グラフの帯域幅連続多重彩色 (Bandwidth Consecutive Multicolorings of Graphs) 西関研究室 西川和秀 1 応用 -タスクスケジューリング -周波数帯域割当て タスクの完了に必要な時間 4 5 2 タスク間の実行で 離さなければならない時間 4 2 2 1 7 1 1 7 1 2 3 4 ⇒中断なし 1 11単位時間 2 3 3 10 連続で実行しなければならない 0 0 1 10 11 4 56 5 実行完了時間 6 7 8 9 10 11 帯域幅連続多重彩色( 彩色) 自然数(色)集合 4 5 5 6 グラフ 2 正整数 点重み 非負整数 辺重み 条件 (1) 各点 に連続した 個の 正整数(色)からなる集合 を割り当てる. (2) 各辺 について, の色と の色は 以上離れている. 4 2 2 1 7 1 10 11 最大 12 13 最大 0 1 0 7 10 12 1 3 の 彩色数 1 3 2 3 4 56 678 =13 =11 =11 3 帯域幅連続多重彩色問題 ( 彩色問題) 入力: - グラフ - 重み関数 出力: 最適な 彩色 最小 4 彩色 の簡単な表現 4 5 2 4 2 2 1 条件 (1) 各点 に連続した 個の 正整数(色)からなる集合 を割り当てる. (2) 各辺 について, の色と の色は 以上離れている. 7 1 条件 0 1 0 7 (a) (b) (c) 10 11 1 10 3 1 2 3 4 5 6 for 5 既存研究 点彩色 : 多重彩色 : 帯域幅彩色 : 1かつ 0なる 彩色 0なる 彩色 (ただし連続でなくてもよい) 1なる 彩色 本文の帯域幅連続多重彩色( 彩色)は,これらの一般化 6 結果 帯域幅連続多重彩色問題( 彩色問題) (1) 直並列グラフ(⊆部分2木) ・擬多項式時間厳密アルゴリズム ・FPTAS(近似) (2)部分 -木 ・擬多項式時間厳密アルゴリズム ・FPTAS(近似) ※部分3木に対してNPC[MR’03] 7 直並列グラフの再帰的定義 1. 直並列グラフ 2. 直並列グラフ 直並列グラフ 直並列グラフ(直列接続) 直並列グラフ(並列接続) なる 彩色 の最小スパン 10 8 2 2 1 2 2 2 1 0 1 ・・・ 2 0 1 ・・・ 2 1 存在しない 2 2 0 1 9 直並列グラフ 色 10 直並列グラフ 普通の点彩色数 最大重み 2 4 2 2 だけを計算すればよい 7 1 0 1 0 7 1 3 2 3 11 厳密アルゴリズム 直並列グラフ 条件 (a) 満たす (b) (c) for 満たさない 12 時間計算量 並列接続 時間 直並列グラフ (並列接続) 直列接続 時間 直並列グラフ (直列接続) 擬多項式時間厳密アルゴリズム の個数 が多項式ならば の計算 並列接続または も多項式 直列接続の回数 13 FPTAS(Fully Polynomial-Time Approximation Scheme) 近似誤差率 を任意に選択 時間計算量 が直並列グラフならば 近似解: 14 FPTAS(Fully Polynomial-Time Approximation Scheme) 任意のグラフ 2 2 近似誤差率 を任意に選択 4 1 縮尺率 を適切に決める の最適解 正整数 新しい重み 1 新しい最大重み 1 1 時間計算量 が直並列グラフならば 3 1 2 1 4 重み 6 なる の 彩色(近似解) 2 近似解 2 7 2 1 6 2 4 7 2 15 12 部分 -木へ拡張 例 3-木 部分3-木 : 3-木の任意の部分グラフ を求める擬多項式時間厳密アルゴリズム を近似するFPTAS 16 結果 帯域幅連続多重彩色問題( 彩色問題) (1) 直並列グラフ( ⊆部分2木) ・擬多項式時間厳密アルゴリズム ・FPTAS(近似) (2)部分 -木 ・擬多項式時間厳密アルゴリズム ・FPTAS(近似) 17 今後の課題 時間計算量 などの改善 18 発表文献 • 国際会議 – K. Nishikawa, T. Nishizeki and X. Zhou, Algorithms for bandwidth consecutive multicolorings of graphs (Extended Abstract), Proc. FAW-AIIM 2012, Lecture Notes in Computer Science, Vol. 7285, pp.117-128, 2012. • Journal – K. Nishikawa, T. Nishizeki and X. Zhou, Bandwidth consecutive multicolorings of graphs, Theoretical Computer Science, to appear. 