Introduction to Immunoncology (IO)

がん治療医のための
がん免疫入門
患者さん自身の免疫監視機構に
作用してがんと闘う
本スライドについて
Topic 1
Topic 2
Topic 3
Topic 4
スライドは、新たながん
免疫療法に関連する
テーマ(Topic)別に色分
けしています。
本スライドの最終ページ
(29ページ)には、がん
免疫療法に関するイラ
ストを掲載しています。
2
Contents
新たながん免疫
療法について
免疫監視機構
免疫監視機構の
経路
• がん免疫療法とは
・はじめに
• はじめに
• 免疫療法の歴史
・免疫監視機構の構成
• 経路の活性化:
• がんの特徴
• 抗原
• CD28
• 免疫監視機構とがん:
がん免疫編集機構
• 抗原提示細胞(APCs)
• CD40
• T 細胞
• OX40
• B細胞
• CD137
• 抗体
• 経路の抑制:
• 新たながん免疫療法レ
ジメン
• がん全般に対する
新たながん免疫療法
の可能性
・NK細胞
• LAG-3
がん免疫療法の
種類と有害事象
• 受動免疫療法
• がんを標的とした
モノクローナル抗体
• 免疫細胞療法
• 能動免疫療法
• がんワクチン
• サイトカイン
・T細胞活性化のメディ
エーター
• CTLA-4
• 有害事象
• 腫瘍関連抗原
• B7-H3
• 細胞傷害性T細胞
• PD-1
• 免疫関連有害事象の
影響
・T細胞活性化
進行がんにおける課題として、生存率の
改善が挙げられます。転移を有する固形
がん患者の5年生存率は依然として低く
1 、 新たな治療法が望まれています2 。
5年生存率(%)1
がん治療の柱
化学療法
外科的
手術
放射線療法
新たな
がん免疫療法
INTRODUCTION TO I-O THERAPY
がん免疫療法とは
16
12.5
3.9
12.3
患者さん自身が持つ免疫監視機構に作
用してがんと闘う「新たながん免疫療法」
の研究が進んでおり3-5、現在 900以上の
臨床試験が行われています6。
1. Surveillance, Epidemiology and End Results (SEER) Program. Retrieved May 6, 2014, from http://seer.cancer.gov 2. Rosenberg SA. Sci Transl Med. 2012;4(127ps8):1-5
3. DeVita BT, Rosenberg SA. N Engl J Med. 2012;366:2207-2214 4. Kirkwood JM, et al. CA Cancer J Clin. 2012;62:309-335 5. Murphy JF. Oncology. 2010;4:67-80 6. Clinicaltrials.gov.
Accessed September 16, 2013
4
1986年以降、ワクチン、サイトカイン、がん細胞を標的としたモノクローナル抗
体、免疫チェックポイント阻害剤など、様々ながん免疫療法薬が承認されるなど、
大きく進歩しています1,2。
がんと炎症の関連
を最初に発見
免疫療法を
初めて治療
に使用3
1796
1863
免疫監視機構が腫
瘍形成を抑制する
ことが提唱される4
細菌の産生物が手
術不能のがんに有
効であることを初め
て証明
1890
1909
モノクローナル抗
体の製成技術の
開発6
樹状細胞の
発見5
1973
1975
生物学的製
剤の最初の
臨床試験1
1978
INTRODUCTION TO I-O THERAPY
免疫療法の歴史
様々ながん種に対する
がん免疫療法の承認
1986
1991
1998
熱狂期
懐疑期
1
(1978-1985) (1985-1997) 1
2004
2006
2010
2011
ルネサンス期
(1997-現在) 1
1. Kirkwood JM, et al. CA Cancer J Clin. 2012;62:309-335 2. CenterWatch. FDA Approved Drugs for Oncology. http://www.centerwatch.com/drug-information/fda-approvals/drugareas.aspx?AreaID=12. Accessed May 8, 2014 3. Murphy JF. Oncology. 2010;4:67-80 4. National Cancer Institute. 250 Years of Advances Against Cancer - 1900s. www.cancer.gov/
aboutnci/overview/250-years-advances/1900s. Accessed May 8, 2014 5. Steinman RM, Cohn ZA. J Exp Med. 1973;137:1142-1162 6. National Cancer Institute. 250 Years of Advances
