施肥設計の実際 -施肥標準、土壌診断、ふん尿肥効評価の使い方- 42 草地の診断 植生区分 土壌診断 施肥設計 ふん尿散布計画 必要な 肥料 養分量 購入肥料散布計画 ふん尿分析 ふん尿の 肥料換算 施肥設計作業の流れ 窒素 窒素施肥量=施肥標準量-ふん尿由来窒素量 マメ科率に対応した施肥量 ・造成・更新時のすき込み堆肥 ・維持管理時の表面施用ふん尿 チモシー草地のマメ科率区分 マメ科率区分 1 2 3 4 5 マメ科率 30% 以上 15-30% 5-15% 5% 未満 チモシー率 50% 以上 50% 以上 50% 以上 70% 以上 荒廃草地(更新対象) 各マメ科率区分のイメージ 造 成 し た ば か り ち ょ っ と 疲 れ た 1 2 ま だ ま だ 元 気 3 4 そ ろ そ ろ 限 界 マメ科率に対応した窒素施肥量 生草収量 (t/10a) (木曽・菊地,1988) 6 5 4 3 1 2 3 目標 収量 4 5 (荒廃草地) 4 8 16 窒素施肥量 (kg/10a) 24 北海道施肥標準 地帯 道東 ・ ・ 土壌 マメ 科率 区分 1 (マメ科率30-50%) 2 ( 〃 15-30%) 火山性土 3 ( 〃 5-15%) 4 ( 〃 5%未満) ・ ・ 目標 収量 4500 ~ 5000 ・ ・ 北海道施肥標準は ・北海道施肥標準は ・ ( 単位: kg/10a・ 年) 窒素 リ ン カ リ ウ ム マグネシウ ム (N) (P2O5) (K2O) (MgO) 4 6 10 16 10 10 8 8 18 18 18 18 4 4 4 4 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1.目標収量を得る 1.目標収量を得る 2.良い草を維持する 2.良い草を維持する ための施肥管理です。 ための施肥管理です。 草地更新時の乳牛堆肥施用による減肥可能量(kg/現物t) 肥料養分 窒素 N リ ン P2O5 カ リ ウ ム K2O 土壌 火山性土 低地土・ 台地土 火山性土 火山性土 低地土・ 台地土 更新年 2 年目 3 年目 0.5 0.5 0 0.5 1.0 1.0 1.0 0.4 1.5 2.5 0.5 0.5 0.3 1.0 1.0 リン酸、カリウム 草地の維持管理時における土壌診断基準値(抜粋) 診断基準 (0-5cm土壌) 診断項目 未熟火山性土 黒色火山性土 厚層黒色火山性土 低地土・台地土 泥炭土 pH(H2O) 5.5-6.5 30-60 有効態リン酸 150-300 交換性石灰 20-30 交換性苦土 7-9 交換性カリ 5.5-6.5 20-50 200-400 20-30 9-12 5.5-6.5 10-30 300-500 20-30 10-13 (単位 ) 5.5-6.5 5.5-6.5 20-50 30以上 mg/100g 200-450 400-800mg/100g 10-20 30-50 mg/100g 15-20 30-50 mg/100g (北海道施肥ガイド,2002) aリン酸の土壌診断に基づく施肥対応 リン酸施肥 土壌区分 有効態リン酸含量 (ブレイ№2法、 ㎎ P2O5/100g) 火山性土 未 熟 黒 色 厚 層 基準値未満 基 準 値 ~ 30 ~ 20 ~ 10 30 ~ 60 20 ~ 50 10 ~ 30 低地土・台地土 ~ 20 20 ~ 50 施肥標準量に対 火 山 性 土 150 100 する施肥率(%) 低地土・台地土 150 100 注 減肥の可能年限はほぼ 3 年である。 