19 なぜ辺重みは正整数でないのか? • 回答 – 非負整数とすると、 が 綺麗に特徴付けられるから. 20 なぜ辺重みは正整数でないのか? • 回答 – 非負整数とすると、 が 綺麗に特徴付けられるから. の無閉路向き付け の最長有向路の長さ 21 1.基本的な性質 補題3.どんな重み付きグラフ に対しても, の無閉路向き付け の無閉路向き付け 有向道 2 2 有向道 の長さ 4 =1+2+2+4+2= 11 7 最長有向道 0 最長路 の長さ ・ ・ ・ 有向道 1 0 1 0 7 1 =11 3 2 有向閉路 3 4 2 2 1 最長路 の長さ 2 2 =3+2+1+0+2= 8 7 0 の長さ 1 =3+2+1+7+1+0+1+7+2= 24 7 最長有向道 1 の長さ 無閉路向き付けではない 無閉路向き付け 3 =24 2 3 22 1.基本的な性質 補題3.どんな重み付きグラフ に対しても, =11 2 2 4 2 最長路 4 2 2 7 1 ・・・ 0 1 0 最長路 2 2 3 1 7 2 1 3 =24 0 0 7 1 7 1 3 ・・・ 3 =11 23 2 2 4 2 4 2 2 1 7 2 0 1 2 1 4 0 1 1 0 1 4 1 2 3 3 1 1 2 1 2 1 7 3 3 0 0 2 1 1 7 1 7 1 1 0 0 1 2 4 0 1 4 1 2 1 2 一般のグラフ 部分 -木 :定数 部分3-木 直並列グラフ (部分2-木) 木 :点数 25 彩色 の簡単な表現 逆に が(a)(b)(c)を満たす が(1)(2) を満たす 条件 (a) (b) (c) 同値 for 26 彩色 の簡単な表現 条件 (a) (b) (c) for 27 彩色 の簡単な表現 (c) for 正 条件(2)を満たす 28 1.基本的な性質 補題1. どんな重み付きグラフ に対しても, 最大重み 普通の彩色数 色1 証明. の部分集合 独立 色2 色 独立 独立 は 彩色 独立 色3 29 1.基本的な性質 二部グラフや木に対しては線形時間で最適な 彩色が求まる 補題2. を二部グラフまたは木とし, とする.この時, 証明. 彩色 は自明 を証明する の部分集合 の部分集合 の証明 :最適な 彩色, 6 の向き付け 2 1 for 2 2 は無閉路的 3 1 0 1 閉路があるならば 閉路はない 31 2 1 の証明 2 2 1 0 なる無閉路的向き付け において へ行く最長 有向道の長さ 6 条件 2 1 (a) 2 (b) (c) 2 3 のとき 非負 0 1 1 正 32 2 1 の証明 2 2 1 0 なる無閉路的向き付け において へ行く最長 有向道の長さ 6 条件 2 1 (a) 2 (b) (c) 2 3 のとき 非負 0 1 1 正 なので矛盾 逆向き 33 6 の証明 2 1 :最適な 彩色, 2 2 の向き付け for 1 0 3 1 6 2 は無閉路的 の最長有向道 1 2 2 道 (a) (c) (c) (c) (c) 条件 1 0 3 1 (a) (b) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (c) for 34 2 1 の証明 2 2 1 0 なる無閉路的向き付け において へ行く最長 有向道の長さ 6 2 1 は条件(a)(b)(c)を満たすので, は 彩色 2 2 0 3 1 1 は最適とは限らない □ 35 直並列グラフ 直並列グラフ 直並列グラフ 直並列グラフ(直列接続) 直並列グラフ(並列接続) FPTAS(Fully Polynomial-Time Approximation Scheme) 任意のグラフ 2 2 近似誤差率 を任意に選択 の最適解 縮尺率を適切に決める 