Against Cancer - 1970s. www.cancer.gov/aboutnci/overview/250-years-advances/1970s. Accessed May 8, 2014
5
正常な細胞ががん細胞に変化するのに伴い、いくつかの特性を獲得します1 。
組織への
浸潤・転移能
免疫逃避について理解すること
が、新たながん免疫療法の研究
の基盤となっています2,3 。
持続的な
増殖シグナル
細胞死への
抵抗性
増殖抑制の
回避
新たながん免疫療法は免疫監視
機構を調節し、抗腫瘍効果を促進
して免疫逃避を防ぎます 4 。
INTRODUCTION TO I-O THERAPY
がんの特徴
がんの8つの
生物学的特性1
継続的な
血管新生
免疫逃避*
無制限な
複製能
エネルギー
代謝異常*
*新たな特性
1. Hanahan D, Weinberg RA. Cell. 2011; 144(5) 646-674. 2. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;12:252-264 3. Kirkwood JM, et al. CA Cancer J Clin. 2012; 62:309-335
4. Mellman I, et al. Nature. 2011;480:480-489
6
免疫によるがん細胞の認識と破壊という免疫監視機構により、がん細胞が質的な変化を経て、
腫瘍が形成されるまでの過程は、がん免疫編集機構(cancer immunoediting)として知られてい
1
1,2
ます 。がん免疫編集機構は、3つの相で構成されています 。
•
•
•
排除相 (免疫監視機構) :免疫監視機構によりがん細胞は認識され、排除されます1,2 。
破壊されな
1,2
かったがん細胞は、平衡相に入ります 。
平衡相 (がん休眠) :がん細胞は残存しているものの、免疫監視機構ががん細胞の増殖を防ぎます1,2 。
逃避相 (がんの進行) :がん細胞が免疫監視機構による認識・排除から逃れる能力を獲得します1,2 。 そ
の結果、臨床においてがんが顕在化します2 。
排除相
平衡相
逃避相
(免疫監視機構)
(がん休眠)
(がんの進行)
新たながん免疫療法は、免疫監視機構の直接
的な活性化やがん細胞による免疫抑制を阻害
することにより、がん細胞を排除する免疫監視
機構の能力を取り戻します。
INTRODUCTION TO I-O THERAPY
免疫監視機構とがん: がん免疫編集機構
がん細胞は、免疫監視機構の活性化のメカニズ
ムを阻害したり、その抑制のメカニズムを利用
することにより、免疫監視機構から逃れる可能
性があります。
7
1. Vesely MD, et al. Ann Rev Immunol. 2011;29:235-271 2. Schreiber RD, et al. Science. 2011;331:1565-1570
新たながん免疫療法は単独、または併用で使用されます 。
1
• 新たながん免疫療法は、抗腫瘍免疫応答における様々な標的を特異的に
作用します。そのため、異なるがん免疫療法や他のがん治療を併用する
ことで、抗腫瘍効果が増強する可能性があります1,2 。
化学療法
INTRODUCTION TO I-O THERAPY
新たながん免疫療法のレジメン
放射線療法
新たな
がん免疫療法1,2
新たながん免疫療法
分子標的療法
8
1. Drake CG. Ann Oncol. 2012;23(suppl 8):viii41–viii46 2. Ribas A, et al. Curr Opin Immunol. 2013:25:291–296
がん腫
免疫細胞の浸潤が
報告されている
がんによる免疫抑制の
エビデンスが報告されている
がん免疫相互作用と臨床予
後との関連が報告されている
膀胱がん
3
16,19
3,16
乳腺がん
11,12
1,6
11,18
大腸がん
3,4,5,11
17
1,3,4,5,11
食道がん
3,11
6
3,11
胃がん
17
6,17
17
頭頸部がん
7
7,20
7
肝細胞がん
8
2,8
8
22
白血病
肺がん
INTRODUCTION TO I-O THERAPY
がん全般における新たながん免疫療法の可能性
9,15
1,6,17,21
1,2,9,15
1
リンパ腫
悪性黒色腫
1,2,10,11
1,2,23
1,2,10,11
卵巣がん
3,11
1,2,6,24
3,11,24
膵臓がん
12,13
17
前立腺がん
11
腎細胞がん
3,11,14
2,11
2,14
3,11,14
1. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;12:252-264 2. Mellman I, et al. Nature. 2011;480:480-489 3. Sharma P, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2007;104:3967-3972 4. Pages F, et al. N Engl
