Document

いろいろなファンド
宇野 毅明 (国立情報学研究所
&総合研究大学院大学)
2012年4月19日 さるふぁん:さるでも描けるファンド申請書セミナー
ファンドいろいろ
・ いろいろなファンドがあり、性格は様々
・ 設立目的が違うので、中身にも違いがあります
+ 科研
+ さきがけ、CREST
+ 助成金・賞
・ どう見られるか、どのように考えるか、どこと繋がっているか、見
ておくと勉強になります
科研
・ 言わずとしれた、最もポピュラーなファンド。ほぼ研究機関専門
中身を紹介するまでもないでしょう
・ 学術界でもプレゼンスが大きい
 分野分類を、科研の細目に基づいている、他のファンドもある
・ 学術分野の力関係を表している
(学会細目の対応があったりなかったりする)
・ 応募数が少ないと、採択件数が減らされる、、、らしい
 みんながんばって応募しよう
科研の査読
・ 科研応募書類の査読は、研究者が行っている
 宇野も2回ほどやったことがある。
他人の申請書を見るのは非常に勉強になる
※ 将来、依頼が来たら最初は断らないこと!
(ちょっと謝金ももらえます)
・ 面白かったことの中から、いくつかエッセンスを紹介しましょう
評価する側に立つと、、、
・ 申請する方としては、申請書類の「形」が気になる
 ここに書くことはこれでいいのかな、パソコンの金額、正しくな
いけどいいかな?
・ 審査する側は、正直、「形は何も見ません」
・ 見るのは内容です。(目的、計画、背景)
・ でも、もっと見るのは、その背後
+ この人、この研究する実力あるかな? (風呂敷でかくない?)
+ この研究、この流れでいい? (重箱の隅?)
+ 問題を解く作戦、ある? (だれでも機械的にできる?)
+ 単なる実装だったりしない? (学術かい?)
他にも
・ ある程度、近年の業績に対するご褒美、という側面も
 実力は業績からしか見えない
・ 意外と手抜き(ほとんどまっしろ)がある
 いろんな事情があるようだ
・ 「できる人」の申請書からは「オーラ」が立ち上っている!
 2段落くらい読んだところで「参りましたー」という気分になる
・ 様々な視点、高い志、深い考察、新しいアイディア
日頃、研究とその周辺に対して、しっかり気にしてると思います
・ 勉強しないといけないな、って思うでしょ?
JST三兄弟
・ さきがけ、CREST、ERATOは、JST(科学技術振興機構)の
ファンド。研究者が総括をつとめる「領域」ごとに、受け付ける
+ さきがけは若手を育てるファンド。 牧場型。
これは光ってるな、という研究を、なるべく業績を見ずに選ぶ
+ CRESTはチーム研究。 八ヶ岳
優秀な研究者がチームを組む。出口感と今感が必要
+ ERATOは富士山。優秀な研究者に集中的にファンディング
して、その配下にスタッフを集めて一気に研究を進める
・ もともと自然科学分野用に設計されているが、情報でも大丈夫
ERATO
・ 最高峰。位高い
・ 一般応募できず。推薦してもらわないといけない
現在は、北大湊先生が遂行中
過去には今井先生など
・ 英語でかなりの量の応募用紙を書く
・ 専門のオフィスを構築。これが意外と、普段と違う研究コミュニ
ティ環境ができて、効果的だと思う。(既存の学生質とは全く違う)
さきがけ
・ 最も関連があるのが さきがけ
・ 年1000万。ポスドクを雇用できる
年2回、進捗報告合宿がある  楽しい!
・ ファンドだけでなく「育てる」という意識がある。
アドバイザーの先生(10数名)がコメントをたくさんしてくる
・ 研究者同士が知り合いになれる
難関をくぐり抜けているだけあり、みなさん一流
一流が沢山集まっておしゃべりするんだから、楽しくないわ
けがない。自分も一緒に成長できる感じ
・ 正直、個人研究にこんなにお金はいらないが
「お金の力で研究を加速する」という視点で考える
CREST
・今必要な研究の領域が設定され、それに対して、ある程度短期
間で現実的な成果の出るものが期待される
・研究者3名、ポスドク数名、という体制。年2000万くらい
・ 今年から、スマートグリッドに関する領域が新設されるそう。
実は応用の分野ではアルゴリズム(数理モデルも)が求められる
ことは多く、最適化などの文脈できっと採択があると考えられる
 ダメ元でも何でも、是非トライしてみよう!
