200902794 最上 亮 近年標的型と呼ばれるサイバー攻撃が増え、大企 業や、政府機関が情報窃取型の標的型メール攻撃 の被害を受けている。 標的型メール攻撃による個人情報漏えいは、企業に 莫大な損失を与えるとともに、信頼を失う。 現在サイバー攻撃における攻撃者、防御者の戦略 をゲーム理論的にモデル化する研究がおこなわれ ている。 差出人を偽り信頼性の 高いなりすましメールを送信 メールに添付してあるファイル を開くことでウイルスに感染 攻撃者 特定の企業や 組織 遠隔操作により活動の妨害 や、個人情報などを取得し 金銭化することが目的 ゲーム理論を使った、標的型メール攻撃によ る攻撃を効果的に防ぎ、企業の損失、対策コ ストを最小限に抑えるモデルの提案。 標的型メール攻撃などのサイバー攻撃の対 策には莫大なコストを必要とする。その対策コ ストの有効な使い方を、ゲーム理論を使うこと で最適な解を見積もることができる。 展開型ゲームは、プレイヤーの選択が逐次的 な場合、意思決定問題のモデル化、分析に 有効 攻撃 攻撃 防御 防御 交渉・話し合いはしない 非協力関係 戦略をお互いに逐次的に意思決定 実施する攻撃策に対する防御策はお互いに知っている ゲーム理論の展開型ゲームを使用 複数行われる各ラウンドにおいて攻撃側は最大の利 得が得られる攻撃策を、防御側は最小の損失で効 果的に防ぐことができるような防御策をゲームが終了 するまでお互いに繰り返し選択するモデルの提案 攻撃 損失 収益・利得 防御 攻撃側、防御側の価値観は異なるが、今回は 金銭換算した場合で考える。 攻撃側 防御側 • システム製造コスト • 取得した情報量 • システム製造コスト • 奪われた情報量 例えば、個人情報1件50円と設定 攻撃策𝛂 𝒓 攻撃者収益 最大 防御策𝛃 𝒓 防御者損失 最小 条件1 攻撃側コストの累積値が閾値を超えた場合 条件2 攻撃者利益の最大値がゼロもしくはマイナス,または利益が見 込めない場合 条件3 攻撃側が攻撃策をすべて実施した場合 攻撃側は最大の利得が得られる攻撃策を選択する 𝛼 𝑟 = {𝑥|𝑥𝜖𝑚0 − 𝑚𝑟 ,max(𝜆 𝑟, 𝑥 )} rラウンドの攻撃策 攻撃者利得 𝜆 𝑟, 𝑥 攻撃者利得 攻撃成功率 攻撃者収益 = 𝐸 𝑖 × 𝜔𝑥𝑦 − 攻撃実施コスト 𝐶(𝑥) 𝐸 𝑖 = 𝑎 × 𝑖 𝑎:個人情報1件の金額 𝑖:人数 x:攻撃策の選択肢(1<x<X) 𝑚0 :攻撃開始時の攻撃策の母集合 𝑚𝑟 :第rラウンドより前に行われた攻撃策の集合 防御側は、攻撃に対して損失が最小になる防御策を 選択 rラウンドの防御策 防御者損失 𝛽 𝑟 = {𝑦|𝑦 ∈ 𝑛0 ,min(𝜇 𝑟, 𝑦 )} y:防御策の選択肢(1<y<Y) 𝑛0 :防御開始時の防御策の母集合 𝑛𝑟 :第rラウンドより前に行われた防御策の集合 𝑦 ∈ 𝑛0 − 𝑛𝑟 のとき 𝜇 𝑟, 𝑦 = 𝐹 𝑗 × 𝜔𝑥𝑦 × 𝑇𝛼 防御者損失 防御者逸失 𝑦 ∈ 𝑛𝑟 のとき 𝑟 𝑦 rラウンドの攻撃策𝛼に 対する有効性 𝜇 𝑟, 𝑦 = 𝐹 𝑗 × 𝜔𝑥𝑦 × 𝑇𝛼 + 𝐷 𝑦 𝑟 𝑦 防御実施コスト × 𝑆 𝐹 𝑗 = 𝑎 × 𝑗 𝑗:人数 𝑎:個人情報1件の金額 𝑇𝛼 𝑟 𝑦 :攻撃策に対して防御策が有効であれば1、そうでなければ0 (今回の場合、𝛼 𝑟 = 𝑦の場合1、𝛼 𝑟 ≠ 𝑦の場合0) 防御策は,過去のラウンドに実施された防御策が新しい攻撃策にも有効 な場合,新しい防御策は実施されない. (S : 過去のラウンドに防御が成功していれば0、失敗していれば1) 個人情報1件50円 取得人数1000人 攻撃側 攻撃策2 防御側 確率0.7 コスト400 利得 34600 攻撃策3 コスト200 利得 9400 防御策2 損失35800 コスト800 確率0.2 防御策3 損失10400 コスト400 攻撃コストの閾値1000を超えたため攻撃中止 攻撃策1 確率0.05 防御策1 コスト1200 コスト600 1200のコスト削減 ゲーム理論を使うことで、最適化戦略を選択 することができ、攻撃側は利得最大、防御側 は損失最小に抑える戦略を求めることができ た 今後は、今より複雑な定義を加えても、有効 性があるのかを検討したい
© Copyright 2024 ExpyDoc