J Med. 2005;353:2654-2666 5. Salama P, et al. J Clin Oncol. 2009;27:186-192 6. Ichihara F, et al. Clin Cancer Res. 2003;9:4404-4408 7. Badoual C, et al. Clin Cancer Res. 2006;12:465-472
8. Gao Q, et al. Clin Cancer Res. 2009;15:971-979 9. Dieu-Nosjean MC, et al. J Clin Oncol. 2008;26:4410-4417 10. Taylor RC, et al. J Clin Oncol. 2007;25:869-875 11. Zhang L, et al. N Engl
J Med. 2003;348:203-213 12. Liyanage UK, et al. J Immunol. 2002;169:2756-2761 13. Kärjä V, et al. Anticancer Res. 2005;25:4435-4438 14. Thompson RH, et al. Clin Cancer Res.
2007;13:1757-1761 15. Hiraoka K, et al. Br J Cancer. 2006;94:275-280 16. Winerdal ME, et al. BJU Int. 2011;108:1672-1678 17. Kono K, et al. Cancer Immunol Immunother.
2006;55:1064-1071 18. Rody A, et al. Breast Cancer Res. 2009;11:1-13 19. Inman BA, et al. Cancer. 2007;109:1499-1505 20. Schaefer C, et al. Br J Cancer. 2005;92:913-920 21. Woo EY,
et al. J Immunol. 2002;168;4272-4276 22. Karube K, et al. Br J Haematol. 2004;126:81-84 23. Chapon M, et al. J Invest Dermatol. 2011;131:1300-1307
24. Hamanishi J, et al. PNAS. 2007;104:3360-3365
9
生体を防御するための免疫監視機構の働き
1. 感染やがん細胞を発見します1
THE IMMUNE SYSTEM
はじめに -免疫監視機構とは
2. これらの細胞を除去または抑制するため、エフェクター 機能を発揮
します1
3. 体内の正常な細胞への影響を最小限に抑えるため、 自己制御を
行います1
4. 同じ抗原に効率的に反応できるよう、抗原を記憶します1
10
1. Janeway CA, et al. Immunobiology: The Immune System in Health and Disease. 6th ed. New York, NY: Garland Science; 2004
腫瘍関連抗原
• がん細胞にある異常
な物質またはタンパク
質のこと(腫瘍抗原)。
免疫監視機構が認識
して反応します1 。
THE IMMUNE SYSTEM
免疫監視機構の構成
抗原提示細胞
T 細胞
• 感染/がん細胞の抗原を取り
込み、短いペプチド断片に分
解・処理します2 。
• T細胞受容体があり、腫瘍
関連抗原を認識します。
• T細胞にペプチド断片を抗原
として提示し、免疫応答を引
き起こします。
1
• 活性化することで、感染/
がん細胞の死滅に大きな
役割を果たします。
• 免疫応答の持続を助けま
す。
1. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;12:252-264 2. Janeway CA, et al. Immunobiology: The Immune System in Health and Disease. 6th ed. New York, NY: Garland Science; 2004
11
B 細胞
1
• 血液やリンパ液中に浮
遊している抗原と結合す
るB細胞受容体を発現し
ます。
• 活性化すると、特定の抗
原に対する抗体を大量
に分泌する「プラズマ細
胞」に分化します1 。
THE IMMUNE SYSTEM
免疫監視機構の構成
抗体
NK 細胞
• 活性化したB細胞(プラ
ズマ細胞)から分泌され
ます1 。
• 抗原提示細胞や抗体と
関連せず感染/がん細胞
を認識できるため、迅速
に反応できます。
• 免疫監視機構による攻
撃のための標識となりま
す。また、重要なメカニ