1 1 重み 1 3 1 1 4 2 4 1 6 なる 6 の 彩色(近似解) 2 2 2 厳密アルゴリズムは と の多項式時間 2 7 1 7 4 2 37 12 は の 彩色 条件 (a) 両辺に (b) 両辺に (c) の最適解 for 両辺に 条件 (a) 1 1 1 重み 2 2 3 1 1 4 2 4 1 6 なる 6 の 彩色(近似解) 2 2 (b) 2 (c) for 条件(a)(b)(c)より, は 彩色 2 7 1 7 4 2 38 12 厳密アルゴリズム(直列接続) 直並列グラフ (直列接続) 時間 39 厳密アルゴリズム(並列接続) 直並列グラフ (並列接続) 時間 40 補題5. 2 任意のグラフ 4 2 の任意の無閉路向き付け 2 1 7 0 の最長路 0 任意の正整数 の重みが 1 7 2 1 のグラフ 3 3 と同じ向き付け の最長路 1 2 1 1 1 4 0 0 1 4 1 1 2 2 41 の証明 2 4 2 両辺に 2 1 7 0 0 1 7 2 1 3 3 は最長 1 2 1 1 1 4 0 0 両辺を で割ると 1 4 1 1 2 2 □ 42 任意のグラフ 補題4. 近似解 最適解 証明. が最小になる の無閉路向き付け の最長路 誤差 高々 補題3より 両辺に 43 上の式 の最長路 誤差 高々 証明は省略するが 誤差 高々 両辺に 誤差 高々 補題3より 両辺に 両辺に □ 最長路が最小になる 44 の向き付け 補題4. 証明. 任意のグラフ 近似解 最適解 が最小になる の無閉路向き付け の最長路 誤差 高々 誤差 高々 誤差 高々 □ 最長路長が最小になる の無閉路向き付け 近似解 46 定理. グラフのクラス に対し, 彩色問題を, と に関する多項式時間 で解く厳密アルゴリズムがあるならば,クラス に対してFPTASが存在す る. 直並列グラフに対し, 彩色問題を と で解く厳密アルゴリズムがあるので, に関する多項式時間 定理よ り, 系1. 直並列グラフの 彩色問題に対してFPTASが存在する. その時間計算量は 47 グラフの帯域幅連続多重彩色( 彩色) 1. 彩色の基本的な性質 2. 直並列グラフに対する擬多項式時間厳密アルゴリズム : 点数 3. 直並列グラフに対する近似アルゴリズム,FPTAS : 任意の誤差率 4. 部分 -木への拡張 5. 結論 48 -木の再帰的定義 1. 点からなる完全グラフは 木である. -木 2. が 木であり,その 点が完全グラフを誘導するとき,新しい1点を追加し, それら 点と辺で結んで得られるグラフも 木である. -木 -木 49 3-木 1. 点からなる完全グラフは 木である. 3-木 2. が 木であり,その 点が完全グラフを誘導するとき,新しい1点を追加し, それら 点と辺で結んで得られるグラフも 木である. 3-木 50 部分 -木 部分 -木: -木の部分グラフ 3-木 部分3-木 51 分解木 部分3-木 分解木 52 分解木 ・・・ ・・・ 分解木 53 -木へ拡張 部分 -木 端子が +1個 ・・・ 補題1. なる 彩色 の最小スパン だけを計算すればよい 54 時間計算量 接続 時間 の個数 の計算 接続の回数 擬多項式時間 厳密アルゴリズム 55 定理. グラフのクラス に対し, 彩色問題を, と に関する多項式時間 で解く厳密アルゴリズムがあるならば,クラス に対してFPTASが存在す る. 部分 -木に対し, 彩色問題を と に関する多項式時間 で解く厳密アルゴリズムがあるので, 定理より, 系2. 部分 -木の 彩色問題に対してFPTASが存在する. その時間計算量は 56 アルゴリズム ・・・ ・・・ 57 3-木 1. 点からなる完全グラフは 木である. 3-木 2. が 木であり,その 点が完全グラフを誘導するとき,新しい1点を追加し, それら 点と辺で結んで得られるグラフも 木である. 3-木 58 結果 帯域幅連続多重彩色問題( 彩色問題) (1) 直並列グラフ(部分2木) ・擬多項式時間厳密アルゴリズム ・FPTAS(近似) (2)部分 -木 ・擬多項式時間厳密アルゴリズム ・FPTAS(近似) 59
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