・ けっこう年季が入った人が応募してくるので、テーマ設定や貢献
するところについて、真剣な検討が必要
スマートグリッド
・ 次世代電力網のこと。発電所から家庭に電気を単純に送る、
水道管のようなものではなく、
随所で発電される様々な質の電気を、緻密な制御で安定的
に送るシステムのこと
・ いくつかのトピックがある
+ 発電設備 (太陽光、小型水力)、
+ 電流制御デバイス (メータ、認証コンセント)
+ 蓄電 (電気自動車との連携)
+ インフラ設計技術 (蓄電池などの施設配置)
+ 最適制御 (ロス最小化、安定化)
アルゴリズム的な課題設定
+ 電力ロス最小化を行う、準リアルタイム電力制御最適化
+ 機械学習を用いた電力需給予測
+ 蓄電設備の自動最適化と制御
こうすれば目的にかなうし、出口感もあるが、自分の研究から遠い
 例えば、ポスドクを雇用して仕事をしてもらえませんか?
(自分は、大まかな方針のと、個別のタスク設計飲みを行う)
 理論的な成果はなくとも、ごく初歩のシステムを、
外注に出して実装して、実動作を検証することはできませんか?
 共同研究として、何人かで仕事を分担して、いくつかの成果を
効率よく作り出すことは出来ませんか?
成果の見せ方
・ 自分の成果も研究成果としていい。ただし見せ方に工夫が必要
・ 宇野の研究は列挙アルゴリズム。例えばグラフのカットとか連結
成分の列挙アルゴリズムを (ショボくてもいいから) 作ってみる
 電力制御とは関係なく見えるでしょ?
・ 1つの発電所から担当する家庭への電力ネットワークは、グラフ
の連結成分に対応
 ミクロレベル(小規模水力発電)の発電所、あるいはトランス
から先の小規模ネットワークであれば、全てを試すことが出来る
 中規模のネットワークの解列挙で、おかしなこと、悪いことが
起きるときの、ネットワークの特徴抽出が出来る。また、安定性の
評価など、複数のネットワークにまたがる評価ができるようになる
ものは言いよう!
でも、本質であることもある!
より出口的になると
・ もっと実用化に 舵を切ると、もっと大型のファンドもある
NEDO: 10年以内に「商品化」される先端技術
JSTの各種事業
・ 企業と組むと取れるものもある
 予算の○○%を補助する、マッチングファンドなど
・ 色のある、最先端研究開発支援プログラム(内閣府)もある
 内閣なので「国民に目立つこと」が重要!
「社会的に意味/意義が分かりやすく、インパクトがある」
・ 厚生労働省の科研も (厚労省の目的にかなう科学研究補助金)
 でも、もらう人(チーム)が固定されているという噂も。。。
JSTの中の人
・ 科研と違ってJSTのファンドは、領域設定など戦略的に考えるこ
とが多く、JSTスタッフが設計に深く関わっている。(中の人)
・ 戦略ほげほげチーム、みたいのが沢山あって、それぞれ、今後
の日本・産業に必要な技術、研究と重点領域を探すべく、調査
サーベイしたり、研究者を集めてディスカッションしたりしている
 やっぱり、「ファンドを取った人」が呼ばれる。
だって、それしかつてがないから、、、
・ JSTは役人的、だと言われるようだが、こういうところの方々は先
進的。外部の意見や新しいことを積極的に取り入れ、変わろうとし
ている
その他のファンド
・ ○×助成とか△□賞とか。企業が母体であることが多い
・ 宇野は採択されたことがないので、コツがわからない。。。
しかし、母体の「本能」を考えれば、必然的に戦略も見える
 科研なら、「公平」が本能。企業は「利益」
ファンドの場合、「いい人にファンドした」と言えるのが利益
・ そうなると、想像は付く
+ 自信ある業績を中心に計画を練る
+ 社会的インパクトのあること、難しそうなこと、をテーマに
+ 最近はやりのキーワードも効果的か。風呂敷を広めに
小言
・ 上手に風呂敷を広げること、すてきな絵(夢)が描けるよう、それを
目標の一つにしよう
・ 論文が落とされるなー、と嘆く前に、主張の仕方を考えよう
 主張すれば「いい論文だけどスコープ外だね」と言われるはず
・ いい課題がないなー、と嘆く前に、まわりの研究に踏み込もう
 自分には見えていない、未解決重要課題はいくらでもある
・ 周りを良くする視点を持とう。情けは人のためならず
 人の研究の補助。若手(ポスドク)の育成、課題提供
・ 世に(表に出てる)研究者は1万人程度
あなた方は、1万人を代表しています。
あなたは今、どこにいますか?