ズムの阻害による標的
の無効化を行います1 。
1. Janeway CA, et al. Immunobiology: The Immune System in Health and Disease. 6th ed. New York, NY: Garland Science; 2004
1
• 細胞表面で抗体を認識
して、感染/がん細胞を
攻撃することもできます。
12
腫瘍関連抗原により、腫瘍特異的な免疫応答が誘導されます。
不活性
T細胞
抗原
THE IMMUNE SYSTEM
T細胞活性化: 腫瘍関連抗原
抗原提示細胞 の
活性化4
1
2
3
がん細胞が、腫瘍関連
抗原を多量に発現1,2,3,4
抗原提示細胞が腫瘍
関連抗原を取り込む2
活性化抗原提示細胞が
T細胞と相互作用する4
1. Pardoll DM. The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer. 2012;11:252-264 2. Mellman I, Coukos G, Dranoff G. Cancer immunotherapy comes of
age. Nature. 2011;480:480-489 3. Heemskerk B, Kvistborg P, Schumacher TNM. The cancer antigenome. EMBO J. 2013;32(2):194-203 4. Boudreau JE, Bonehill A, Thielemans K, Wan Y.
Engineering dendritic cells to enhance cancer immunotherapy. Mol Ther. 2011;19(5):841-853
13
活性型、細胞傷害性
(キラー) T細胞
4
活性化抗原提示細胞が
T細胞に対し、共刺激シグナルと
ともに腫瘍関連抗原を提示する1
活性化
T細胞
不活性
T細胞
活性化
1
T細胞の
増殖
THE IMMUNE SYSTEM
T細胞活性化: 細胞傷害性T細胞
抗原を認識
がん細胞
抗原
共刺激
シグナル
活性化
抗原提示細胞
1. Janeway CA, et al. Immunobiology: The Immune System in Health and Disease. 6th ed. New York, NY: Garland Science; 2004
5
細胞傷害性T細胞が腫瘍細胞の
アポトーシスを誘導する1
14
• 通常、多くの免疫活性化反応や免疫抑制経路によって免疫応答を調節する
ことで、正常な組織が免疫応答によって攻撃されることを防ぎます1,7 。
• 免疫活性化および抑制の不均衡により、免疫監視機構からがん細胞の逃避
が誘導される可能性があります1-5 。
腫瘍は共刺激経路をダウンレ
ギュレーションしている可能性が
あります2-3 。
腫瘍は免疫チェックポイント(免疫
抑制経路)をアップレギュレーショ
ンしている可能性があります2,3,5,6 。
共刺激経路:
免疫チェックポイント:
•
•
•
•
•
•
•
•
CD28
CD40
OX40
CD137
IMMUNE SYSTEM PATHWAYS
はじめに -免疫系の制御
LAG-3
CTLA-4
B7-H3
PD-1
1. Baruah P, et al. Immunobiology. 2012;217(7):669-675 2. Hemon P, et al. J Immunol. 2011,186:5173-5183 3. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;12:252-264 4. Kirkwood JM, et al. CA
Cancer J Clin. 2012;62:309-335 5. Zang X, et al. PNAS. 2007;104(49):19458-19463 6. Leitner J. Eur J Immunol. 2009;39:1754-1764. 7. Janeway CA, et al. Immunobiology: The
Immune System in Health and Disease. 6th ed. New York, NY: Garland Science; 2004
15
a
CD28 リガンドのCD80/CD86と結合し、共刺激を介してT細胞の活性を増強します
1,3
。
活性化T細胞
APC
CD80 or CD86
CD28 +++
CD40 シグナル伝達により抗原提示細胞の活性化を促進し、抗腫瘍免疫応答を増強します。
1,2
IMMUNE SYSTEM PATHWAYS: ACTIVATION
活性化を誘導する分子
活性化T細胞
APC
CD40
CD40L +++
1. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;11:252-264 2. Howland KC, et al. J Immunol. 2000;164(9):4465-4470 3. Janeway CA, et al. Immunobiology: The Immune System in Health and
