平成21年3月11日 笹井宏益(国立教育政策研究所) 専門家会合の開催 「生涯学習の視点から見たEFA振興のための 教育政策専門家会議」が開催 平成19年10月9日から12日まで 東京 国立教育政策研究所、ACCU及び ユネスコ・アジア太平洋地域事務所の共催 会合の参加者 海外:アジア太平洋地域12か国の生涯学習、 EFA、ノンフォーマル教育等に関わる 専門家17名 オーストラリア、バングラデシュ、フィジー、 インド、インドネシア、カザフスタン、 キルギス、モンゴル、パキスタン、フィリピ ン、 タイ、ベトナム 会合の背景 世界各地でのEFAへの取組みが、どうしても学校 教育支援のほうに流れがちであり、結果として 2000年のダカール行動枠組みにおいて設定された 目標の達成が困難になりつつある 〔ダカール行動枠組みの目標〕 2015年までに成人(特に女性の)識字率の50% 改善を達成すること。また,全ての成人が基礎教 育及び継続教育に対する公正なアクセスを達成す ること 会合の趣旨(1) 学校教育はもとより、成人教育や継続教育 の視点をも包含した「生涯学習」という 概念をEFAに取り入れる ▼ EFAの取組み自体を大きな視座から 問い直し、そこでの政策やプロジェクト をより充実したものに発展させる 会合の趣旨(2) 単なる理念としてしか語られてこな かった生涯学習概念を、より政策的な レベルで具体化する → 生涯学習概念の政策上の特質を 明らか にする 会合の目的 ☛地域づくりとの関連で現代世界における ☛ 生涯学習の意義と役割を明らかにする ☛ノンフォーマル教育を含む生涯学習の視点 からこれまでのEFAの成果を吟味しその 達成に向けての新たな方法等を検討する ☛ 生涯学習を振興し、地域づくりの意義に配慮 した教育政策の在り方について考察する 期待される成果 先進国・途上国 生涯学習の視点 双方における からの 生涯学習の重要性 EFAの見直し 生涯学習概念を教育 教育における 政策や地域づくり 援助機関間の 政策に組み込む 協力関係を強化 基本認識 ① 生涯学習は、教育システムを拡 大し変革するとともに、生涯に わたって行われる学習活動を、 民主的で、アクセス可能で、か つ入手可能な権利にするため に、強力なパースペクティブを 提供する 基本認識 ② 政府や開発関係者、国際的な援助 組織は、生涯学習のすべての形を 実現する基盤を提供することを含 め、生涯学習を推進する上で必須 の役割と責任を持っている 基本認識 ③ 地域でのEFAや開発目標の達 成に向けた取組みがそうである ように、教育かかる分野だけで なく、部門やレベル、あるいは 関係省庁の壁を超えた、横断的 な協力や統合が求められる 基本認識 ④ 地域社会の次元は、生涯学習を とおしてEFAの目標を達成す る上で、個人の次元と同じよう に重要である 4つの論点 理念から政策、実践へ 学習機会の提供主体・提供方法の多様化 内容と方法 ネットワーキング 4つの論点に沿って議論を進め、 政府をはじめ社会全体に提言 理念から政策、実践へ ① 政策立案者は、生涯学習を、EFA にとって「最も重要な枠組み」とし て認識し、かつ推進する 理念から政策、実践へ ② 部門を越えた横断的な政策を発展 させるための基礎として、すべて の関係者と幅広く話し合うことが 重要。