アルゴリズム
幾何
近似
計算量理論
ネットワーク
オンライン
最適化
列挙
あなたは今、どこにいますか?
回路設計
データ
工学
Web
スパコン
バイオ情報 画像処理
人工知能
組合せ
数理
アルゴリズム
近似 計算量理論
音声認識
ネットワーク
オンライン
データ
データ
マイニ
列挙
幾何 ベース
最適化
ング
システム
デザイン
自然言語処理
ユーザイン
タフェース
あなたは今、どこにいますか?
分子生物学
OR
応用数理
情報科学
計算化学
バイオ情報
スパコン
画像処理
アルゴリズム
著作権
法学
システム
デザイン
ユーザイン
タフェース
システム科学
天文学
データ
ベース
機械工学
数学
あなたは今、どこにいますか?
数学
文学
経済学
情報学
アルゴ
物理
生物
化学
あなたは今、どこにいますか?
教育
アジア
産業
学術界
経済界
官公庁
地球
情報学
日本
人間社会
演習タイム
ディスカッションの仕方
・ 基本的には自由ですが、自由だとどうしていいのかわからないの
で、指針を出します
・ 一人一人の研究について、20分ずつディスカッションします。
時間に限りがあるので、最初は時間で切ります。
時間が余ったら、残した部分の続きをしましょう。
・ 今回は「視野を広く」するのが目的なので、意見や話題は、
なるべくこまめに変化を付け、1つのところではまらないように。
・ 「どう主張するか」という、言葉作りのところも考えましょう
・ 申請書の、書き方的なチェックも、お願いします。
こんな点から話をしましょう
・ 深める  より一般的・難しい問題は?
・ 転回する  問題の、近似、オンラインバージョンは?
・ 理屈  この問題を研究する意義は?
・ 未来  この研究は、どのように発展していくか?
・ 外への応用  研究は、応用があるか (人工知能など、
隣接分野も応用。オンラインアルゴリズムへの応用、でも良い)
・ 外への貢献  他分野で必要な問題に自分が貢献できるか?
・ はやり  ビッグデータ、センサー、脳科学、防災、高齢化などの
分野に対して、自分の問題・技術は(すごく基本的なところでいいの
で)応用できるか?
・ 技術と嗜好  自分の技術は何か。楽しみは何か。どんな研究
だったら「できる」と思えるか
理論計算機科学分野は何が出来るか、という議論ができると嬉しい
心構え
・ グループリーダ  思う存分、つっこんで下さい。
今日の相手は学生でないので、パワハラの心配はありません
・ 少しシニア層  学んでもいいですし、指導してもいいです
・ 若手  自分の考えを、しっかりと周りに伝えて下さい
・ でも
皆さん一人一人が、学ぶと同時に、自分のことを伝え教えるという
立場であることを意識して下さい
研究テーマ
偉い人の
業績
自分の領域
偉い人の
偉い人の
業績
業績
偉い人の
業績
研究
偉
テーマ
い
or 課題
偉い人の 人
隣の領域
の
業績
業
績
他の領域
隣の領域
偉い人の
業績
他の領域
伝えること、理解すること
・ 新しいテーマ開拓(共同研究)のためには、人と話をして、伝え、
聞かなければいけない
・ どんな質問をしようか、何を話そうか、どんな絵を使おうか
 自分の課題設定や夢を、どの面をどのように表現する?
キーワード、世のトピックとの関連、言葉作り、フレーズ...
・ 仮に、自分の知らない世界の人と、1時間話す機会があるとする
(インタビュー、研究会、飲み会、、、)
何を聞いたら、彼らの世界を俯瞰できるだろうか、
自分に関わる部分を深く知れるだろうか
班分け
1班 渡辺
定兼、宇野ゆ、大舘、伊藤、内澤、美添、村上
2班 徳山
梅谷、岡本、藤芳、田部井、脇、宮内、斉藤、
3班 宇野た
堀山、全、鈴木、河内、山中、木村、河瀬、小野寺、