Disease. 6th ed. New York, NY: Garland Science; 2004
16
a
OX40 (CD134) T細胞の増殖・生存を促進することで抗腫瘍免疫応答を増強します
APC
1,2
。
Active T cell
OX40L
CD137 (4-1BB) T細胞の活性化・増殖を促進します
OX40 +++
1,3
。
APC
IMMUNE SYSTEM PATHWAYS: ACTIVATION
活性化を誘導する分子
Active T cell
CD137L
CD137 +++
17
1. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;11:252-264 2. Redmond WL, et al. Crit Rev Immunol. 2009;29(3):187-201 3. Palazon A, et al. Cancer Res. 2011;71:801-811
LAG-3 (CD223) 免疫チェックポイント分子です
1
。
• T細胞活性化調節因子であり、T細胞の活性を抑制します1,2 。
APC
不活性T細胞
MHC
LAG-3 - - -
CTLA-4 免疫チェックポイント受容体であり、T細胞の機能を調節する重要な役割を果た
します1,3 。
• T細胞に発現するCTLA-4は、APC表面のリガンドCD80[B7-1]/ CD86と相互作用して、T細
胞の活性を抑制します1,3 。
APC
CD80 or CD86 リガン
ド
IMMUNE SYSTEM PATHWAYS: INHIBITION
抑制を誘導する分子
不活性T細胞
CTLA-4 受容体---
18
1. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;11:252-264 2. Workman CJ and Vignali DAA. Eur. J Immunol. 2003;33:970-979 3. Hastings, WD et al. Eur J Immunol. 2009 September: 39(9): 2492-2501
B7-H3 B7ファミリーに属し、免疫チェックポイント分子と考えられています
1
。
• CD80/CD86以上にT細胞応答を抑制する可能性があります2 。
• 詳細なメカニズムについては、研究が進められています。
不活性T細胞
APC
- - - B7-H3
???
PD-1 T細胞応答を抑制する免疫チェックポイント受容体であり、T細胞の活性を抑制しま
IMMUNE SYSTEM PATHWAYS: INHIBITION
抑制を誘導する分子
す1 。
T 細胞
がん細胞
- - - PD-1
PD-L1 or PD-L2
19
1. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;11:252-264 2. Leitner J, et al. Eur J Immunol. 2009;39(7):1754-1764
受動免疫療法は、免疫のメカニズムを介してがん細胞に作用することもありま
すが、基本的に患者さん自身の免疫応答を必要としません1-4 。
受動免疫療法の種類
がんを標的としたモノクローナル抗体
5-6
• 非抱合
I-O THERAPY CLASSES AND AEs
受動免疫療法
• 共役
• 単腕
細胞療法
7-9
• リンホカイン活性化キラー細胞療法
• 腫瘍内浸潤リンパ球とIL-2
• 遺伝子改変リンパ球
1. Brody J, et al. J Clin Oncol. 2011;29:1864-1875 2. Smits ELJM, et al. Oncologist. 2009;14:240-252 3. Rescigno M, et al. Biochimica Biophys Acta. 2007;1776:108-123 4. Mellman I, et
al. Nature. 2011;480:480-489 5. Weiner LM, et al. Nat Rev Immunol. 2010;10:317-327 6. Merchant M, et al. PNAS. 2013;E2987-E2996 7. West EJ, et al. Br J Cancer. 2011;105:787-795
8. Chacon JA, et al. PloS One. 2013;8:e60031 9. Rosenberg SA. Sci Transl Med. 2012;4(127ps8):1-5
20
2.活性化B細胞を
マウスから抽出し、
クローニングして、
in vitroで修飾8 。
特定の腫瘍関連抗原(TAA)に対する
親和性をもつモノクローナル抗体を産
