネクションの方法 VP/VCによって,端末間に設定された通信を VP/VCコネクションあるいはATMコネクションと呼ぶ. 次のシート以降に示す例は,既に6.4.2(3)で示した例であるが, 再掲する。 なお,簡単化のため,VPIの値は,すべて1にしている。 ① VCC1を利用したいH1は,VPI/VCIの組として1/100のセルをS1に送出. ② ATM交換機S1は,入力セルのVPI/VCIと入力ポート番号をキーにして,S1の VPI/VCI変換表を検索.この結果,出力VPI/VCIとして1/300,出力ポート番 号3を得る. ③ S1は,セル中のVPI/VCIの値を1/300に書き換え,ポート3にセルを送出. ④ S2もS1と同じ動作を行う.同様にして,S2のポート1で入力したセルヘッダ内 のVPI/VCI,すなわち1/300を1/200に書き換え,セルをポート2に送出. ⑤ S2からセルを受信したH3は,セルをAAL PDUに変換して上位層に渡す. バーチャルコネクションの簡単な例(1) 仮想チャネル結合(VCC:Virtual Channel Connection) 仮想パス識別子(VPI:Virtual Path Identifier) 仮想チャネル識別子(VCI:Virtual Channel Identifier) VP / VC の簡単なバーチャルコネクション S1 H1 S2 1 VCC1 3 H2 2 H3 3 H4 1 2 VCC2 A:VCC1(ホストH1~H3) 1/100(H1-S1/1)→1/300(S1/3-S2/1)→ 1/200(S2/2-H3) B:VCC2(ホストH2~H4) 1/100(H2-S1/2)→1/200(S1/3-S2/1)→ 1/400(S2/3-H4) S1 の VPI / VCI 変換表 ボート 入力 1 2 3 3 VPI / 入力 1/100 1/100 1/300 1/300 VCI 出力 1/300 1/200 1/100 1/100 S2 の VPI / VCI 変換表 ポート 出力 3 3 1 2 ボート 入力 1 1 2 3 VPI / 入力 1/200 1/300 1/200 1/400 VCI 出力 1/400 1/200 1/300 1/200 ポート 出力 3 2 1 1 バーチャルコネクションの簡単な例(2) 仮想チャネル結合(VCC:Virtual Channel Connection) 仮想パス識別子(VPI:Virtual Path Identifier) 仮想チャネル識別子(VCI:Virtual Channel Identifier) VP / VC の簡単なバーチャルコネクション S1 H1 S2 1 VCC1 3 H2 2 H3 3 H4 1 2 VCC2 A:VCC1(ホストH1~H3) 1/100(H1-S1/1)→1/300(S1/3-S2/1)→ 1/200(S2/2-H3) B:VCC2(ホストH2~H4) 1/100(H2-S1/2)→1/200(S1/3-S2/1)→ 1/400(S2/3-H4) S1 の VPI / VCI 変換表 ボート 入力 1 2 3 3 VPI / 入力 1/100 1/100 1/300 1/300 VCI 出力 1/300 1/200 1/100 1/100 S2 の VPI / VCI 変換表 ポート 出力 3 3 1 2 ボート 入力 1 1 2 3 VPI / 入力 1/200 1/300 1/200 1/400 VCI 出力 1/400 1/200 1/300 1/200 ポート 出力 3 2 1 1 クロスコネクト VPIは仮想的な束であり,交換機内のVPI/VCI変換表で接続替えを行う。 すなわち,VPI/VCIの値は,チャネル内では一意であるが, すべてのチャネルで一意ではなく,チャネルごとに変化する。 したがって,物理的に固定されたルートではない. ① セルは,同一方向に向かうVPに乗り,途中でVPIがつけ替えられ, 組み合せ変換点のノードで,出側の同一方面に向かうVPに乗せられる。 このVP組合せ変更機能をクロスコネクト(cross connect)と呼ぶ。 ② SDHの同期端局装置として,方路向けに多重回線を振り分ける機能, パス単位の分離と多重化機能を有するクロスコネクトを行う機器が 提供されている. (3) SDHとの同期 (a) SDHフレームとATMセルのマッピング SDHは,フレームという固定した形式を持ち, 伝送路にATMセルを乗せるためのマッピングを行う。 ① マッピングの際,セル境界をSDH伝送フレームのバイト境界に 一致させるが , セルの先頭とSDHフレームの先頭を合わせる必要はない 。 ② ATMセルレートを伝送路の伝送速度に合わせるために, 空きセルの挿入,空きセルの削除が行われる。 ③ 空きセルのヘッダのビットパターンは, セル同期にかかわる部分を除いて標準化されており, セルを伝送ペイロードに合わせる端局多重装置で識別が可能である. (b) セル同期 セルストリームのセル境界を受信側で識別する機能 ① ヘッダ誤り制御では,HEC領域を除くヘッダ全域に誤り検出, 1ビット誤り修正を行うCRC符号を用いる。 送信側で,このHECシーケンスを計算し,ヘッダに書き込む。 ② 平常時は,受信側で各受信セルを区別できる同期状態であるので, 各受信セルに対してHECを検証し,ヘッダ誤りの検出/訂正を行う。 ③ 受信側で同期が外れた場合,受信セルの境界が区別できないので, 想定したヘッダ誤り保護領域32ビットに対して,HECを計算し, これをヘッダに書き込まれた値と比較する。 これが何回か連続して合致すれば同期確立とみなし, 受信セルの区分を確定する。 ④ 合致しないときは,1ビットずつ移動して,演算と比較照合を繰り返す. 7.3 ATM交換技術 完
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