こうした取組みより、政府 は、生涯学習の理念を開発し発展 させることができる 理念から政策、実践へ ③ 政府は、適切な方法により、生涯 学習概念を、国家のEFA指針、 戦略及びプログラムの中に反映さ せる 理念から政策、実践へ ④ 政府及びNGOを含む教育の提供 者は、生涯学習の枠組みの中での 最優先順位を、ライフスキルやコ ンピテンシーを身につけさせるこ とを含め、リテラシーと基礎教育 に与える 理念から政策、実践へ ⑤ 学習が継続する社会を構築するた め、人々の生活に影響を与える学習 成果において生じる、すべての人に 質の高い学習を与えようという文化 を推進するため、政府は主導する 学習機会の提供の多様化 ① 政府は、適切な方法により学習機会 を提供するため、とりわけ不平等の 状態にある人たち、障害を持つ 人々、マイノリティの人たちなどに 焦点を当てて、学習支援の構造、制 度に立脚した能力開発、事前学習の 再認識、補完教育及び単位認定方法 等の学習環境の改善を図らなければ ならない 学習機会の提供の多様化 ② 地域社会において、学習機会を提供 し、その役割や関係をルール化しよう としているパートナーと、政府は話し 合いの場を設けるべきである;この基 礎の上に立った、学習機会の提供を多 様化するための方針は、すべての関係 者に可能な限り共有されるべきである 学習機会の提供の多様化 ③ 学習プログラムの共同提供主体 は、政府と学習内容の質や評価基 準などについての考え方を共有 し、併せて、資格を与えられた り、適切な報酬等が与えられたり することが望ましい 学習機会の提供の多様化 ④ 学習者には、多種多様な学習プログ ラムや学習機会提供者を選ぶ機会が 与えられるべきである 学習機会の提供の多様化 ⑤ 高等教育機関の教育機能や研究 資源は、完全に利用されなけれ ばならない 学習機会の提供の多様化 ⑥ 高齢者が、経験豊富なグループと 生涯学習プログラムにおける課題 の両方を提供する時には、高齢者 のために格段の努力がなされなけ ればならない 内容と方法 ① 地域社会が、パートナーである NGOや他の活動主体といっしょ に、柔軟でジェンダーに敏感なカ リキュラムや継続的で自律的な生 涯学習のプログラムを開発するた めには、政府は、必要な資源を提 供しながら、環境を醸成しなけれ ばならない 内容と方法 ② 生涯学習の傘のもとで、フォーマル 教育、ノンフォーマル教育、イン フォーマル教育の提供者たちが相互 に対話するような結節点を、地域社 会レベルで明確にして確立する 内容と方法 ③ 地域社会のニーズにつながり生涯 学習への持続的な取組みを促す地 域の固有の能力は、政策の企画実 施において完全に把握され対応さ れなければならない 内容と方法 ④ 地方における機能的リテラシーや ライフスキル教育を促進するた め、すべての関係者は、様々なメ ディアも利用しながら、状況に見 合った形の学習形態を普及・推進 する ネットワーキング ① 政府と社会的影響の大きい意思決定 者は、教育の異なるシステム間での 連携協力を創造するため、部門横断 的な共同作業による利益と必要性を 公に主張すべきである ネットワーキング ② すべての部門において中央政府 は、地方独自の適切な方法により 分権化された計画を解釈・実行す るために、地方への権限委譲によ り多くの注意を払うべきである ネットワーキング ③ 政府、市民社会組織、民間部門 及びすべての学習機会提供者間 で、個人の能力開発のために、 強固で多様な「協働のための ネットワーク」が形成されなけ ればならない ネットワーキング ④ 各地域社会において、直接または 間接的に学習機会を提供する機関 や団体は、関係者相互のネット ワークや地域のリーダーとのネッ トワークを形成するため、委員会 や審議会など地域の様々な場で、 他の関係者や地方議員と定期的に 出会うことが望まれる ネットワーキング ⑤ 開発援助関係者、地域や国際的な 組織は、ベスト・プラクティスを 共有するため、効果的なプラット フォームを準備すべきである 政府、市民社会組織、民間部門 は、ここで述べた点に沿って、 それぞれの地域の実情に合わせ て、生涯学習概念を具体化して いく必要がある Thank you for your attention! ご静聴ありがとうございました
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