生します1 。 現在、がん治療に広く用
いられている治療法です5 。
1.特定のTAAをマ
ウスに注射8 。
有害事象の可能性
同じ抗原を有する正常細胞、他の自
己抗原を有する細胞に対して、自己免
疫反応を起こす可能性があります9。
3.TAA反応性モノ
クローナル抗体
を単離し、患者
に注射8 。
NK
細胞
がん細胞
B細胞
モノクローナル
抗体
I-O THERAPY CLASSES AND AEs
がんを標的としたモノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、以下の作用を有す
ると考えられます。
a) がん細胞を破壊するために標識する1-4
b) 受容体シグナル伝達を阻害する1,4
c) 受容体の分解促進1 および/または
d) がん細胞に抗がん剤を直接到達させ、
正常組織への曝露を最小限に抑える6,7
1. Hudis CA. N Engl J Med. 2007;357:39-51 2. Lundin J, et al. Blood. 2002;100:768-773 3. Coiffier B, et al. Blood. 2008;111:1094-1100 4. Smith MB, et al. Drugs Today. 2012;48:713-722
5. CenterWatch. http://www.centerwatch.com/drug-information/fda-approvals/drug-areas.aspx?AreaID=12. Accessed May 8, 2014 6. Verma S, et al. N Engl J Med. 2012;
367:1783-1791 7. Bodet-Milin C, et al. Front Oncol. 2013;3:1-13 8. Ossipow V & Fischer N. Monoclonal Antibodies: Methods and Protocols. 2nd ed. New York, NY; 2014 9. Amos SM,
et al. Blood. 2011;118:499-509
21
がん患者から患者自身の免疫細
胞を抽出します。この免疫細胞を、
がん免疫抑制環境外で培養して、
活性化、増殖させて、同一の患者
1-4
に再注入します 。
2 . T細胞を活性
化させ、in vitro
で増殖3,4 。
T細胞
1. がん患者から
T細胞を採取3 。
有害事象の可能性
I-O THERAPY CLASSES AND AEs
免疫細胞療法
活性化した免疫細胞を再注入す
ることにより、がん細胞と同じ標的
抗原を有する正常細胞も標的とな
る可能性があります1 。
3. 活性化した免疫細胞を同一
患者に再注入し、抗腫瘍免疫
応答を強化2,4 。
がん細胞
1. Amos SM, et al. Blood. 2011;118:499-509 2. West EJ, et al. Br J Cancer. 2011;105:787-795 3. Chacon JA, et al. PloS One. 2013;8:e60031 4. Rosenberg SA. Sci Transl Med.
2012;4(127ps8):1-5
22
能動免疫療法は、生体の免疫機構に直接作用し、がんと闘うための
患者さん自身の免疫応答を誘導します1-4 。
能動免疫療法の種類
治療用がんワクチン
•
•
•
•
樹状細胞ワクチン
腫瘍細胞ワクチン
ペプチド/タンパク質ベースのワクチン
リコンビナントベクターワクチン
サイトカイン
•
•
•
•
•
5
I-O THERAPY CLASSES AND AEs
能動免疫療法
6
インターロイキン
インターフェロン
TNF-α
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)
免疫系サイトカイン
T細胞活性化のメディエーター7
• 免疫チェックポイント: CTLA-4, PD-1, PD-L1, LAG-3, B7-H3, B7-H4
• 共刺激経路: OX40, CD28, CD40, CD137
1. Brody J, et al. J Clin Oncol. 2011;29:1864-1875 2. Smits ELJM, et al. Oncologist. 2009;14:240-252 3. Rescigno M, et al. Biochimica Biophys Acta. 2007;1776:108-123 4. Mellman I, et
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23
腫瘍関連抗原を免疫細胞に導入する
ことにより、体内の免疫監視機構をプ
ライミング(初回抗原刺激)すると考え
られます1 。
T 細胞
ワクチンにより、がん
患者のT細胞および
B細胞が活性化2-3 。
B細胞
有害事象の可能性
正常組織の自己抗原を攻撃するT細