基準値以上 60 ~ 50 ~ 30 ~ 50 ~ 70 70 ~ 50 50 0 b カリ施肥 カリの土壌診断に基づく施肥対応 (a) 土壌診断基準値に基づく場合 土壌区分 その1 基準値未満 基 準 値 基準値以上 交換性カリ含量 (㎎ K2O/100g) 施肥標準量 に対する 施肥率(%)注2 ~7 ~9 ~ 10 7~ 9 9 ~ 12 10 ~ 13 9 ~ 30 12 ~ 40 13 ~ 45 30 ~ 40 ~ 45 ~ 低地土・台地土 ~ 15 15 ~ 20 20 ~ 50 50 ~ 泥 ~ 30 30 ~ 50 50 ~ 70 70 ~ 注1 火山性土 炭 未 熟 黒 色 厚 層 土 火 山 性 土 125 100 75 50 低地土・台地土 110 100 50 0 無客土 125 100 75 50 客 土 110 100 75 0 注3 泥炭土 注1 道南・道央と道東の火山性土におけるチモシーあるいはオーチャードグラス採草地で は、次の(b)で示した数式による方法を用いる。 注2 減肥の可能年限は、火山性土、泥炭土で 1 年、低地土・台地土では 3 年である。 注3 泥炭土の無客土の容積重は50g/100mL未満、同じく客土は50g/100mL以上である。 カリの土壌診断に基づく施肥対応 その2 (b) 数式に基づく場合 対象草地:道南・道央と道東の火山性土のチモシーまたは オーチャードグラス採草地である。 カリ施肥量(kg K2O/10a) =22-1/2×仮比重×土壌中交換性カリ含量(mg K2O/100g乾土) 注 数式中の22は、採草地の収量・植生・品質を適正に維持す るのに必要なカリ量(kg K2O/10a)。土壌は0-5cm層で、早春の施 肥前に採取する。 リン酸とカリウムの施肥量 土壌診断に基づく施肥量から ふん尿利用計画に基づくふん尿由来養分を 差し引く 苦土の土壌診断に基づく施肥対応 c 苦土施肥 土壌区分 基準値未満 基 準 値 基準値以上 交換性苦土含量 (㎎ MgO/100g) 施肥標準量に対 する施肥率(%) 火 山 性 土 低地土・台地土 泥 炭 土 ~ 20 ~ 10 ~ 30 火 山 性 土 150 低地土・台地土 (4kg/10a)注1 泥 炭 土 150 20 ~ 30 10 ~ 20 30 ~ 50 30 ~ 20 ~ 50 ~ 100 50 - - 100 50 注1 現行の施肥標準における苦土養分の施用量は、泥炭土、火山性土ではMgOとして 年間4kg/10a、低地土・台地土では設定されていない。低地土・台地土で土壌診断 基準値未満の場合には、泥炭土、火山性土に準じてMgOとして年間4kg/10aを施用 する。 注2 減肥の可能年限は3年である。 飛び地 8 17 13 11 16 12 2 1 10 9 3 4 14 15 肥料の必要量 少 5 中 7 6 多 更新予定 同じ牧場の草地でも圃場ごとに養分施用量は異なります 施肥のタイミング 有穂茎数 (穂の出る茎の数) 600 400 400 乾 物 収 量 300 200 200 有穂茎数(本/m2) 1番草の乾物収量(kg/10a) 500 100 0 5月 無 窒 下 (伸長期)素 (幼穂形成期) 5月 上 (萌芽期) 0 5月 中 早春はできるだけ早く施肥しましょう (根釧農試 1986) 2番草乾物収量(kg/10a) 600 黒色火山性土 未熟火山性土 厚層黒色火山性土 マメ科 400 チモシー 200 0 直 10 20 後 日 日 目 目 直 10 20 後 日 日 目 目 直 10 20 後 日 日 目 目 1番草刈り取り後の窒素施肥時期 1番草刈り取り後10日目までに施肥しましょう (松中 1987) 42 まとめ 草地の診断 植生区分 土壌診断 施肥設計 ふん尿散布計画 必要な 肥料 養分量 購入肥料散布計画 ふん尿分析 ふん尿の 肥料換算
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