胞が産生する可能性があります4 。
活性化した免疫細胞
がTAAを認識し、抗腫
瘍免疫応答を強化3 。
I-O THERAPY CLASSES AND AEs
がんワクチン
がん細胞
1. American Cancer Society. http://www.cancer.org/treatment/treatmentsandsideeffects/treatmenttypes/immunotherapy/immunotherapy-cancer-vaccines. Accessed May 12, 2014
2. Bedikian AY, Del Vecchio MD. Expert Opin Biol Ther. 2008;8:839-844 3. Schlom J. J Natl Cancer Inst. 2012;104:599-613 4. Amos SM, et al. Blood. 2011;118:499-509
24
サイトカイン
T細胞
a
サイトカインは、リンパ球の増殖、
活性化、および生存を調節する小
タンパク質であり1、エフェクター機
能を増強することにより抗腫瘍免
疫応答を強化すると考えられてい
ます2 。
NK細胞
T細胞、B細胞、NK
細胞の活性化およ
び増殖を促進2 。
有害事象の可能性
増強したリンパ球活性が正常組織
に作用し、T細胞、B細胞、NK細胞
を介して自己免疫を誘導する可能
性があります1 。
B細胞
I-O THERAPY CLASSES AND AEs
サイトカイン
活性化した免疫細胞
が抗腫瘍免疫応答を
強化1 。
がん細胞
25
1. Amos SM, et al. Blood. 2011;118:499-509 | 2. List T, Neri D. Clin Pharmacol. 2013;5(suppl 1):29-45.
T細胞活性化のメディエーターは、
モノクローナル抗体であり、がん
細胞が抗腫瘍免疫応答を抑制す
るために利用する特定の免疫経
路を阻害または活性化します。
抗腫瘍免疫応答を増強する可能
性があります1 。
モノクローナル抗体
(メディエーター)
抗原提示
細胞
(APC)
T細胞
メディエーターは、Aまた
はBの作用により、T細胞
を活性化する 1 。
A.共刺激経路の活性化
B.免疫チェックポイントの
阻害
I-O THERAPY CLASSES AND AEs
T細胞活性化のメディエーター
有害事象の可能性
免疫チェックポイント阻害により免
疫恒常性が失われ、正常組織を
攻撃する自己応答T細胞が増加す
る可能性があります2。
活性化T細胞が抗
腫瘍免疫応答を
増強1 。
がん細胞
26
1. Pardoll DM. Nat Rev Cancer. 2012;12:252-264 2. Amos SM, et al. Blood. 2011;118:499-509 2. Amos SM, et al. Blood. 2011;118:499-509
免疫関連有害事象が、臓器・器官系で報告されています :
1
–
–
–
–
–
–
–
–
皮膚1-5
内分泌系2,4-8
肝臓2,5,9,10
消化管2,5,7,11
神経系5,8,12,13
眼1,4,14-16
呼吸器系1,5,8,13,17
造血細胞7,10,18,19
1. Amos SM, et al. Blood. 2011;118:499-509 2. Phan GQ, et al. PNAS. 2003;100:8372-8377 3. Rosenberg SA, White DE. Immunother Emphasis Tumor Immunol. 1996;19:81-84
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I-O THERAPY CLASSES AND AEs
免疫関連有害事象
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正常な細胞にも多くの腫瘍関連抗原が発現しているため、
正常な組織に対して有害事象を発現する可能性があります 。
1
•
重篤および致死的な有害事象が起こる可能性があります。
•
治療中はもちろん、治療後も慎重に観察を続ける必要があります。
– 患者教育を行って免疫関連有害事象への注意を促し、症状が発現した場
合は報告するよう指導することが大切です。
I-O THERAPY CLASSES AND AEs
免疫関連有害事象の影響
すべての有害事象が管理可能なわけではなく、
治療中止に至る可能性もあります。
治療を成功させるために、免疫関連有害事象管理ガイドライ
ンに従ってください。
28
1. Amos SM, et al. Blood. 2011;118:499-509
がん免疫療法に関するイラスト
抗原
抗体
抗原提示細胞
B細胞
がん細胞
T細胞
アポトーシス
したがん細胞
NK細胞
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